更新日:2024.11.14
老後資金2,000万円の根拠は?必要な介護費用の目安も解説!
厚生労働省が2024年に発表したデータによると、日本の平均寿命は男性で81.09歳、女性で87.14歳に達しています。 平均寿命が年々延びる中で、これからの長期的な老後資金がいくら必要になるのか、誰もが関心を寄せるテーマです。 よく「老後資金は2,000万円必要」という話を耳にしますが、その根拠は何でしょうか? 最近の統計に基づく具体的な金額を算出してみましょう。
- 2,000万円は、2019年に発表された夫婦世帯が必要であろう老後資金(蓄え)
- 介護費用を含めると、夫婦世帯で2,600万円は必要
- 介護費用や大きな支出を予測して、将来の必要資金を試算することが大切
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老後資金2,000万円の根拠は?
2019年に金融庁が発表した「老後資金2,000万円」のポイントを見てみましょう。
なお、これは夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦(無職世帯)が、あと20~30年の人生があるとした場合、家計収支はどうなるのかを計算したものです。
この資料によると、毎月の実収入は209,198円、実支出が263,718円となっており、毎月の赤字額は54,520円です。
この夫婦があと20年(夫85歳・妻80歳まで)生きるとすると【54,520円/月×20年=13,084,800円(約1,300万円)】、あと30年(夫95歳、妻90歳まで)生きるとすると【54,520円/月×30年=19,627,200円(約2,000万円)】不足するということになり、この不足が発生した場合は、預金などの資産を取り崩して補っていかなければなりません。
直近(2023年)の家計収支データで計算するとどうなるか?
次いで、直近のデータで計算してみましょう。
出典:総務省統計局 「2023年(令和5年)家計の概要」の情報を基に作成
2023年の65歳以上の夫婦(無職世帯)の家計は、毎月37,916円のマイナス。
一方65歳以上の単身無職世帯は、毎月30,768円のマイナスです。
この条件で30年間(95歳まで)生活すると、下記のようになります。
夫婦世帯:△37,916円/月×30年
=△13,649,760円(約1,400万円)の不足
単身世帯:△30,768円/月×30年
=△11,076,480円(約1,100万円)の不足
2019年当時の試算と比べると、夫婦世帯の不足分がずいぶん少なくなっています。
その時々の物価や社会情勢によって試算額が変わるのはやむをえないことです。
介護費用を忘れずに
毎月の家計のデータを基にすると、必要な老後資金は比較的少なくなったように思えますが、忘れてならないのは介護費用です。 2000年に介護保険制度が始まって以来、介護保険サービスを利用する方は年々増加しています。 一生健康なままで暮らせれば問題ないのですが、今や75歳で1割以上の方が、85歳では約6割の方が介護保険サービスを利用している状況のため、老後資金として介護費用も見込んでおいた方が安心です。
以下のようなデータが発表されています。
※出典:公益財団法人生命保険文化センター 『2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」』を基に作成
データを基に計算すると、必要な介護費用は下記になります。
【単身世帯】
83,000円×61か月+740,000円
=5,803,000円(約600万円)
【夫婦世帯】
5,803,000円×2=11,606,000円
(約1200万円)
※単身世帯の2倍
夫婦世帯2,600万円、単身世帯で1,700万円必要?さらに…
ここまで説明してきたとおり、家計の不足分と介護費用を合わせると、夫婦世帯で【1,400万+1,200万=2,600万円】、単身世帯で【1,100万+600万=1,700万円】の蓄えがあれば、平均的な老後生活が送れるであろうということになります。
しかし、これに加えて持ち家の方は自宅の修繕費用がかかったり、家具・家電の買換え費用、旅行などイベントや冠婚葬祭(ご自分のお墓購入なども含む)発生したりするため、それらの費用も見込んでおく必要があります。
まとめ
以上、公表されているデータを基に必要と思われる老後資金をご説明してきました。 しかし、家庭ごとに家計の収支は異なり、社会情勢によっても変わってきます。 また、例えば有料老人ホームに入居すると、多くの場合月額20~30万円程度が必要になり、3年間住むだけでも700万~1,000万円の介護費用が必要になります。
終生健康でいればそのような支出もなくなるのですが、ぜひご自身の老後収入・支出予測や実際の介護費用の情報なども調べて老後資金プランをご検討ください。 具体的なアドバイスが必要な場合などは、専門家やシニア向けの無料相談窓口に問い合わせてみましょう。
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