
高齢の親と離れて暮らしていると、体調の変化や認知症の兆候が出ていないか気になるものです。普段の電話や連絡では気づきにくい変化も、実際に会うことで見えてくることがあります。この記事では、帰省した時に確認したいポイントを「介護サービスが必要かどうか」「認知症の疑いがないか」の二つの視点で解説します。
- 家の中や本人の動作、何気ない会話の内容にも違和感がないか確認する
- 介護サービスは、身体介護以外に買物や通院の付き添い、料理・洗濯・掃除などの家事援助でも利用可能
- 必要な場合は、見守り機器や見守りサービスなどの利用の検討を
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帰省した時に気を付けておきたい高齢の親の健康状態や生活の変化
ゴールデンウィークやお盆、年末年始は離れて暮らす親元へ帰省する方も多いでしょう。 久しぶりに実家に帰り、親と会話をしたり、家の様子を見たりして「何かいつもと違う」と違和感を覚えたことはありませんか? こうした違和感は、介護が必要になり始めている兆候や認知症のサインの可能性があります。
違和感のある言動に気が付いた場合は、その内容を日時とともにメモしておくことをおすすめします。 記録をとっておけば、後々病院で診察を受ける時、医師に詳細を伝える際に役立ちます。
介護保険サービスが必要かどうかを見極めるチェックポイント
介護保険サービスは、おむつ交換やトイレ・入浴の介助などの「身体介護が必要になったときだけ利用するもの」と思われがちですが、買い物や通院の付き添い、料理・洗濯・掃除などの生活援助でも利用できます。
ここでは、高齢の親が介護サービスを利用するべきか考えるための具体的なきっかけを見てみましょう。
身体機能が低下して日常生活に支障が出ていないかの確認
以下のようなチェック項目に当てはまる場合、介護保険サービスの利用を検討するサインかもしれません。
- 買い物や通院などを、ひとりで行うことに支障がないか
- 買い物で米など重いものを運ぶことが困難になっていないか(室内用・外履き)
- 食事や入浴・トイレ、着替えなどをひとりでこなせるか
- 掃除や洗濯が面倒で部屋が乱雑になっていないか
- 歩行が不安定で転倒などが増えていないか
これらの変化が見られる場合、早めに介護保険サービスの利用を検討することが重要です。
体に不調がある場合は、要介護認定を申請する
高齢者が日常生活に支障を感じる原因として、「膝や腰が痛い」「手が上がらない」など、身体的不調が関係していることもあります。 このような場合は、介護保険の要介護認定の申請を検討しましょう。 認定を受けることで、生活援助などの介護サービスが受けられる可能性があります。
高齢の親に身体の不調が見られたら、なるべく早めに対応することをおすすめします。 要介護認定の手続きについては、親の住所地を管轄している地域包括支援センターに相談してみましょう。
認知症の早期発見に役立つチェックポイント
認知症は早期発見が大切です。 認知症の初期症状に早めに気づくことで、適切な対応が可能になります。
以下のチェックポイントを参考にして、該当する項目がないか高齢の親の様子を観察してみましょう。
本人の行動や生活習慣の変化
以下のような変化が見られる場合は、認知症の初期兆候の可能性があります。
- 短時間のうちに同じことを何度も言ったり・聞いたりする
- 財布や通帳を盗まれたと主張し、人を疑うことが増えている
- 以前はきれい好きだったのに、家の中が乱雑になり掃除をしている様子がない
- 財布の中は小銭でいっぱいで、毎回お札しか使っていない
- 身なりを気にせず、お風呂にも入りたがらない
- 怒りっぽくなるなど、感情の変化が極端である
- 季節にあわない服装や匂いなどに違和感がある
- 料理の味付けや食の好みが極端に変わっている
室内の変化
住環境にも認知症の兆候が現れることがあります。 以下のポイントを確認してみましょう。
- 未開封の宅配物が部屋にたくさん溜まっている
- 冷蔵庫の中に同じものが大量にあったり、腐った食材がある
- 病院で処方されている薬が大量に余っている、または、飲み忘れが多い
- ポストに新聞やチラシが溜まったままになっている
- 電気・ガス・水道などの支払いが滞っている(督促状が来ていないか)
- エアコンの温度調整が適切にされていない
- カレンダーがめくられていない、または、書き込んである文字に違和感がある
- ゴミ出しや分別が適切にできていない
認知症かどうか疑わしい時の対応
認知症や認知症かどうか疑わしい場合(認知症ではなく老人性うつ病の可能性の場合もあります)は 、物忘れ外来や診療内科・脳神経外科などを受診することをおすすめします。 しかし、嫌がる方も多いので、まずは親の住んでいる地域を管轄している地域包括支援センターに相談してみましょう。 地域包括支援センターは市区町村ごとに1か所以上設置されており、介護・医療・福祉の専門家が無料で相談に応じてくれます。 電話での相談も可能なので、親の様子が心配な際は一度連絡してみましょう。
その他に注意したいこと
高齢者の生活や健康を見守るためには、認知症や身体機能の変化だけでなく、日常生活全般に目を向けることが大切です。 以下のポイントを確認し、安全で快適な生活環境を整えましょう。
車の運転は安全か
以下のような場合、身体機能が低下していて運転に支障が出てきていたり、認知症を発症している可能性があります。
高齢の親が運転を続けている場合は、以下の点をチェックして安全性を確認しましょう。
- 同乗して運転の様子を確認し、判断力などに問題がないか観察する
- 車のボディや車庫に新しい擦り傷やへこみがないか確認する
運転に支障がある場合は、運転免許の返納を検討し、安全な移動手段を話し合いましょう。
家の内外の段差など安全性の確認
高齢者は転倒がきっかけで介護が必要になる場合が多くあります。 親の歩行に不安を感じたら、玄関先や室内の段差が解消できないか、あるいは、手すりの設置などを検討しましょう。 介護保険の要介護認定を受けることで、バリアフリーリフォームに介護保険を活用することも可能です。
近所づきあいや趣味などの活動はできているか
高齢者の社会的なつながりや活動意欲も、大切なポイントです。 ご近所や趣味の話などを聞いて活動的に行動しているか確認してみましょう。
話す内容が乏しい場合は、意欲が失せているか、認知機能が低下している可能性もあるため、注意して観察しましょう。
家計や財産・重要書類の確認
可能な限り、家計の状況や、財産の内容なども確認しておきましょう。
訪問販売や通販による無駄遣いがないか、 介護や医療などが必要になった場合の費用の蓄えがあるかも把握しておくとよいです。 それに加えて、マイナンバーカードや銀行のカード・通帳・印鑑、実印など、重要書類の保管場所 やパスワードなども確認しておくことで、将来的なトラブルや不安を回避できます。
高齢の親と離れて生活する際に活用したい機器やサービス
ここでは、高齢の親と離れて暮らしている場合に活用したいアイテムやサービスをご紹介します。
火災対策
住宅用火災警報器を設置すれば、いち早く火災の発生に気づくことができます。 高齢者向けの音や光の出る補助警報・装置を利用すると、より安全性が高まります。
見守り機能と緊急通報システム
最近では、見守りカメラや会話機能付きロボットのほか、ポットや電球のON/OFF、冷蔵庫の開け閉めなどをセンサーで検知できる家電や機器があります。 また、セキュリティ会社などの緊急通報・駆けつけサービスなどもあるため、日常生活での異変を早期にキャッチし、迅速な対応が可能です。
定期訪問サービス
郵便局や民間企業が行っている定期訪問サービスもあります。 一部の市区町村では公的な訪問サービスも提供している場合もあるので、自治体に確認してみましょう。 また、 親が親しくしている近隣の方や実家の地域を担当する民生委員に自分の連絡先を伝えておくことで、親の異変時の対応がしやすくなります。
金銭管理サービス
銀行の現金引き出しや水光熱費の支払いなど、財産管理をしてもらえるサービスもあります。 一部の自治体や行政でも同様のサービスを行っている場合があるので、問い合わせてみましょう。
まとめ
高齢者の心身状況は急激に変化する場合もあります。帰省時に親の様子を確認することはもちろん大切ですが、いち早く親の変化を見逃さないよう、普段から電話の会話などで違和感が感じ取れるように注意しましょう。
また、 もしもの時にどのような対応をすればいいか、どこに相談すればいいのか把握しておくことが大切です。 近所の方や民生委員の方に協力をお願いしたり、実家の住所を管轄する地域包括支援センターの連絡先も把握しておくようにしましょう。
信頼できる相談先や協力者を確保することで、万が一の際にもスムーズな対応が可能になります。 普段からのコミュニケーションと事前の準備で、大切な親の健康や生活を支える基盤を作りましょう。
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