サラリーマンであっても、不動産所得が20万円を超える人は確定申告が必要です。 確定申告では、1年間に生じた課税対象所得を確定させる手続きを行います。 税制改正によって基礎控除額が変更されると、前年とは異なる計算をする必要が出てきます。 とくに2025年1月〜12月の所得は、「年収の壁」の見直しにより控除額が引き上げられたことから、従来よりも税金が減る可能性が出てきました。 では、2026年2月16日~3月16日に行う確定申告では、どのような影響があるのでしょうか。 この記事では「2026年の不動産の確定申告」について解説します。
- 基礎控除額と給与所得控除額の引き上げが行われた
- 特定親族がいる場合は特定親族特別控除も利用できる
- 2026年の確定申告では計算ミスを防ぐためにe-TAXの利用がおすすめ
資産3億円以上の経営者様へ
確定申告とは
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税などの額を確定させる手続きのことです。
2026年に行う確定申告は2025年分の所得を対象としており、申告と納税の期間は2026年2月16日(月)から3月16日(月)となっています。

また、確定申告は年末調整とは異なります。 年末調整とは、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求めて差額を精算する手続きのことです。
年末調整は給与所得者(サラリーマン)が対象となっており、作業自体は雇い主である会社側が行います。
2026年の確定申告に影響がある変更ポイント
2025年は「年収の壁」への対策として、基礎控除額などの引き上げが実施されました。 その結果、前年と同じ年収の人でも所得税が軽減される人が増える見込みです。
この章では、令和7年度の税制改正によって、2026年の確定申告に影響がある変更ポイントを解説します。
所得税の基礎控除額などの引き上げ
2025年の所得より、基礎控除額が改正前の48万円から最大95万円まで引き上げられます。 基礎控除額とは、納税者本人の合計所得金額から一律で差し引ける控除額のことで、所得税負担の軽減につながります。
あわせて、給与所得控除の最低保証額が改正前の55万円から65万円に引き上げられています。 給与所得控除とは、給与収入から一定額を差し引き、課税対象となる所得を減らすことができる制度です。
特定親族特別控除の新設
特定親族特別控除とは、納税者に特定親族がいる場合に納税者の総所得金額から一定額を所得控除できる新たな制度です。
特定親族とは、19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下などの一定の要件を満たす親族を指します。
控除額は特定親族の所得で異なりますが、最大で63万円の控除を受けることができるようになりました。
不動産投資で確定申告が必要となる理由
サラリーマンであっても、以下の条件を満たす場合は、年末調整だけでなく確定申告も必要です。
【給与所得者で確定申告が必要となる主な人】
- 1ヶ所から給与などの支払いを受けている人で20万円超の給与所得以外の所得がある人
- 給与所得が2,000万円を超える人
- 2ヶ所以上から給与などの支払いを受けている人
- そのほか、一定の要件を満たす同族会社の役員など
アパート経営や不動産投資を行っている場合には、不動産所得が発生します。
不動産所得は単なる家賃収入ではなく、家賃収入から必要経費を差し引いた利益のことです。
不動産所得=収入金額-必要経費
不動産所得が20万円を超える場合、「20万円超の給与所得以外の所得がある人」に該当するため、サラリーマンでも確定申告が必要になります。
不動産投資における損益通算とは?
損益通算とは、不動産所得などの一定の所得についてのみ、ほかの所得の金額から控除できる確定申告上の手続きのことです。
不動産所得は家賃収入から必要経費を差し引いた利益であるため、赤字であれば確定申告で損益通算を行うことで、所得税の節税につながります。
不動産所得を計算する際、必要経費として一般的に認められるものは、以下のようなものが挙げられます。
【不動産所得の必要経費として認められる主な費目】
- 公租公課
- 損害保険料
- 修繕費
- 入居者募集費用
- 管理委託料
- 共用部の水道光熱費
- 共用設備の維持費
- 通信費・旅費交通費・接待交際費・新聞図書費・消耗品費
- ローン保証料
- 借入金利子
- 減価償却費
減価償却費とは、建物の取得原価を各会計期間に配分することで生じる会計上の費用です。 実際にその期に支出される費目ではありませんが、必要経費の中で計上額が大きくなりやすい特徴があります。
そのため、キャッシュフロー(実際の手残り)がプラスであっても、減価償却の影響によって不動産所得が赤字になるケースもあります。
キャッシュフローがプラスで不動産所得が赤字であれば、損益通算によって給与所得などから損失を差し引くことができ、結果として所得税を節税できるというメリットが生じます。
確定申告の種類

この章では、確定申告の種類について解説します。
青色申告
青色申告とは、正規の簿記の原則に基づいて記帳を行い、税務署長の承認を受ける記帳方法のことです。
青色申告を行うことで最高65万円の特別控除(青色申告特別控除)が適用されます。
不動産所得
=収入金額-必要経費-青色申告特別控除
青色申告特別控除の金額は、以下のとおり要件によって異なります。
| 青色申告 特別控除 |
要件 |
|---|---|
| 65万円 | 事業的規模(※)+複式簿記+e-Tax申告 |
| 55万円 | 非事業的規模+複式簿記 |
| 10万円 | 簡易な帳簿 |
※事業的規模:アパートや賃貸マンションの場合、10戸以上ある物件が該当
青色申告では、資産と損益の両方を記録する複式簿記で帳簿を作成する必要があります。
また、青色申告には次のようなメリットがあります。
- 赤字を3年間繰り越しすることが可能
- 事業的規模の物件では、青色事業専従者給与(※)を経費計上できる
※青色申告者と生計を一にする配偶者やそのほかの親族への給与・賞与。
総じて青色申告は、次節で説明する白色申告よりも節税効果が高くなっています。
白色申告
白色申告とは、青色申告以外の方法で行う確定申告を指します。
もともとは、青色申告以外の人が使う申告書の用紙が白色だったため、一般名称として白色申告と呼ばれるようになりました。
白色申告は複式簿記を使わず、簡易な帳簿で作成することができる手軽さがありますが、青色申告のような特別控除額の制度がありません。
また、赤字も翌年以降に繰り越すことができません。
そのため、節税効果の点では青色申告よりも劣る点が特徴です。
2026年の確定申告を行う際の注意点
2026年の確定申告では、基礎控除や特定親族控除が改正されたことから、以前よりも計算が複雑になり、ミスが生じやすい点に注意が必要です。
そのため、2026年の確定申告では、e-Taxを使用することをおすすめします。
e-Taxとは、国税庁が運営している「国税電子申告・納税システム」のことです。
e-Taxを利用するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
- 税額が自動計算されるため、計算ミスを防止できる
- 還付金を早く受け取れる
- 24時間申請が可能
- 事業的規模であれば、65万円の青色申告特別控除が適用可能
まとめ
ここまで、2026年の不動産の確定申告について解説しました。
2025年分の所得からは、基礎控除額と給与所得控除額の引き上げや特定親族特別控除の新設が行われ、これらにより所得税が減る可能性があります。
サラリーマンであっても、不動産所得が20万円を超えていれば確定申告が必須です。
また、節税効果を高めたい場合は、青色申告の活用が有効となります。
2026年の不動産の確定申告に関してお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。
資産3億円以上の経営者様へ
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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