- 2026年以降も金利は少しずつ上がっていく可能性が高い
- 金利が上昇すると最終的には不動産価格が下落する
- 金利上昇時代に向けて、自己資金の準備や固定金利の併用などが対策となる
資産3億円以上の経営者様へ
金利上昇の背景
最初に金利上昇の背景について解説します。
金利が上がる理由とは
近年の日本の低金利は、2013年頃から日銀が行った「異次元金融緩和政策」がきっかけです。 その結果、10年以上も低金利の状態が続いており、最近は物価が上がっても金利を機動的に操作して物価を抑えることが難しい状況が続いています。
本来、金利は景気が好調で物価が高いときに引き上げておかないと、景気が悪化して物価が下落したときに金利を下げる「景気刺激策」が実施できなくなります。
たとえば昨今のように物価高の状況で、リーマンショックのような不況が起きると、景気は一気に冷え込みます。 しかし、金利が低いままだと、日銀は有効な対策を講じられません。
つまり、物価が高いときは金利を上げ、物価が下がったときに金利を下げることが日銀の本来あるべき姿なのです。 「金融政策の正常化」とは、日銀をあるべき姿に戻すための取り組みであり、痛みを伴いながらも正常な状態へと戻すことが必要となっています。
マイナス金利政策の解除以降の動き
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除する方針を表明して以降、金利を徐々に上げ続けています。 ただし、2026年以降も金利の上昇幅はごくわずかにとどまるものと予想されています。
その理由は、現状で急激な金利引き上げを行うと、日本経済に悪影響を及ぼす可能性が高いためです。 実は2022年以降、倒産件数は増加傾向にあり、日本の景気は決して良いとは言い切れません。 このような状況で金利を急激に上げると、倒産件数がさらに増える恐れがあります。
また、政府も国債の発行残高が膨らみ続けていることから、金利が上がると国債の利払い負担が増え、政府歳出に占める割合が増えてしまいます。 利払いが増えれば、増税の可能性も視野に入れなければならないため、金利を簡単に上げることはできないのです。
そのため、2026年以降も金利は上げたとしても最小限の上げ幅であると考えられ、不動産価格への影響はほぼないと予想されます。
金利の種類と上昇の仕組み
この章では、金利の種類と上昇の仕組みについて解説します。
変動金利と固定金利
住宅ローンなどの不動産を購入する際に利用する融資の金利には、変動金利と固定金利の2種類があります。
変動金利とは返済期間中に利率が変動する金利のことであり、短期金利や日銀の政策金利と連動している点が特徴です。
固定金利とは返済期間中に利率が固定されている金利のことであり、長期金利や国債の利回りと連動しています。
変動金利の上昇の仕組み
変動金利は日銀の政策金利と連動しており、日銀が直接的にコントロールできる金利です。
金融政策決定会合で日銀が「金利を引き上げる」と判断すれば、即座に政策金利を上げることが可能です。 マイナス金利政策の解除以降、日銀は徐々に政策金利を上げており、その結果、変動金利も少しずつ上昇している状況です。
固定金利の上昇の仕組み
固定金利は国債の利回りと連動しており、日銀が直接コントロールできるわけではなく、間接的に影響を与える金利です。
国債は債券市場で価格が決まっており、国債の価格が上がると利回りが下がり、国債の価格が下がると利回りが上がる、という性質があります。
これまで日銀は、債券市場で国債を高く購入することで利回りを低く抑える「イールドカーブコントロール」を行ってきました。
しかしながら、日銀も国債を無限に購入することはできないため、すでに国債の買い入れ額を徐々に減らし始めています。
日銀が国債を高値で買わなくなると国債価格は下がるため、利回りは上昇します。 その結果、固定金利も上昇しているのです。
金利上昇が不動産オーナーに与える影響

この章では、金利上昇が不動産オーナーに与える影響について解説します。
返済総額の上昇
金利が上がれば、利息も含めた借入金の返済総額が上昇します。
その結果、住宅ローンや不動産購入に対する心理的なハードルが高くなるため、不動産の購入需要が徐々に減退していくことが予想されます。
キャッシュフローの悪化
すでに変動金利で融資を受けて賃貸経営をしている人は、金利が上がるとキャッシュフロー(手残り)が悪化します。 毎月の返済額が大きくなると、空室の増加に耐えにくくなり、空室率の高い物件では賃貸経営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
投資家の利回り上昇が不動産価格に与える影響
収益物件における投資家の期待利回りは金利と連動しています。
金利が高くなると投資家が求める利回りも上昇し、利回りが高くなると収益物件の価格は下落します。
そのため、金利が急上昇すれば、投資家の利回りも大きくなり、最終的に不動産価格は下落傾向となります。
不動産オーナーが取るべき具体的な対策
この章では、金利上昇時代に向けて不動産オーナーが取るべき対策について解説します。
自己資金の準備
これから投資をする人であれば、自己資金を十分に用意することが効果的な対策です。
自己資金を増やして借入金を減らせば、金利上昇の影響を少なくすることができます。
固定金利の併用
これから投資をする人であれば、固定金利も併用することが効果的な対策です。
固定金利は変動金利よりも高めですが、バブル時代と比較すると依然として低水準であり、活用する価値が十分にあります。
元金均等返済の検討
ローンの返済方法として、元金均等返済を検討することも対策の一つです。
元金均等返済とは、毎月の元金の返済額が一定となる返済方法で、元金が早く減っていく特徴があります。
そのため、将来的に金利が上がったとしても、その時点で元金が相応に減っているため、金利上昇のリスクを緩和できます。
既存ローンの借り換え
すでにローンを組んでいる人は、固定金利のローンに借り換えることも効果的な対策です。
現状、固定金利は高いといっても総じて低金利の状況にあり、金利が上がる見通しが強い中では、固定金利に借り換えることが得策といえます。
好立地物件の選定
金利が上がると最終的には不動産価格も下がります。
ただし、価格の下がり方は一様ではなく、立地の良い物件は価格が下がりにくいのが特徴です。
そのため、好立地物件に投資をすることも、金利上昇への有効な対策となります。
まとめ
ここまで、金利上昇が不動産市場に与える影響について解説してきました。
日銀はマイナス金利政策を解除して以降、少しずつ金利を上げ続けており、2026年も金利は上昇していく可能性が高いです。 金利が上昇すれば返済総額が増加し、賃貸物件ではキャッシュフローが悪化します。 金利がさらに上昇すれば、投資家の期待利回りも上がり、最終的に不動産価格は下落していきます。
オーナーが取るべき具体的な対策としては、「自己資金の準備」「固定金利の併用」「好立地物件の選定」などが挙げられます。
金利上昇の対策についてお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。
資産3億円以上の経営者様へ
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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