更新日:2022.02.15
孫への遺産相続は可能?「孫に財産を残してあげたい」を実現する方法
「かわいい孫に財産を残したい」。そう考える方も少なくないでしょう。基本的に、孫は祖父母の法定相続人にはならないため、遺産を相続する権利はなく、何も対策しない限り遺産は配偶者や子どもが相続することになります。しかし、法定相続人でない孫に遺産を相続させる方法がないわけではありません。今回は、孫に遺産を相続する方法について詳しく解説します。
- 孫は法定相続人に当てはまらないため、基本的に遺産を相続することはできない
- 孫へ遺産を相続する方法は、遺言書による遺贈と「養子縁組」「代襲相続」がある
- 遺産としてではなく、生きている間に贈与という形で孫に財産を渡す方法もある
孫へ遺産を相続できる2つの方法
被相続人の遺産を受け取ることができるのは、法定相続人です。被相続人の配偶者は必ず相続人となり、以降第一順位は子ども、第二順位は父母や祖父母、第三順位は兄弟姉妹と、順位が決められています。
相続人でない孫に遺産を相続する方法は、「遺言書を作成する」「養子縁組をする」「代襲(だいしゅう)相続をする」の3通りあります。それぞれについて詳しく確認していきましょう。
孫への遺産相続方法1.遺言書による遺贈
まず1つ目は、孫に遺産を相続させることを記した遺言書を作成することです。通常の相続の場合、遺産分配の割合は法律で定められていますが、遺言書の場合、希望した遺産分配ができる可能性があります。
孫は相続権がないため、遺言書では「孫に遺贈する」という表記になるでしょう。「孫に一定の金額を相続したい」「孫に家や土地を譲りたい」などという希望があるなら、遺言書による遺贈がよいでしょう。
ただし、遺言書が法律上の要件を満たしていない場合、遺言書が無効とされることがあります。遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがありますが、確実に有効にしたいなら、公証役場で作成する「公正証書遺言」がよいでしょう。
孫への遺産相続方法2.孫との養子縁組
孫と養子縁組をすることも、孫に遺産を相続する一つの方法です。養子縁組をすると戸籍上は孫ではなく「子ども」となり、必然的に法定相続人となります。これなら、確実に孫に遺産を相続できるでしょう。相続人が増えることにより、相続税の基礎控除額が増えることにもつながり、節税効果もあります。
ただし、税法上、実子がいるなら一人、実子がいないなら二人までと、法定相続人に入れることができる養子の数には制限があります。また、負の遺産があった場合、孫は負債も相続してしまうことになることも理解しておきましょう。
また、養子縁組を行うと実子と孫が同等の相続人となるため、遺産分割協議への参加義務も発生します。孫が未成年だった場合、代理人を立てるなどしなくてはなりません。
法定相続人が亡くなっているケース~代襲相続とは~
基本的に、法定相続人は配偶者・子・親・兄弟姉妹と法律で定められています。被相続人の死亡時に法定相続人がすでに亡くなっている場合において、孫やひ孫、甥・姪などが遺産を相続する制度が「代襲相続」です。
また、代襲相続の場合、被代襲相続者の相続分を引き継ぐ形となるため、代襲相続人の相続割合は被代襲相続者と同じになります。 ただし、これはあくまでも条件がそろった場合において有効となる相続方法であり、選択してできるものではありません。
孫へ遺産を受け渡す、相続以外の方法
遺産相続以外にも、生きている間に贈与として孫に財産を残す方法があります。ここでは、遺産相続以外の3つの方法について解説していきます。
生前贈与する
遺産以外で孫に財産を譲る代表的な方法が、「生前贈与」です。生前贈与には贈与税がかかりますが、110万円の基礎控除があります。そのため、年間110万円までであれば、贈与税がかかりません。
この非課税枠を利用し、毎年110万円までの贈与を繰り返すことを、「暦年(れきねん)贈与」と言います。ただし、暦年贈与は、定期贈与と判断されると、贈与税が発生してしまうことがあるので要注意です。
教育資金や結婚資金として贈与する
祖父母から孫に対し、教育資金や結婚資金を一括で贈与する場合、非課税措置の特例制度を利用することができます。教育資金の場合、孫が満30歳未満で前年合計所得が1,000万円以下であることを条件に、最大1,500万円までが非課税です。
結婚の場合、孫が20歳以上50歳未満で、前年合計所得が1,000万円以下であることを条件に、最大300万円までが非課税になります。子育て資金の場合は、同じ条件で最大1,000万円までが非課税です。
ただし、この特例を活用する場合、特定の銀行口座が必要になることに加え、領収書の提出も必要になります。また、教育資金であれば30歳、結婚・子育て資金の場合は50歳までに使い切れていない場合、余った額分の贈与税を支払わなければなりません。
さらに、結婚・子育て資金の特例制度の場合、非課税で贈与できますが、贈与者が亡くなった時点で相続税が課せられ、孫の負担となる可能性もあります。余命が短いという場合には、あまりおすすめできる方法ではありません。
生命保険の受取人に指定する
祖父母が生命保険に加入し、受取人を孫にしておくことで、亡くなったあとにまとまった額の保険金を残すことができます。生命保険金は、法律上は相続財産ではないため、遺産分割の対象にはなりません。
ただし、孫が代襲相続などで法定相続人になっている場合、法定相続人の権利として500万円までの非課税枠が適用されますが、孫が法定相続人でない場合には、受け取った額に対して相続税がかかることになります。
そのため、代襲相続などにより孫が法定相続人となっている場合においては、生命保険の受取人にするのは有効な方法です。法定相続人でない場合は、相続税がかかることを踏まえ、他の方法を検討するのがいいかもしれません。
孫への相続にあたり注意したいポイント
孫に相続する場合、いくつか注意点があります。どんなことに気を付けるべきなのか、確認しておきましょう。
ほかの相続人とのトラブルに発展する恐れがある
本来、相続人でない孫に多くの遺産を相続することにより、ほかの相続人の相続分は本来よりも少なくなってしまいます。そのため、ほかの相続人との関係が悪化してしまうことも、十分に考えられるでしょう。 なかには、「遺産分割協議が進まない」「遺留分を請求される」といったこともあるかもしれません。孫に遺産を相続させたいと考えているなら、まずは親族へ相談しましょう。
遺留分を確認し、「侵害しない範囲で遺贈や生前贈与を行う」「事前に相談して意向を聞いておく」など、被相続人からほかの相続人への配慮が重要です。できるだけ相続人みんなが満足できるような分配方法を検討してみましょう。
相続税が多くなる可能性がある
遺贈や養子縁組による孫への相続は、相続税額2割加算が適用されることが定められています。これは、配偶者と一等親以外の者が相続する場合において、本来の税額から2割加算されるというものです。
代襲相続や養子縁組により孫が相続した場合、2割増しの相続税を支払わなくてはなりません。相続額が少ないのであればそれほどの負担ではありませんが、相続財産が多い場合は、生前贈与などの方法も検討してみるといいでしょう。
孫の負担にならないよう、相続や贈与により、孫が支払う必要がある相続税や贈与税については、事前に確認しておくのがベストです。
状況により適切な方法を選択しよう
孫に遺産を相続する方法はいくつかありますが、どの方法を取るにせよ、親族と話し合う必要があるでしょう。どの方法を選ぶべきかは、状況によって異なります。
お孫様への遺産相続を検討されている方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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