- 土地活用には、土地の個性や自己資金の状況に応じて適したアイデアがある
- 土地活用は、珍しいアイデアが必ずしも儲かるとは限らない
- 施工会社だけでなく、専門の事業者も含めて幅広く相談してみる
田舎の土地活用のアイデア
最初に、田舎の土地活用のアイデアについて解説します。
社宅アパート
社宅アパートとは、従業員用の社宅として利用する法人と契約するアパートのことです。
田舎にも、旅館やホテル、工場、農場、介護施設において従業員用の社宅ニーズが存在します。 アパートを貸す事業者は、建物を建てた後に探すのではなく先に探すのが適切です。
地元の銀行などに社宅を求めている事業者がいないかをヒアリングし、ニーズと合致したら先に借り主(事業者)と契約したうえで建てるのが一般的な流れです。
郊外型店舗
郊外型店舗とは、幹線道路沿いの大きな敷地に出店している店舗を指します。 ニーズが合致すれば、コンビニエンスストアやホームセンター、大型食品スーパーなどを出店できる可能性があります。
サバイバルゲーム場
サバイバルゲーム場(サバゲーフィールド)とは、エアガンを使って遊ぶ施設のことです。 山林をそのまま使って貸せますので、田舎でもできる可能性があります。
サバイバルゲーム場は専門の運営サイトがあるため、登録することで運営サイトが集客も行ってくれます。
貸しキャンプ場
貸しキャンプ場の土地活用とは、キャンプ場やバーベキュースペースとして土地を貸し出す方法のことです。 田舎でも、海が見える場所などではキャンプ場のニーズがあります。 貸しキャンプ場も専門の運営サイトがあるため、登録することで集客を行うことができます。
サブスク住宅
サブスク住宅とは、定額料金を払うことで一定期間利用できる住宅のことです。
サブスク住宅は、観光客やワーケーション(観光地でテレワークすること)を目的とする人が1週間程度利用するケースが多いため、田舎でも近くに観光資源があれば利用ニーズがあります。 サブスク住宅も、運営会社に物件を登録することで、集客を行うことができます。
狭い土地の土地活用のアイデア
この章では、狭い土地の土地活用のアイデアについて解説します。
戸建て賃貸
戸建て賃貸は、戸建てを建てられればできるため、30坪程度の狭い土地でもできる土地活用です。 戸建て賃貸は、ファミリー層がターゲットとなるため、近隣に小中学校や塾などの教育施設の多いエリアにニーズがあります。
自由設計のマンション
自由設計のマンションとは、その土地に合わせて一から設計して建てるマンションのことです。 自由設計のマンションは、17~18坪程度で建てている事例も存在します。 小さな土地でも上手く生かして建てる賃貸マンションであり、主に単身者向けをターゲットとしたものが多いです。
コインランドリー
コインランドリーの土地活用とは、店舗内に洗濯機や乾燥機を設置して顧客から利用料を得る方法です。 無人でできる自分が経営する商売であり、他人に貸すわけではないため、退去リスクのない土地活用となります。
狭い店舗であれば店舗面積が10~15坪程度のものもあるため、敷地としては20~30坪程度あれば建てられます。
コインパーキング
コインパーキングの土地活用とは、駐車場運営事業者に貸す方法になります。
コインパーキングは、1台からでも貸すことができるため、5~6坪の敷地から行うことができます。
レンタサイクルスペース
レンタサイクルスペースとは、シェアサイクル用の駐輪場です。
複数台を停める駐輪スペースがあれば始めることができ、軒下のようなスペースでも行うことができます。 レンタサイクルスペースは、シェアサイクルの運営事業者に場所を貸し出す形式になりますが、賃料は固定ではなくシェアサイクルの利用量に応じて変動する形式が多いです。
広い土地の土地活用のアイデア
この章では、広い土地の土地活用のアイデアについて解説します。
物流倉庫
物流倉庫とは、主に倉庫事業者が借りる大型倉庫のことです。
近年の物流倉庫は大型化しており、標準的な規模で3,000~4,500坪程度の広さが求められます。 都市部と高速道路のインターチェンジの両方にアクセスしやすい土地にニーズがあります。
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ビジネスホテル
ビジネスホテルの土地活用とは、ホテル事業者に一棟貸しをする方法のことです。 都市部の中心市街地や地方でも新幹線の駅前にある土地、観光地の近くの土地などにニーズがあります。 200室以上確保できると出店の可能性があるため、敷地面積としては200~300坪程度が必要となります。
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老人ホーム
老人ホームの土地活用とは、介護事業者に一棟貸しをする方法のことです。
老人ホームとは、高齢者が入所する施設の総称のことで、老人ホームを建てるには、300坪程度の土地の広さが必要となります。 必ずしも駅から近い必要はなく、バス停から徒歩5分以内の土地であれば田舎でもニーズがある土地活用です。
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開発型戸建て賃貸
開発型戸建て賃貸とは、広い土地を戸建て分譲地のように区画割して、それぞれの区画に戸建て賃貸を建てる土地活用のことです。 広い敷地内に道路を作ることで、道路と接道している建築可能な条件の土地を作り、複数棟の戸建てを建てて貸し出すことができます。
木3共(木造3階建て共同住宅)
木3共(もくさんきょう)とは、木造3階建て共同住宅の略称です。
木3共を建てるには、建物の周囲に3m以上の空地を確保する必要があり、広い土地が必要となります。 木3共は木造のため、建築コストを抑えて建てられるメリットがあります。
儲かる土地活用のアイデア
この章では、儲かる土地活用のアイデアについて解説します。
下駄履きマンション
下駄履きマンションとは、1階を店舗とし、2階以上を住宅とする賃貸マンションのことを指します。
住宅の1階は賃料単価が低い上に入居者が決まりにくいですが、店舗の1階は賃料単価が最も高く借り主も決まりやすいです。 住宅の1階部分を店舗にすることで住宅の欠点を補うことができ、収益性の高い賃貸マンションとすることができます。
シェアハウス
シェアハウスとはキッチンやバス、リビングなどの共用部分を複数人で共有する形式の賃貸物件のことです。
シェアハウスは、1人あたりの家賃の総額はワンルームよりも低くなりますが、家賃の単価はワンルームよりも高く設定できます。 そのため、シェアハウスはワンルームよりも収益性が高くなることが一般的です。
コワーキングスペース
コワーキングスペースとは、主にリモートワークなどを行う人向けに、働く場所を提供するスペースのことです。 会員(利用者)を集め、固定の月会費を得る土地活用となります。 会員の数だけ会費収入を得られることから、広さに関係なく収益を上げることができます。
レンタルスペース
レンタルスペースとは、時間貸しができる貸し会議室のことです。
時間単価でスペースを貸し出すため、月単位で貸すよりも単価を上げることができ、利用者が増えれば一般的なオフィスよりも収益性は高くなります。
ウィークリーマンション
ウィークリーマンションとは、週単位で貸し出すマンションのことです。 長期出張や就活のインターン、試合の遠征など、一定期間、特定の場所に滞在する人たちに需要があります。 ウィークリーマンションは、一般的な賃貸マンションよりも単価を上げることができるため、利用者が増えると収益性が高くなります。
コストをかけない土地活用のアイデア
土地活用の中には、初期投資をほとんどかけずにできるものも存在します。
この章では、コストをかけない土地活用のアイデアを紹介します。
土地貸しのコインパーキング
コインパーキングには、「土地貸し」と呼ばれる貸し方があります。 土地貸しとは、アスファルト舗装をせずに駐車場運営事業者に土地を貸し出す活用方法のことです。
駐車場運営事業者に貸し出す方法には、大きく分けて「施設貸し(アスファルト舗装をした後に駐車場運営事業者に貸し出す方法)」と「土地貸し」の2種類があります。
施設貸しでは土地所有者にアスファルト舗装の初期費用が発生しますが、土地貸しではアスファルト舗装が不要なため、実質的に初期費用なしでコインパーキングを始めることができます。
事業用定期借地
事業用定期借地権とは、専ら事業の用に供する建物(居住用を除く)の所有を目的とした定期借地権のことです。 借地事業ですので、建物投資は借地人(土地を借りる人)が行い、地主は建物投資が不要となります。
借地事業では、地主は借地人から地代を得ます。 事業用定期借地権は、郊外型のコンビニエンスストアなどで選択される可能性がある土地活用です。
建設協力金
建設協力金方式とは、テナント(借り主)が建物資金を地主に融資して、地主が家賃の中からテナントへ借入金を返済していく方式のことです。 建設協力金方式では、テナントが建物資金を貸してくれますので、地主は実質的に初期費用を負担せずに建物を建てることができます。 また、地主は建物所有者にもなることができます。
建設協力金方式は、銀行の役割をテナントが担います。
テナントは地主に建物代を融資していますので、地主が建物代を返済できる金額以上の家賃を当然に支払ってくれますし、融資を回収したいために退去リスクも低いです。 建設協力金方式も、郊外型のコンビニなどで見られる土地活用です。
月極駐車場
月極駐車場とは、月単位で駐車場を貸しだす駐車場のことです。
月極駐車場は、砂利敷きで、区画はトラロープ(黒と黄色の標識ロープのこと)で作れば良いため、初期コストを安く済ませることができます。 月極駐車場はマンション街の周辺や、飲食店や診療所の隣接地、従業員が多い事業所周辺などにニーズがあります。
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アーバンスポーツスペース
アーバンスポーツスペースの土地活用とは、スケートボードや3on3のバスケットコート、スポーツクライミング、フットサルなどの会場として貸し出す方法です。
アーバンスポーツは、元々土地の狭い都市部で発展してきた歴史もあり、都市部の狭い土地に適した土地活用となります。 アーバンスポーツスペースは、種目で使用する工作物を建てるだけですので、建物を建てる土地活用よりも初期費用を抑えることができます。
面白い土地活用をするうえでの注意点
この章では、面白い土地活用をするうえでの注意点について解説します。
珍しいアイデアが儲かるとは限らない
土地活用では、 珍しいアイデアが必ずしも儲かるとは限らないということが注意点となります。
珍しい土地活用は、差別化するためにコストがかかるため、投資の採算性が合わないことも多いです。 そのため、珍しい土地活用を選択する場合には、事前に十分シミュレーションを行い、一般的な土地活用との投資採算性も比較しながら検討していくことが望ましいといえます。
自分の土地では規制でできない場合もある
土地活用は、良いと思えるアイデアを知ったとしても、必ずしも自分の土地でできるとは限りません。 理由としては、土地には地域によって利用制限があるからです。
代表的な土地の利用制限の中に、都市計画法の用途地域と呼ばれる規制があります。
用途地域とは、一定の地域ごとに建築可能な建物の用途を制限する規制のことで、住居系と商業系、工業系で合わせて13種類の地域が存在します。 とくに住居系の用途地域は、用途制限が厳しい傾向があり、中には店舗やトランクルームといった用途の建物を建てられない地域も存在します。
幅広く相談してみる
土地活用のアイデアを知りたいのであれば、施工会社だけでなく、専門の事業者に幅広く相談してみることが適切といえます。 施工会社には、それぞれ得意分野がありますので、偏りを無くすためにはいろいろな施工会社から提案を受けることが望ましいです。
コインパーキングやレンタサイクルスペース、貸しキャンプ場といった建物を建てない土地活用は、専門の事業者に直接依頼しないと出てこない提案となります。 施工会社だけでなく、専門の事業者も含めて幅広く相談していただければと思います。
まとめ
以上、土地活用のアイデアについて解説してきました。
土地活用は、土地の立地や面積、求める収益性、投じることができるコストなどによって適したアイデアが存在します。 面白い土地活用をするうえでは、「珍しいものが儲かるとは限らない」や「自分の土地では規制でできない場合もある」、「専門会社に幅広く相談してみる」が注意点となります。
土地活用に関心のある方は、下記よりお気軽にご相談ください。
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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