- 不動産投資をすることで、所得税・住民税や贈与税、相続税の節税につながる
- 遺産相続では、現金で相続するより不動産で相続したほうが相続税は安くなる
- 減価償却費の計上は節税に有効だが、耐用年数を過ぎると節税効果が薄れる
不動産投資が実現する3つの税金対策
不動産投資を行うと、「4つの税金」の節税につながります。
4つの税金とは、所得税、住民税、贈与税、相続税です。
所得税・住民税の節税
所得税・住民税とは?
所得税は、収入から費用を差し引いた金額に課される税金です。所得税と同じように、住民税(所得割)も個人の1年間の所得に対して課税されます。所得税は国税(国に納める税金)、住民税は地方税(地方自治体に納める税金)という点が両者の大きな違いです。
日本では、所得金額が多いほど税率が大きくなる「累進課税制度」が採用されています。
不動産投資で所得税・住民税が節税できる理由
所得税の課税方式には、複数所得の合計金額に課税される「総合課税」と、合算できず個別の納税が必要となる「分離課税」の2種類があります。不動産所得は、前者の総合課税にあたります。
総合課税のメリットは、一定期間内における複数の利益と損失を相殺できる「損益通算」が可能であることです。 利益が発生していない状況であれば所得税はゼロになるので、不動産所得に損失(赤字)がある場合、給与所得などと損益通算できれば節税できる可能性があります。
また、不動産所得を計算する際は、修繕費や損害保険料、管理費などの費用を経費として計上することが可能です。経費計上を増やすことは、所得税の節税につながります。
贈与税の節税
贈与税とは?
贈与税とは、個人から財産を受け取った側に課される税金です。基礎控除として110万円が設定されているため、受け取った財産が年間110万円以下であれば非課税となります。
不動産投資で贈与税が節税できる理由
不動産の贈与税を計算する場合、時価ではなく国税庁の定める「相続税評価額」を使用するというルールがあります。 相続税評価額を使用して算出すると、時価よりも2~3割ほど資産の評価額が下がります。そのため、不動産を現金化して受け取るよりも不動産のまま贈与されるほうが節税になるでしょう。
相続税の節税
相続税とは?
故人から相続によって財産を取得した際、その取得した財産に課される税金が相続税です。相続税では課税額が高くなるほど適用される税率が上がる「累進課税」の仕組みが採用されており、10%から55%の範囲で税率が変わっていきます。
「最大55%」と聞くと不安を感じるかもしれませんが、相続税には課税されない限度額である「基礎控除額」が設定されています。そのため、故人の遺産を受け継いだすべての人が納税対象になるわけではありません。実際、令和元年(2019年)に相続税の納税対象となった人の割合は、全体の8.3%(約12人に1人)でした。
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不動産投資で相続税が節税できる理由
不動産の相続税は、贈与税と同じように時価ではなく「相続税評価額」を使用して求められます。そのため、課税対象となる資産の評価額が2~3割程度ほど下がり、節税につながります。
また、借家や借地を相続する場合は、相続税評価額の計算に借地権割合を含めることが可能です。 借地権割合は「土地の権利のうち借地が全体の何割を占めるか」を示す数字で、国税庁が30~90%の間で定めています(10%刻み)。 この借地権割合が相続税評価額の計算に反映されると、その分だけ評価額が下がって節税になるという仕組みです。
不動産投資による節税シミュレーション
続いては、不動産投資を行った際にどのくらい節税になるのか、相続税を例に節税シミュレーションしてみましょう。 相続税を算出するため必要となる計算式および税率は、次のとおりです。
- 【ステップ1:基礎控除額を算出】
3,000万円+(600万円×法定相続人の数) - 【ステップ2:課税遺産総額を算出】
遺産額-基礎控除額 - 【ステップ3:相続税を算出】
課税遺産総額×相続税率-控除額
以下が、相続税率の早見表です。
出典:国税庁 「No.4155 相続税の税率」
※2021年12月時点
上記のルールをもとに、遺産を「現金」と「不動産」それぞれで相続した場合の相続税を比較してみましょう。
相続税の節税シミュレーション
例として、遺産額1億2,000万円、相続人は1人として計算します。
現金で相続する場合
上記の計算式および早見表に当てはめると、相続税額は次のようになります。
- 【基礎控除額】
3,000万円+600万円×1人=3,600万円 - 【課税遺産総額】
1億2,000万円-3,600万円=8,400万円 - 【相続税】
8,400万円×40%-1700万円=1,660万円
不動産で相続する場合
不動産の相続税評価額を算出するには、固定資産税評価額などを考慮する必要があります。計算式は次のとおりです。
- 【建物】
固定資産税評価額×(1-借家権割合) - 【土地】
更地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
不動産価格の比率は土地と建物で2:1(土地購入費8,000万円、建築費4,000万円)、賃貸、固定資産税評価額2,400万円、借家権割合30%、借地権割合70%のケースを想定します。なお、一般的に建物の固定資産税評価額は建築費の6割、更地の相続税評価額は土地購入金額の8割です。計算式に当てはめると、次のようになります。
- 【建物】
2,400万円×(1-30%)=1,680万円 - 【土地】
6,400万円×(1-70%×30%)=5,056万円
次に、建物と土地の評価額の算出結果をもとに課税遺産総額を算出します。
- 【課税遺産総額】
(建物の評価額1,680万円+土地の評価額5,056万円)-基礎控除額3,600万円=3,136万円
課税遺産評価額が算出できたら、相続税額がわかります。
- 【相続税】
3,136万円×20%-200万円=427.2万円
節税できる金額は約1,233万円
遺産総額1億2,000万円の相続税は、現金では1,660万円、不動産では427.2万円となりました。シミュレーションの結果、計算上は不動産で相続するほうがおよそ1,233万円の節税になることがわかります。
節税目的の不動産投資で意識すべきポイント
不動産投資においてはさまざまな節税のポイントがありますが、安易に不動産投資を始めると失敗してしまうこともあるでしょう。ここでは、節税目的で始めた不動産投資のよくある失敗例を取り上げるとともに、節税で意識したいポイントについてご紹介します。
減価償却費を計上できる期間は決まっている
- 【失敗例】
減価償却費の計上が減って黒字が大きくなり、その分所得税が増加した
減価償却費とは、不動産経営に必要な設備や建物を購入した場合、資産の使用可能な全期間にわたって経費計上できるものです。減価償却費は利益から差し引けることから、節税につながります。しかし、ここで注意すべきなのが、減価償却費を計上できるのは法定耐用年数までということです。
関連して、ローンの元本返済金額が減価償却費を上回る状態を「デットクロス」と呼びます。 計上できる減価償却費が減ってデットクロスになると、帳簿上で黒字が増え、所得税が増加して資金繰りが悪化する恐れがあるので注意しなければなりません。 デットクロス対策としては、減価償却期間の長い物件を購入する方法が有効です。 減価償却費は、法定耐用年数を過ぎると節税効果が薄れることを意識しておきましょう。
「法人化」すると税率が低くなる
- 【失敗例】
法人化の手続きが面倒なので個人事業主のままでいる
不動産投資による収入額が大きくなった場合は、法人成り(法人化)すると節税効果が高まります。 個人が支払う所得税の税率より、法人税の税率のほうが低いためです。
法人化するには費用と労力が必要ですが、一方で法人化には節税のほかにもさまざまなメリットがあります。 不動産投資を長く続ける予定があれば、法人化を検討してみてはいかがでしょうか。
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不動産投資が節税になる仕組みを理解しよう
シミュレーション事例などを通して、不動産投資が所得税・住民税や贈与税、相続税につながることがおわかりいただけたかと思います。今回ご紹介した選択肢以外にも節税方法はいくつかあるので、自身の状況に合わせた節税方法に取り組んでみましょう。
不動産投資における節税の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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