更新日:2022.02.22
親名義の土地を相続したら名義変更はどうする?その方法と費用も解説
親が所有する土地を譲り受ける際、迷うポイントが「名義変更をどうするか」ではないでしょうか。土地の名義変更には所定の手続きや、まとまった費用が必要となるので、名義変更をしないという選択をする方もいます。しかし、そのままでは将来的に困ってしまうケースも考えられるのです。この記事では、親名義の土地を相続する際に名義変更が必要かどうかを解説し、名義変更の方法や費用についてご紹介します。
- 土地の名義変更が行われるケースには「相続」「贈与」「財産分与」「売買」がある
- 相続した土地の名義変更は2022年現在、必須ではないが、法改正により2024年4月1日からは必須となる
- 土地の名義変更をしないでいるとトラブルの原因となったり、売買・賃貸時に不都合が生じたりする
土地の名義変更が必要なケースをチェック
土地の名義変更とは、所有権移転登記、つまり所有者を変更することです。登記簿は法務局で管理されていて、土地の所有者が変わる場合は登記申請が必要となります。まずは、どのようなケースで土地の名義変更が行われるのか整理していきましょう。
名義変更を行う4つのケース
- 土地を相続する場合
- 土地の贈与を受ける場合
- 土地の財産分与をする場合
- 土地を売買する場合
名義変更をするケースは4パターンあります。親子間での名義変更の代表的な例は、土地の相続が発生した場合や土地の贈与を受ける場合でしょう。また、土地の売買や土地の財産分与を行う際も、名義変更をします。
土地の所有者に変更がある場合は名義変更をするのが通例ですが、実は不動産の名義変更は2022年現在、義務化されていません。たとえば、親から土地の相続があった場合、必要に応じて相続税は納める義務がありますが、土地の名義は変更せずにそのままにしておく、ということも可能となります。
親と同居していて相続後もそのまま住み続ける場合など、現状に影響がない場合は名義変更を急いで行わないケースもあるのです。しかし、それではいざというときに不都合に感じるケースや、トラブルの元となってしまうケースもあります。
名義変更は面倒に感じても、現状に即して早めに手続きを行うのがおすすめです。また、「民法等の一部を改正する法律」と「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」の改正により、相続時の名義変更(相続登記)については2024年4月1日から義務化されるので覚えておきましょう。法改正の内容が施行されると、相続登記を怠った場合、罰則の対象となります。
名義変更の際の注意点
ここからは、親の土地を相続して名義変更をする際の注意点を確認していきましょう。
土地を相続して名義変更する際は相続人の年齢や二次相続に注意
亡くなった親の土地を相続して名義変更する際、誰が相続するかは重要な検討ポイントです。たとえば、父・母・子二人の4人家族で、亡くなった父名義の土地を相続する場合で考えてみましょう。
相続人の年齢や体調を考慮することは大切
高齢で亡くなった父の土地を、配偶者である母が相続することを検討しているとします。この場合、母の年齢や体調を考慮した判断が必要です。母が土地を相続すれば兄弟間の相続争いの心配などはありませんが、その後に母が認知症などで判断能力を失ってしまった場合、土地の売買や賃貸などの法律行為ができなくなってしまいます。
たとえ母が認知症でも、土地の名義人でない子は土地の売買や賃貸について契約を交わすことはできません。相続時に相続人を決定する際は、年齢や体調も考慮することが大切です。
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二次相続によるコスト増に注意
母が父から土地を相続した後に亡くなってしまった場合は、再度相続が発生します。このようなケースで、父の土地を母に相続することを「一時相続」、その後に母から子に相続が発生することを「二次相続」といいますが、二次相続では相続にかかわる費用が高くなってしまうことがあるので注意が必要です。
一時相続と二次相続では相続税の負担が異なる場合がある
一時相続で父の土地を配偶者である母が相続する場合の相続税は、基礎控除が4,800万円(3,000万円+3人×600万円)となり、配偶者の税額の軽減特例も受けることができるので、負担が少なく済みます。
しかし、母から子に土地の相続が発生する二次相続では、基礎控除が4,200万円(3,000万円+二人×600万円)となり、配偶者控除が適用されません。子が独立している場合は小規模宅地等の特例も適用されません。
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登記に関わる費用も2度発生する
一次相続、二次相続それぞれで登記申請が必要となるため、登録免許税や司法書士への報酬といった費用が2度かかることになります。
相続する土地の規模や評価額にもよりますが、二次相続になることでコストが増える可能性があることも考慮し、相続人をどうするか決める必要があるでしょう。
名義変更しない場合の注意点
前述のとおり、土地の所有者である親が亡くなっても、土地の名義変更をせずに住み続けることは可能です。しかし、名義変更しないままで暮らしていると、身内で突如として土地を巡るトラブルが発生することがあります。また、親の名義から名義変更していない場合、土地の売却契約や賃貸契約なども子の判断で結べません。
相続時に身内で話がまとまらず、名義変更をしないまま土地が身内での共有持ち分となってしまった場合も注意が必要です。このケースで身内が亡くなった場合などは、土地の相続人が身内の配偶者やその子にまで広がり、収拾がつかなくなってしまうこともあります。
2024年4月1日以降は、相続登記による名義変更を行わないでいると罰則の対象となる場合もあるので、気をつけてください。
親名義の土地を名義変更する方法と費用
土地の名義変更の必要性を確認した後は、親名義の土地を名義変更する際の方法と費用をご紹介します。
土地の名義変更の方法
まずは土地の名義変更の流れを簡単に解説していきます。
遺産分割協議書を作成
親の土地を相続する際、相続人が複数いる場合は遺産分割協議を行い土地の名義人を決定し、結果をまとめた遺産分割協議書を準備する必要があります。遺産分割協議書には、すべての相続人の署名と実印での押印が必要です。
相続登記で土地の名義変更をする
土地の名義人が決定したら、法務局で相続登記を行います。親の土地の名義を変更する手続きです。直接法務局へ足を運べない場合は郵送も可能です。
【必要書類】
・登記申請書
・相続関係説明図
・遺産分割協議書
(相続人全員の実印を押印)
・あれば遺言書
・被相続人の戸籍謄本および除籍謄本
(生まれてから死亡までのつながりがわかるもの)
・被相続人の住民票または戸籍の付票
・被相続人の固定資産税の評価証明書
・相続人の戸籍謄本または抄本
(相続人が複数の場合は全員分)
・相続人の住民票
(相続人が複数の場合は全員分)
・相続人の印鑑証明書
(相続人が複数の場合は全員分)
自分自身で手続きすることも可能ですが、心配な場合は司法書士へ依頼しましょう。
名義変更で必要な費用(登記費用)とは
土地の相続登記で名義変更を行う際に必要な費用は、登録免許税と司法書士への報酬です。土地の評価額が相続税の基礎控除額を上回る場合は、相続税も必要となります。
登録免許税
相続登記の申請の際は、登録免許税として登記申請書に印紙を貼りつけて提出します。
<登録免許税の額>
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
※固定資産税評価額は、固定資産税通知書に記載されている額です。
※土地とともに建物も名義変更する場合は、評価額の合計額をベースに登録免許税を計算します。
司法書士への報酬
相続登記手続きを自身でする場合は必要ありませんが、司法書士へ依頼する場合は報酬が必要です。司法書士への報酬金額は依頼事務所や依頼した業務内容により異なりますが、一般的には5万円~10万円と言われています。
相続税
相続財産である土地の評価額が相続税の基礎控除額の範囲を超えている場合は、申告と納税が必要です。相続税は、土地以外の相続財産すべてを含めて一人当たりの相続税額を算出し、相続税の基礎控除額「3,000万円+法定相続人一人あたり600万円」を差し引いて求めます。
親名義の土地を相続する際の相続税額は、相続する人により異なります。誰が親名義の土地を相続するかは、配偶者特例や小規模宅地等の特例対象になるかどうかや、状況などを考慮して慎重に検討していきましょう。
親名義の土地を相続する場合は早めに名義変更を
親名義の土地を相続する場合、現段階において名義変更は義務ではありません。しかし、後々のトラブルを避けるため、また売買契約などをスムーズに行えるようにするため、できるだけ早めに相続登記をして名義変更するのがよいでしょう。
土地の相続に関して詳しく知りたい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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