- 在宅時間が少ない方は1Rや1K、ゆっくりくつろぎたい方は1DKや1LDKを選ぼう
- 自身のライフスタイルにその間取りがマッチしているかが重要
- コンセントやアンペア数、水圧まで、間取り以外にも内見で見るべきポイントは多い
進学、就職や転勤などのタイミングに合わせて、一人暮らし用の住まいを探している方もいるでしょう。日常生活を豊かにしたいなら、自分のライフスタイルに合った部屋探しが重要です。しかし、間取り図を見ただけでは具体的な生活がイメージしにくいのではないでしょうか?
この記事では、契約前に知っておきたい間取りの種類、ライフスタイルに合った間取りの選び方、学生・社会人・女性・シニアに適した間取り、間取り以外でチェックしておきたいポイントを解説します。一人暮らしの住まい選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
覚えておきたい一人暮らし用の間取りは4種類
賃貸物件を探しているとき、必ず目にするのが「1R」「1K」「1DK」「1LDK」といった間取り表記です。「初めての一人暮らし」の場合、これらを見ただけでどのような住まいなのかをパッとイメージできる方は少ないのではないでしょうか?
まずは生活のイメージをつかむために、一般的な一人暮らしに適した4つの間取りについて見ていきましょう。
1R(ワンルーム)
「1R」はワンルームと呼ばれ、キッチンと居室がひとつになった間取りを指します。
下記の間取り図は、1Rの一例です。
玄関を開けるとすぐ自室があり、廊下がないのでトイレや浴室の扉も部屋にあるのが特徴です。コンパクトで生活動線が短いことから、必要なものがすべて手近にあるようなイメージとなります。キッチンと居室が同じ空間であるため、自炊をするとニオイがこもりがちになる点はデメリット。洗濯機の設置スペースがない物件も珍しくありません。
ワンルームの最大のメリットは、家賃の安さ。1DKや1LDKに比べて面積が狭いこと、都市部ではワンルームタイプの物件が多いことから、家賃も安くなると考えられます。
1K
「1K」はキッチンと居室が仕切られているタイプで、玄関から居室に向かう廊下にキッチンが置かれているパターンが多くあります。
下記の間取り図は、1Kの一例です。
ワンルームと同様にコンパクトな間取りですが、キッチンに仕切りがあることでニオイのこもりは少なく、自炊派には嬉しい環境でしょう。
また、トイレや浴室も廊下側に設置されていることが多く、水回りと居室を完全に分けられることから、来客時の気遣いも少なくて済むのが1Kのメリットです。家賃に関しては、ワンルームと同等程度の相場となります。
1DK
「1DK」は調理と食事のスペースとしてダイニングキッチンを備え、さらに居室がひとつ設けられている間取りです。「DK(ダイニングキッチン)とプラス1部屋」と覚えておきましょう。
下記の間取り図は、1DKの一例です。
部屋数が増えるため、ワンルームや1Kに比べてゆとりがあります。用途に応じた部屋の使い分けができ、食事の部屋、寝る部屋など、生活にメリハリを付けやすいでしょう。
なお、1DKは1980年代に流行した間取りであるため、全体的に建物が古い傾向があります。リフォームされていない場合は居室が和室のケースもあるでしょう。そのため、家賃は広さの割に比較的安く設定されることも多いようです。
1LDK
「1LDK」は調理・食事+くつろぎのスペースであるリビングダイニングキッチンに加えて、居室がひとつ設けられている間取りです。
下記の間取り図は、1LDKの一例です。
リビングダイニングキッチンは広さが8畳以上あるケースが多く、二人暮らしにも対応できる広さが魅力。一人暮らしの場合は、大型テレビやソファを置くスペースも十分確保できるでしょう。
1LDKは2000年以降に普及した比較的新しい間取りなので、設備やセキュリティ面が充実している物件も多くあります。その反面、広さゆえに掃除などの手間が多くなるのがデメリット。家賃相場もワンルーム、1K、1DKに比べて高くなります。
間取り別に見る、おすすめのライフスタイル
物件を決める際は、その間取りが自身の生活に適しているかをよくイメージする必要があります。荷物が多いのにコンパクトな間取りを選んでしまうと、部屋が窮屈になるでしょう。あまりものを持たない身軽なライフスタイルなのに、広い間取りを選んでしまった場合は、さまざまなムダが生じてしまいます。
重要なのは、生活と間取りがマッチしていること。以下では、間取り別に見る「おすすめのライフスタイル」をご紹介します。
1R(ワンルーム)
ワンルームの間取りは、必要なものがひとつの部屋にまとまっているのが特徴です。コンパクトさと家賃の安さがメリットとして挙げられますが、自炊をすると布製品などにニオイが付きやすくなったり、洗濯機を置く場所がなくコインランドリーを利用することになったりとデメリットもあります。
そのため、ワンルームは仕事や趣味で生活の主たる場所が別にある単身赴任中の方、シンプルさを求め、ワンルームのデメリットを受け入れたうえで割り切った生活ができる方、できるだけ家賃を抑えたい方などに向いているでしょう。
1K
居室とキッチンが扉などで隔てられている1Kは、「調理のニオイを気にせずに済む」「玄関から室内が見えにくい」など、ワンルームタイプのデメリットが解消される間取りです。広さはワンルームとあまり変わらないため、家賃も安め。自炊しやすいことから、トータルでの生活コストを抑えられる点がメリットとしてあげられます。部屋自体が狭く、キッチンもコンパクトなため、調理器具などの収納に悩むことが多いのは1Kのデメリットと言えそうです。
1Kは就職したばかり(新卒)で荷物が少ない方、自宅にいる時間も充実させたい方、自炊はするけどシンプルな生活がしたい方などに向いている間取りと言えます。
1DK
1DKは1Kに比べてキッチンが広く、より自由度の高い使い方ができます。ワンルームや1Kでは、基本的にひとつの居室で寝食を行うことから、メリハリを付けにくいのが難点。しかし、1DKなら食事・リラックスタイム・睡眠で部屋を使い分けることが可能です。その一方で、「部屋数が増えるので、それぞれの部屋が狭くなる傾向がありやや使い勝手が悪いこと」、「1部屋タイプに比べて掃除の手間などが増えること」などがデメリットとして挙げられます。
1DKは、料理が好きでキッチンを有効活用したい方、自宅で仕事(リモートワーク)をする機会が多そうな方、プライベートにメリハリを付けたい方などにおすすめです。
2021年3月時点の東京都におけるワンルーム・1K・1DKの家賃相場は、4.9万円から13.9万円となっています。都心から離れたエリアは賃料が比較的安く、都内でも交通の利便性が高い区やエリアは賃料も高い傾向にあります。家賃を考える際の大まかな基準として覚えておきましょう。
1LDK
1LDKは広いリビングダイニングキッチンを持つことから、好みの家具・インテリアを置くなど、こだわりを部屋に反映させやすい間取りと言えるでしょう。また、広さもあるので友人などを招きやすいのもメリット。しかし、面積が大きくなるので家賃は上記のワンルーム・1K・1DKよりも高くなりがちで、光熱費も高くなる傾向にあるのがデメリットです。
そんな1LDKは、ある程度収入があって余裕のある生活がしたい方、あるいは多少物件が古くてもスペースが欲しい方に向いた間取りと言えます。
2021年3月時点の東京都における1LDK・2K・2DKの家賃相場は、7.9万円から23万円です。エリアによる賃料の分布はワンルーム・1K・1DKと同様ですが、物件数はそれらに比べて半分以下に減るエリアもあります。より多くの物件を比較検討したい場合は、物件数が多いエリアを選びましょう。
学生、社会人、女性、シニアに合った間取りとは?
学生や社会人、女性、シニアなど立場が変われば生活スタイルが異なり、生活スタイルが異なれば住まいに対するニーズや理想も同じではありません。以下では、「学生」「社会人」「女性」「シニア」という4つの立場から、それぞれに向いている間取りをご紹介します。
学生の場合
学生の一人暮らしの場合は、収入がアルバイトあるいは仕送りに限られます。資金的な余裕の少なさから、家賃にそう多くをかけられないでしょう。学生は学業が本分なので、生活費を稼ぎ出すためにバイトばかりしていては本末転倒です。
間取りはワンルームか1Kがおすすめです。授業や勉強、部活動、サークル活動などが忙しく、家にいる時間が短いのであれば、多少コンパクトでも不自由を感じずに生活できるでしょう。家賃にお金を使うより他の部分に投資するほうが、今後のためには有効と言えるかもしれません。家賃がリーズナブルな学生マンションなども検討してみましょう。
社会人の場合
社会人の一人暮らしの場合は、仕事で疲れた体を癒やし、次の仕事へ向けて英気を養う場所としての役割が住まいにはあります。そのため、住環境の快適性・機能性にもこだわりたいところ。食生活の乱れを防ぐ意味でもキッチンが使いやすいこと、生活にメリハリをもたせる意味で寝食別部屋であることが、ポイントとして挙げられます。
社会人ならある程度安定した収入を見込めることから、1DKあるいは1LDKといった余裕のある間取りがおすすめです。
女性の場合
女性の場合は化粧品や装飾品、衣類などが男性よりも多くなりがちで、その分居室の広さ(収納スペースの多さ)が求められます。これらの面から、やや広めの1DKや1LDKの間取りがおすすめと言えます。
また、防犯上の理由で玄関から室内が見えやすいワンルームはあまりおすすめできません。少なくとも室内が見えにくい1K、収入に余裕があるなら1DKや1LDKを選べば、生活の質や安全面で満足度が高くなるでしょう。なお、「オートロック付き」などのセキュリティに優れた物件は、家賃が高くなる傾向があります。収入とのバランスを考えて検討しましょう。
シニアの場合
「超高齢化社会」に突入した日本では、シニアの賃貸物件での一人暮らしも決して珍しくありません。むしろ、都市部などではよくある光景になりつつあります。ご年配の方の場合、掃除の手間などがかかる1LDKや、訪問者から室内の様子がうかがいやすいワンルームはあまりおすすめできません。その点、適度にコンパクトで管理が行き届きやすい1Kや1DKならこうした懸念を解消できるでしょう。
しかし、快適な生活を考えるうえでは、間取り以上に「バリアフリー設計であること」や「シンプルな動線・構造」が重要になってきます。また、万が一のときに備えて、かかりつけ医院や別居する家族の住まいから近いところで部屋を選ぶと安心です。
内見時にチェックしておきたい間取り以外のポイント
ここまでは間取りについて解説してきましたが、実際に暮らすにあたって重要なのは、間取りだけではありません。日当たりや風通しなど環境的要因はもちろん、写真のイメージと実際の物件で大きな違いがないかなど、内見で見るべきポイントは多岐にわたります。数ある内見ポイントのなかでも、とくに重要な項目を押さえておきましょう。
日当たり
日当たりがよければ、冬でも日中は暖かく、明るい空間となるでしょう。そのため、南側に大きな窓がある間取りを希望する方も少なくありません。しかし、南向きでも他の建物の影になってしまい、実際は日当たりが悪かった――という事例もよくあります。日当たりは間取り図で判断できない部分なので、内見時によく確認しましょう。
風通し
日当たりと同様、風通しのよさも内見で確認すべきポイントの一つです。風通しが悪いと室内にカビが発生しやすく、ひいては自身の体調不良にもつながります。クローゼットの奥にカビが発生していないか、窓から窓へ空気が抜けやすい構造になっているか、換気システムが備わっているかなどが見るべきポイントです。
防音性
隣人の生活音が入ってくる、つねに大型トラックの走行音が聞こえるなど、「望まない音」は大きなストレスになるおそれがあります。これは、日中の時間帯では分かりにくい部分かもしれません。可能ならば、隣人が帰宅している夜に物件の周辺を確認するのもおすすめです。同時に夜間の騒音も確認しておきましょう。
外から室内が見えないこと
内見時には、「玄関が通りに面していないか」を確認しておく必要があります。荷物の受け渡しなどで玄関を開くと、室内が丸見えになってしまうおそれがあるためです。防犯上の観点から、とくに女性が一人暮らしをする場合はよく確認してください。
コンセントの位置
内見時に気づかず、「住んでみて分かる不便さ」としてよく挙げられるのが、コンセントの位置です。コンセントの位置が悪いと「家電の置き場所が限定される」「延長コードが部屋の中央を通る」など、ストレスがたまる要因になりかねません。
ブレーカーのアンペア数
ブレーカーのアンペア数が低いと、家電の同時使用ができず、ストレスを感じることがあります。とくに真夏・真冬は、エアコンをつけた状態で他の家電が使えないのはつらいはず。事後のアンペア数変更は可能ですが、もともとの配線が細く容量不足となっている場合には、大がかりな工事が必要になることもあります。そのため、事前にブレーカーのアンペア数も確認しておきましょう。
スマートフォンの電波状況
インターネット全盛のこの時代にスマホが使えないのは、もはや死活問題といってよいでしょう。「都市部なら大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、電波を通しにくい鉄筋コンクリート建物では注意が必要です。内見時はスマホを持って、隅々まで確認することをおすすめします。
部屋のサイズ感
内見時にはメジャーを持参し、室内を細かく採寸するようにしましょう。そうすることで、「想定していた場所に家具(家電)が入らなかった」といった失敗を防げます。玄関や室内ドアの横幅、シンクや洗濯機置き場などの水回りスペース、窓枠の大きさ(カーテンのサイズを確認するため)などは、とくに忘れずに測っておきたいポイントです。
一人暮らしの間取りは生活に合わせたものを選ぼう
一般的な一人暮らしでは、「1R(ワンルーム)」「1K」「1DK」「1LDK」の4つの間取りから物件を選ぶことになるでしょう。最適な間取りは、自身のライフスタイルや立場によって大きく変わるもの。ある程度の期間にわたって生活のベースとなることから、間取り選びは自分の生活とよく照らし合わせて検討することが重要です。この記事を参考に、後悔のない間取り選びをしてくださいね。
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