
「空き家の管理が大変」「使い道がない」「売却や活用方法がわからない」など、空き家を所有している方の多くが、このような悩みを抱えています。 しかし、空き家を放置したままにしておくと、近隣への悪影響や法的なトラブルにつながるリスクがあることをご存じでしょうか? この記事では、空き家が抱える代表的な問題点や、政府が打ち出した関連法律、具体的な解決策についてわかりやすく解説します。
- 空き家を放置すると、負担やトラブルの元になる
- 2023年の法改正で、空き家の所有者責任は一段と強化された
- 空き家の活用に悩んだら、不動産会社や専門家に相談する
「介護」「老後資金」「施設・住まい」
「相続」「老後の暮らし」などの
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空き家所有者が直面する4つの主な問題点
空き家を所有していると、さまざまな問題が発生し、所有者にとって大きな負担やトラブルの原因となる可能性があります。 ここでは、空き家が抱える代表的な問題点を、以下4つのカテゴリに分けてわかりやすく解説します。
管理の負担
空き家を適切に管理できていないと、以下のようなトラブルが発生するリスクがあります。
- 防犯、防災の不安
空き巣や放火のリスクが高まり、災害時には被害が拡大する可能性がある。 - 建物、庭の老朽化
手入れが行き届かず、倒壊・外壁落下・草木の繁茂などが発生する。 - 近隣トラブルの原因に
景観の悪化、悪臭、害獣の住みつきなど、周囲への迷惑となることもある。
経済的負担
空き家を所有することで、次のような費用的な問題も生じます。
- 維持コストがかさむ
固定資産税、光熱費、管理費などが定期的に発生する。 - 税制上の不利益
市区町村から「管理不全空家」に指定されると、住宅用地特例(固定資産税の軽減措置)が解除され、税額が数倍になる可能性がある。
相続手続きの未了
空き家が相続物件である場合、手続きが完了していないと以下のような問題が生じます。
- 相続人が複数いる、または所在不明な相続人がいる場合
相続人間で意見がまとまらなかったり、所在不明者の同意が得られなかったりすると、名義変更や売却、管理などがスムーズに行えず、空き家が放置される原因になる。 - 相続登記が行われていない場合
不動産の名義が故人のままだと、売却や賃貸、リフォームといった活用が法的に制限され、活用や管理が困難になる。
活用・処分方法が分からない
空き家を活かしたいと思っても、実際には以下のようなハードルがあります。
- 売却、賃貸が難しい地域
需要が少ないエリアでは、買い手や借り手が見つからず空き家のまま放置されがち。 - 解体、更地化の費用負担
老朽化した建物を解体するには高額な費用がかかり、経済的負担が大きい。
政府の空き家対策の内容
全国で深刻化する空き家問題に対応するため、政府は2015年に「空き家対策の推進に関する特別措置法」を施行し、2023年の法改正で、所有者責任は一段と強化されました。
主な内容は、以下のとおりです。
空き家の分類である「管理不全空家」や「特定空家」に指定される
市区町村は、空き家の状態に応じて以下のように分類し、対応を取ります。

出典:国土交通省 「空家法とは」の情報を基に、クラモア編集部が作成
- 管理不全空家
適切な管理がされておらず、将来的に特定空家になる恐れのある空き家。 - 特定空家
倒壊の危険性が高いなど、周囲に著しく悪影響を及ぼす空き家。
これらに該当する場合、所有者に対して指導や改善を求めることができるようになりました。
管理不全空家への行政措置
「管理不全空家」と判断された場合、次のような段階で行政対応が進みます。

- 助言・指導
任意の改善が求められます。 - 勧告
改善が見られない場合、市区町村からの「勧告」に進みます。 固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1の軽減措置)が解除され、税負担が大幅に増加します。
※小規模住宅用地は6倍、一般住宅用地は3倍の税額に - 特定空家への移行
状態がさらに悪化すると「特定空家」に指定され、より厳しい行政措置が取られます。
特定空家への行政措置
「特定空家」に指定された場合、以下の措置が段階的に講じられます。

- 助言・指導
任意の改善が求められます。 - 勧告
改善されない場合、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が増加します。 - 命令
勧告を無視した場合は「命令」が出され、違反すれば最大50万円以下の過料が科されます。 - 行政代執行
命令にも従わない場合、市区町村が代わりに強制的な処分(例:解体など)を実施し、その費用は義務者が負担となります。
所有者不明の空き家に対応する制度と支援体制
近年、相続手続きの未了などにより、「所有者不明の空き家」が社会問題となっています。 こうした空き家の放置を防ぎ、地域の安全や景観を守るために、以下の制度や支援体制が整備されています。
- 財産管理人制度
所有者の所在が不明な不動産については、家庭裁判所が選任する「財産管理人」が、代わりにその空き家を管理・売却・処分することができます。この制度を利用することで、第三者による適切な管理が可能になります。 - 空家等管理活用支援法人
各市区町村が指定する支援団体で、空き家の定期的な巡回・清掃・簡易補修などを行いながら、活用の可能性を探る役割を担っています。 所有者や相続人が遠方に住んでいる場合でも、こうした法人の支援により、管理の手間やコストを軽減することができます。
「空き家対策特別措置法」や行政の取組は、国土交通省の公式サイト(空き家対策特設ページ)でも確認できるので、ご参照ください。
空き家の活用方法

空き家は、放置すればするほど老朽化や劣化が進み、修繕や管理の手間・費用が増大します。 特に遠方にある実家などは手つかずの状態になりやすく、リスクが高まります。 そのため、空き家は「相続したまま放置」せず、早めに活用方法を検討することが重要です。
以下では、代表的な空き家の活用方法をご紹介します。
売却する・国に引き取ってもらう
相続した空き家を手放すなら、まずは複数の不動産仲介会社に査定を依頼して売却を検討しましょう。 なお、仲介だけでなく、直接買取に対応する不動産会社もあり、条件やスピードに応じた選択が可能です。
空き家譲渡所得の3,000万円特別控除
一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除されます。
(適用期限:令和9年12月31日まで)
空き家バンクの利用
地方の空き家など、買い手が見つかりにくい場合は、「空き家バンク」に登録することでマッチングの可能性が広がります。
相続土地国庫帰属制度
空き家を解体して更地にした上で、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。 管理できない不動産の最終的な手段として検討できます。 詳しくは、別記事「相続した山や農地は手放せる?「相続土地国庫帰属制度」の仕組みと条件を解説」で説明していますので、ご参照ください。
賃貸に出す
空き家を賃貸物件として利用すれば、収入を得ながら管理費用の軽減が可能です。
古い建物であっても、リフォームやリノベーションを施せば、賃貸需要が見込めることもあります。
建物を解体して土地を活用する
空き家が老朽化している場合は、建物を解体して更地にし、土地活用を図る方法もあります。 例えば、駐車場として貸し出す、アパートや賃貸住宅などを建築して収益化する、相続税対策として活用するなどが挙げられます。 解体費用に補助金が出る自治体もあるため、市区町村のウェブサイトや自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
なお、当メディア「クラモア」を運営している創業55年の実績があるスターツグループでも、空き家の直接買い取りをはじめ、賃貸運用、土地活用などを全力でサポートさせていただきます。 こちらのフォームより、ぜひお気軽にご相談ください。
専門家や自治体に相談する
空き家の活用に悩んだら、以下の相談先があります。
状況に応じて、相談してみましょう。
- 不動産会社や専門家
物件の状況や立地、法的条件などを踏まえて最適な活用方法を提案してくれる - 自治体の空き家相談窓口
多くの市区町村に専門窓口があり、無料で相談可能 - 空家等管理活用支援法人
市区町村が指定する支援団体で、空き家の管理・利活用をサポートしてくれる
共有者の意見がまとまらない・所在不明な場合
空き家が共有名義の場合、各共有者の意見が一致しないと、売却や活用が進められない問題が発生します。 こうした問題を解消するため、民法の改正により以下のような対処が可能となりました。
軽微な変更は「過半数の同意」で実行可能に
これまで、共有名義の空き家を管理・活用する際には、共有者全員の同意が必要でした。 しかし、法改正により、空き家の賃貸などの軽微な変更や管理行為については、共有持分の過半数の同意があれば実行できるようになりました。
例えば、「空き家を第三者に貸す」といった活用も、全員の同意を待たずに進められるため、共有者間で意見が揃わない場合でも、スムーズに活用が可能となります。 これは、特に放置リスクが高い空き家において、実務上非常に有効な措置です。
共有者が所在不明でも裁判所の手続きで売却・活用が可能に
共有者の中に連絡が取れない人や所在不明者がいる場合でも、法律に基づいた手続きを行うことで、空き家の活用や売却を進めることが可能です。 具体的には、他の共有者が地方裁判所に申し立てを行い、裁判所の許可を得ることで、以下のような対応ができます。
- 空き家を賃貸に出すなどの管理行為は、残りの共有者の過半数の同意で実施可能
- 残りの共有者全員の同意で、大規模なリフォームや宅地への転用などの変更行為が可能
- 所在不明の共有者の持分を取得したり、その持分を含めた不動産全体を売却することも可能(※ただし、取得する持分に相当する金額を法務局に供託する必要があります)
この制度により、共有者の所在不明が空き家活用の障壁となっていたケースでも、法的に対応可能となり、空き家問題の解決に向けた一歩を踏み出しやすくなっています。
空き家の遺産分割協議が長年行われず、相続手続きができていない場合
相続手続きができていない空き家は、売却や賃貸、その他の活用も一切できません。 特に遺産分割協議が長期間行われていないケースでは問題が複雑化しがちです。こうした状況を解消するため、民法が改正され、「被相続人の死亡から10年を経過した後にする遺産分割は法定相続分又は遺言書による指定相続分によって画一的に行う」という新たなルールが導入されました(新民法258・262・898・904条)。
詳しくは、別記事「不動産の相続で注意すべき点は?知っておきたい法改正(その2)」で説明していますので、ご参照ください。
また、相続人の中に所在や氏名が不明な人がいる場合でも、裁判所の決定により、共有者はその不明相続人の不動産の持分を、その価額に相当する額の金銭を供託した上で取得することが可能になりました。 これにより、空き家の名義を整理し、活用・売却への第一歩を踏み出すことができます。 空き家を放置せず、早期に相続や名義の整理を行うことが、トラブル回避と活用の鍵です。
まとめ
空き家は、放置すればするほど老朽化や管理不全、トラブルのリスクが高まります。 行政から「特定空家」に指定されると、指導や命令の対象となることもあるため、早めに対応策や活用方法を検討することが重要です。
空き家を売却する・賃貸に出す・解体して土地活用するなど、状況に応じた選択肢があります。
相続や共有名義などで悩んでいる場合は、下記よりお気軽にご相談ください。
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