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更新日:2025.12.09

不動産所得がある人のふるさと納税!仕組み・メリット・注意点までの完全ガイド

不動産所得がある人のふるさと納税!仕組み・メリット・注意点までの完全ガイド

アパート経営や不動産投資を行うと、所得が増えるのが一般的です。 所得が増えれば控除上限額が増えるため、ふるさと納税でより高価な返礼品を選べる楽しみが広がります。 ふるさと納税は節税制度ではありませんが、利用しなければ税金として払う予定のお金を使って返礼品をもらえる点が大きなメリットです。 不動産所得を得ている人は、ふるさと納税にぜひチャレンジしてみてください。 この記事では「不動産所得とふるさと納税の関係」について解説します。

  • ふるさと納税は、2,000円を超える寄付額が税金から控除できる制度
  • 不動産所得者は、計画的に返礼品を狙いやすいというメリットがある
  • 不動産所得者が損益通算をすると、控除の上限額が減る点に注意が必要

もくじ

  1. 不動産所得でもふるさと納税は利用できる

  2. ふるさと納税とは

    1. ふるさと納税の仕組み

    2. ふるさと納税は「節税」にはならない

    3. 上限額は年収や家族構成によって異なる

  3. 不動産所得者がふるさと納税を行うメリット

    1. 上限額を増やすことができる

    2. 計画的に返礼品を狙いやすい

  4. 不動産所得者のふるさと納税の注意点

    1. ワンストップ特例は利用できない

    2. 赤字で損益通算をした場合は上限額が減る

  5. まとめ



不動産所得でもふるさと納税は利用できる

ふるさと納税は、課税対象となる総所得金額(※)を基準に控除上限額が決まるため、不動産所得も対象になります。
不動産所得とは、アパート経営や不動産投資で得られる所得のことです。 家賃収入そのものではなく、家賃収入から必要経費を差し引いた利益を指します。

▼不動産所得の計算方法

不動産所得 = 収入金額 - 必要経費

さらに、ほかに給与所得などがある場合には、それらの所得も合算した金額をもとに、ふるさと納税の控除上限額が計算されることになります。

※個人の所得は、給与所得と不動産所得、譲渡所得、事業所得、雑所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得の10種類に分かれます。

ふるさと納税とは

この章では、ふるさと納税の仕組みと特徴について解説します。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、都道府県や市区町村に寄付を行うことで、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から控除される制度です。
控除できる金額には、年収や家族構成に応じた上限額が定められています。 寄付する自治体は自分で選ぶことができ、寄付した自治体からはお礼の品として、返礼品をもらえる点が最大の特徴です。

名称に「ふるさと」とありますが、寄付先はとくに出身地に限定する必要はなく、自分が欲しい返礼品を提供している自治体を自由に選ぶことができます。
また、ふるさと納税では、寄付金の使い道を選択可能です。 災害対策や街の環境整備など、希望に沿って寄付金を自治体に使ってもらえる点が、通常の税金との大きな違いです。

ふるさと納税は「節税」にはならない

誤解されがちですが、ふるさと納税は節税制度ではありません
仕組みとしては、自治体に寄付した2,000円を超える金額が所得税・住民税から控除されるだけで、金銭的に得をするわけではありません。

たとえば、控除上限額が10万円の人が10万円のふるさと納税を行った場合、10万円(寄付額)- 2,000円(自己負担)= 9万8,000円が税金から控除されます。
つまり全額が戻るわけではなく、2,000円は必ず自己負担となるため、見方によっては2,000円の損をしているといえます。

例:ふるさと納税で10万円寄付をした場合

ただし、ふるさと納税の最大の特徴は、自治体に寄付することにより返礼品をもらえることです。

仮に返礼品が1万円相当の品であった場合、2,000円で時価が1万円の品を手に入れたことになり、実質8,000円分を得したことになります。 通常なら税金を払うだけですが、ふるさと納税なら自己負担2,000円で返礼品を受け取れるという仕組みです。
そのため、ふるさと納税は、選ぶ返礼品によって経済的にも相応の得をすることになります。

また、ふるさと納税は、金銭的な損得勘定だけでは測れないメリットもあります。 たとえば、自分が好きな地方の自治体を応援できるといった部分もふるさと納税のメリットです。
ふるさと納税は、都市部から地方へお金が流れる仕組みになっており、返礼品を楽しみながら地域貢献もできる、社会的意義が高い制度となっています。

上限額は年収や家族構成によって異なる

ふるさと納税では、税金が控除される上限額が収入や家族構成によって異なる点が特徴です。 基本的には、所得が大きい人ほど上限額も高くなる仕組みとなっています。

ただし、上限額を超えて寄付した分は控除されません。 そのため、ふるさと納税で損をしないためには、寄付額を上限額までに抑えることがポイントです。
ふるさと納税の上限額の目安は、総務省のふるさと納税ポータルサイトで確認できますので、ご参照ください。

不動産所得者がふるさと納税を行うメリット

この章では、不動産所得者がふるさと納税を行うメリットについて解説します。

上限額を増やすことができる

サラリーマンなどが副業で不動産所得を得ている場合、給与所得に不動産所得を加えた合計額を基準に、ふるさと納税の控除上限額が計算されます。 そのため、不動産所得者は上限額を増やすことができる点がメリットです。
上限額が増えれば、より高価な返礼品を選ぶことが可能になります。

計画的に返礼品を狙いやすい

不動産所得は年間で得られる所得の見通しが立ちやすいため、計画的に返礼品を狙いやすいというメリットがあります。 一方、株式投資などの譲渡所得は、株を売らないと所得が確定しないため、ふるさと納税の上限額が見極めにくくなります。

年末に駆け込みでふるさと納税を行うと、食材の返礼品が一度に届き、冷蔵庫に入りきらないという失敗例もあります。
不動産所得者であれば上限額を事前に把握しやすいため、時期をずらしながら旬の食材や人気の返礼品を計画的に狙うことができます。

不動産所得者のふるさと納税の注意点

この章では、不動産所得者がふるさと納税を利用する際の注意点について解説します。

ワンストップ特例は利用できない

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をしても確定申告が不要になる制度です。
ワンストップ特例制度を利用できる人は、寄付した自治体が5ヶ所以内の給与所得者(サラリーマン)に限られます(※)。

※ワンストップ特例制度を使う場合、所得税の還付はなく、全額が住民税から控除されます。

しかし、不動産所得が年間20万円を超える場合は確定申告が義務付けられているため、ワンストップ特例制度は利用できません。

赤字で損益通算をした場合は上限額が減る

損益通算とは、各種所得で生じた損失を他の所得から差し引いて、課税所得を減らす仕組みです。 不動産所得で赤字が発生した場合、給与所得と損益通算することで全体の所得を減らし、節税できるメリットがあります。

▼例

  • 不動産所得:▲100万円
  • 給与所得:1,000万円
  • → 損益通算後の課税所得:900万円

ただし、ふるさと納税の控除上限額は損益通算後の所得を基準に計算されるため、赤字があると上限額が減る点に注意が必要です。

まとめ

ここまで、不動産所得とふるさと納税の関係について解説してきました。
不動産所得を得ている人でも、ふるさと納税は利用可能です。 ふるさと納税は、寄付した分だけ所得税や住民税が控除される制度ですが、節税制度ではない点に注意してください。

不動産所得者がふるさと納税を行うメリットには、「上限額を増やすことができる(給与所得+不動産所得で計算)」「計画的に返礼品を狙いやすい(年間の所得見通しが立てやすい)」ことが挙げられます。 注意点は、「ワンストップ特例を利用できない場合がある」「赤字で損益通算をすると上限額が減る」ということです。

アパート経営や不動産投資に関するご相談は、下記よりお気軽にお問い合わせください。



不動産鑑定士

竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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