- 認知症などのリスクに備え、相続は早めの準備がおすすめ
- 相続準備で大切なのは、誰になにをどんな形で引き継ぐかを決めること
- 相続を受ける側は経営継続するかを見定め、場合によっては売却なども検討する
相続のタイミングとは
相続の準備を早く始めるメリット
アパート経営の相続は、「では今日からお願いします」とはいかないものです。ここでは、なぜ準備は早いほうがよいのかについて解説します。
経営のノウハウや情報を共有することで、スムーズに移行できる
準備不足の状態のままアパート経営を引き継いだことで、「苦労をしている」という声は多いようです。経営のノウハウがない状態では、事業を継続することは難しいでしょう。相続の準備を早くから行い、経営状況について共有することで、アパート経営について勉強する時間を設けたり、相続後の方針について検討したりすることができます。
認知症などで経営ができなくなるリスクから回避できる
内閣府の「平成29年版高齢者白書(概要版)」では、2012年時点で認知症の患者は約426万人、高齢者の7人に1人という計算になります。もし認知症になった場合、アパート経営はどうなるのでしょう。
認知症によりアパート管理が行き届かず、必要な修繕などができなくなり、結果、資産価値を下げてしまう可能性もあります。
また、認知症になると次のことが行えなくなります。
- 不動産の売却契約や建築
- 賃貸管理の委託契約
- 大規模な修繕の発注や計画
- 賃料滞納者への督促
- 預金口座の引き出しや解約
- 生前贈与 など
経営だけでなくスムーズに相続を行うことも難しくなるでしょう。認知症は決して他人事ではありません。万が一のリスクに備えて、アパート経営の相続は早めに行うことをおすすめします。
相続の準備に必要なこと
相続の準備は、具体的に何を行えばよいのでしょうか。大切にしたいポイントを3つご紹介します。
誰に相続するかを決める
相続人が複数いる場合は1人に相続するのか、みんなで平等に分けるのかを決める必要があります。また、相続人がアパート経営に対して前向きであるかも考慮して選ぶ必要があるでしょう。もし、「やる気がない」「そもそも経営が不得手」であれば、失敗して損してしまう可能性もあります。経営状態がわかる財産管理表や試算表などを見せながら、話し合いの場を設けることをおすすめします。早めに相続人を決めて、経営状態を共有しておくことで、相続後の経営がスムーズに行きやすいでしょう。
引き継ぐ内容をまとめる
アパート経営の相続は、物件を受け取って終わりではありません。経営に必要なお金や人間関係、情報もしっかり引き継ぎしましょう。
まず、「お金」とは財産のことです。死亡後は預金が封鎖されるため、経営で必要な資金があれば、移しておくなどの準備が必要です。
次に「人間関係」です。アパート経営では、管理会社や建築会社、仲介会社などのパートナーがいるはずです。今後も関わりがあるため、その会社を選んだ理由や評価など、それぞれとの関係性も引き継ぐようにしましょう。
最後が「情報」です。アパートが自主管理の場合は入居者の情報、ほかに建物の図面や修繕履歴なども渡します。
資産一覧表や、運営管理表などをリスト化しておくとわかりやすいでしょう。
引き継ぐ方法を決める
賃貸経営を引き継ぐ方法は、「生前贈与」「家族信託」「法人化」などがあります。相続税にも影響するため、適した方法を選びましょう。
「生前贈与」では、相続人に物件の所有権を移すことで、賃料収入を相続人が受け取れるようになります。相続時精算課税制度の利用で、2,500万円分は非課税、超過分は税率が一律20%となるため、節税につながります。
「家族信託」では、自身は委託者兼受益者、相続予定者を受託者として信託契約を結びます。元気なうちは一緒に経営を行い、退く際には受託者が経営を継続。自身は受益者として生活費を受け取ります。認知症などのリスク回避方法としても有効でしょう。
3つ目は、「法人化」です。不動産管理法人を立ち上げることで、物件の所有権を法人に移し、賃料収入も法人のものとします。役員報酬を支払う形にすれば、贈与税がかからず、相続財産を減らせるため相続対策として有効です。
また、相続税対策として、建物は法人、土地はオーナーで所有したままにする方法があります。土地の価格はほぼ同じで、減価償却によって建物の価値は年々下がるため、法人へ売却するときに譲渡所得を減らすことができます。
アパートを相続したときの手続き
ここからは、アパート経営を相続した人がどのような手続きが必要かについて解説します。
アパート経営を相続したときに行う手続き
相続時に必要となる代表的な手続きを5つご紹介します。
相続登記を行う
登記申請書を作成し、戸籍謄本や住民票、固定資産税評価証明書と一緒に法務局へ申請します。法律上、申請期限は設けられていませんが、ほかの相続人とトラブルになったり、必要書類を集める手間が増えたりする可能性があるため、早めに行うようにしましょう。司法書士に依頼するのが一般的です。
ローンがある場合は金融機関に相談
アパートローンがある場合は、契約内容を確認しましょう。団体信用生命保険がついていれば、借人が亡くなれば保険金で返済できます。一方、節税目的で建てられている場合は借入金があることで相続税評価額を圧縮できることから、保険を契約していないケースが多いです。もし、ローン返済が残るようなら、返済計画について金融機関と相談しましょう。
入居者へ通知する
アパート管理を管理会社へ依頼している場合は、相続があった旨を伝達します。入居者へもアパートの所有者変更を通知して、賃料の支払い先の変更が必要です。
準確定申告を行う
不動産収入について、相続人による申告・納税が必要です。相続を知った翌日から4ヶ月以内に行います。
相続税の申告を行う
相続税が発生する場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に手続きが必要です。相続税は、遺産の合計金額が基礎控除額を超える場合に課税対象となります。
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
アパート経営の継続が難しい場合は売却も検討しよう
相続したアパートが、必ずしも収益性が高いものばかりとは限りません。状況が変わり、アパート経営に手間や時間がかけられなくなったというケースもあるでしょう。経営を継続するか手放すか、判断基準についてご紹介します。
経営を継続したほうがよいケース
駅前など好立地、加えて築浅であれば経営継続がおすすめです。アパート経営は管理会社と契約をしていても、完全に手放せるものではありません。経営のために「多少の時間は割ける」「経営自体に興味がある」という場合は、維持し続けてもよいでしょう。
売却したほうがよいケース
立地に恵まれていないなど、経営環境が好転する見込みがない場合は、老朽化する前に売却するのが最善でしょう。売却資金を元に好立地の投資用マンションなどに資産を組み替える方法もあります。また、複数の相続人と不動産や現金を交えた資産を公平に分けたい場合、不動産と現金では価値が比較しにくくなります。アパートを売却して資金をつくることで、不公平感を減らせる場合があるでしょう。
アパート経営の相続準備は早めに行おう
アパート経営の相続を早めに行うことで、認知症などのリスクに備えることができ、急な手続きで慌てることがなくなります。また、引き継ぐ側も経営のノウハウが分からない等の苦労を減らせるでしょう。
アパート経営の相続を検討している方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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