- 高齢者施設には様々な種類があり、必要とされる土地面積も異なる
- 高齢者施設は、立地条件が劣っていても選択できる土地活用
- 高齢者施設を選択する場合には、アパートなどとも比較検討することが望ましい
高齢者福祉施設の主な種類
最初に、主な高齢者向け施設の種類を紹介します。
老人ホーム
老人ホームは、高齢者が入所する施設の総称を指します。
老人ホームという名の付く主な施設を示すと、下表のとおりです。
設置団体 | 名称 | 対象者 |
---|---|---|
民間施設 | 介護付き有料老人ホーム | 主に要介護者 |
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護5 | |
健康型有料老人ホーム | 主に要介護者 | |
公共施設 | 特別養護老人ホーム | 主に要介護者 要介護3~要介護5 |
軽費老人ホーム | 主に自立者 |
老人ホームの土地活用を行う場合には、一般的に300坪程度の土地の広さが必要となります。
老人ホームは、主に戸建て住宅しか建てられない“第一種低層住居専用地域”と呼ばれる地域でも建設可能な点が特徴です。 第一種低層住居専用地域で広い土地をお持ちの方に、おすすめの土地活用となります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、安否確認や生活相談の福祉サービスを提供する高齢者のための住宅のことです。 通称、“サ高住”と呼ばれる施設になります。
実際のサ高住は安否確認と生活相談だけでなく、介護施設も併設されている物件が多いです。 見た目上は老人ホームとほぼ同様の物件が多く、土地活用としては介護事業者へ一棟貸しするケースが一般的となっています。 サ高住の土地活用を行う場合には、200~300坪程度の土地の広さが必要となります。
グループホーム
グループホームとは、認知症高齢者や身体障がい者、知的障がい者を対象とした介護施設を指します。 主に5~9人の患者が専門スタッフの介助を受けながら共同生活をする施設となっており、老人ホームと比べると小規模な物件が多いです。
グループホームも、土地活用としては介護事業者への一棟貸しになります。 グループホームを行うには、100~150坪程度の土地の広さが必要です。
デイサービス
デイサービスとは、通所介護施設のことです。 デイサービスは、比較的小規模な物件が多く、住宅街にある空き家を改装してデイサービスにしている物件も存在します。
デイサービスも、土地活用としては介護事業者への一棟貸しです。 デイサービスに必要な土地の広さは、100坪程度となります。
高齢者福祉施設による土地活用のメリット
高齢者福祉施設による土地活用のメリットについて解説します。
立地が悪くても経営できる
高齢者福祉施設は、立地が悪くても経営できる場合が多い点がメリットとなります。
都市部でもできますが、条件によっては田舎でもできる土地活用です。 駅に近い必要もなく、一般的には最寄りのバス停から徒歩5分以内であれば賃借ニーズがあるとされています。
収益が安定している
高齢者福祉施設は一棟貸しであるため、収益が安定している点がメリットです。 アパートのように空室状況によって賃料が変動することはなく、介護事業者から毎月固定の賃料を得ることができます。 収入が安定しているため、借入金の返済の見通しも立てやすいです。
管理の手間がほとんどかからない
高齢者福祉施設は、管理の手間がほとんどかからない点もメリットです。 軽微な修繕費に関しては、借り主である介護事業者に負担させることもできます。 とくに管理会社に管理を委託する必要性がないことから、管理費も節約できる点も特徴です。
高齢者福祉施設による土地活用のデメリット
高齢者福祉施設による土地活用のデメリットについて解説します。
収益性は必ずしも高くない
高齢者福祉施設の土地活用は、収益性は必ずしも高くない点がデメリットです。 都市部であれば、アパートなどの住宅系の方が収益性は高いことがよくあります。
高齢者福祉施設を選択する場合には、アパートなどとも比較検討することが望ましいです。
退去時の悪影響が大きい
一棟貸しの高齢者福祉施設は、退去時の悪影響が大きい点がデメリットです。
介護事業者に退去されてしまうと、家賃収入がゼロ円になってしまいます。
賃料の下落リスクがある
高齢者福祉施設では、介護事業者から賃料減額を要請されることがあります。 賃料減額を要請される理由は、国が定期的に介護報酬を見直すことがあるからです。
介護事業者に対して国が支払う介護報酬が減額改定されると、介護事業者の収益が圧迫され、貸し主に対して賃料減額が要請されます。 近年、介護報酬は減額方向にあることは、知っておく必要があります。
高齢者福祉施設の建設方法
この章では、高齢者福祉施設の建設方法について解説します。
実績のある施工会社に相談する
高齢者福祉施設の土地活用は、まずは実績のある施工会社に相談することから始めます。 理由としては、高齢者福祉施設は一棟貸しが多く、テナントありきで計画を進めていく必要があるからです。
実績のある施工会社は、様々な介護事業者とのコネクションを有しています。 施工会社に高齢者福祉施設の土地活用について相談すると、施工会社は介護事業者に対して賃借ニーズの有無をヒアリングしてくれます。
介護事業者から提案を受ける
施工会社が出店を希望する介護事業者を見つけてきたら、介護事業者から賃料などの提案を受けます。 できれば施工会社には2社以上の介護事業者を連れてきてもらうことが理想です。
介護事業者を選ぶ際は、賃料だけでなく、実績や経営状態なども総合的に勘案して決定することが望ましいといえます。
介護事業者を決定し予約契約を締結する
介護事業者を決定したら、介護事業者と予約契約を締結します。
予約契約とは、着工中の契約解除の防止と竣工後の賃貸条件を確定するために行う契約のことです。 予約契約を締結する目的は、着工後に介護事業者からのキャンセルを防止することにあります。
工事が竣工したら高齢者施設として貸し出す
工事に関しては、施工会社と請負工事契約を締結して着工します。
一棟貸しの場合、建物の仕様は出店する介護事業者の意向によって決まりますので、土地所有者は建物の規格に関して悩む必要はありません。 建物が竣工したら介護事業者へ貸し出し、高齢者施設の土地活用が開始されます。
まとめ
以上、高齢者施設の土地活用について解説してきました。
高齢者福祉施設の主な種類には「老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」、「グループホーム」、「デイサービス」があります。
高齢者福祉施設のメリットは、「立地が悪くても経営できる」や「収益が安定している」などです。 デメリットは「収益性は必ずしも高くない」や「賃料の下落リスクがある」などが挙げられます。
高齢者福祉施設を建設するには、実績のある施工会社に相談することから始めます。 高齢者福祉施設の土地活用に関心のある方は、下記よりお気軽にご相談ください。
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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