- 本社ビルは単に働く場所ではなく、人材採用などにも役立つ機能がある
- 本社ビルの省エネ性能や生産性などを向上させることで、イメージアップに繋がる
- 建て替え時期は、企業の記念事業として進めることも1つの選択といえる
本社オフィスが持つ付随的な機能
本社ビルのメイン機能は“従業員の働く場所”ですが、本社ビルには働く場所以外の役割も存在します。 最初に、本社オフィスが持つ付随的な機能について解説します。
住所そのものがブランドイメージを作ることも多い
本社ビルは、建物だけでなく、立地(住所)そのものがブランドイメージを形成することも多いです。 たとえば、アパレル系の企業であれば、銀座や青山、代官山などに本社があると、それだけでイメージアップに繋がります。
和菓子や漬物などを販売する企業であれば、京都に本社があると良いブランドイメージが形成されることも多いです。 オレンジジュースや煎餅などの食品を販売する企業は、原材料の生産が盛んな産地に本社があるとイメージアップになります。
立地の影響は業種や業態によっても異なりますが、本社がどこにあるかは企業ブランドを形成する要因の一つとなっています。
人材の採用に役立つ
本社ビルの存在は、人材の採用にも役立ちます。
本社の見栄えが優れていると、就職活動で訪れた学生などの就労意欲が湧くためです。
近年は、若年層の人口が減少しており、どの企業も採用が難しくなってきている状況ですが、本社ビルが「こんな会社で働いてみたい」と思えるような構えになっていれば、人材の採用もしやすくなります。 また、本社ビルが働きやすい環境になっていれば、従業員の離職防止にも繋げることができるでしょう。
投資を呼び込む力も生む
本社ビルは、建て方次第で投資を呼び込む力も秘めています。
CO2削減に配慮した省エネ型のビルを建てれば、ESG投資(環境・社会・ガバナンスの3つの観点から企業を評価して行う投資)を呼び寄せることも期待できます。
近年は、世界的な地球温暖化を背景に、企業が地球環境に配慮した経営を行っていないと投資家から見限られる可能性が出始めています。
本社ビルは、地球環境に配慮していることを対外的にアピールしやすいアイテムです。 最先端の省エネ型ビルを建てることで、地球環境に配慮した経営姿勢であることを将来に渡り示すことができます。
イメージアップに繋がる計画の5つのポイント
この章では、イメージアップに繋がる計画のポイントについて解説します。
①省エネ性能を高める
ブランドイメージを向上させる本社ビルを建てるには、省エネ性能を高めることがポイントです。 最近では、ZEB(ゼブ:Net Zero Energy Building)と呼ばれるビルも登場し、省エネビルも普及し始めています。 ZEBとは、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
イメージ向上のためには、本社の建て替えによってCO2を何パーセント削減できたかという定量的な数値を把握しておくことが適切といえます。
本社ビルの建て替えは、新聞などにプレス発表することも多いです。 CO2を何パーセント削減という具体的な数値があると、投資家だけでなく一般消費者にも環境に配慮した企業であることを分かりやすく伝えることができます。
②生産性を向上させる
生産性を向上させることは、とくに働く社員に対してイメージアップに繋がる計画の一つです。 たとえば、集中して作業ができる遮音された空間の創設や、デシカント空調と呼ばれる適切な湿度に調整して供給する空調、調光可能な照明の導入などが、オフィス環境を改善する仕様として挙げられます。
また、新たな設備は、IoT化(インターネット回線を通じてモノがつながる仕組み)にすると、スマホなどで遠隔操作もできることからさらに機能的です。
③福利厚生空間を充実させる
福利厚生空間を充実させることは、人材採用や社員の離職防止に寄与します。
具体的には、打ち合わせもできるカフェテリアの設置や、従業員が仮眠を取れる休憩室の創設、従業員のためのパウダールームの設置などが挙げられます。
④BCP(事業継続計画)に対応する
BCPとは、「Business Continuity Plan」の略であり、災害時でも企業が事業を継続できるようにするための計画のことです。
具体的には、本社ビルに非常用発電機や蓄電池、防災備蓄倉庫を備えることでBCPに寄与することができます。
⑤ショールームを併設する
製造業などであれば、ショールームを併設することで商品の価値を伝えやすくなり、ブランドイメージを上げる機能を持たせることができます。
たとえば、1階をショールームとし、一般の人でも商品を見学もしくは購入できるようにすると宣伝効果も上がります。
ブランド力を上げるための本社ビル建設の3つのコツ
ここからは、ブランド力を上げるための本社ビル建設のコツについて解説します。
①竣工時期を記念の年などに合わせる
本社ビルを建て替える際は、竣工時期を記念の年などに合わせることをおすすめします。
たとえば、創立50周年や60周年といった記念の年を目指して建てるということです。
技術的な意味はありませんが、記念日に合わせると社内のコンセンサス(社員の合意や意見の一致)を取りやすいといった精神的な意味があります。
また、記念事業として建て替えを行うと、予算も確保しやすくなります。
「せっかくなので」という心理が働き、コストをかけて良い建物を建てようとする意識が働きやすいです。 従業員の士気も上がり、働く意欲を向上させることにも繋げることができます。
②社長直轄の社内横断プロジェクトチームを立ち上げる
本社ビルを建て替える際は、社長直轄の社内横断プロジェクトチームを立ち上げることが望ましいです。 社長直轄の組織にすることで、社内の意見をまとめやすくなります。
また、複数の部署から人を選出し社内横断チームとすることで、社内全体の意見を吸い上げて生産性の高いビルの設計をすることができます。
③施工会社に事例を見せてもらう
社内横断プロジェクトチームを立ち上げたら、チームのメンバーは施工会社に建設事例の見学を依頼して、ビルを研究することをおすすめします。
実際の事例を見学することで、最先端の動向や他社のアイデアを知ることができ、チームのメンバーで良いと感じたものがあれば計画に取り入れやすいため、より良い企画をまとめやすいです。 なお、先例があると、社長の了解も取りやすくなります。
まとめ
以上、本社ビルについて解説してきました。
本社ビルは働く場所以外に「住所そのものがブランドイメージを作ることも多い」ことや「人材の採用に役立つ」、「投資を呼び込む力も生む」といった付随的な機能もあります。
本社ビルによって企業のイメージアップを図るには、「省エネ性能を高める」や「生産性を向上させる」、「福利厚生空間を充実させる」などがポイントです。
本社ビル建設でブランドを上げるためには、「竣工時期を記念の年などに合わせる」や「社長直轄の社内横断プロジェクトチームを立ち上げる」、「施工会社に事例を見せてもらう」がコツとなります。
本社ビルの建て替えをお考えの際は、下記よりお気軽にご相談ください。
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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