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更新日:2025.12.16

令和8年度税制改正要望|不動産関連の改正ポイントと今後の流れ

令和8年度税制改正要望|不動産関連の改正ポイントと今後の流れ

各省庁から令和8年度の税制改正要望が公表されています。 本記事では、税制改正要望とは何かをわかりやすく解説するとともに、特に不動産分野に絞って、具体的な税制改正要望の内容から、改正税制施行までの流れなど詳しく紹介します。

  • 毎年8月~9月に、各省庁や団体から税制改正要望が提出される
  • 特に注目すべきは2025年12月31日が期限の住宅ローン減税
  • 12月末に税制改正大綱が公表された後、国会審議を経て令和8年4月1日に改正税法が施行される

もくじ

  1. 令和8年度税制改正要望とは?【概要と背景】

    1. 税制改正要望とは何か?

    2. 誰が要望を提出するのか?(各団体・省庁)

    3. 税制改正要望の流れとスケジュール

  2. 不動産関連の税制改正要望【令和8年度の注目ポイント】

    1. 老朽化マンション再生に関する特例措置の拡充

    2. 土地譲渡益課税制度の停止期限延長

    3. 低未利用地の利用促進策の延長

    4. マイホーム売却時の特例延長

    5. 住宅ローン減税など住宅取得促進策

    6. 土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長

  3. 不動産業界・個人への影響と今後の見通し

    1. 不動産市場への影響

    2. 個人の住宅取得・売却への影響

    3. 税制改正決定までの流れと注意点

  4. まとめ



 

令和8年度税制改正要望とは?【概要と背景】

「税制改正」についてインターネットで検索すると、国土交通省や財務省などが公開している「令和8年度税制改正要望」を目にすることがあります。 そもそも税制改正要望とは何なのでしょうか。
ここでは、税制改正要望の概要と背景を解説します。

税制改正要望とは何か?

税制は毎年、社会情勢や経済状況などを鑑みながら、必要に応じて改正されます。
改正の際には「税制改正大綱」が国会に提出され、衆議院・参議院での可決を経て正式に改正が行われます。 税制改正要望は、この税制改正大綱を作成する際に参考とされる意見や提案のことだと考えるとよいでしょう。

誰が要望を提出するのか?(各団体・省庁)

税制改正要望は、国土交通省や財務省などの各省庁や経団連などの各団体が提出します。
基本的には、税制改正の検討材料となる意見ですが、個人でも国税庁の「ご意見・ご要望」ページから要望を提出することができます。

税制改正要望の流れとスケジュール

一般的な税制改正要望の流れとスケジュールは以下の通りです。

  • 4月~7月:税制改正要望を作成する(省庁によっては一般公募が行われるケースもある)
  • 8月~9月:各省庁や各種団体から税制改正要望が提出される
  • 9月~12月:税制調査会で協議が行われる

不動産関連の税制改正要望【令和8年度の注目ポイント】

税制改正要望の内容は多岐に渡りますが、ここでは不動産関連の税制改正要望に絞り、令和8年度の注目ポイントを解説します。

老朽化マンション再生に関する特例措置の拡充

国土交通省より提出された登録免許税に関する要望で、「新設」、「拡充」、「延長」の3つが含まれています。
マンション建て替えの際などにかかる登録免許税に関して、一定の軽減措置が受けられる制度となりますが、老朽化マンションの建て替え問題は深刻化しており、今後も同様の傾向が続くと予想されます。
税負担を軽減することで、建て替えの促進や再生事業の活性化に一定の効果が期待できます。

土地譲渡益課税制度の停止期限延長

国土交通省は、所得税に関する要望として、「土地等の譲渡益に対する追加課税制度の停止期限の延長」を求めています。 土地等の譲渡益に対する追加課税制度とは、土地価格の高騰を背景に1973年に導入され、所有期間5年以下の土地を売却した場合、譲渡益に対して52%(所得税40%、住民税12%)の税率を課す仕組みです。

しかし、土地取引の活性化を目的に1998年以降は停止されており、現行法では2026年3月31日に停止期限を迎えます。 しかし今回の要望では、さらに3年間の延長が求められています。
もともとバブル期の土地高騰を背景に設けられた制度であり、現在の市場環境では停止解除の合理的な理由が見当たらないからだといえるでしょう。

低未利用地の利用促進策の延長

国土交通省は、所得税に関する要望として「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の延長」を求めています。

この特例措置は、譲渡価格が500万円以下の一定の土地について、譲渡時に長期譲渡所得から100万円を控除できる制度です。 現行制度の期限は2026年3月31日までとなっていますが、今回の要望では3年間の延長が求められています。

本制度は、低未利用地の使用を促進することが狙いですが、特に地方では低未利用土地が増加傾向にあり、今後も同様の傾向が続くことが予想されます。 そのため、情勢から見ても期限が延長される可能性は高いといえるでしょう。

マイホーム売却時の特例延長

国土交通省は、所得税に関する要望として「マイホーム売却時の各種特例の延長」を求めています。
具体的には、以下の特例について、期限の2年間延長が要望されています

  • 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長
  • 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長

これらの特例は、マイホーム売却時の税負担を軽減し、住宅市場の流動性を高める重要な制度です。

住宅ローン減税など住宅取得促進策

国土交通省は、所得税に関する要望として、「住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置」について延長・検討を求めています。

住宅ローン減税は、一定の要件を満たしたうえで住宅ローンを組んだ場合、年末残高の一定割合を所得税から控除できる制度です。 現行制度の期限は2025年12月31日までとなっていますが、住宅取得を考える人にとって大きなメリットがあるため、廃止されると住宅市場に大きな影響を与える可能性があります。
今回の要望では、具体的な延長期間は示されておらず、「必要な検討を行う」という内容になっています。

土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長

国土交通省は、土地の所有権移転登記や信託登記に関する登録免許税の軽減措置の延長を要望しています。 土地の所有権移転登記の際、本則税率は2.0%となっていますが、本特例の適用により1.5%に軽減されます。 また、土地の信託登記の際、本則税率は0.4%となっていますが、本特例の適用により0.3%に軽減されます。 こうした税負担の緩和により、土地取引の活性化を図ることが目的です。

不動産業界・個人への影響と今後の見通し

不動産業界・個人への影響と今後の見通し

最後に、令和8年度税制改正要望が不動産業界や個人に与える影響と、今後の見通しについて解説します。

不動産市場への影響

税制改正の内容次第では、不動産市場に影響が及ぶ可能性があります。
特に影響が大きいと考えられるのが住宅ローン減税です。
現行制度では2025年12月31日までの取得が対象ですが、もし延長されなかったり、制度が縮小されたりすれば、住宅購入のハードルが上がり、不動産取引量が大幅に減少するリスクがあります。

個人の住宅取得・売却への影響

個人の住宅取得・売却に関しても、住宅ローン減税の延長有無は影響が大きいといえます。
住宅ローン減税が延長されなかったり、縮小されたりすれば、住宅取得者の税負担が増え、購入意欲が低下します。
さらに、買い手が減少すれば、住宅売却価格の下落につながりやすく、売却を検討している人にとっても影響は大きいといえます。

税制改正決定までの流れと注意点

各省庁、団体の税制改正要望は税制調査会で議論され、2025年12月末に税制改正大綱が公表されます。
まずは、この税制改正大綱にどのような内容が盛り込まれているかを確認することが重要です。
税制改正大綱の決定から改正税法施行までの流れは以下の通りです。

  • 12月:税制改正大綱が公表される
  • 1月~3月:税制改正大綱が国会に提出され、衆議院と参議院の可決を経て成立する
  • 4月1日:改正税法が施行

なお、税制改正大綱に記載された内容のすべてが、必ずしも改正税制に反映されるわけではありませんが、大きな変更が加わるケースは稀です。

まとめ

今回は、令和8年度税制改正要望のうち不動産関連の要望について解説しました。
令和8年の税制改正において、特に重要となるのが住宅ローン減税に関する内容です。 現行制度では2025年12月31日までが期限となっており、税制改正要望では「検討すること」とされています。
この改正内容次第で、不動産市況にも大きな影響が及ぶことが予想されます。

不動産取引は大きなお金が動く分、税金の負担も大きくなりやすいです。 不動産の売買を検討している方は、毎年の税制改正情報をしっかり確認し、最新情報に詳しい不動産会社の担当者に相談することが大切です。 まずは、下記よりお気軽にお問い合わせください。



 

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士

逆瀬川 勇造

大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら

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