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相続の相談はどこにしたら良い?悩み別相談先と3つの生前対策を解説

更新日:2024.11.12

相続の相談はどこにしたら良い?悩み別相談先と3つの生前対策を解説

相続とは、亡くなった人(=被相続人)の財産(=相続財産)を、特定の親族(=相続人)が引き継ぐことをいいます。 相続が発生すると、遺産分割や相続税の申告など、さまざまな手続きや、決めなければいけないことがあります。 しかし、いざ相続が発生したときに、「いつまでにどのような手続きを行うか」が分からず、悩んでしまう人も少なくありません。 今回は、相続に関しての「お悩み別相談先」についてまとめました。

  • 相続では、生前の対策と相続後の速やかな手続きが大切
  • 相続税の節税対策については、税理士に相談する
  • 遺産の分け方でトラブルになってしまった場合には、弁護士に相談する

もくじ

  1. 亡くなった直後の手続き

  2. 相続の手続きとお悩み別の相談先

    1. 相続放棄と承認

    2. 相続税の計算、申告・納付

    3. 遺産の分割

    4. 不動産の引継ぎ

  3. 3つの生前対策とは?

    1. 争族対策

    2. 相続税対策

    3. 納税対策

  4. まとめ



亡くなった直後の手続き

はじめに、亡くなった後の届出や手続きについて整理しておきましょう。
大切な家族が亡くなると、悲しみのなか、通夜、告別式が執り行われますが、その前後にも、役所への届出、生命保険金の請求、契約の解除など、さまざまな手続きが必要になります。
主な手続きについては、次のようなものがあります。

▼亡くなったときの手続き

手続きの内容 手続き先 備考
死亡届 市区町村の役所 「おくやみ窓口」のある役所も
国民健康保険・
後期高齢者医療制度
介護保険
健康保険 勤務先 会社員(協会けんぽ加入者)
協会けんぽ、健康保険組合など 退職者
公的年金 年金事務所、基金連合会など  
共済組合など 公務員
企業年金など 基金・連合会、勤務先など  
生命保険 生命保険会社など 必要書類は各生命保険会社などで確認
火災保険・自動車保険 損害保険会社など 必要書類は各損害保険会社などで確認
預貯金 金融機関 必要書類は各金融機関で確認
電気・ガス・水道 各会社の営業所・カスタマーセンターなど  
運転免許証、
パスポート
原則として警察署、パスポート申請窓口に返却 有効期限内のものは悪用に注意
クレジットカード カード会社 各カード会社で確認。未払金は精算
各種会員証 運営会社や発行元 スポーツジム、カルチャーセンターなど

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手続きの内容 手続き先 備考
死亡届 市区町村の役所 「おくやみ窓口」のある役所も
国民健康保険・後期高齢者医療制度
介護保険
健康保険 勤務先 会社員(協会けんぽ加入者)
協会けんぽ、健康保険組合など 退職者
公的年金 年金事務所、基金連合会など  
共済組合など 公務員
企業年金など 基金・連合会、勤務先など  
生命保険 生命保険会社など 必要書類は各生命保険会社などで確認
火災保険・自動車保険 損害保険会社など 必要書類は各損害保険会社などで確認
預貯金 金融機関 必要書類は各金融機関で確認
電気・ガス・水道 各会社の営業所・カスタマーセンターなど  
運転免許証、パスポート 原則として警察署、パスポート申請窓口に返却 有効期限内のものは悪用に注意
クレジットカード カード会社 各カード会社で確認。未払金は精算
各種会員証 運営会社や発行元 スポーツジム、カルチャーセンターなど

近年は、多くの役所で「おくやみ窓口」が設置されています。
おくやみ窓口とは、身近な人が亡くなった際に、役所で必要な手続きをワンストップでサポートしてくれる窓口のことです。 亡くなった人の情報をもとに、役所で行うべき手続きの種類や、各手続きの窓口、提出資料について調べてくれるため、手続き漏れの防止や時短にもつながります。

おくやみ窓口があるかどうかは、各市町村のホームページで確認ができますが、多くのおくやみ窓口では相談が予約制になっており、事前にインターネットや電話で予約する必要があります。
その他にもリストを参考にしながら、必要な手続きと相談先を確認しておきましょう。

相続の手続きとお悩み別の相談先

ここからは、相続に関するお悩み別の相談先について解説します。

相続放棄と承認

相続人が相続財産を引き継がない場合、被相続人が亡くなってから原則3ヶ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄」の申立てを行ないます。 相続放棄を行う理由には、被相続人が多額の借金をしていたケースや、被相続人や他の相続人と疎遠になり関わりたくないケースなどがあります。

相続放棄の手続きは、司法書士に相談するのが一般的です。 手続きは自分でもできますが、申述書の作成や戸籍の取得など手間がかかることも多いため、司法書士に依頼するとそれらの手間を省くことができます。 なお、期限内に相続放棄を行なわないと、相続を承認したものとされます。 そのため、相続放棄をするかどうかは3ヶ月以内に判断する必要があります。 被相続人に借金があるかどうかを調べるための相談先は、司法書士や弁護士です。

相続税の計算、申告・納付

相続財産を受け取った人に相続税がかかる場合は、亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地の税務署へ申告と相続税の納付をする必要があります。 また、被相続人に所得があった場合、1月1日から亡くなった日までの所得の申告と納税を4ヶ月以内に行なう必要もあります。

相続税には基礎控除があり、次の計算式で計算します。
相続財産が基礎控除額を超えれば、超えた金額に対して相続税がかかります。

  • 基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続財産の基礎控除額|一覧

たとえば、相続人が、被相続人の妻と子ども2人の計3人の場合、基礎控除額は、4,800万円になります。 このケースでは、課税価額の合計額が4,800万円以下であれば、相続税はかからず申告も必要ありません。

しかし、相続税がかかる場合は、相続税額の計算をして期限内に申告・納税をしなければいけません。 ところが、相続税の計算の仕組みはとても複雑で、一般的に相続人が相続税額を計算することは困難といえます。 そのため、通常は、相続税の計算、申告・納付については税理士に相談することになります。 ただし、税理士によって、所得税、法人税、相続税など得意分野が異なるため、相続税申告の経験豊富な税理士に相談することを強くおすすめします。

遺産の分割

相続時に複数の相続人がいる場合、相続人で相続財産を分けることになります。 被相続人が遺言書を作成していた場合には、遺言書の通りに相続財産を分けることとなり、これを「指定分割」といいます

しかし、遺言書がない場合には、遺産の分け方を決めるために相続人が話し合う「遺産分割協議」を行います。 遺産分割協議により遺産を分けることを「協議分割」といいます。 遺産分割協議では、相続人全員の参加と合意が必要となり、話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」の申立てを行ないます。

調停で合意できれば「調停分割」によって遺産を分けることになりますが、調停が成立しなかった場合には、最終的に家庭裁判所が「遺産分割審判」を行い、遺産の分割を決めることになります。 これを「審判分割」といいます

遺産分割協議、遺産分割調停、遺産分割審判

上記のように、遺産の分け方でトラブルになってしまった場合には、弁護士に相談することになります。

不動産の引継ぎ

相続財産に不動産がある場合、遺産分割が決まると相続登記により所有者の変更を行います。
以前は、相続登記は義務ではありませんでしたが、2024年4月1日より義務化されました。 これにより、不動産を相続してから3年以内に正当な理由がなく相続登記を行わない場合、10万円以下の過料が科せられることになります。 そのため、遺産分割が決まったら速やかに相続登記を行う必要があります。

相続登記の相談先は、司法書士になります。
なお、相続した不動産がアパートやマンション、駐車場などの賃貸不動産の場合、相続により貸主が変わるため、借主と貸主変更の覚書を結んだり、賃料の振込先を変更したりする必要があります。 不動産を管理している不動産会社に相談をして、なるべく早めに手続きを進めましょう。

3つの生前対策とは?

3つの生前対策とは?

ここまで、相続後のお悩み別の相談先について解説してきました。 しかし、相続後の手続き以上に重要なことが、生前の対策(お悩みの解決)です。
生前に押さえておきたい3つのポイントについて解説します。

争族対策

争族対策とは、遺産争いなどのトラブルにならないように生前に対策を講じ、円満に相続財産の分割ができるよう準備することです。 代表的な争族対策に、遺言書の作成があります。 法的に有効な遺言を作成することで、被相続人が遺産の分割方法についてあらかじめ決めておくことができます。

遺言書には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、どちらも行政書士、司法書士、弁護士に相談するとスムーズに作成ができます。 特に相続トラブルになる可能性がある場合は、弁護士に相談するのがよいでしょう。

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言

※「秘密証書遺言」の作成はごく少数のため、本文では解説を省いています。

相続税対策

被相続人が多額の財産を所有している場合、相続人に相続税が課せられる可能性がありますが、被相続人の生前に対策を講じることにより、相続税を大幅に減らせる場合もあります。

まずは、「仮にいま相続が起こったら、相続税がいくらかかるのか」を概算で把握し、必要に応じて節税対策を講じます。 そのために行なうのが「相続税の模擬計算」です。 相続税の節税対策については、税理士に相談し、現在の資産状況と相続税を確認した上で、必要な相続税対策を検討しましょう。

納税対策

相続税がかかる場合に、納税資金が確保できていないケースがあります。
たとえば相続財産のほとんどが不動産で、預貯金がほとんどないケースです。 この場合、相続税を納める資金を確保するために、生前から対策をしておく必要があります。

不動産を売却して現金化しておく、被相続人を被保険者とする生命保険に加入して死亡保険金を納税資金とする、相続人に賃貸物件を生前贈与し、相続人が家賃を得られるようにして納税資金を蓄える、といったさまざまな方法があります。 まずは税理士に相談し、納税資金の確保について検討・実施しましょう。

まとめ

相続では、生前の対策と相続後の速やかな手続きが大切です。
おわりに、生前、相続後のお悩み別リストを紹介します。 お悩みに応じて、専門家などに相談してください。

「相続のお悩み別」の相談先


 

所有する不動産の売却や土地活用をお考えの方、相続に関してお悩みの方は、下記よりお気軽にご相談ください。



ファイナンシャルプランナー・終活アドバイザー・不動産コンサルタント

橋本 秋人

1961年東京都出身。早稲田大学商学部卒業後、住宅メーカーに入社。
30年以上、顧客の相続対策や資産運用として賃貸住宅建築などによる不動産活用を担当、その後独立。
現在は、FPオフィス ノーサイド代表としてライフプラン・住宅取得・不動産活用・相続・終活などを中心に相談、コンサルティング、セミナー、執筆などを行っている。また、自らも在職中より投資物件購入や土地購入新築など不動産投資を始め、早期退職を実現した元サラリーマン大家でもある。
⇒橋本 秋人さんの記事一覧はこちら

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