更新日:2024.11.14
認知症は何歳から増える?発症で困る「老後資金や相続」のこと
「親に認知症の兆候が見られるように感じる」「私も将来認知症になってしまうのではないか」と心配する方は多いでしょう。 本記事では、認知症に関するデータや、物忘れと認知症の違いについて考察します。 さらに、認知症を発症すると老後資金や相続に関してどのような問題が発生するか、注意すべきポイントも解説します。
- 認知症は、年を取るごとに有病率が上昇する
- 平均寿命が延びると、ますます認知症の人が増えていく
- 認知症になる前に、資産やお金の管理に関する対策を講じることが重要
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認知症の有病率は?
認知症とは、脳の細胞が死んだり働きが悪くなったりして、社会生活や日常生活に支障をきたす状態の事を指します。認知症が進行すると自力での食事や排泄、入浴、家事や買い物などを行う事が難しくなります。
2024年に厚生労働省の研究班から発表されたデータをみると、年齢を重ねるごとに認知症を発症する割合が増えていることがわかります。 80歳を超えると15%以上の人が、85歳以上では男性が4人に1人、女性は3人に1人の方が認知症を発症しており、男性よりも女性の方が発症する割合が多くなっています。
▼年齢別認知症有病率
出典:厚生労働省 「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」 のデータを基に作成
将来、認知症患者は増えるのか?
日本人の平均寿命は年々上昇の傾向にありますが、寿命が長くなるとともに、高齢者の認知症有病率も上がっていくものと予想されています。 厚生労働省の研究班の発表によると、認知症の65歳以上の高齢者は、2022年に443万人でしたが、2025年には471万人となり、2040年には584万人にのぼると推計しています。 有病率も2022年は12.3%〈8.1人に1人の割合〉だったのが2040年には14.9%(6.7人に1人)、2060年には17.7%〈5.6人に1人〉に上昇するであろうと予測しています。
▼65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計(人数単位:万人)
右にスクロールできます→
2022 | 2025 | 2030 | 2040 | 2050 | 2060 | |
---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 443.2 | 471.6 | 523.1 | 584.2 | 586.6 | 645.1 |
有病率 | 12.3% | 12.9% | 14.2% | 14.9% | 15.1% | 17.7% |
出典:厚生労働省 「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」 のデータを基に作成
なお、前回(9年前)の調査では、2040年に認知症の人が802万人にのぼると推計されていましたが、今回の推計値は、それよりも低くなりました。 原因としては、生活習慣病の改善や健康意識の変化などによって認知機能の低下が抑制された可能性があるとみられています。
認知症の予備軍、軽度認知障害有病者も増える
また今回の調査では、物忘れなどの症状はあるものの、生活に支障がなく、認知症と診断されるまでには至らない「軽度認知障害(MCI・認知症と健常者の間の状態)」の有病率と将来の推計も発表されています。 軽度認知障害の有病率は、65歳を超えると男性が10%、女性は4.6%、80歳以上では男女とも20%を超え、5人に1人が発症しており、男性の方が女性よりも割合が多くなっています。
▼年齢別軽度認知障害(MCI)有病率
▼65歳以上の軽度認知障害(MCI)高齢者数と有病率の将来推計(人数単位:万人)
右にスクロールできます→
2022 | 2025 | 2030 | 2040 | 2050 | 2060 | |
---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 558.5 | 564.3 | 593.1 | 612.8 | 631.2 | 632.2 |
有病率 | 15.5% | 15.4% | 16.0% | 15.6% | 16.2% | 17.4% |
出典:厚生労働省 「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」 のデータを基に作成
軽度認知障害(MCI)は認知症に移行することが多いのですが、早期であれば生活習慣(運動や栄養状態)の改善によってある程度正常に戻ったり、症状の進行スピードを抑制できたりする可能性もあります。 常日頃から健康づくりを意識したいものです。
もの忘れと認知症の違い
「物忘れ」と「認知症」の違いは何でしょうか?
物忘れは加齢による記憶力の低下によるもので、必ずしも病気ではありません。 体験の一部を忘れたり、物を置き忘れたり、人の名前がなかなか思い出せないといったことが該当します。
一方、認知症は脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたしている状態です。 病気の症状となり、単なる加齢とは異なります。 記憶力の低下は認知症の中心的な症状であり、体験したことそのものを忘れるといった忘れ方が代表的です。 認知症の種類としては多い順に「アルツハイマー型」「脳血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」が代表的なものとなります。
▼もの忘れと認知症の違い(政府広報オンラインより)
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる 例)朝ごはんのメニュー |
すべてを忘れている 例)朝ごはんを食べたこと自体 |
もの忘れの自覚 | ある | ない |
探し物に対して | (自分で)努力して見つけようとする | 誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある |
日常生活への支障 | ない | ある |
症状の進行 | 極めて徐々にしか進行しない | 進行する |
右にスクロールできます→
認知症かどうか判断したいとき
自治体や医療機関などの認知症チェックリストで、兆候が出ていないかどうか定期的に確認しましょう。
疑わしいと思ったら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談することをおすすめします。 正式には神経内科、精神科、物忘れ外来など専門医に検査・診断してもらうことになります。
認知症になると困ること
認知症になって困るのは、日常生活ができなくなることのみならず、お金や資産の処分、相続などで困る可能性があります。 例えば以下のようなことが挙げられます。
- 銀行口座が凍結されてお金が引き出せない
- どの銀行に口座があるのか、どんな保険に入っているかわからなくなった
- 空き家になった家を売って介護費用に充てようと思っても売ることができない。賃貸にも出せない
- 株や投資信託を処分できない
- 遺言書が作れない
- 相続が発生した場合、相続人が認知症だと遺産分割協議書が作れない
認知症の方は正常な判断ができないとみなされるため、法律行為を行うことができなくなります。 しかし、家族であっても、代理で手続きできないことがたくさんあります。
事前にできる対策を
事前に対策を講じておけば、防げることもたくさんあります。 まず、口座のある銀行や証券会社、保険・不動産など金融機関や資産関係の情報を家族で共有しておくことが大切です。 また、元気なうちに自分で後見人を選んでおく任意後見制度や、家族に資産の管理を任せる家族信託なども検討してみましょう。
そして、自分の思いを残すため、あるいは相続のトラブルを回避するために遺言書を作成しておくのもおすすめです。
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まとめ
認知症になってしまうと、資産管理の面でさまざまな問題が生じる可能性があります。 将来を見越して健康なうちに、もしくは認知症かもしれないと気づいた場合には、すぐに対策を講じることが重要です。
具体的な相談が必要な場合は、専門家やシニア向けの無料相談窓口に問い合わせてみましょう。
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