
マンションの建て替えには「区分所有者の5分の4以上の賛成」が必要であり、その難しさは長く問題とされてきました。 2025年3月4日に区分所有法の改正が閣議決定され、実際に法改正がなされると、この問題が一定程度緩和される可能性があります。 本記事では、2025年に実施される予定の区分所有法の法改正について、法改正の内容と改正がなされる背景、また改正後も続くことが予想される課題について解説します。
- 2025年3月4日に区分所有法改正が閣議決定された
- 裁判所で可決を得ることで、所在不明の所有者を決議の母数から除外できるようになる
- 耐震性不足など一定の要件を満たした場合、建て替え決議の多数決要件が緩和される
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2025年に区分所有法の改正が閣議決定!改正内容を確認
2025年3月4日、区分所有法に関する法改正が閣議決定されました。
区分所有法とは、正式には「建物の区分所有等に関する法律」で、マンションなど1棟の建物を区分して所有する場合の権利関係や、住民による共同管理のルールなどが定められた法律です。 分譲マンションの一室を所有する場合に適用される法律として考えるとよいでしょう。
区分所有法では、マンション所有者が加入する管理組合の決議に関する規定も定められています。 近年ではマンションの老朽化が進んでいる一方で、区分所有法の規定が原因となり、建て替えがスムーズに進んでいないケースが増加しています。 今回の法改正では、そうした問題を解消することが目的の一つとなっているのです。


出典:国土交通省 「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案」の情報を基に、クラモア編集部が作成
今回の法改正のうち、以下が特に注目しておきたい改正内容です。
- 所在不明所有者を決議の母数から除外できる
- 一定の決議は、出席者の多数決で決議可能になる
- 一定の決議における多数決要件の緩和
それぞれ解説します。
所在不明所有者を決議の母数から除外できる
マンションの管理組合で決議を得るには、「区分所有者全員の一定割合の賛成を得る」必要があります。
具体的には以下のとおりです。
- 建て替えの決議:区分所有者および議決権の5分の4の賛成
- 管理規約変更の決議:区分所有者および議決権の4分の3の賛成
- 管理者の選任・解任:区分所有者および議決権の過半数の賛成
なお、「区分所有者および議決権」のうち区分所有者はマンションの所有者の「人数」のことを指し、議決権とは原則として、各区分所有者が持つ専有部分の割合のことを指します。 いずれにせよ、決議を得るには各区分所有者の賛成が必要になりますが、所在不明で管理組合に参加できない所有者が増えると、必要な賛成数を満たせず決議を得ることが難しくなるという問題がありました。
今回の法改正により、裁判所で可決を得ることで、所在不明の所有者を決議の母数から除外できるようになります。

出典:国土交通省 「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案」の情報を基に、クラモア編集部が作成
例えば、5人の区分所有者のうち2人が所在不明所有者だった場合、従来は全員(5人)の過半数=3人の賛成が必要でした。 一方、法改正後は、裁判所で可決を得ることで、実際に投票できる3人の過半数(2人以上)の賛成で議決できるようになります。
この改正により、老朽化マンションの建て替えや重要な管理組合の意思決定がスムーズに進むことが期待されています。
一定の決議は出席者の多数決で決議可能になる
修繕など、区分所有権の処分を伴わない事項の決議については、これまで「全区分所有者による多数決」で決定していたものが、「集会出席者の多数決」による決定へと変更になります。
一定の決議における多数決要件の緩和
建て替え決議は通常、5分の4以上の賛成が必要になりますが、耐震性が不足していたり、外壁がはがれおちる可能性が高かったりなど一定の要件を満たす場合、4分の3以上の賛成で決定できるようになります。
なお、区分所有法の改正と同時に、大規模災害の際に適用される「被災区分所有法」も改正され、政令指定災害による被災の場合には、3分の2以上で議決できるように緩和されます。
区分所有法が改正される背景
ここでは、今回の区分所有法が改正される背景について見ていきましょう。
建て替え決議成立が困難である
マンションの建て替えを決議するには、区分所有法に基づき、「区分所有者および議決権の5分の4以上」の賛成が必要です。 しかし、建て替えには以下のような大きな負担が伴うため、多くの住民の賛成を得ることが難しくなっています。
- 費用負担が発生する:各区分所有者が建て替え費用を負担する必要がある
- 仮住まいが必要:建て替え期間中、一時的に別の住居へ移転しなければならない
こうした理由から、全体の5分の4以上の賛成を得ることは現実的に困難なケースが多いのです。

画像出典:国土交通省 「マンション建替え等の実施状況」
上記国土交通省の「マンション建替え等の実施状況」によると、これまでに実施されたマンションの建て替え実績は、累計でわずか297件(約24,000戸)、年間で10棟程度にとどまっています。 この低い実施率からも、現在の建て替え決議のハードルの高さが課題となっていることがわかります。
建物の築年数が古くなってきている
マンションの建て替えが進まない状況が続くと、築年数が古い老朽化したマンションがそのまま残り続けることになります。
下記、国土交通省の「築40年以上のマンションストック数の推移」によると、築40年以上のマンションの数は年々増加しています。

画像出典:国土交通省 「築40年以上のマンションストック数の推移」
このデータからもわかるように、老朽化マンションの増加は加速しており、2023年末時点での築40年以上のマンションは約136.9万戸、2033年には約2.0倍の274.3万戸、2043年には約3.4倍の463.8万戸に増加することが予想されています。 築年数が古くなると、耐震性の低下や設備の老朽化が進み、安全性や居住環境の悪化が懸念されるため、建て替えや適切な修繕が求められています。
築年数が古いマンションは所在不明者が多い
築年数の古いマンションでは、所在不明の所有者が増えていることが特に問題となっています。
所在不明者が増える主な理由は、以下の通りです。
- 高齢化による転居:入居者が高齢になり、老人ホームなどの施設へ移る
- 相続登記の未実施:所有者が亡くなった後、相続登記が行われず放置される。
実際に所在不明者がどのくらいの割合なのか、下記の国土交通省のデータを参考に見てみましょう。

画像出典:国土交通省 「マンションを取り巻く現状について」
国土交通省の「マンションを取り巻く現状について」によると、1979年以前に建てられたマンションの51.1%、1980~1989年に建てられたマンションの47.0%が所在不明となっています。
所有者の所在が不明になると、管理組合の決議が難しくなり、建て替えや修繕が進まなくなるリスクがあります。 そのため、所在不明の所有者を決議の母数から除外できるようにする法改正が求められているのです。
改正後に考えられる問題
建築基準法が閣議決定されたことで、現在のマンションが抱えている問題の一部は解消される可能性があります。 一方、改正後も引き続きいくつかの課題が残る点もあり、今後の運用や対応が求められるでしょう。 以下では、改正後に考えられる問題について解説します。
全ての決議が緩和されるわけではない
今回の法改正により、耐震性が不足しているなど一定の条件を満たすマンションでは、建て替え決議の多数決要件が緩和される予定です。 一方で、条件を満たさない改正の対象外となるマンションでは、これまでと同様に「区分所有者および議決権の5分の4以上」の賛成が必要となります。 そのため、老朽化していても耐震基準を満たしているマンションなどは、これまでと同様に高いハードルのままというケースも少なくありません。
このように、法改正によって所在不明者を決議の母数から除外できるようにはなりますが、十分な賛成を得るのが難しい状況は変わらない可能性があることには注意しましょう。
資金不足問題は解消しない
マンションの建て替えが進まない要因には、決議のハードルがありますが、仮に法改正によって決議が得やすくなったとしても、資金不足の問題は依然として解決しません。 特に、修繕積立金が十分に積み立てられていない場合、各区分所有者に多額の建て替え費用が追加で請求される可能性があります。
そのため、決議要件の緩和だけでは建て替えがスムーズに進むとは限らず、資金面の課題が残るケースが多いでしょう。
このような課題は、特に築年数の古いマンションで起こりやすいと考えられます。 特に、マンションの老朽化が進むと、建て替えが困難になるだけでなく、売却自体も難しくなってしまう可能性もあります。 そのため、将来的にマンションを売却することを考えている方は、できるだけ早いタイミングで売却を進めるのが重要です。
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まとめ
本記事では、2025年3月4日に閣議決定された区分所有法の改正について解説しました。
マンションの建て替え決議の難しさは、これまで大きな課題となっていましたが、今回の法改正により、所在不明者の除外や、一定の要件を満たす場合の多数決要件の緩和などが進められます。 一方で、決議のハードルが下がったとしても、建て替えに要する資金不足の問題が解消するわけではなく、今後もマンションの建て替えが難しい状況は続く可能性が高いです。
将来的にマンションの売却を考えているという方は、できるだけ早い段階で売却を進めるのが賢明な選択と言えるでしょう。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
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