- 不動産の共有とは、一つの不動産を複数人で所有すること
- 不動産を共有名義とするメリットは、支出が抑えられること
- 不動産の共有持分は、他の共有者にとって非常に価値があり、必要となるもの
不動産の共有
不動産を共有している、あるいは、共有名義になっているという話を聞くことがあると思います。
共有とは、不動産を含む、一つの物を複数人で所有することをいいます。
不動産の共有自体は、誰にでも起こりうる、非常に身近なことです。 例えば、両親が亡くなってしまい、相続が発生した結果、自分の意思とは関係なく、自分と兄弟たちが実家の不動産を共有しているという事態も発生します。
ただ、複数人で不動産を所有している、共有名義という言葉は分かるけれども、実際はどういうことなのか分からない方も多いと思います。 そこで、はじめに「不動産の共有がどのようなものなのか」について解説します。
不動産の共有とはどんな状況か?
不動産の共有とは、どのような状況なのでしょうか。
複数人が一つの不動産を所有しているということになると、不動産を持ち合っている人たち(共有者や共有持分権者、共有名義などということもあります)との間で利害調整が必要となります。
この利害調整に関し、民法では、保存行為(共有物の現状を維持するための行為)、管理行為(共有物の性質を変えない範囲で、利用または改良を目的とする行為)、変更行為(共有物の形や性質に変更を加える行為)を定めています。
簡単に言うと、保存行為<管理行為<変更行為の順番で、他の共有者に及ぼす影響が大きくなっていく事項とされています。 そのため、保存行為は共有者単独で行うことができる、管理行為は共有物の過半数を持つ共有者で行うことができる、変更行為は共有者全員の同意が必要とされています。
それぞれの行為の例は、以下のとおりです。
- 保存行為:共有物の修理、不法占有者に対して退去を求めること
- 管理行為:民法252条4項に定める短期の賃貸借等(例えば、建物の賃貸借契約は3年以内とされています)。ただし、他の共有者に及ぼす不利益の内容や事情等によっては管理行為ではなく、変更行為とされることがあります。
- 変更行為:共有建物の増改築
- 保存行為:共有物の修理、不法占有者に対して退去を求めること
- 管理行為:民法252条4項に定める短期の賃貸借等(例えば、建物の賃貸借契約は3年以内とされています)。ただし、他の共有者に及ぼす不利益の内容や事情等によっては管理行為ではなく、変更行為とされることがあります。
- 変更行為:共有建物の増改築
このように、不動産の共有は、共有者間で、それぞれ利害を調整しなければならない状況になります。
不動産を共有するメリット・デメリット
不動産の共有がどのような状況かを押さえたうえで、不動産を共有名義としておくことのメリット・デメリットを見ていきましょう。
不動産を共有するメリット
不動産を共有名義とするメリットは、支出が抑えられることです。
1人では購入できない不動産でも、2人の共有名義であれば購入できることがあります。
不動産の修繕や賃借人が退去した後の原状回復が必要となった場合などの支出も、共有名義人の持分に応じた負担になります。 また、自宅を購入する場合などは、住宅ローン減税(例えば、夫婦それぞれが住宅ローン減税を受けられる)や譲渡所得の特別控除(自宅の場合には3,000万円まで譲渡益が非課税となる扱いがあり、夫婦それぞれが受けられる)などのメリットもあります。
不動産を共有するデメリット
デメリットは、上記でも説明したとおり、共有者1人ではできないことがあるという点です。
例えば、第三者に不動産を賃貸したいと考えた場合でも、30%の共有持分しか持っていない共有者は、1人で不動産を賃貸することができません。
また、夫婦で不動産を共有している場合においては、離婚する際に、共有名義の不動産の処分に困ることも少なくないでしょう。 例えば、夫婦のうち1人が、自宅を単独で所有することを希望していても、1人では夫婦2人分の住宅ローンの審査が通らないことがあります。 夫婦それぞれの住宅ローンの連帯債務者となっていて、離婚後も銀行との関係で連帯債務者であり続ける(連帯債務を外すことができない)ということもあります。
不動産が共有となる原因は?
不動産が共有となる主な原因は、どのようなことが挙げられるのでしょうか。
第三者同士が不動産を共有し合うということもありますが、弁護士として見てきた中では、親族又は元親族が共有者となっている事案が圧倒的に多い印象です。 上記でも例に出しましたが、夫婦が自宅を共有名義としている事案や父母が亡くなり相続が発生したことによって、兄弟間で不動産を共有している事案も多く見受けられます。
夫婦での不動産の共有の解消(売却等)は、離婚の際に問題となり、財産分与の枠内で解決することが多々あります。また、相続の場合には、遺産分割の枠内で解決することが多いです。
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持分を売却する
不動産の共有持分も財産的価値がありますので、不動産の共有持分を売却しようと思う人もいるかもしれません。
不動産の共有を解消しようと思った場合は、どのように対応すれば良いでしょうか。
実際、不動産の共有持分は共有者が単独で売却できるので、簡易な方法ではあります。
しかし、不動産の共有持分の売却はそれほど単純なことではありません。
持分のみを買い取る一般人はいない
上記でも触れたとおり、不動産を共有し合っているのは、ほとんどが親族です。 第三者と不動産を共有している事案は多くありません。
また、不動産を共有することのデメリットを知っていれば、なおさら、第三者と不動産を共有しようと思う一般人はいません。 仮に、不動産を共有することのデメリットを知らなかったとしても、抽象的に揉めると面倒だと思われ、敬遠される物件となることも予想されます。
つまり、不動産の共有持分のみを買い取る一般人は、通常はいないと思っていただいた方が良いでしょう。
持分が売れたとしても、安値で買われてしまう
上述した通り、通常、不動産の共有部分のみを買い取る一般人はいないため、不動産の共有持分を専門的に購入している不動産会社等が売却の対象となると思われます。
しかしながら、そのような不動産会社は、あくまで不動産の共有持分を安く仕入れて、何らかの形で完全な所有権を取得したうえで(例えば、残りの持分を買い取る等)、一般人に高く売却するということを考えていることが多いです。 会社の利益を考えれば、当然といえば当然ですが、不動産の共有持分を売却する側からすれば、安値でしか売却できないということになります。
さらに、不動産の共有持分といっても、過半数を超える共有持分でなければ買い取りをしないという会社もありますので、不動産の共有持分を専門的に購入している不動産会社等に売却するといっても、なかなかハードルは高いと思われます。
共有者に買ってもらう
不動産の共有持分を売却するハードルは高いという話をしましたが、不動産の共有持分に価値を感じる人がいます。
それは、自分以外の他の共有者です。
自分以外の他の共有者に、自分の共有持分を買い取ってもらうというのは選択肢となります。
持分を最も必要とするのは共有者
不動産を持ち続ける場合、共有者にとって、他の共有者が誰であるかというのは、非常に重要な事項です。 賃貸借契約をするにしても、他の共有者の同意を得なければならない場合もあり、増改築するにしても他の共有者の同意を得なければなりません。 不動産全体を売却しようと思ったときにも、当然、他の共有者の同意を得なければなりません。
不動産の共有者同士は、不動産に関連して、様々な調整を図らなければならない関係にあります。 しかしながら、共有者がいなければ、つまり、単独所有となってしまえば、共有者との煩わしい調整から解放されます。そのため、不動産の共有持分は、他の共有者にとって非常に価値があり、必要となるものといえます。
親族間の売買だと、ローンの審査が通らないことが多い
他の共有者が自分の不動産の共有持分を買い取ってくれるというのは、非常に魅力的な話です。 しかしながら、親族間の不動産売買契約の場合、銀行等の住宅ローンの審査が通らないこともあり得ます。
理由としては、第三者間での売買と異なり、売買代金が適切に設定されなかったり、売買代金が適切に授受されなかったりということが起こり得るためです。 より悪い例でいえば、親族間の不動産売買契約の形をとって、銀行等から住宅ローンを借り入れ、金銭を他の目的に使用するということも起こらないわけではありません。 そういった事情もあり、銀行等は、親族間の不動産売買契約への融資に慎重になります。
離婚や遺産分割での例
離婚や遺産分割でも、共有者、つまり他の親族に買い取ってもらうことはよくあります。
離婚と遺産分割に関し、少し例を挙げて確認してみましょう。
離婚での例
夫と妻には、財産分与の対象財産として、5,000万円の自宅及び4,000万円の預貯金があったとします。 そして、妻が自宅を単独で取得したいと考えており、夫も、妻が自宅を単独で取得すること自体は同意しているという場合を仮定します。
この例において、妻が自宅を単独所有とし、夫が4,000万円の預貯金を取得したうえで、妻が夫に対して500万円を支払うことで、財産分与の合意をするということがあります(夫婦それぞれが4,500万円ずつ取得)。
なお、この場合において、妻が夫に支払う500万円のことを「代償金」と呼んでいます。
遺産分割での例
次に、遺産分割に関し、次の例で考えてみます。
母が亡くなり、母の遺産として、5,000万円の自宅及び4,000万円の預貯金があったとしましょう。 相続人は、母の子どもである長女と長男の2人(法定相続分はそれぞれ50%ずつ)がいるとします。 そして、長女が母の自宅を単独で取得したいと考えており、長男も長女が母の自宅を単独で取得すること自体は同意している場合を仮定します。
この例においても、長女が母の自宅を単独所有とし、長男が4,000万円の預貯金を取得したうえで、長女が長男に対して500万円を支払うことで遺産分割の合意をするということがあります(長女、長男それぞれが4,500万円ずつ取得)。 なお、この場合において、長女が長男に支払う500万円を、離婚の場合と同様に代償金と呼んでおり、不動産について「代償分割した」などといいます。
共有者と一緒に売る
他の共有者との関係や、他の共有者が不動産を必要としているか否かといった事情は様々です。 他の共有者との関係が悪ければ、共有している不動産を調整しながら売却するのは困難なこともあるでしょう。 また、他の共有者が不動産を必要としている場合には、一緒に不動産を売却することは困難です。
しかしながら、自分も他の共有者も不動産を必要としていない場合には、一緒に不動産を売却するということは、非常に良い選択肢であると考えられます。
共有者と一緒に売れば、持分のみの価格に比べて価値が上がる
上述したとおり、不動産の共有持分は、共有持分だけでは価値が低いと言わざるを得ません。 ニーズがないため仕方ないのですが、例えば、不動産全体では5,000万円の価値があっても、50%の共有持分だけでは2,500万円にはなりません。
しかしながら、他の共有者と一緒に不動産全体を売却することができれば、5,000万円で売却することができ、50%の共有持分は2,500万円の価値になります。 つまり、他の共有者と一緒に不動産全体を売ることができれば、不動産の共有持分のみの価格に比べて、その価値が上がるということになります。
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ローンの心配はしなくても良い
不動産の共有持分を他の共有者に買い取ってもらう場合、親族間の不動産の売買契約では買主となる共有者の住宅ローンの審査が通らないことがあるという話をしました。
しかしながら、共有者全員で不動産全体を売却する場合は、共有者の中に買主となる人がいませんので、住宅ローンの心配はいりません。 住宅ローンの審査が通らず、売買契約ができないといったこともありませんので、大きなメリットであると思われます。
離婚や遺産分割での例
離婚や遺産分割でも、共有者と一緒に第三者へ不動産を売却することはよくあります。
離婚と遺産分割で、例を挙げて確認してみましょう。
離婚での例
夫と妻には、財産分与の対象財産として、5,000万円の自宅(夫婦共有)があったとしましょう。 そして、夫婦ともに、自宅を売却したいと考えているというケースです。
この例においては、夫婦で自宅を一緒に売却し、売却代金から住宅ローン及び諸費用を控除した残額を2分の1ずつ取得するという財産分与の合意をすることがあります。
この場合、夫婦の不動産の共有関係を解消する(売却)とともに、ペアローン等における連帯債務者や連帯保証人の関係も解消することができます(離婚後も、元夫や元妻の債務を保証し続ける必要がありません)。
遺産分割での例
母が亡くなり、母の遺産として、5,000万円の自宅があったとしましょう。 相続人は、母の子どもである長女と長男の2人(法定相続分はそれぞれ50%ずつ)がいるとします。 そして、長女も長男も、母の自宅を売却したいと考えている場合です。
この例においても、長女と長男が母の自宅を一緒に売却して、売却代金から住宅ローン及び諸費用を控除した残額を2分の1ずつ取得するという遺産分割の合意をすることがあります。
遺産の価値のうち、不動産が大半を占める事案や亡くなった人(被相続人)が地方に在住していて相続人には必要のない不動産である場合などには、上記のような合意をすることが多いです。
共有不動産の売却の手順や必要書類
ここまで、不動産の共有持分を共有者に買い取ってもらう、共有者と一緒に不動産全体を売却するといった話をしてきました。 では、実際に不動産を売却する場合、どのような手順が必要で、必要な書類はどのようなものになるのでしょうか。
大まかな手順や流れ
不動産を売却する大まかな手順や流れは、次のとおりです。
- 買主候補者を探す
- 買主候補者が不動産を内見する
- 買主候補者による買い取りの希望。
買主候補者がローンの仮審査を通す。 - 不動産の売買に当たっての重要事項を説明し、売買契約の締結。
買主から売主への手付金の交付。 - 残代金の決済。登記手続。不動産の
引き渡し。
- 買主候補者を探す
- 買主候補者が不動産を内見する
- 買主候補者による買い取りの希望。
買主候補者がローンの仮審査を通す。 - 不動産の売買に当たっての重要事項を説明し、売買契約の締結。
買主から売主への手付金の交付。 - 残代金の決済。登記手続。
不動産の引き渡し。
なお、他の共有者に対して自分の不動産の共有持分を売却する場合には、上記①②は不要となります。 また、仲介会社と仲介契約をすれば、上記の手続のほとんどについて対応をしてくれます。
必要な書類(権利関係)
不動産の売買に必要な書類を挙げればきりがありませんが、ここでは、不動産の所有権の移転に焦点を当てて話をします。 そのうえで、特に必要となる書類は、次のとおりです。
売買契約書 | 売主から買主に不動産の所有権が移転することを合意する書面です。その他、売買代金や条件等の重要な事項が記載されています。仮に、不動産の売買契約に関する争いが生じた場合、どのような合意をしたのかという点で非常に重要な証拠となります。 |
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重要事項説明書 | 宅地建物取引業法35条に定められている書面です。実務上は、ほとんどの不動産売買契約に仲介会社が入っており、不動産の売買契約の前に宅地建物取引士によって説明がなされます。売買の対象となる不動産そのものの内容、権利関係、法令に基づく制限、ハザードマップによる説明等、建物の性能評価、インフラのことなどが記載されています。 |
確定測量図 | 売買対象が土地である場合、隣地との間の境界がきちんと確認できているかは重要な事項です。確定測量図があれば、隣地ときちんと境界を確定できていることを確認することができ、隣人と境界で揉める可能性は低いといえます。 |
物件状況報告書や 付帯設備表 |
中古の不動産を売買する場合など、物件内にどのような設備が設置されているのか、その設備の状況はどのようなものかを売主が買主に説明します。その際に用いられるのが物件状況報告書や付帯設備表です。例えば、売主が買主に対して、建物内に床暖房が設置されており、作動すると説明したにもかかわらず、床暖房が壊れていたなどの問題が起きた場合には、非常に重要な証拠となります。 |
必要な書類(登記関係)
不動産の売買契約に当たり、登記手続も非常に重要な手続きです。
不動産の売買に関する登記関係で必要となる主な書類は次のとおりです。 なお、実務上は、登記関係については司法書士が対応してくれます。
委任状 | 司法書士が買主売主双方から登記手続の委任を受けたことを証明する書面です。法務局に登記申請をする際にも必要なものとなります。 |
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登記識別情報 | 登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組み合わせからなる12桁の符号で、不動産の登記名義人となった申請人に通知されるものです。登記手続において、本人確認方法のために用いられます。少し古い時期に登記手続をしている場合には、登記済証や登記済権利証となります。 |
固定資産評価証明書 | 登記申請の際、登録免許税という税金を納めます。その税額の確認等のために必要となります。 |
住民票や戸籍の附票 | 登記上の住所は、住民票と一致させる必要があります。不動産登記上の住所と住民票上の住所が異なっている場合、一致させる必要があり、その確認や手続のために必要となります。 |
印鑑登録証明書 | 不動産の売主の印鑑登録証明書が必要となります。 |
登記原因証明情報 | 登記申請の原因となる権利関係の移転を証明する情報のことです。不動産の売買契約の場合には売買契約書が該当しますが、実務上は、登記のために簡易な合意書を作成して登記申請に使用することも多くあります。 |
裁判での解決
離婚や遺産分割で不動産の共有関係を解消しなかった場合や、第三者との協議で不動産の共有を解消できないときには、どのように解決すれば良いのでしょうか。
このような場合は、裁判で不動産の共有関係を解消するしかないと考えられ、裁判は「共有物分割請求訴訟」と呼ばれます。 裁判が必要となった場合には、弁護士等の専門家にご相談いただくのが一番良いと考えられますので、ここでは、その概要をお伝えします。
共有物分割請求訴訟は、不動産の共有の解消等を目的とする裁判で、現物分割、価格賠償、競売のいずれかの方法で不動産の共有関係を解消する判決を出すこととなります。 なお、当事者間の合意があれば、裁判の途中で和解による柔軟な解決も可能です。
以下では、現物分割、価格賠償、競売がどういった内容であるかを説明します。
現物分割 | 土地などを共有者の持分割合に応じて、実際に分ける方法です。例えば、共有者がそれぞれ50%ずつの共有持分を有している500㎡の土地を250㎡ずつに分けるという方法です。 ただし、建物やマンション等は現物分割できず、土地であっても、現物分割をすると利用できない状態になる場合などは、現物分割による解決にはなじみません。また、現物分割において土地等を実際に分割する際、利便性等を考慮して、実際の土地の面積等が異なる(面積よりも価値を分けるというイメージ)こともあります。 |
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価格賠償 | ある共有者が他の共有者の持分を実質的に買い取る形で、不動産の共有関係を解消する方法です。共有者に自分の不動産の共有持分を買い取ってもらう、離婚の財産分与において代償金を支払い他の共有者の共有持分を取得する等、遺産分割における代償分割とほぼ同じような解決方法です。 |
競売 | 現物分割、価格賠償による解決が難しい場合は、裁判所が判決で競売を命じ、 その売買代金を不動産の共有持分に応じて分けるようにすることができます。 |
共有物分割請求訴訟では、最終的には、現物分割、価格賠償、競売のいずれかの方法で解決することになりますが、和解により上記方法の組み合わせで解決したり、共有者全員で不動産全体を売却して解決したり(実質や結論は、競売と同じですが、共有者全員が任意に売却する方が高値で売れる傾向にあります)といった方法もあります。 ただし、和解での解決は、共有者全員が合意する必要があります。
共有物分割請求訴訟では、自分が希望した解決方法とはならない可能性も十分にあり得ます。
その点を考慮して、手続を進めていくことも重要であると言えます。
まとめ
本記事では、不動産の共有がどのような状態か、不動産の共有をどのように解消(売却等)すれば良いのか、共有名義の不動産を売却する際の必要書類等を解説しました。
この中で最も重要なのは、不動産の共有の解消(売却等)の方法です。 不動産の共有を解消すべく“優先順位”を下記にまとめます。
①共有者への売却
不動産の共有持分の売却であるものの、価値が減じません。 また、買主を自身で探す負担もなく、仲介会社が入らなくとも対応ができることが多いので、諸費用を抑えることもできます。 買主となる他の共有者のローンの問題や関係性に問題がないのであれば、一番に検討すべき方法です。
②他の共有者と一緒に売却
共有者に共有持分を買い取るだけの資力がない場合や、共有者全員が不動産を売却することに同意している場合などに検討すべき方法です。 不動産の共有持分の価値が減じない、購入資金の調達やローン審査の心配がないというメリットがあります。 ただし、買主を探す負担や仲介会社への仲介手数料の支払などの諸費用の負担は発生します。
また前提として、共有者のうち1人でも不動産の売却に反対した場合には、この方法は選択できません。
③裁判による解決
協議によって共有者への売却や、他の共有者と一緒に不動産を売却できない場合には、裁判による解決を検討するのが良いでしょう。
判決では、現物分割、価格賠償、競売の方法での解決となりますが、実務上は、判決よりも和解による解決の方が多いです。 また、裁判によって解決する場合、弁護士が間に入ることが一般的で、弁護士が利害関係を把握し、依頼者にアドバイスをすることなどにより、共有者のみによる協議よりも穏当で柔軟な解決ができることも多くあります。
④持分の売却
不動産の共有持分のみを売却するのは、最終手段となります。 他の共有者と協議をすることができない、裁判をする時間的余裕がない、低額でも良いから早期に売却したいなどといった事情がある場合には、不動産の共有持分を専門的に購入している不動産会社等に売却することを検討した方が良いでしょう。
トラブル回避しながら共有名義の不動産を売却するには、信頼できる不動産会社のサポートが不可欠です。
共有名義の不動産売却を検討されている方は、下記よりお気軽にご相談ください。
弁護士
阿部 栄一郎
東京都江戸川区出身。 早稲田大学法学部、千葉大学法科大学院卒業。平成19年12月弁護士登録(東京弁護士会登録)。 都内の法律事務所を経て、平成22年より丸の内ソレイユ法律事務所(現:弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所)へ入所。 同事務所は離婚事件をはじめとした家事分野に圧倒的な強みを持つ事務所で、弁護士阿部も離婚事件の対応に多くの経験を持つ。 また、現在、同事務所の顧問先の対応などを中心とする企業法務のチームリーダー弁護士を務める。
依頼者が抱える問題点を素早く理解し、わかりやすく丁寧な説明が強みで、不動産・賃貸契約などに関するトラブル対応の実績も豊富。 不動産関連のメディアでの執筆や不動産・賃貸関連イベントでのセミナー講師経験など、その活動は多岐に渡る。
⇒阿部 栄一郎さんの記事一覧はこちら
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