- 立地が良ければ定期借地権や建設協力金方式、等価交換を選択できる可能性がある
- 土地が広ければ、土地の一部を売却して資金を作る方法も考えられる
- 土地貸しのコインパーキングなど、気軽にできる活用方法も存在する
資金なしで土地活用できる?
土地活用は、資金なしでもできる場合があります。 特に立地条件の良い土地であれば、定期借地権や建設協力金方式、等価交換など、借り主側から活用方法を提案されるケースもあり、資金なしでも始めやすいです。
また、立地条件があまり良くない場合でも、土地の一部を売却したり、子が出資した法人で建設したりするなどの工夫を行えば、資金なしでも土地活用ができます。
さらに、土地を貸し出すコインパーキングなど、初期投資が不要な土地活用もあります。 資金なしでも、アイデア次第で収益化を目指せるのが土地活用の魅力です。
資金なしで土地活用する9つの方法
この章では、資金なしで始められる土地活用の方法を解説します。
定期借地権
定期借地権とは、契約期間が満了すると確実に土地が戻ってくる借地権のことです。 更新がなく、契約期間が決まっているため、安定した活用が可能です。
この仕組みを活用した借地事業では、土地を建物所有目的の人に貸し、地代を得ることで収益化できます。 建物の建設費用は借地人(土地を借りる人)が負担するため、地主は資金がなくても土地活用を行うことができます。 特に立地の良い土地では、借地人側から活用の提案を受けるケースも多く、借地事業が成立しやすい傾向にあります。
定期借地権には以下の3種類があり、土地活用では事業用定期借地権が選択されることがよくあります。
- 事業用定期借地権(主に事業向けの建物に適用される)
- 一般定期借地権(居住用も含めた幅広い用途)
- 建物譲渡特約付借地権(契約満了後に建物を地主に譲渡する仕組み)
事業用定期借地権とは、借地上に建設する建物が事業目的専用(居住用は不可)であることが特徴です。 この仕組みは地主にとってメリットが大きく、特に以下の点で人気があります。
- 地代が比較的高いため、収益性が良い
- 借地期間が短めでリスクを抑えられる
そのため、コンビニエンスストアやホームセンター、ビジネスホテルなどの事業用物件として活用されることが多く、安定した土地活用の方法のひとつです。
建設協力金方式
建設協力金方式とは、地主が銀行から融資を受けるのではなく、テナント(借り主)が建物資金を融資する仕組みの土地活用方法です。 地主はテナントからの協力金をもとに建物を建設し、家賃の一部から返済するため、自己資金なしで土地活用が可能となります。
この方式は、テナント側が「ぜひ出店したい」と思う魅力的な立地で提案されることが多いです。
▼建設協力金方式が利用されるケース
- 郊外型のコンビニエンスストア
- ドラッグストアの一棟貸し
テナントにとっても、好立地に出店できるメリットがあるため、双方にとってWin-Winの関係を築ける土地活用方法です。
等価交換
等価交換とは、デベロッパー(不動産会社)が土地の上に建物を建設し、完成後に土地と建物を等価で交換する土地活用方法です。 この仕組みでは、地主は建物の建設費用を負担する必要がなく、竣工後に土地の一部を売却し、その代わりに建物の一部を購入する形になります。
▼等価交換の特徴
- 竣工後、地主とデベロッパーが土地と建物を共同所有する
- 地主は資金負担なしで建物を取得できる
- 立地が良く、規模の大きな土地でデベロッパー側から提案を受けるケースが多い
大規模な土地を持っている地主にとって、資金なしで収益性の高い不動産を取得できる魅力的な方法のひとつです。
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土地信託
土地信託とは、信託銀行や信託会社に土地を預け(信託し)、その運営による収益から配当を得る資産活用の方法です。 この仕組みでは、土地の所有権が、受託者(信託銀行や信託会社)に移転します。 受託者に信託された土地は、受託者によって土地活用の企画や建築が行われます。 建築投資費用も受託者が負担するため、元々の土地所有者は資金なしで土地活用を行うことが可能です。
土地を信託すると、元の土地所有者は「委託者兼受益者」という立場になります。 これは、土地を信託する委託者でありながら、その運用益を受け取る受益者でもあることを意味します。 土地の運用や賃貸経営は受託者が行い、家賃収入も一旦受託者に入ります。 そこから固定資産税や維持管理費を差し引き、信託報酬を除いた残りの利益が受益者(元地主)に配当される仕組みです。
土地所有者が直接運用せずとも収益を得られるため、安定した土地活用を実現できる方法といえます。
土地の一部を売却して資金を作る
資金がない場合でも、所有する土地の一部を売却すれば、活用のための資金を確保することが可能です。
一般的に、土地所有者が建築費の1割程度を頭金として準備できれば、アパートローンを組むことができるため、売却によって資金を捻出すれば活用の選択肢が広がります。 特に郊外では、賃貸需要がそれほど強くないので、広い土地に大規模な建物を建てると空室リスクが高まることがあります。 そのため、土地の一部を活用せずに残し、比較的小規模な建物を建てるケースも多く、結果的に一部を売却して資金を確保するのと同じような形になることもあります。
こうした背景を踏まえると、広い土地を所有している場合は、一部を売却して資金を確保し、無理のない規模で活用するのが合理的な選択のひとつと言えるでしょう。
子が出資した法人で建てる
資金がない場合、子が出資した法人を設立し、その法人を通じて賃貸物件を建てる方法があります。 この方法では、親が法人の役人となることで役員報酬を得られるほか、法人に対して土地を貸すことで地代収入も確保できます。
さらに、法人経営による賃貸事業には、所得税の節税や、子への所得移転が可能になるといったメリットもあります。
収益物件への買い替え
所有している土地を売却し、収益性の高い物件に買い替えるのも、広い意味での土地活用の一つです。 現在の土地が土地活用に向かない立地である場合、より良い条件の土地や収益物件に買い替えた方が安全に土地活用をできることがよくあります。
一般的に、不動産投資ローンを利用する際には、投資額の3割程度の頭金が必要になります。 たとえば、3,000万円で土地を売却すれば、7,000万円のローンを組み、1億円の収益物件に投資することも可能です。
土地貸しのコインパーキング
コインパーキングの運営事業者に貸し出す土地活用には、「施設貸し」と「土地貸し」の2種類があります。
施設貸しは、地主がアスファルト舗装などの設備を整えた状態で運営事業者に貸し出す方式です。 これに対し、土地貸しは未舗装のまま貸し出す方法で、地主側の初期投資が不要というメリットがあります。
ただし、土地貸しの場合は、アスファルト舗装などの費用を運営事業者が負担するため、施設貸しよりも賃料が低くなる傾向があります。
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時間貸し駐輪場
運営会社にもよりますが、時間貸し駐輪場であれば初期費用なしで始められる場合があります。 時間貸し駐輪場は、自転車さえ停めるスペースさえ確保できれば運営可能なため、狭い土地でも有効活用できるのが大きなメリットです。
また、多くの運営会社では、集金や定期巡回、保守、機器点検、清掃、クレーム対応などを全て代行してくれるため、固定資産税以外のランニングコストをかけずに運営できる点も魅力です。
まとめ
ここまで、資金なしで行える土地活用の方法について解説してきました。
土地活用の中には、「定期借地権」や「建設協力金方式」、「等価交換」などの資金なしでも行うことができる土地活用が存在します。 ただし、立地条件や土地の広さによって適した活用方法は異なるため、ご自身の土地の状況に応じて最適な方法を検討することが重要です。
土地活用を成功させるには、まずは信頼できる不動産会社や建設会社を選ぶことが大切です。 契約内容をしっかり理解し、慎重に判断することで、安定した土地活用を実現しましょう。
土地活用を検討している方は、下記よりお気軽にご相談ください。

不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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