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土地探しや一軒家を建てる際に気をつけたい「セットバック」って何?

更新日:2021.06.11

土地探しや一軒家を建てる際に気をつけたい「セットバック」って何?

セットバックは建築基準法で定められた道路の幅員を確保するための工事です。セットバックが必要になる物件を選んでしまうと、希望通りの家を建てられないということも。セットバックについて理解を深め、計画的に住宅を建てましょう。

  • セットバックは避難経路の確保や災害時の緊急車両の通行を円滑にする目的を持つ
  • 将来的に売却が難しい物件になりうるので、セットバックが必要な物件は投資に向かない
  • セットバックの幅の計算方法は道路の反対側に何があるかによって決まる

もくじ

  1. セットバックとは

    1. 道路は公道でないと義務を果たしていないのか

    2. セットバックした土地の権利はどうなるのか

  2. セットバックが必要な理由

    1. 幅員を満たしていても2m以上接していなければNG

  3. セットバックが必要な物件を購入するなら

    1. 防災性や利便性に欠ける恐れがある

    2. セットバックの費用はだれが負担するのか決めておく

    3. 住宅を建てられる面積を確認する

    4. セットバックした部分は道路以外では使えない

    5. 売却しにくい可能性もある

  4. セットバックの計算方法とは

    1. 道路の反対側が宅地のケース

    2. 道路の反対側が川などのケース

  5. 特徴を捉えたうえで賢い選択をしましょう

 

住宅を新たに建てたり、建て替えを検討していたりする方であれば、「セットバック」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

セットバックが必要になる物件を購入するときには、いくつかのポイントを押さえておくことがおすすめです。この記事では、セットバックという言葉の意味を解説し、購入のポイントやセットバックする幅の計算方法について紹介していきます。

セットバックとは

セットバックとは、道路幅を広げるために土地を後退することを意味しています。建築基準法では安全な家を建てるための基準が設定されており、そのなかの一つに「接道義務」というものがあります。これは、家を建てるための土地は道路に最低でも2m接していないといけないという内容で、避難経路の確保や緊急車両が侵入できる幅を確保しておく目的で作られています。

道路が昔のまま整備されていない場所に関しては、住宅の立て直しのタイミングでセットバックを実施しなくてはなりません。もしセットバックが必要な土地だと知らずに購入した場合、所有敷地が狭くなってしまったという不利益が発生してしまうのです。

道路は公道でないと義務を果たしていないのか

道路に面していないと接道義務を果たしていないことになりますが、この「道路」は公道でも私道でも問題ありません。建築基準法によって公的に認められた道路であれば、接道義務を果たす要件になります。

セットバックした土地の権利はどうなるのか

セットバックした土地は道路にあたるので、物置にしたり新しい建物を建てたりすることはできません。セットバック部分の土地の権利については明記されているわけではないので、所属している自治体によって対応が異なります。

・所有権は持ったままだが、使用用途は道路のみに限られる
・セットバック部分の土地を自治体に寄付する
・セットバック部分の土地を自治体に買い取ってもらう

一般的には上記のような措置が取られますが、いずれにせよ自由の利かない土地であることは間違いありません。基本的にセットバック部分の土地を自治体が買い取ることはなく、寄付する形になります。また、所有権が認められたとしても、道路としての使用しか認められていないので、花壇や駐車スペースを設置することはできません。

ただ、セットバックされた部分の土地に関しては、固定資産税は課税されません。自分で使用できる私有地として認められないため非課税対象になります。減免を受ける場合には、申請や立ち合いなど審査や確認が必要になる場合もあるので、事前に確認しておくといいでしょう。

セットバックが必要な理由

それでは、なぜセットバックが必要とされているのかについて詳しく解説していきます。先述した通り、建築基準法第43条では「接道義務」が定められています。接道義務は、「建物を建てる場合に、原則としてその土地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」とするものです。

接道義務は、災害時に緊急車両が通行できるようにしたり、避難経路の確保をしたりするために作られました。道路の幅を確保する目的で作られたものですが、建築基準法ができる以前の建物を法律違反といって取り壊すことはできません。

これらに対応するために、建築基準法第42条第2項では、例外的な道路の例を認めることにしました。この例外と認められている道路に面した土地に新たに建物を建てる際に、建築基準法に基づいてセットバックを実施しなくてはならないのです。

セットバックが実施されると住宅の敷地が減ってしまうため、マイナスに感じる方もいるかもしれません。しかし、この制度があることで災害時や緊急時に対応できる道を確保することができるのです。万が一のときに備えておきたいのであれば、セットバックは必要な制度だと言えるでしょう。

幅員を満たしていても2m以上接していなければNG

接道義務の要件である幅員4mの道路に接していたとしても、その接地面が2m以上接していなければ接道義務を果たしているとは言えません。購入する土地が、接道義務を不足なく満たしているかを確認しておきましょう。

セットバックが必要な物件を購入するなら

セットバックが必要な物件を購入するなら

セットバックが要求された場合には、拒否することはできません。事前にセットバックが必要か否かは確認しておく必要がありますが、確認したうえで購入するのであればいくつかの注意点を押さえておきましょう。事前に認識しておきたいポイントについて解説していきます。

防災性や利便性に欠ける恐れがある

防犯上の観点も含めセットバックを実施しますが、セットバックが必要になる物件に面している道路は幅員が狭い道路です。そのため、通常の物件に比べると防災性に欠けているのが現状です。緊急車両が通れないことで、対応が遅れてしまうなどのリスクを背負っていることは把握しておきましょう。

また、道幅の狭い道路が通っている場所なので一般車両の通行が困難な場合もあります。車での通行が難しいことで利便性に欠けていることも考えられます。

セットバックの費用はだれが負担するのか決めておく

セットバックが必要な場合、工事費用はだれが負担するのかを決めておくことをおすすめします。のちのちトラブルに発展しないように、事前にどのくらいの金額がかかるのかを確認しておきましょう。

基本的には所有者が工事費用を負担するケースが多いようです。ただ、自治体によっては助成金制度が設けられているなど、経済的な負担を軽くするための取り組みも行われているようです。

住宅を建てられる面積を確認する

セットバック工事を行うと、所有地の一部が道路になるため、住宅として使える面積が小さくなってしまいます。セットバックする部分には建物を建てることができないため、該当部分を除外して考える必要があります。物件を購入する前にどの程度の面積に建てられるのかを把握しておかないと、計画していた住宅が建てられなかったという事態に発展するかもしれません。

セットバックした部分は道路以外では使えない

セットバックをした場合、その部分は道路としてしか使えなくなります。所有権を持っていたとしても、道路以外の目的での使用は法律違反にあたります。門や塀を設置したり、花壇を作ってみたり、駐車場として利用するなどは、いずれもNGです。

売却しにくい可能性もある

セットバックが必要な物件は、売却が難しい傾向にあります。とくに、建て替え時にセットバックが必要になる物件は、なかなか買い手が見つからないのが現状です。防災性が低く、工事費用の負担があるかもしれないことを考えると当然と言ってもいいでしょう。

売却できたとしても、相場よりも低い価格での売却になるケースが多いです。セットバック部分は活用できないだけでなく、工事費用の負担があるので価値が低くなるのです。

セットバックが必要な物件を購入する場合には、将来的に買い手がつかない可能性も視野に入れなくてはなりません。自宅として長期間活用するならいいかもしれませんが、不動産投資として活用したい場合には不向きな特徴を持っていることを忘れないようにしましょう。

購入してもいいケースも存在する

ここまで見ていくと、セットバックが必要な物件は購入しないほうがいいように感じるかもしれません。ただ、セットバックの特徴を理解したうえでの購入であれば問題ないケースもあります。

たとえば、金額が安い場合です。売却値が相場よりも低くなる傾向にあるセットバックの必要な物件ですが、お得に売買できるような値段で売られている場合は購入してもいいでしょう。ただ、セットバックに必要になる工事費用も含めて判断する必要があります。

また、セットバックが必要になったとしても何ら問題がない場合も、購入していいでしょう。セットバックが行われたとしても、十分な土地面積を確保することができ、工事費用も負担にならない範囲なのであれば問題ありません。セットバックが必要な土地に新しく住宅を建築する場合は、あらかじめ道路になる面積を除いて建築計画を立てるようにしましょう。

そのほかには、建て替えや売却の予定がない場合も問題ないと言えます。セットバックが必要な物件でも、建て替えをせずにそのまま使うのであれば、セットバックの工事をする必要がありません。また、売却の予定もないのであれば、セットバックが必要な物件でも売却のことで悩むことはないでしょう。ただ、セットバックをしないと防災面や利便性において懸念点が残ってしまいます。さらに住みやすく安全な環境を求めたいのであれば、セットバックが必要になってきます。

セットバックの計算方法とは

それでは、具体的にセットバックの計算方法について解説していきます。道路幅の確保のために土地の境界線を後退させることをセットバックと言いますが、後退する幅はどのように決定されているのでしょうか。

検討している物件が、セットバックが必要な場合、まずは計算してみることをおすすめします。

道路の反対側が宅地のケース

道路を挟んで向かい合う土地が宅地として使用されている場合は、両側の土地それぞれが道路の中心線から2mセットバックする必要があります。

たとえば、道路の幅が3m、道路を挟んで家が向かい合っている状況だとします。この場合は、それぞれ50cmずつ後退しなくてはなりません。こうすることで、幅員4mの道路の確保ができるようになります。

道路の反対側が川などのケース

一方、道路の反対側が川や線路などの場合には、反対側の境界線のセットバックができません。そのため、川や線路の道路境界線から4m以内の場所には住宅を建てることができないのです。

たとえば、道路の幅が3m、道路を挟んで川が向かい合っている状況だとします。この場合は、道路から、1m後退しなくてはなりません。川や線路などを後退させることはできないので、住宅のセットバック範囲を広げることで、道路の幅員を4m確保しているのです。

特徴を捉えたうえで賢い選択をしましょう

セットバックが必要な物件は将来的に売却が難しい傾向にあります。自宅として長期間保有するのであればいいですが、不動産投資として活用したいのであれば、セットバックが必要な物件はあまりおすすめできません。ただし購入していいケースもあるので、リスクがあることを把握したうえで、購入するかを検討してみてください。

土地探しでお困りのことがあれば、ぜひお問い合わせください。

 

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