- サナエノミクスの経済政策における基本方針は「責任ある積極財政」
- 住宅ローンや不動産投資ローンの金利上昇につながる「利上げ」には慎重と考えられる
- 外国人による投機的な不動産取得は規制する方針
高市早苗氏、第104代首相に選出(2025年10月21日)
2025年10月21日、自民党総裁の高市早苗氏が日本の第104代内閣総理大臣に選出されました。 これは、石破内閣の総辞職を受けて行われた首班指名によるものです。 高市氏は憲政史上初の女性首相となります。
▼自民党総裁選から首相指名までの流れ
- 10月4日:自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出(決戦投票で小泉氏を破る)。
- 10月10日:公明党が連立離脱を表明。 26年続いた自公連立が終了。
- 10月20日:自民党と日本維新の会が連立政権樹立に合意。 議員定数削減や副首都構想、食品消費税率0%検討などを盛り込む。
- 10月21日:衆議院で高市氏が237票を獲得し過半数を確保。 参議院では決選投票で125票を得て首班指名をクリア。
高市新政権の経済政策「サナエノミクス」の全体像
高市首相は、安倍晋三元総理大臣と深い関係があることから、その経済政策は「アベノミクス」になぞらえ、「サナエノミクス」と呼ばれることがあります。 ここでは、その全体像を解説します。
サナエノミクスとは
「サナエノミクス」とは、高市首相が掲げる経済政策の名称です。
この言葉は、2021年に高市氏が初めて自民党総裁選に出馬した際に出版した著書『美しく、強く、成長する国へ』で登場しました。 同書では「ニュー・アベノミクス」路線を打ち出しており、第二次安倍内閣の「アベノミクス」を継承しつつ、現状に合わせて発展させる方針とされています。
アベノミクスでは「3本の矢」として「大胆な金融緩和」・「機動的な財政出動」、「民間活力を引き出す成長戦略」の3つが掲げられました。
責任ある積極財政
高市首相は、就任後初の所信表明演説で「責任ある積極財政」を掲げました。 積極財政とは、政府が積極的に財政支出を行い、国民生活や経済を支える政策のことです。
これに対し、反対の概念が緊縮財政であり、日本では1997年頃、バブル崩壊後に緊縮財政が実施されました。 その結果、「失われた30年」と呼ばれる長期的な成長停滞の一因になったと指摘されています。
一方で、積極財政を進めるには財源が必要です。 活発な財政支出には国債発行など借金を伴う場合があり、失敗すれば財政赤字が膨らむリスクがあります。 そこで高市首相が打ち出した「責任ある積極財政」とは、放漫に経済政策を行い、いたずらに財政赤字を拡大させないという意味が込められていると考えられます。
サナエノミクス3本の矢
高市早苗首相の掲げる「サナエノミクス(ニュー・アベノミクス)」では、アベノミクスの3つ目の矢である「民間活力を引き出す成長戦略」を「大胆な危機管理投資・成長投資」に置き換えています。
▼アベノミクスの3本の矢
- 大胆な金融緩和
- 機動的な財政出動
- 民間活力を引き出す成長戦略
▼サナエノミクスの3本の矢
- 大胆な金融緩和
- 機動的な財政出動
- 大胆な危機管理投資・成長投資
サナエノミクスの3本目の矢に登場する「危機管理投資」とは、経済安全保障や食料安全保障、健康医療安全保障や国土問題など、将来起こりうるさまざまな危機に対して適切に投資を行い、リスクを最小化する取り組みです。
一見、防災や防衛産業への投資に限定されるように見えますが、実際にはAIや先端技術、アニメやゲームなどのコンテンツ産業への積極的な投資も含まれています。 こうした分野に投資することで、日本の強みを活かし、強固な経済基盤を築き、将来のリスクを最小化することが狙いです。
【考察】高市新政権が不動産価格にもたらす「サナエノミクス」の影響

最後に、高市新政権が掲げる経済政策「サナエノミクス」が、日本の不動産市場にもたらす影響を考察します。
利上げには慎重
高市首相は「責任ある積極財政」を打ち出していることから、利上げには慎重な姿勢を取る可能性が高いと考えられます。 利上げが実施されると、住宅ローンや不動産投資ローンの金利が上昇し、購入意欲が低下することで不動産価格の下落要因となります。 また、利上げによって日本と海外の金利差が縮小すると、円高が進む可能性があります。
円高が進行すれば、これまで円安を理由に日本の不動産に投資していた海外投資家の動きが鈍化し、結果として不動産価格の下落につながることが予想されます。
ただし、高市新政権においても、経済状況次第では利上げが行われる可能性は否定できません。 今後の金融政策の動向を注視する必要があります。
外国人による投機的な不動産取得を規制する可能性がある
近年、外国人による投機的な不動産取得が問題視されています。
例えば、山林を購入して木を伐採し、大規模な太陽光発電システムを設置するケースはニュースでも取り上げられています。 こうした行為は、自然破壊や景観の悪化を招くだけでなく、太陽光発電の売電価格が他の電力利用者の電気料金に上乗せされるという問題も指摘されています。
高市新政権では、このような外国人による投機的な不動産取得を規制する方針を打ち出しています。 規制は、長期的には自然保護や地域の健全な発展に寄与するため、歓迎する声が多いでしょう。
しかし、不動産市場の観点では、海外マネーの流入が減少することで、不動産価格の下落要因となる可能性もあります。
積極財政により不動産価格が緩やかに上昇する可能性がある
高市政権が掲げる「責任ある積極財政」は、景気回復を目的に政府が積極的に財政支出を行う政策です。 景気が改善すれば、住宅や投資用不動産の需要が増え、都市部を中心に不動産価格が緩やかに上昇する可能性があります。 ただし、注意すべき点は下記の通りです。
- 日本全体では人口減少が進行中。 都市部では価格上昇が見込まれる一方、地方では人口減少により価格下落リスクが残る。
- 現在すでに都市部の不動産価格は高騰しており、追加の上昇余地は限定的との見方もある。
- 日銀の金融緩和継続により、住宅ローン金利は低水準を維持する可能性が高いですが、長期的には金利上昇リスクも考慮が必要。
将来的に不動産売却や購入を検討している場合は、政策だけでなく、過去の市場動向や需給バランス、金利動向を総合的に判断することが重要です。 早めに不動産会社や専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ
本記事では、高市新政権の経済政策「サナエノミクス」と、不動産市場への影響について解説しました。
サナエノミクスの基本方針は「責任ある積極財政」にあり、景気が回復すれば、不動産取引の活発化や不動産価格の上昇を見込むことができます。
ただし、現時点では政策効果は不透明であり、地方では人口減少による価格下落リスクも残ります。 不動産市場は政策だけでなく、受給バランスや金利動向に左右されるため、総合的な判断が必要です。
不動産購入や売却を考えている方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
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