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子供がいない夫婦の老後の対策は? 資金・介護・相続など知っておきたいこと

更新日:2024.11.14

子供がいない夫婦の老後の対策は? 資金・介護・相続など知っておきたいこと

老後の暮らしを支えてくれる子供がいない夫婦にとって、老後資金や介護(健康面)、住まい、相続(財産処分)など、年齢を重ねるごとにいろいろな心配が増えてくるのではないでしょうか。 面倒を見てくれる親戚が近くにいれば不安も軽減されますが、親戚とは疎遠な方や頼れる親族がいない方は、より不安が大きいかもしれません。 本記事では、そんなご夫婦が知っておくべきポイントを解説します。

  • 夫婦で必要な老後資金を試算しておこう
  • シニア向けの住まいを探す場合、4つの選択肢がある
  • 子供がいない夫婦は、お互いに遺言書を作成しておこう

もくじ

  1. 老後資金はいくら必要?

    1. 高齢夫婦世帯の平均家計は?

    2. 介護費用はいくら必要?

    3. 結局必要な老後資金はいくら?

  2. 老後の住まいはどうする?

    1. シニア向け分譲マンション

    2. シニア向け賃貸住宅

    3. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

    4. 有料老人ホーム

    5. どのシニア向け住宅を選ぶか

  3. 相続と遺言

    1. 法定相続

    2. 配偶者により多くの資産を残したい場合

    3. 遺言書の種類

  4. そのほかにも知っておきたいこと

    1. 配偶者が認知症になる前に

    2. おひとりさまになった場合

  5. まとめ



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老後資金はいくら必要?

まずは、平均的なセカンドライフを実現するために必要な「老後資金」を確認しておきましょう。
一般的なデータを参考に、高齢の夫婦世帯の平均家計と、介護にかかる費用の目安を見ていきます。

高齢夫婦世帯の平均家計は?

政府の発表によると、2023年の65歳以上の夫婦のみ無職世帯の家計は、毎月3万7,916円のマイナスとなっています。 この条件で30年間(95歳まで)生活すると、総額で【△3万7,916円/月×30年=△1,364万9,760円(約1,400万円)】の不足となり、預金などの資産を取り崩してその差額を埋めていかなければなりません。

総務省統計局 「2023年(令和5年)家計の概要」
総務省統計局 「2023年(令和5年)家計の概要」

出典:総務省統計局 「2023年(令和5年)家計の概要」の情報を基に作成

介護費用はいくら必要?

忘れてはならないのが「介護費用」です。 健康のまま生活できれば問題ありませんが、85歳を迎えると、6割の方が介護保険サービスを利用する状況になっています。 公益財団法人生命保険文化センターの2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」は、以下のようなデータを発表しています。

介護費用の平均、介護期間の平均
介護費用の平均、介護期間の平均

このデータを基に計算すると、必要な介護費用は【(8万3,000円×61か月+74万円) ×2人=1,160万6,000円(約1,200万円)】となります。

結局必要な老後資金はいくら?

前述の「家計の不足分」と「介護費用」を合わせると、夫婦世帯では【1,400万円+1,200万円=2,600万円】の準備があれば、平均的な老後生活を送ることができると考えられます。
しかし、これに加えて持ち家の方は自宅の修繕費用や家具・家電の買換え費用、旅行や冠婚葬祭(自身のお墓購入なども含む)費用も考慮する必要があります。



 

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老後の住まいはどうする?

まだ元気な2人がシニア向けの住まいを探す際には、4つの選択肢があります。

シニア向け分譲マンション

シニア向けの暮らしのサービスがあり、バリアフリー設計になっている分譲マンションです。 物件によっては、レストランやクリニック・介護サービス事業所、クラブハウスなどが併設されており、さまざまなサービスを利用できます。 暮らしの自由度が高く、自分たちの資産にもなります。

シニア向け賃貸住宅

シニアの暮らしを考慮したバリアフリー化された賃貸アパート・マンションです。 物件により緊急通報設備がついていたり、健康相談サービスが利用できる物件もあります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

シニア向けの賃貸住宅で、通常の賃貸住宅より家賃が高くなりますが、毎日の安否確認サービスと生活相談サービスがついており、安心して自由な暮らしを送ることができます。 物件によっては、食堂や在宅介護サービスが併設していることもありますが、ワンルームタイプの部屋が主流で、夫婦が住める1LDK以上のタイプは少ない傾向があります。

有料老人ホーム

介護が付いている「介護付き有料老人ホーム」と、外部の介護事業者と契約して介護サービスを受ける「住宅型有料老人ホーム」があります。 どちらもまだ介護が必要のない自立の方を受け入れるところもありますが、介護が必要な方が多い施設がほとんどです。 また、夫婦で住める1LDKタイプの部屋は少なく、ほとんどの施設では浴室が共同となり、施設によって入浴できる日数も決まっています。

どのシニア向け住宅を選ぶか

まだまだ健康で普段の生活は送れるが、足元が不安だったり、いざというときのサービスがあった方がいいと考える場合は、シニア向け分譲マンションや賃貸住宅がおすすめです。

まだ介護は必要ないが安否確認や生活相談サービスがあった方が良いと考える方、あるいは介護が必要になってきたが自由な暮らしがしたい方は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が良い選択肢となります。 より手厚い介護サービスを希望する場合は、有料老人ホームがおすすめです。 ただし、サ高住や有料老人ホームは、主にワンルームタイプや1LDKタイプの部屋が中心になるため、夫婦で暮らすのに一定の広さを求める方には不向きと言えるかもしれません。 同じ施設で夫婦がそれぞれの部屋で生活している方もいらっしゃいます。

相続と遺言

もし配偶者が亡くなった場合、ご夫婦の大切な財産がどうなるのか、相続について簡単なポイントをご説明します。

法定相続

おふたりさまの場合の法定相続人の範囲

子供がいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、法定相続では以下のようになります。

  • 被相続人(亡くなった人)の親が存命の場合
    配偶者3分の2、親3分の1(父母とも存命の場合は6分の1ずつ)
  • 被相続人(亡くなった人)の親がおらず、兄弟姉妹が存命の場合
    配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(兄弟の人数で分けます。また兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子供が相続します)

つまり、残された配偶者は、財産の全額を相続することができない規定となっています。

配偶者により多くの資産を残したい場合

ふたりで築いた財産が親や配偶者の兄弟に遺産分けされることに対して、不満を感じる方もいるかもしれません。 もし自分の資産を全て、あるいはそれ以上の額を配偶者に残したいのであれば、配偶者に全額相続させる旨の遺言書を作成しておきましょう。
遺言書を作成しておけば、下記のように資産を残すことが可能です。

  • 被相続人の親が存命の場合、もし親が相続を受けることを主張してきても親の遺留分(最低限相続を受けることのできる割合)は法定相続の3分の1の半分、つまり6分の1となります。 よって配偶者は最低でも6分の5を相続できることになります。
  • 相続権者が配偶者と被相続人の兄弟姉妹のみの場合、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言書があれば全額配偶者へ相続することができます。

遺言書の種類

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、公正証書遺言、もしくは(内容が簡単であれば)法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言がおすすめです。 お互いがそれぞれ遺言書を作成しておけば、どちらかが先に旅立ったとしても安心です。

3種類の遺言書


 

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そのほかにも知っておきたいこと

ここでは、配偶者が認知症になる前に準備しておくべきことや、配偶者が亡くなった後の一人暮らしに役立つサービスについてご紹介します。

配偶者が認知症になる前に

認知症になると、法律行為ができないものとみなされ、銀行預金の引き出しや株式・投資信託の解約などもできず、財産が凍結され、不動産の売却など契約行為もできなくなります。 そのため、万が一に備えて、普段から夫婦間でどこにどんな資産があるのか、銀行口座の暗証番号などの情報を共有しておくことが重要です。

また「最近、物忘れがひどくなってきた」と感じた場合は、認知症の方の代わりに財産管理ができる家族信託や、身上監護(しんじょうかんご)ができる任意後見を検討することも一つの手段です。 認知症になった後で財産の処分や契約を行う場合は、法定後見制度を利用することしか選択肢がなくなります。



 

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おひとりさまになった場合

もし配偶者に先立たれ、おひとりさまになってしまった場合のために、以下のサービスがあることを頭に入れておきましょう。

身元保証

病気で入院したり、老人ホームなどの介護施設に入所したりする際には、身元保証人を求められます。 もし頼める方がいない場合は、身元保証を行っている民間会社や一般社団法人に依頼するといいでしょう。 定期的な見守りサービスも提供しているため、安心して利用することができます。 法人によって費用や付随するサービスが違いますので、利用する際は数社を比較検討してみましょう。

連帯保証

介護施設に入居する場合などに、連帯保証を求められる場合があります。 その場合、支払いを保証する会社もありますので、費用や条件などよく調べたうえで依頼しましょう。

任意後見制度

ご自身が認知症になる前に、信頼できる人(司法書士や弁護士でも可)を後見人として指名しておき、自身が認知症を発症した後に財産管理や介護サービス(施設入居も含む)の契約を任せる制度です。 家庭裁判所に申立てをして手続きを行います。

死後事務委任

お亡くなりになった後、葬儀などの手配や財産整理を行ってもらえるサービスです。 身元保証を行う法人が一緒に手掛けている場合もあります。

遺言書

残った財産をお世話になった方に相続するのか、あるいは寄付をするのかなど、遺言書を残しておけば自分の意思に基づいた遺産分けをすることができます。

まとめ

現代は自分の生き方に沿った、さまざまなライフスタイルがあります。 子供がいない夫婦世帯もだいぶ増えてきました。 安心でより豊かな暮らしを続けるために、二人の老後の備えを考えていきたいものです。
具体的なアドバイスが欲しい場合や、いろんな心配事を整理したい際は、専門家やシニア向けの無料相談窓口に問い合わせてみましょう。



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