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2024年以降の不動産市況はどうなる?2023年の特徴と今後の動向を解説

更新日:2023.12.04

2024年以降の不動産市況はどうなる?2023年の特徴と今後の動向を解説

2024年の不動産マーケットは、2023年の動きを振り返ることである程度の予想ができます。不動産市場は2023年にどういった動きがあり、2024年以降はどのように変わっていくのでしょうか。この記事では、「2023年の不動産市況動向と2024年の予測」について解説します。(※執筆時点は2023年11月の情報に基づくものです。)

  • 2023年の不動産市場は円安の良い面が現れた
  • 2024年以降は住宅ローンの固定金利が上昇する可能性はある
  • 2024年も価格上昇が見込まれ、売りどきの状況は続く

もくじ

  1. 不動産価格の推移

    1. 住宅価格の推移

    2. 土地価格の状況

  2. 2023年の不動産市場に影響を与えた要因

    1. 工場の進出

    2. 好調なインバウンド

  3. 2024年以降に状況が変わる可能性

    1. 金利が上がる可能性はある?

    2. 円高になる可能性はある?

  4. 今後はどうなる?2024年以降の不動産市況

    1. 購入編

    2. 売却編

  5. まとめ

不動産価格の推移

不動産価格の推移

2023年の不動産市場は、一言で表すと「円安の良い面が現れ始めた年」といえます。
多くの天然資源を輸入に頼っている日本では、円安は当初悪い影響を与えていました。
しかしながら、2023年の不動産市場では、工場進出によって地方の地価が上昇し、インバウンド需要も復活したことから円安の良い面が出始めてきたといえます。

住宅価格の推移

首都圏における近年の住宅価格の推移を示すと、下図の通りです。

首都圏住宅価格推移

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)

近年、首都圏における中古マンションや中古戸建ての価格は、総じて上昇傾向が続いています。住宅価格の上昇が継続している主な原因は、低金利によって多くのお金を住宅ローンで借りやすくなったためです。 日本の低金利政策は2013年頃から始まっており、2023年時点においても基本的に継続されています。



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土地価格の状況

地価公示および都道府県地価調査から見た全国の土地価格の推移を示すと、下図のようになります。

地価公示とは1月1日時点における標準地と呼ばれるポイントの地価、都道府県地価調査とは7月1日時点における基準地と呼ばれる地価のことです。

地価動向(全用途・全国平均)

出典:国土交通省 「地価公示

出典:国土交通省 「都道府県地価調査

地価公示および都道府県地価調査も、近年は総じて上昇傾向にあります。 2023年9月19日に公表された都道府県地価調査では、全国の地価が全用途平均で2年連続上昇する結果となりました。

地価は2021年時点で新型コロナウイルスの影響により一瞬足踏みしましたが、2022年には早くも回復しており、2023年は上昇の動きがさらに鮮明となっています。



 

2023年の不動産市場に影響を与えた要因

2023年の不動産市場に影響を与えた要因

2023年の不動産市場において、特徴的な動きに影響を与えた主な要因は“円安”です。
この章では、円安が不動産市場にどのような影響を与えたか、「工場の進出」と「好調なインバウンド」の2つの観点から解説します。

工場の進出

2023年の不動産市場で最も特徴的だった動きは、大手半導体メーカーの進出地で地価が大きく上昇したという点です。 具体的には北海道千歳市のラピダス、熊本県菊陽町のTSMCの進出が、周辺地域に大きな地価上昇をもたらしました。

近年の地方の地価上昇は再開発が原動力となっていましたが、2023年の都道府県地価調査では、再開発エリアよりも工場進出地エリアの方が高い上昇率を示した結果となっています。

工場進出地エリアの広範囲の地価上昇は、近年の地価公示や都道府県地価調査では見られなかった現象であり、極めて特徴的な動きです。 円安圧力が強まっていることから、製造業が日本国内で工場を建てた方が有利と判断する傾向が強くなってきており、日本の工場建設を後押ししたものと思われます。

工場の進出は、周辺に従業員の住宅需要を生むことから、単に工業地の地価を押し上げるだけでなく周辺の住宅地や商業地まで広範囲に地価上昇が波及しました。 ラピダスやTSMCは話題性のある大きな工場ですが、ここ1~2年は郊外の工業団地で工場の誘致に成功している事例も見られ始めています。

バブル崩壊後、全国では工場が誘致できず空き地のままとなっている工場団地が多くありましたが、そのような工場団地にも少しずつ工場が建設される兆しが見え始めました。 円安が継続されれば、さらに多くの工場が国内に進出し、地価が力強く上昇する地方都市も増えていくことが期待されます。

好調なインバウンド

円安の効果が手伝い、新型コロナウイルスの影響を大きく受けていた国内の観光地では、インバウンド需要が急速に回復する結果となりました。

とくに新型コロナウイルスの影響を強く受けていた大阪市中央区の道頓堀地区では、都道府県地価調査の地価がマイナスからプラスに転じています。
岐阜県高山市の地点も2022年は下落していましたが、2023年にはプラスに転じました。

そのほかとして、東京都浅草地区や鎌倉市、長野県白馬村、熱海市、京都市、那覇市などの観光地では地下が大きく上昇した状況です。

多くの観光地でコロナ禍前の賑わいを取り戻しており、ホテルや店舗の需要が強まったことで地価が上がっています。 インバウンド需要も、このまま円安が続けば好調が続くと予想され、観光地の地価を上昇させていく要因になると期待されます。



 

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2024年以降に状況が変わる可能性

2024年以降に状況が変わる可能性

低金利や円安の状況が崩れれば、2024年以降の不動産市場は状況が変わってくる可能性があります。 この章では、低金利と円安の2つに着目し、2024年以降に状況が変わる可能性について解説します。

金利が上がる可能性はある?

金利に関しては、固定金利は上がり、変動金利は低金利で据え置かれるのではないかと予想されます。

一般論としては固定金利と変動金利は連動するため、固定金利も上がれば変動金利も上がると考えるのが通常です。しかしながら、近年の日銀は固定金利と変動金利を別の方法でコントロールしているため、両者の動きが必ずしも一致していないことがポイントとなります。

まず、わかりやすいのは変動金利です。
変動金利は、日銀が決定する政策金利と連動するため、日銀が直接コントロールできる金利となります。 2023年においても日銀は超低金利政策を継続しており、住宅ローンの変動金利も日銀の意向を反映して低金利のままです。
日銀は今のところ低金利政策を継続する姿勢を貫いており、恐らく2024年も低金利政策はしばらく継続するものと見込まれます。

一方で、わかりにくいのが固定金利です。
固定金利は、10年物国債利回りの利率に連動するため、日銀が直接コントロールできない金利となります。 10年物国債利回りは、債券市場における国債の価格が高くなると利回りが下がり、逆に国債の価格が安くなると利回りが上がるという性質があります。 固定金利を低く抑えるには、国債の利回りを低く抑える必要があり、そのためには債券市場で売買される国債の価格を高く維持する必要があるのです。

そこで、日銀は債券市場で売られている国債を高く買うことで国債の価格を高い水準で維持し、国債の利回りを低く抑えて固定金利も低金利にするという強引なコントロールを行ってきました。

このような金利操作方法をイールドカーブ・コントロール(YCC)と呼びます。
イールドカーブ・コントロールでは、日銀が国債を高値で買い続ける必要があることから、さすがにいつまでも続けるには無理があります。

日銀は2022年12月頃から半年に一度のペースでイールドカーブ・コントロールを少しずつ見直してきており、固定金利はその度に上昇してきました。
2023年10月末にも、イールドカーブ・コントロールのさらなる修正意向を示していますが、イールドカーブ・コントロールで固定金利を低く抑えることはすでに限界に達しており、固定金利に関しては2024年以降も徐々に上がっていくことが予想されます。



 

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円高になる可能性はある?

ここ1~2年に急速に生じ始めた円安は、主要各国との金利差が影響していることが原因です。 世界の主要国では、インフレを抑えるために金利を高く設定しています。

通貨は高い金利で運用した方が有利なことから、たとえば円が売られドルが買われる状況が生まれます。円が多く売られれば円の価値が下がるため、円安となってしまうのです。

2024年以降に円高に振れる可能性は、ゼロではありません。
円安は主要通貨との金利差によって生じていますが、仮に諸外国が金利を下げれば金利差が縮まり、円高方向になることは十分に考えられます。

ただし、2024年という1年間であれば、円安が続くという可能性はあります
理由としては、世界の物価を上昇させている要因の一つであるウクライナ情勢が長期化する可能性が高いからです。

世界の物価が上昇した理由としては、新型コロナウイルスの収束後に需要が急速に回復したことと、ウクライナ情勢によって食料品などの価格が上がったことの2つが挙げられます。

また、2023年10月に入り、イスラエル国内でガザ地区を実効支配しているハマスとイスラエルとの衝突が始まりました。 イスラエル国内の紛争ではあるものの、ユダヤ教とイスラム教との闘いという見方もでき、レバノンの武装勢力であるヒズボラや反米感情の強いイランも紛争に加わってくる懸念があります。

仮に中東情勢が広域的に不安定になれば、石油価格が上昇する可能性が高いです。 石油価格が上昇すると、産油国であるロシアに利益をもたらす可能性があり、西側諸国による経済制裁の効果は弱まることで、ウクライナ情勢が長期化してしまう懸念もあります。

ウクライナ侵攻や中東情勢で物価高が続き、各国の政策金利が高止まりすれば、2024年も円安圧力が続くものと考えられます。



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今後はどうなる?2024年以降の不動産市況

今後はどうなる?2024年以降の不動産市況

2024年以降の不動産市況の予測について解説します。

購入編

2024年も不動産価格は上昇が続くものと予想されます。理由としては、住宅ローンの固定金利の上昇の影響は限定的だからです。

近年の住宅価格の上昇は、住宅ローンの金利が低いことが主な原因でした。そのため、住宅ローンの金利が上がれば、住宅価格が下がる可能性は十分にあります。

ただし、2023年にはすでに固定金利が上昇し始めましたが、変動金利が低金利に抑えられていたため住宅価格が上がりました。 昨今は住宅ローンを金利の低い変動金利で組む人が多く、固定金利が上がっても住宅価格が下がらない結果となっています。

恐らく2024年も、固定金利は上がっても変動金利は抑えられるという状況は続くため、固定金利の上昇は住宅価格を下げるまでの影響力はないものと思われます。よって、不動産の価格は高止まりもしくは上昇すると考えられ、すぐに値下がりすることは期待しにくいです。

なお、固定金利に関しては徐々に上昇することが予想されるため、これから住宅を購入するのであれば、固定金利も積極的に組み込んでいくことをおすすめします。

固定金利は上がり始めたといっても、まだまだ総じて低い状況です。全額を変動金利で組むのではなく、一部を固定金利で借りて、今後の金利上昇リスクに備えておくことが望ましいといえます。

 

売却編

2024年も不動産価格は上昇が続くものと予想されますので、2024年も売りどきです。中古住宅の売却のしやすさは、在庫件数や成約日数の動向から推測することができます。
首都圏における在庫件数と成約日数の推移を示すと、以下の通りです。

首都圏中古マンション在庫件数と成約日数
首都圏中古戸建て在庫件数と成約日数

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)

在庫件数は、公益財団法人東日本不動産流通機構に登録されている「新規登録件数から成約件数を控除した件数」となります。
成約日数とは、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「売り出してから成約するまでの平均日数」のことです。
2020年以降、中古住宅の在庫件数は減少傾向にあり、それに伴い成約日数も短縮化傾向にあります。

中古住宅の売却環境は良くなってきており、2024年に急に売却しにくくなるとは考えにくいです。 売却予定物件があれば、好機を逃さず2024年中に売却することをおすすめします。



 

まとめ

以上、2023年の動きと2024年の予測について解説してきました。

2023年における不動産市場の特徴的な動きとしては、円安の効果により工場の進出やインバウンドの回復が生じたことで、地価が上昇する地点が見られました。 2024年以降、住宅ローンに関しては固定金利が少しずつ上昇する可能性はあります。 円安に関しては、断言はできないものの、しばらく続く可能性は十分にあると考えられます。

購入については、2024年は大きな値下がりは期待できないものの、住宅ローンの固定金利は上がる懸念があることから、今のうちに固定金利も組んでおくことが望ましいです。
売却に関しては、2024年も売りどきが続くものと見込まれます。

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不動産鑑定士

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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