- 貸し主視点で緊急連絡先の役割をよく理解する
- 一般的に緊急連絡先は両親や身近な親族が望ましい
- 身近な人に頼めない場合は弁護士や代行サービスの利用を検討する
賃貸契約の際、申込書などに緊急連絡先の記載を求められます。記入できる場合はとくに問題ありませんが、「緊急連絡先として記載できる親族や身内がいない」という方は賃貸契約ができずに困ってしまうこともあるかもしれません。
賃貸契約締結の際に困らないように、緊急連絡先が必須の理由や、緊急に連絡がいくシチュエーションについてわかりやすく解説します。緊急連絡先は誰にするのが常識なのか、緊急連絡先としてやってはいけないNG例なども併せてご紹介していますので、賃貸契約や引越しを検討する際に参考にしてください。
賃貸契約において緊急連絡先が必須の理由
借り主にとっては「緊急連絡先の記載は必要ある?」とあまり重要性を感じないかもしれませんが、貸し主側の視点に立つと必要な理由が見えてきます。賃貸契約時に緊急連絡先が必須とされているのには、以下の理由が挙げられます。
本人と連絡がつかないときの備えとして
賃貸住宅に関する連絡は、契約者である入居者本人に入るのが基本です。住宅内でのトラブルや家賃の支払いに関する確認など、重要な内容は必ずまずは本人に連絡がいきます。近年ではほとんどの人が携帯電話を所有しているため、よほどのことがない限り、1~2日中には連絡がつくことのほうが多いでしょう。
緊急連絡先は、あくまでも何らかの理由で本人と連絡がつかないときの「備え」としての役割を担います。緊急連絡先を記入しているからといって、小さなトラブルですぐに相手方に電話連絡がいくことはありません。
家賃滞納などさまざまなリスク回避のため
大家や管理会社は、賃貸契約者と連絡が取れなくなることで、安否確認の必要性や家賃滞納などのリスクにさらされます。そうした場合に本人と連絡を取る手段の一つとして、緊急連絡先が必要になるのです。
重要な内容を伝えたい場合や緊急で確認したい事柄が発生した場合、本人に電話をしても連絡が取れなければ、大家や管理会社側からコンタクトを取る手段がなくなります。その場合、本人以外に重要な内容を伝えることができる相手は「緊急連絡先の人」なのです。
大家や管理会社のリスク回避として、また本人にとっても早急に把握すべき事柄を伝達するための備えとして、緊急連絡先の記入は必須だと理解しておきましょう。
緊急連絡先に電話がいくシチュエーションとは
賃貸契約で緊急連絡先の記入は必須であるものの、すぐに緊急連絡先へ連絡が入るわけではないことは上記の通りです。それでは、どのようなシチュエーションで緊急連絡先へ電話が入るのでしょうか。
本人とまったく連絡が取れなくなったとき
緊急連絡先は、それこそ緊急時にしか連絡はいきません。緊急時にもかかわらず、本人とまったく連絡が取れないときに、緊急連絡先へ電話が入ります。それは本人が連絡の取れない状態が続く際には、緊急連絡先へ電話がいくことも想定すべきだと言えます。そのため、緊急連絡先として記載した相手には大家や管理会社の電話番号をあらかじめ共有しておきましょう。
また、ご自身も大家や管理会社からの連絡であることをきちんと把握するために、連絡先の登録は必須です。そして、出られないときは早めに折り返す対応が求められます。
賃貸物件で火災が発生したとき
入居している賃貸物件で火災が発生したときにも、まずは本人に連絡がいきます。しかし、本人と連絡がつかない場合には、急を要するため比較的早い段階で緊急連絡先へも連絡がいく可能性が高いでしょう。
本人が入居している部屋で火災が起こった場合はもちろん、隣室や階下など別の住宅で火災が起こった場合も同様です。本人がまだ自宅に取り残されている恐れや、眠っていて気づかない場合などを想定し、一刻も早く危険を知らせる必要があります。火災だけでなく、水漏れや自然災害による被害が出た場合も、本人とすぐに連絡がつかなければ、緊急連絡先へ電話がいくことになります。
本人の安否確認が必要なとき
賃貸物件周辺で事故が起きたときや、入院の連絡を最後に本人が電話に出ないときは、安否確認で緊急連絡先に連絡が入ることもあります。火災や水漏れなど、急を要する事態ではなくても、何度本人に連絡を取っても電話に出ない場合には、緊急連絡先へ電話がいくでしょう。本人から折り返しの電話がないときや、携帯電話がずっとつながらない、番号が変わっているなどの場合も、緊急連絡先へ連絡するのが基本です。
契約に関する提出書類が足りていない、近隣から異臭や騒音などのクレームが入ったなどの場合には、まずその確認で大家や管理会社が本人へ電話をします。そこで何度かけても本人とコンタクトが取れない場合には、安否確認も必要と判断され緊急連絡先に連絡がいきます。
家賃や保証料金などの滞納による催促
入居者本人から家賃や保証料金の支払いがない、または引き落としができなかった場合も、本人に連絡がつかなければ緊急連絡先への確認が行われます。ただし、あくまでも緊急連絡先には本人へ支払うように伝えてもらうための依頼をするだけで、本人に代わって支払う義務はありません。本人が家賃などを滞納した場合に代わって支払う義務は「連帯保証人」が負うことになります。
緊急連絡先として記載する人にも、もし連絡があっても内容を聞いて伝えてくれるだけでよいこと、家賃の滞納を連帯保証人のように肩代わりする義務はないことについて知らせておくとよいでしょう。
もちろん、家賃や保証料金などの滞納を起こさないことが大前提なのは間違いありません。災害やトラブルは避けようがありませんが、支払いの有無についてはご自身で管理できるはずです。賃貸物件に入居している限り、月々の家賃は発生します。大家や管理会社へ心配をかけることなく、また自分の信用情報に傷をつけないためにも、滞納による督促は避けたいところです。
緊急連絡先へは「大家や管理会社が本人へ緊急を要する連絡をする必要がある場合」または「本人と長期間連絡がつかない場合」などに利用されます。急を要さないけれども本人と連絡を取る必要があるときは、すぐに本人と連絡がつかなくても折り返しを待つか、何度も本人へ連絡をします。それでも連絡がつかない場合の最終手段として、緊急連絡先へ電話がいくのだと理解しましょう。
緊急連絡先は誰にするのが常識?
事件や事故が発生した際の連絡、安否確認のために重要となる緊急連絡先。大家や管理会社に伝えるのは、どんな関係にある人が望ましいのでしょうか。また、身近に頼れる人がいない場合の対処法もご紹介します。
親など近しい親族が望ましい
緊急連絡先は、親を筆頭に親族であることが望ましいでしょう。ただ、親戚といえども血縁関係が遠すぎると、本人との関係性も希薄になりがちです。そのため、親戚でも3親等以内が理想的だと言えます。
ただ、必ずしも3親等以内でなければいけないわけではありません。さまざまな家族の形があるため、大前提として、3親等ですが、本当に該当者がいなかった場合、ほかの方を緊急連絡先として設定することも可能です。
信頼できる人なら親族以外でも可能
連絡の取れる親族がいない場合や、親族と連絡を取りたくない、居場所を知られたくないという場合は、会社の上司や親しい友人などを緊急時の連絡先に指定することもできます。ただし、現在は良好な関係を築いていても、トラブルでどちらかが会社を辞めてしまったり、急に疎遠になってしまったりする恐れあります。信頼できる人であっても連絡が取りづらくなる場合があるのが他人であり、よい感情を持っていなくても連絡できるのが親族であるとも言えるでしょう。
弁護士や代行会社へ依頼する
もしどうしても適当な人が見つけられない場合は、弁護士や行政書士など、信頼の置ける専門家へ代行を依頼して、緊急時の連絡先として記載するのもおすすめです。弁護士事務所や行政書士事務所では、本人が亡くなるなどして連絡が取れなくなった場合の緊急連絡先を代行するサービスを行っているところがあります。
また、こうしたサービスに特化している民間の団体や、NPO法人などへ依頼することも可能です。いずれの場合も利用するには料金が必要で、依頼先にもよりますが、年間2~6万円以上の出費となることを想定しておきましょう。
月々の家賃や共益費、保証料金に加え、こうした費用も払いながら生活できるかどうかを検討したうえで利用することが大切です。また、代行サービスを利用する旨を契約前に不動産会社には正直に伝えてください。
地方自治体によっては代行ができる場合も
高齢者や障がいを持つ人の場合、各地方自治体の窓口やケースワーカーを緊急連絡先に指定できる場合があります。手続きの方法や問い合わせ窓口については各地方自治体で異なるため、一度最寄りの役所などで相談してみましょう。
緊急連絡先として必要な情報
賃貸契約時の緊急連絡先の記載には、下記の情報が必要になります。
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名前
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住所
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電話番号
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本人との続柄
現状では、緊急連絡先とする人の本人確認書類まで提出する必要はない場合がほとんどです。緊急時の連絡先として大家や管理会社へ伝える人は連帯保証人とは異なるため、収入や滞納履歴などについて調べられることもありません。会社を緊急連絡先とする場合は、職場の住所や電話番号が必要となるケースもあるでしょう。続柄についても、親族であれば「母」「祖父」「叔父」などを記載しますが、他人の場合は「職場の上司」「知人」などと記載します。
連絡先は基本的に携帯電話の番号を記載する
本人の場合も緊急連絡先の場合も、電話番号はもっとも連絡のつきやすいものを記載します。固定電話の番号よりも、携帯電話番号を記入するのが一般的です。会社の上司などへ緊急連絡先となってもらうよう依頼した場合は、上司の携帯電話番号を記入しましょう。職場自体を連絡先とする場合は、代表番号や直通番号、内線があればその番号なども忘れずに記入しておきます。
緊急連絡先は、本人の携帯や固定電話で連絡がつかない場合に、緊急の要件を知らせる目的で使われます。そのため、携帯電話以外の番号を記載する際には、もっともダイレクトにつながりやすい番号の記入が鉄則です。
やってはいけない緊急連絡先としてのNG例
緊急連絡先は何かトラブルがあった際に利用するだけに、適当な連絡先を記載することなどはあってはなりません。緊急連絡先の記載に関して、やってはいけないNG例についても、しっかり把握しておきましょう。
うその連絡先は絶対にNG
身寄りがいない方の場合は緊急連絡先の記載に困るケースもあります。そんな際にやってはいけないのは、うその記載です。賃貸契約を乗り切ることだけしか考えずに虚偽の記載をすると、後で痛い目に遭うケースもあります。
たとえば、本当にトラブルが起こったときに緊急連絡先へ電話がいき、親族や知人が駆けつけて事なきを得られることもあるでしょう。事故などで入院して意識不明の状態が長く続いているときにも、緊急連絡先に記入した人と連絡が取れれば、事情を説明してもらうことも可能です。
しかし、うその連絡先を記載すると、こうした自身に起こったことに対しても、リスク回避ができなくなります。ありもしない架空の連絡先を記入したり、まったくつながりのない人や会社などの連絡先を記入することはご法度です。
自分の連絡先を二重に書く
複数台持っている携帯電話のうち、1つの番号を緊急先として記入するのもおすすめしません。一時的に契約できるレンタル携帯電話などもありますが、契約のその場はそれでしのぐことができても、うその連絡先と同様に、後でリスク回避ができなくなってしまいます。
友人や上司に親族のふりをしてもらう
緊急連絡先として親族の連絡先が書けないとしても、他人である友人や会社の上司などの連絡先の続柄を「姉」「父」などと偽って書くのもNGです。たとえ相手にお願いして承諾してもらっていたとしても、緊急時に親族だからこそできる手続きや確認などができず、後でトラブルの原因ともなりかねません。その場では軽く考えていても、本人が自室で犯罪や災害に巻き込まれて亡くなってしまう危険性も考えられます。
そうした場合に知人や上司へ連絡がいき、心理的な負担をかけたり、本当は親族ではないことを伝えて罪悪感を与えてしまったりするケースもあるため、続柄には「友人」「会社の上司」など、正しい続柄を記載するようにしましょう。
どうしても連絡先が書けない場合は正直に相談を
もしどうしても緊急連絡先に記載できる相手がいない場合は、不動産会社の担当者へその旨をきちんと説明したうえで、契約の際に相談すべきでしょう。緊急連絡先が書けない場合の対処法や、大家や管理会社との間で解決できる方法を見つけてもらえるかもしれません。
うそや架空の連絡先を書いたことが後で発覚した場合、大家や管理会社の信頼を失ってしまうことになるため、契約前にしっかりと不動産会社へ事実を伝えて相談することが大切です。
賃貸契約をする際に緊急連絡先がないときの対処法
緊急連絡先は、何らかの緊急を要する連絡が発生した場合に、大家や管理会社が本人と連絡がつかないときに利用する連絡先です。基本的には本人に連絡があり、緊急連絡先に電話がいくことは滅多にありません。
しかし、緊急連絡先に電話があるときほど深刻な事態であることが多いため、緊急連絡先は信頼できる身近な人に限定されます。信頼できる身近な人がいない場合でも、緊急連絡先には自分の身に何かあったときに連絡がいくことになるので、その際に迷惑がかからない相手にするのがマナーです。
もしそうした相手がいない場合は費用がかかっても、弁護士・行政書士などの専門家へ頼む選択をとることで、大家や管理会社の信頼を得やすくなるでしょう。
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