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更新日:2021.12.28

相続した農地を売却する方法とは?売買の条件や手続きについて解説

相続した農地を売却する方法とは?売買の条件や手続きについて解説

農地の売却は、一般の不動産とは異なることをご存知でしょうか?実は、農地の売却は厳しい条件があり、簡単に売却することができません。では、相続した土地で農業をする予定がない場合は、どうすればいいのでしょうか。今回は、農地の2つの売却方法について、流れや必要書類を解説していきます。農地の扱いに困っているなら、ぜひ参考にしてみてください。

  • 農地は一般的な不動産とは異なり、簡単に売却することができない
  • 農地の売却方法は、「農地のままの売却」と「転用して売却」の2つがある
  • 2つの売却方法にも厳しい条件があり、農業委員会の許可が必要となる

もくじ

  1. 農地売却の方法、選択肢は2つ

  2. ケース1:農地を農地のまま売却する

    1. 農地を購入できる農家には条件がある

    2. 農地売却の流れ

    3. 農業委員会への提出書類

  3. ケース2:農地をほかの地目に転用して売却する

    1. 「農地の転用」

    2. 農地転用の流れ

    3. 転用許可申請に必要な書類

  4. 制限が多い農地の売却

農地売却の方法、選択肢は2つ

農地は、一般的な不動産のように簡単に売却することができません。なぜなら、「農地法」により、農地を購入できるのは地域の農業委員会の許可を得た農家、もしくは農業従事者のみと定められているからです。そのため、荒れ果てて耕作放棄地になっている農地が全国にたくさんあるのが現状です。

農地の売却方法には、2つのケースがあります。それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

ケース1:農地を農地のまま売却する

まず1つ目は、農地を農地として売却するケースについて解説していきます。

農地を購入できる農家には条件がある

農地を売却する場合、売却先は農家もしくは農業生産法人のどちらかである必要があります。さらに、以下の条件をすべて満たしていなければなりません。

  • 【農地を購入できる農家の条件】

  • 専業の農業従事者である
  • 農地を取得後、50ha以上(地域により異なる)の農地を所有している
  • 継続して農業を行っている
  • 農業に必要な機械や適正な人員数を確保している

このように農地の売却先は限定されており、購入希望者を見つけるのは困難でしょう。購入希望者が見つかったとしても売却に相当な時間を要することが予測されます。さらに、農地の価格は現状右肩下がりの状況が続いていることも理解しておきましょう。

農地売却の流れ

農地売却の流れは、以下の順で進めていきます。

  • 購入希望者を見つける
  • 売買契約を締結する
  • 農業委員会に売買許可申請をする
  • 買い手による所有権移転請求権の仮登記を行う
  • 売却許可が下りたら本登記と代金清算を行う

農地の売却先を探す方法は、3つあります。「売主が自分で見つける方法」、「地域の農業関連機関の斡旋を受ける方法」、「農地の取り扱いを行う不動産会社を経由して紹介してもらう方法」です。ただし、農地を取り扱う不動産会社は少なく、地域によっては近くにないこともあるかもしれません。

購入希望者が見つかった後は、売買契約の締結です。ただし、農地を売却できるのは、農地を売却することに対して農業委員会の許可が下りていることが必須条件です。売買契約書には、農業委員会の許可が得られない場合は売却できない旨を、きちんと加えておきましょう。

売買契約締結したら、農業委員会に売買許可申請をします。許可が下りるまでには1ヶ月ほどかかることもあるため、早めの申請がおすすめです。

許可が下りるまでに、購入希望者に所有権移転請求権の仮登記手続きを済ませておいてもらいましょう。売却許可が下りたら、本登記と代金清算をして完了です。

農業委員会への提出書類

農地売却の流れの3番目、「農業委員会へ許可申請をする」際に必要な書類は、以下の通りです。

  • 登記簿謄本
  • 土地の位置図(地区町村の役所で購入できる都市計画図や農業振興地域区域図を用いる)
  • 住民票
  • 農家証明書

また、売却先が法人であれば、法人の定款も用意しなくてはなりません。さらに、農業生産法人への売却の場合は、株主や組合員名簿も必要です。

ケース2:農地をほかの地目に転用して売却する

農地をほかの地目に転用して売却する

2つ目は、農地を転用して売却する方法です。

「農地の転用」

農地の転用とは、農地以外の使用目的に変更することです。転用することで駐車場や店舗、住宅と活用方法が広がり、売却対象者も増えるでしょう。ただし、立地基準と一般基準をクリアしなければならず、その審査は農業委員会により行われます。

また、自己利用で農地を宅地などに変更する場合(自宅建築や駐車場など)は、農地転用の許可(農地法の第4条許可)を都道府県知事または農林水産大臣から得る必要があります。

農地転用の流れ

農地転用は、以下の手順で進めていくことになります。

  • 不動産会社に売却依頼をする
  • 農業委員会に農地転用の許可申請をする
  • 買い手が見つかれば売買契約を締結する
  • 買い手による所有権移転請求権の仮登記
  • 転用許可が下りたら本登記と代金清算を行う

農地を転用して売却する場合、転用の手続きについてサポートしてもらえるよう、農地売却の実績がある不動産会社を選ぶのがおすすめです。農業委員会への転用の許可申請は、自分で行うこともできますが、用意する書類が多く複雑なこともあるため、行政書士に委託するのも一つの方法です。

転用許可が下りるまでに、およそ1ヶ月から2ヶ月ほどかかり、新しい所有者の適正を含めて審議されることになります。転用許可が下りる前に契約締結する場合は、許可が下りなければ無効になる旨を明記して、トラブルを未然に防止しましょう。

転用許可が下りる前に、買い手に所有権移転請求権仮登記をしておいてもらいます。この所有権移転請求権は、「許可が下りる前に別の人に売買しない」「許可が下りたら確実に所有権を移転する」という証明になるものです。

転用許可が下りたら、清算して土地を引き渡し、所有権移転の本登記をして、完了となります。

転用許可申請に必要な書類

転用許可申請の際に必要となる基本の書類は、以下の通りです。

  • 農地法第4条第1項第8号の規定による農地転用届出書(届出者の氏名を自署する場合は、押印の省略が可能)
  • 住宅地図の写しなどの案内図
  • 公図の写し(法務局で取得したもの、登記情報提供サービスによるものは不可)
  • 土地全部記載事項証明の原本(土地登記簿謄本)※3ヶ月以内・内容が最新のもの
  • 委任状(代理人が窓口に来る場合)

自治体により必要書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。

制限が多い農地の売却

農地の売却は、厳しい条件があるため、簡単ではありません。所有している農地を売却する場合には、まずは売却方法を検討することから始める必要があります。相続により得た農地の扱いに困っている方は、以下よりお気軽にお問い合せください。



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