更新日:2022.04.26
土地の名義変更は自分でできる?手続きの流れや必要書類・費用を解説
土地の売買や相続、贈与、財産分与に伴い必要となる土地の「名義変更」。この記事では土地の名義変更の概要とともに、手続きの流れや必要な準備を解説。土地の名義変更の際に注意しておきたいポイントもあわせてご紹介します。
- 土地の名義変更は土地の「売買」「相続」「贈与」「財産分与」の際に必要となる手続き
- 土地の名義変更は司法書士へ依頼せず、自身で手続きを進めることも可能
- 土地の名義変更の理由により、登録免許税の税率や、納税すべき税金の種類が異なる
土地の名義変更は、土地の売買をしたときはもちろん、贈与や相続、離婚での財産分与の際などでも行う可能性がある手続きです。 難しい手続きのように感じますが、「司法書士への報酬を考えると自分でやってしまいたい」「依頼する手間を省きたい」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、土地の名義変更の概要をはじめ、手順や必要書類について解説します。 ご自身で手続きを行うかどうか判断する際のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
自分でもできる?土地の名義変更について解説
土地の名義変更とは、土地の所有権を変更することです。この際に行われる手続きを、「所有権移転登記」といいます。土地の所有者が変わる場合は、登記簿が管理されている法務局で登記申請が必要です。
土地の名義変更が必要なケース4つ
土地の名義変更は、主に以下の4つの場合において必要となります。
- 【土地の名義変更が必要なケース】
- 土地の売買
- 土地の相続
- 土地の贈与
- 土地の財産分与
土地の名義変更が必要なシーンとして、マイホームの購入や持ち家の売却に伴い、土地の売買を行うケースを思い浮かべる方が多いかもしれません。土地の名義変更はそれだけでなく、土地の贈与や相続、財産分与の際にも必要となります。これらは、親子間など身内で名義変更を行うケースが多いのが特徴です。
土地の名義変更をしなかったらどうなる?
土地の所有者(名義)に変更があれば、名義変更をするのは自然な流れです。しかし、2022年4月現在において、土地の名義変更は義務ではありません。たとえば、相続した土地の名義を変更しないでそのままにしておくことや、購入した土地の名義をしばらく変えないでいることも可能です。
しかし、名義変更をしないことが思わぬトラブルを招くこともあります。たとえば、不動産の売買契約を結んで土地を購入した際に、名義変更手続きである「所有権移転登記」を後回しにした場合、その間にもし土地の所有者が悪意を持って別の人にも同じ土地を販売していたとしたら、土地の所有権は手にできないまま、お金だけ払ってしまったことになります。
身内同士での名義変更の場合も、油断できません。いつか名義変更しようと後回しにしている間に、土地の所有者が病気などで判断能力を失ってしまい、登記手続きが難しくなってしまうリスクも考えられます。
このような例は頻繁に起こることではありませんが、いざというときに備えて土地の名義変更は早めに行うことが大切です。
土地の名義変更は自分でできる
「土地の名義変更は司法書士に依頼するもの」と思っている方も多いでしょう。しかし、土地の名義変更は自分で行うことも可能です。必要書類の作成など手間はかかりますが、書類準備や書類提出に時間を割ける方であれば、自身で行ってみてもよいでしょう。
土地の名義変更の流れや手順を分かりやすく解説
ここからは、自身で名義変更する際の手順や必要書類をご紹介します。
土地の名義変更の流れ
土地の名義変更は、以下のような流れで行います。
【土地の名義変更の4ステップ】
1.法務局で登記申請書
(所有権移転の申請書)を取得する
2.名義変更に必要な書類を準備する
3.請書を作成する
4.法務局へ登記申請書と添付書類を提出する
登記申請書を取得しに行く法務局は、土地のあるエリアを管轄する法務局となります。スムーズに進めば、土地の名義変更が完了するまでの期間は1ヶ月ほどです。申請書や書類の作成期間が早くても、法務局の審査が完了するまでに1週間から2週間ほどかかる点は考慮しておきましょう。「登記完了証」を受け取れば、名義変更手続きは終了となります。
土地の名義変更に必要な書類
土地の名義変更で必要な書類は、名義変更の理由により異なります。
たとえば、土地の売買では以下の書類が必要です。
- 【一般的な土地の名義変更に必要な書類】
- 登記原因証明情報(売買契約書)
- 登記識別情報(登記済権利証)
- 新しい名義人の住所証明書(住民票)
- 名義を失う人の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
相続の場合は少し書類が複雑になり、以下のような書類が必要となります。
- 【一般的な土地の名義変更に必要な書類】
- 登記申請書
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書
- 固定資産評価証明書
- 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
または
戸籍の付票 - 相続人の戸籍謄本
- 相続人の住民票
- 相続人の印鑑証明書
- あれば遺言書
これらに加え、収入印紙で登録免許税を納めます。
土地の名義変更で注意すべきこと
ここからは、土地の名義変更において気をつけたいポイントをご紹介します。
登録免許税の金額に注意
土地の名義変更では、収入印紙によって登録免許税を納めます。
【登録免許税の額】
登録免許税=固定資産税評価額×税率
※固定資産税評価額:固定資産税通知書に明記されている額
ここで押さえておきたいポイントは、登録免許税の税率は名義変更の理由によって異なるということです。
- 【登録免許税の税率】
- 土地の売買……1.5%
- 土地の相続……0.4%
- 土地の贈与……2.0%
- 土地の財産分与……2.0%
※土地の売買による登録免許税の税率は本来2.0%ですが、2023年3月31日までは軽減税率の対象で「1.5%」となります。
土地の名義変更に関わる税金
土地の名義変更で土地の所有者となると、名義変更の理由別に相続税や贈与税、譲渡所得税、不動産取得税といった税金が課せられます。
相続された場合は相続税、贈与を受けた場合は贈与税、土地の売却で利益があれば譲渡所得税、土地を購入した場合は不動産取得税といったように、各種税金があるので注意しましょう。税金の種類によっては、控除や特例などがあります。
司法書士への報酬
司法書士への報酬は、土地の名義変更手続きを自身で行う場合は必要ありません。しかし、たとえば相続による名義変更など煩雑な手続きもあり、司法書士へ依頼したほうが安心なケースもあります。そういった場合は、司法書士への報酬も発生することを覚えておきましょう。報酬額は依頼事務所の報酬システムや依頼内容により異なりますが、一般的には5万円から15万円ほどと言われています。
司法書士へ依頼するほうが、自分で手続きをするよりもスムーズに名義変更手続きを進められますが、それでも審査機関などがあるため、手続き完了までは最短でも3週間ほどかかることを理解しておきましょう。
土地の名義変更は慎重に
土地の名義変更は司法書士へ依頼せず、自身で手続きを進めることも可能です。しかし、申請書や書類の準備には、それなりに時間がかかることは理解しておきたいポイントです。もし提出書類に不備があれば、書き直しなどが必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、書類の準備は慎重に行いましょう。 また、名義変更の理由により、登録免許税や名義変更に関わる税金が変わることも念頭に置きましょう。
土地の売買や相続、贈与、財産分与について詳しく知りたい方は、下記よりお気軽にご相談ください。
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