更新日:2021.07.30
認知症の家族がいる場合の相続方法とは?
相続と聞くと、どんな手続きが必要なのか不安になる方もいるでしょう。ましてや、法定相続人のなかに認知症の家族がいるとなると、どうするべきなのかわからないと思うはずです。そこで今回は、認知症の家族がいる場合の相続方法やその対策についてご紹介します。
- 遺産分割協議には認知症の方も参加しなければならない
- 認知症の方の権利を守るために成年後見制度がある
- 認知症に備えて家族信託が有効
高齢化が進み、身近な病気になりつつあるのが認知症です。公益財団法人生活保険文化センターの調べによると、2020年の65歳以上の認知症有病率は16.7%です。あわせて将来予測も発表されており、2030年の予測では20.2%と増加傾向になっています。
自分が認知症になったときの対策を考えていますか? 実は、認知症になった人を含めた相続が必要になると、さまざまな手続きが必要になります。そこで今回は、認知症の人を含めた場合の相続の方法や対策について考えていきましょう。
認知症の方がいる場合の遺産相続について
そもそも相続とは、亡くなった人の預貯金や不動産、有価証券などの財産を法定相続人が引き継ぐことです。相続財産には借金も含まれるため、相続するかどうか、財産配分をどうするのかを法定相続人同士で決めなければなりません。
その際に、遺言書があれば、遺言書をもとに配分しますが、遺言書がなければ遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議とは、法定相続人で遺産の配分を決めることです。遺産分割協議は法定相続人全員の合意が必要となるため、認知症の人も参加しなければいけません。
もちろん、「認知症だからほかの家族で決めよう」ということはできず、認知症が軽度であれば認知症の本人が、重度であれば成年後見人を選任して本人に代わって参加します。
成年後見人制度は、認知症や精神障害などによって判断能力が十分といえない人を守るために作られた制度で、法定後見制度や任意後見制度があります。法定後見制度は、判断能力の状況によって3つのタイプに分けられており、任意後見制度は将来判断能力が衰えたときに備えて、事前に任意後見契約を結んでおくことです。
基本的に、後見人の選出には、どれも家庭裁判所の審判が必要です。また後見人に選任される人は、公平な立場で認知症の方を守る必要があるため、親族が選ばれる可能性は低いでしょう。一般的には、弁護士や司法書士が選ばれます。
成年後見人を選任すると、後見人に報酬を支払わなければならなかったり、自由な遺産分割ができなかったりする可能性があるでしょう。
以上のようなさまざまな手続きを経て、後見人が選出されても遺産分割が進まないケースもあるため、信託を活用する方法が注目されています。ここからは、信託の活用方法について見てきましょう。
信託の活用も
信託とは、「信じて託す」という意味があります。信託にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも家族信託が有効でしょう。家族信託とは、家族や親族など身近な人が、個人の財産管理や資産運用、財産の承継などを本人に代わって行います。
家族信託は、契約によって効力を発揮するため、契約書に不備がないようにしなければいけません。できれば弁護士や司法書士を介し、公正証書で証明しておくほうがよいでしょう。
信託の発動は、認知症発症後だけでなく、健康なときから信託を活用することも可能で、さらには亡くなったことを起点とする信託もあります。ただ信託契約自体は、認知症発症前にしておかなければならないので、その点には注意しましょう。
認知症は誰しもなる可能性がある!相続に備えておこう
認知症は限られた人の病気ではなく、誰にでも起こり得る病気です。いざというときに、家族に迷惑をかけないように、さまざまな面で備えておかなければなりません。
とくに相続では、「手続きが進まない」「配分割合を自由に決められない」など、ほかの相続人との連携が大変です。自分も認知症になるかもしれないと考え、今から準備しておきましょう。相続や信託に関しての手続き方法などを知りたい方は、ぜひ下記ページよりお問い合わせください。
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