遠くで暮らしている介護が必要な一人暮らしの親や、高齢の夫婦で支え合う「老々介護」になってしまった両親を自分の近くに呼び寄せることを検討している方もいるでしょう。 核家族化が進む現代において、こうした「親の呼び寄せ」という選択肢は、今後さらに増えることが予想されます。 この記事では、介護が必要な親を呼び寄せる場合の暮らし方や、空き家になった実家の処分方法などについて詳しく解説します。
- 同居する場合は、家族間の人間関係の変化や介護する側のストレスなども考慮する
- 近居の場合、住まいあるいは施設は本人や家族の希望・心身の状態に合わせて選ぶ
- どちらの場合も、引越し先の介護サービスを受けるために住民票を移すことを忘れない
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介護が必要な親を呼び寄せる事情は人それぞれ
介護が必要な親を呼び寄せる事情はさまざまです。 たとえば、一人住まいの親が心配であったり、遠距離介護が負担となり頻繁に実家に帰るのが大変だったり、認知症の母親を介護する父親が限界を迎えている場合などが挙げられます。
親を自分の住む地域に呼び寄せることができれば安心であり、労力もかからなくなるかもしれません。 しかし、子供や孫の近くで暮らすことを喜ぶ方もいれば、住み慣れた土地を離れ見知らぬ街へ移るのは不安だという方、子供の近くに行くのはいいけど面倒をかけたくないので同居は嫌だという方もいらっしゃるでしょう。
親を呼び寄せる際には「同居」または「近居」の二つがありますが、双方の気持ちや家庭状況も踏まえて十分に話し合い、どちらが最適かを慎重に検討することが大切です。
同居して在宅介護サービスを受ける場合の注意点
同居の場合、親と常にコミュニケーションが取れるだけでなく、体調の変化にもいち早く対応できるのが大きな利点です。 また、住居費や生活費を共有することで、経済的な負担を軽減できるメリットもあります。 しかし、次のような点には気をつける必要があります。
住民票の移動
まずは、親の住民票を新しい住所に移しましょう。 住民票を移さないと市区町村が指定する介護サービスを利用できない場合があります。 特に、地域密着型のデイサービスやリハビリデイ、小規模多機能型生活介護などのサービスを受けるには住民票が必須となります。
さらに、市区町村独自の配食サービスやおむつ購入の補助金なども受けられなくなる可能性があるため、早めの手続きを心がけましょう。
ケアマネージャーとの打ち合わせをしっかり行う
呼び寄せる前に介護サービスを利用していた場合、新しいケアマネージャーと以前のケアマネージャーとの情報引継ぎが重要です。 これまでのケア内容や親の健康状態がスムーズに共有されるよう、事前に引継ぎを依頼しましょう。 また、親がこれまでどのような暮らしぶりだったか、こちらではどのような生活を望むかなどの情報も伝え、よく話し合ってケアプランを作成してもらいましょう。
さらに、親が持病を抱えている場合や定期的な通院が必要な場合は、近隣の病院や診療科を事前に確認し、現在の主治医から新しい病院の医師宛に「診療情報提供書」を書いてもらいましょう。
自宅のバリアフリーリフォーム
親の体の状態に合わせ、必要であれば手すりやスロープ設置などの改修工事を行いましょう。 このような工事は介護保険を利用することで費用の一部を補助してもらえる場合がありますので、事前に確認すると良いでしょう。 また、必要な福祉用具などもケアマネージャーと相談し、親の状態や生活環境に適したものを準備することが大切です。
早めの対応が、親の安全で快適な生活へとつながります。 ただし、事前に住民票を移すことを忘れないようにしましょう。
同居のデメリット
同居を始めると、お互いに気を使いすぎたり、生活スタイルの違いからストレスがたまることがあります。 また、慣れない介護によって家族が体力的・精神的に負担を感じてしまうこともあるでしょう。 そんな場合は、ケアマネージャーに相談し、適切なサポートや解決策を一緒に考えていくことが大切です。
近居の場合の住まい・施設の種類と注意点
一緒に住むのではなく、子供の近所に住まいを移すあるいは介護施設に入所する方法もあります。 この方法は、同居と比べてお互いの生活スタイルを維持しながら、近くに住んでいるため、何かあればすぐ駆けつけることができるという安心感があります。
住まいや施設の選択肢は、心身の状態や生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。 事前に複数の住まいや施設を見学し、ご本人やご家族にとって最適な住まい先を見つけるようにしましょう。
まだ元気で在宅介護サービスの利用で大丈夫な場合
親がまだ元気で、ある程度自立した生活ができる場合、近所で一般の住宅やシニア向け住宅を購入または賃借し、在宅サービスを利用しながら生活する選択肢もあります。 また、毎日の安否確認や生活相談サービスがついているサービス付き高齢者住宅(サ高住)であれば、食堂やデイサービス、訪問介護などの在宅サービスが併設されているところもあるため、より自由で安心した生活を送ることができます。
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常時介護が必要な場合や認知症の症状が重い場合
常時介護が必要な場合、候補としては有料老人ホーム、特別養護老人ホーム(特養)、そして認知症の方のみが入所できるグループホーム(認知症対応型共同生活介護)などが挙げられます。 これらの施設では、24時間体制で介護を受けることができます。
有料老人ホームには、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」があります。 介護付き有料老人ホームでは、施設内で直接介護サービスを受けることができ、住宅型有料老人ホームでは、外部の介護事業者と契約してサービスを利用します。
特別養護老人ホーム(特養)は、公的な施設で比較的安価で入所できるため、経済的な負担が軽減されます。 グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の方のみが対象で、要支援2~要介護5までの方が入所できる施設です。 認知症に特化したケアが提供され、少人数での共同生活が行われます。
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施設に入居する場合の住民票の移動で注意すべきこと
前述のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は地域密着型サービスのため、原則として同じ市区町村に住民票がなければ入居できません。 また、住民票を移してから一定期間(数カ月単位。行政によって異なります)が経過していないと入居できない場合もあります。 呼び寄せて入居を希望する場合は、事前に行政や施設に確認して、必要な手続きを踏んでおくことが大切です。 特別養護老人ホームには地域密着型の施設もありますが、その場合も同様ですので気を付けましょう。
一方、有料老人ホームや地域密着型でない特別養護老人ホームの場合、本人の住所地に関係なく入居することができます。 この点も、施設ごとに確認しておくと安心です。
空き家になる実家の活用方法を考えておきましょう。
最近は、全国的に空き家が増加しており、親を呼び寄せた後に残った実家の扱いが問題になっています。 空き家を放置することは、老朽化や治安の悪化、資産価値の低下などのリスクを伴うため、早めに活用方法を考えておくことが重要です。
空き家の活用方法
空き家には、以下のような活用方法が考えられます。
具体的な計画を立てるために、不動産会社や建築会社に相談してみましょう。
売却する
空き家を売却して得た資金を、新しい住まいの購入や施設入居の費用に充てることができます。 この場合、購入代金や施設入居費用の支払いスケジュールを事前に確認し、売却のタイミングを調整することが大切です。
賃貸物件として運用する
最低限必要なリフォームを行い、賃貸物件として貸し出す方法もあります。 運用の手間を減らすため、地元の不動産会社に賃貸の仲介や管理を依頼するのがおすすめです。
建物を解体して土地を活用する
老朽化した建物を解体して土地を有効活用する選択肢もあります。 駐車場として運用したり、相続税対策を兼ねたアパート建築などの活用方法もあります。
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空き家の名義人が認知症の場合は売却も活用できない
空き家の名義人である親が認知症を発症すると、法律行為ができないとみなされるため、不動産の売却や活用ができなくなります。 それでも売却や活用を希望する場合は、法定後見制度を利用し、後見人を選任する必要があります。
この制度では、売却や活用を行う前に家庭裁判所の許可を得る必要があります。 しかし、正当な理由がなければ認められない場合が多く、許可が下りたとしても、売却や活用で得た資金は全て後見人が管理し、名義人本人の利益のためのみに使用されます。
こうした財産が凍結されるリスクを防ぐためには、事前に対策を講じることが大切です。 親が将来認知症を発症した場合に備えて、不動産の管理や処分を家族に託すことができる「家族信託」や「任意後見」の活用を検討することをおすすめします。
まとめ
介護が必要な親を呼び寄せるときは、住み慣れた場所を離れることなどで簡単には話し合いがつかず、長い時間が必要になる場合も多いでしょう。環境の変化や家庭内外の人間関係の変化、経済的な側面も考慮して慎重に検討することが大切です。
呼び寄せが決定した際には、親の住民票を新しい住所に忘れずに移しましょう。 また、実家が空き家になる場合はその処分や活用も考え、できるだけ早く対応することが望ましいです。
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