更新日:2025.12.15
固定資産税は令和8年1月1日時点の所有者に課税!新築住宅特例の期限と合わせて解説
固定資産税には、新築から3年~5年(認定長期優良住宅の場合は最大7年)の間、建物部分の税額を2分の1に軽減できる「新築住宅特例」があります。 ただし、この特例を適用するためには、現行制度では令和8年3月31日までに新築することが条件です。 本記事では、固定資産税の基本や新築住宅特例の内容を詳しく解説するとともに、期限を過ぎた場合にどうなるのか、さらに延長の可能性についても取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
- 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に対して課税される
- 新築住宅特例の期限は令和8年3月31日まで
- 新築住宅特例の期限については、国土交通省から延長の要望が出されている
令和8年の固定資産税はどうなる?課税日と所有者のルール
ここでは、固定資産税の課税日や所有者のルールなど、基本的なポイントを確認しながら、令和8年の固定資産税について解説します。
固定資産税とは
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に課される地方税です。
所有者に対して課税される税金のため、賃貸物件に住んでいる人は固定資産税を納める必要はありません。 一方、空き家であっても土地や建物を所有していれば、固定資産税の納税義務があります。
課税日は1月1日!所有者に対して課税される
固定資産税の課税日(賦課期日)は毎年1月1日 です。
この時点で土地や建物を所有している人が、その年の固定資産税を納めることになります。
なお、土地や建物の所有者を調べる方法としては、登記簿謄本が一般的ですが、未登記の物件であっても、所有者に対して固定資産税が課される点に注意が必要です。
固定資産税は地方税で、市町村などの自治体が徴収しますが、登記情報の確認だけでなく、実際に現地調査も行って課税対象を決定します。
売買時の負担はどう決める?
固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課されますが、年の途中で不動産を売買した場合はどうなるのでしょうか。
基本的には、その年の納税義務者は 1月1日時点の所有者(売主) です。
ただし、売買契約では、所有権移転日までを売主、移転後を買主の負担とする日割り計算が一般的です。
例えば、4月1日に所有権移転した場合、1月1日から3月31日までを売主、4月1日から12月31日までを買主の負担とするのです。
なお、こうした日割り計算は法律で定められているわけではなく、売主と買主の合意によって決められます。
新築住宅特例の期限と条件を確認
固定資産税には「新築住宅特例」という軽減措置があります。
ここでは、新築住宅特例の内容と期限や条件など見ていきましょう。
新築住宅特例とは
新築住宅特例とは、一定の要件を満たす建物について、固定資産税の納税額を2分の1に軽減できる制度です。
特例の適用を満たすための一定の要件として、主なポイントは床面積です。
- 一戸建て住宅:50㎡~280㎡
- 賃貸マンションなど:40㎡~280㎡
- 併用住宅:居住部分の床面積が2分の1以上
なお、特例を受けられる期間は、構造や性能により以下のように異なります。
- 一般の新築住宅(木造戸建てなど):3年間
- 3階建て以上の中高層耐火建築物(RCマンションなど):5年間
- 認定長期優良住宅:上記に加えて2年間延長
現行の期限は令和8年3月31日まで
新築住宅特例には、面積要件のほかに新築時期の要件があります。
現行制度では、特例の適用を受けられるのは 令和8年3月31日までに新築された住宅です。
なお、固定資産税は自治体により課税される制度のため、新築の時期の判断は自治体によって異なる場合があります。 一般的には登記日や代金決済日が目安ですが、確実に適用を受けたい場合は、事前に自治体へ確認することをおすすめします。
令和8年4月以降に新築した住宅はどうなる?
現行の法律では、令和8年3月31日までに新築された住宅のみが特例の対象です。
そのため、 令和8年4月1日以降に新築した住宅は特例を受けられない可能性があります。
特に、新築時は固定資産税評価額が最も高くなるため、特例がない場合は税負担が大きくなることが予想されます。
延長の可能性は?令和10年までの見込み
固定資産税の「住宅新築特例」は、これまで何度も期限が延長されてきましたが、今回も延長される可能性はあるのでしょうか。
国土交通省の資料によると、この特例は 住宅ストックの質を向上させることを目的に、新築住宅を建てる際の税負担を軽減するために設けられています。 平成30年時点で約13%あった「耐震性能を有しない住宅ストックの比率」は、令和5年には約10%まで減少しており、目的に対して一定の成果が出ているといえるでしょう。
さらに、国土交通省は令和12年までに耐震性能を有しない住宅ストックを5%程度まで減らすという目標を掲げています。 そのため、同省からは令和10年3月31日まで期限を2年間延長する要望書が提出されています。
これまで複数回延長されてきたこと、目標達成に向けた継続的な取り組みがあることからも、新築住宅特例の期限が延長される可能性は高いと考えられます。
固定資産税に関するよくある質問

最後に、固定資産税に関するよくある質問を見ていきましょう。
固定資産税とは何ですか?誰が支払う義務がありますか?
固定資産税は、土地や建物など不動産の所有者に対して毎年課される税金です。
賃貸物件の入居者(借主)は所有者ではないため、固定資産税を支払う必要はありません。
一方、空き家であっても土地や建物を所有していれば、固定資産税の納税義務があります。
課税の基準日(1月1日)とは?所有者が変わった場合はどうなる?
課税の基準日とは、その年の納税義務者や課税対象となる資産を決定するための基準日のことを指し、賦課期日とも呼ばれます。
固定資産税の賦課期日である1月1日時点の不動産の所有者には、固定資産税評価額に応じて固定資産税の納税者や納税額が決定されます。 年の途中で所有者が変わった場合でも、その年の固定資産税の納税者は変わりません。
ただし、実務上は売買契約で調整するのが一般的で、不動産の所有権移転日を境に、1月1日から所有権移転日までを売主、所有権移転日からその年の12月31日までを買主の負担とするという形で日割り計算されます。 これは法律で定められたものではなく、売主と買主の合意によって決められます。
固定資産税の納付方法や納期は?クレジットカードやスマホ決済は可能?
固定資産税は市町村などの自治体が徴収するため、納付方法や納期は自治体ごとに異なります。
例えば、東京都23区の場合、令和7年度の納期は以下の4回に分割されます。
- 6月30日
- 9月30日
- 1月5日(翌年)
- 3月2日(翌年)
また、東京23区ではクレジットカードやスマホ決済による納付が可能ですが、自治体によっては対応していないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
固定資産税の新築住宅特例は、現行では令和8年3月31日までとなっています。
そのため、新築を検討している方の中には「期限後はどうなるのか」と不安を感じる方も多いでしょう。
建物部分の固定資産税評価額は、築年数が浅いほど高くなるため、特例が適用されない場合は税負担が大きくなる可能性があります。 ただし、国土交通省からは令和10年まで延長する要望が出されており、まだ確定ではないものの、延長される可能性は高いと考えられます。
固定資産税をはじめとする税金は、不動産取引において大きな負担になりやすいものです。 不動産の売却や住み替えを検討している方は、最新情報を把握している不動産会社の担当者に相談することが重要です。
本記事で紹介したような固定資産税や不動産に関する最新情報をキャッチアップしながら、安心して取引を進めたい方は、ぜひ下記よりお気軽にお問い合わせください。
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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