- 決して不可能ではないが、クリアすべき条件は非常に多い
- 費用の面から、住まいなどさまざまな事柄の選択肢が狭くなりやすい
- 大前提に学業があることを踏まえ、「何が大切か」をよく考えて決断を
高校生ともなると、親の許可なしにできることも増えていきます。なかには、「一人暮らしをしたい」と考えている高校生もいるかもしれません。しかし、「家賃や生活費はどうすべき?」「部屋を探すまでの流れは?」など、疑問や悩みは尽きないでしょう。
この記事では、一人暮らしを考えている高校生に対して、「高校生が一人暮らしをするための条件」「一人暮らしをするまでの流れ」「体験者のエピソード」の3点をご紹介します。
高校生の一人暮らしはハードルが高い
結論を言ってしまえば、高校生でも一人暮らしは可能です。しかし、現実的かどうかはまた別の話。まずは、高校生が一人暮らしを実現するためにクリアすべき条件を見ていきます。
住まいについて
一人暮らしをするには、部屋・住まいが必要です。多くの場合は不動作会社で、アパートなどを借りる契約(賃貸借契約)を結びます。ほとんどの高校生は20歳未満であり、法律上、未成年が一人で賃貸借契約を結ぶことはできません。つまり、親あるいは親権者の同意が不可欠です。
また、契約には同意だけでなく「連帯保証人」も必要になります。連帯保証人は、家賃などの支払いが滞ったときに代わりに支払う責任を負った人のこと。高校生が、連帯保証人を自身のツテで探すのは難しいでしょう。
なお、同意書に勝手に押印し、契約を進めるのは絶対にやめましょう。契約に用いられる正式な同意書を偽造することは、「有印私文書偽造罪」という犯罪にあたります。
学校について
高校生の一人暮らしは学校側が認めていない場合も多いので、確認する必要があります。“大人の入り口”に立ったとはいえ、防犯や生活態度の観点から不安が大きいというのが理由です。校則で明確に一人暮らしを禁止しているケースでは「重大な校則違反」ととらえられる可能性が高く、当然処分も重いものとなるでしょう。
なお、公立高校に進学する(もしくは在籍している)場合では、一人暮らしはさらに現実的でなくなります。これは、入学の必須条件に「保護者と本人が同住所に居住していること」といった記載があるためです。後日発覚した場合は、入学取り消しなどの処分が科せられるおそれがあります。
生活費について
一人暮らしをすると、家賃をはじめ、電気・ガス・水道の利用料金である水道光熱費や食費などの支払いが必要になります。もちろん、それらの費用はアルバイトなどで稼がなければなりません。
高校生の一人暮らしであれば、ひと月に必要な金額は約10万円。この金額を稼ぐには、時給1,000円のアルバイトでも100時間の労働が必要です。これは、1日5時間のシフトに入っても20日間働く計算です。たとえば、朝7時に起きて夕方16時半まで授業を受け、放課後にアルバイト先へ向かい、高校生が働ける22時まで働く――といったライフスタイルになります。部活はもちろん、学校が終わった後に友達と寄り道する、といったことも難しいでしょう。休みの日も、普段はできない家事や必需品の買い出しなどに時間を取られてしまいます。
実家住まいで小遣いを稼ぐ程度のアルバイトであれば、よい社会勉強になります。ですが、生活費を稼ぐアルバイトとなると、学業との両立は難易度が相当高いです。
トラブルのリスク
高校生が一人暮らしをするとなると、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクが心配されます。高校生の一人暮らしは絶対数が少ないため、目立ってしまうもの。高校生は社会的に立場が弱いので、周囲に一人暮らしと認識されたら悪質な勧誘をはじめとした“悪い大人たち”が近寄って来ないとも言い切れません。
また、騒音の苦情や近隣トラブルが発生した場合の対応も、自分で行う必要があります。
高校生が一人暮らしをするまでの流れ
高校生が「これから一人暮らしをする」と決めたとき、必要になるものやことを流れに沿ってご説明します。これらをクリアしていくことが、一人暮らしを始める第一歩です。
親に一人暮らしの許可をもらう
まず、親もしくは親権者に一人暮らしの許可を得る必要があります。親または親権者は、高校生に対して「未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理し法律行為を行う」という権利および義務を持っています。これが「親権」と呼ばれるものです。高校生が親権を持った親または親権者に一人暮らしの許可を得ることは、法律的にも必要なことと言えるでしょう。
なお、逆の立場から見たとき、手放しに一人暮らしを許可する親は「養育監護の責務を果たしていない」と見られかねません。
前の章でも触れたように、下宿用の物件を借りる賃貸借契約は法律に基づいた契約となるため、未成年である高校生が単独で契約することはできません。親の同意書の提出、もしくは親自身が契約を結ぶ必要があるため、この点からも親の許可は必要と言えます。
生活費や家賃などの出費を確認する
「一人暮らしの許可」をクリアしたら、生活にかかる費用を把握しましょう。家賃や水道光熱費、食費、通信費などは生活に欠かせない費用で、一時的ではなく毎月継続して支払う必要があります。この見積もりが甘いと、いざ一人暮らしを始めたときに生活費が支払えなくなってしまいます。
以下では、家賃4万円のワンルームのアパートを契約した場合にかかる生活費の一例をご紹介します。なお、家賃は地域や間取りなどによって変わってきます。
・家賃:約4万円
・食費:約2万円
・水道光熱費:約8,000円
・スマホやインターネットなどの通信費:約8,000円
・趣味、衣類:約1万円
・日用品、消耗品:約6,000円
・合計 9万2,000円
この例には将来のための貯金などは含まれておらず、純粋に「今の生活に必要な金額」です。この金額を見てどう感じるかは人それぞれですが、ある一定の水準の生活を求めるのであれば、この程度の費用が必要になると理解しておきましょう。
また、一人暮らしを始めるにあたって、敷金や礼金、新居で必要となる家具・家電の購入費などのまとまった費用が必要になることも忘れてはいけません。
予算に合った部屋を探す
生活に必要な費用の概要が見えたところで、次は自分で家賃を支払える範囲で部屋を探します。高校生の収入では、家賃の安さが第一。部屋の間取りはキッチン・バスルーム・トイレがすべて一部屋にまとまったワンルームの一択になるでしょう。また、各種条件の妥協も必要かもしれません。家賃が支払える部屋を選ぶ形になるので、選択肢が狭くなる覚悟は必要です。
また、いくら家賃が安くても、移動に時間がかかって交通費がかさむようでは、安い家賃のメリットが活かせません。立地も含めた部屋探しが重要になってきます。
高校生が住むことについて大家へ確認する
立地や家賃などの条件に合った住まいが見つかっても「すぐに契約」とはいきません。高校生の一人暮らしとなると、不安を感じた大家から入居を反対されることもあります。「周囲に騒音で迷惑をかけるのでは」「共用設備を壊されるのでは」「家賃を滞納されるのでは」といった心配です。
大家の立場から見れば、自分が不利益をこうむる可能性はできる限り排除したいもの。この問題は話し合いで解決するしかなく、何かトラブルがあった場合には退去するなどの条件を示し、納得してもらうしかありません。
「高校生の一人暮らし」のエピソード
高校生で一人暮らしをしている人の割合は、一人暮らしをしている単独世帯のうち、15歳から19歳の割合は男性が7.0%、女性が5.4%となっています。この数字には大学生や高校を卒業して社会人として一人暮らしをしているケースも含まるので、高校生が一人暮らしをしている割合はさらに少ないと考えられます。
出典:国勢調査(2015年)
やむを得ない事情があったり、親の教育方針だったりとさまざまな理由がありますが、やはり高校生の一人暮らしは一般的ではありません。ここでは、高校生で一人暮らしをした方のエピソードをいくつかご紹介します。
アパートへの入居を嫌がられる~Aさんの場合~
なんとか親の同意を得て、意気揚々と不動産会社に向かったAさん。しかし、高校生が一人暮らしをすると告げると、不動産会社の担当者は途端に曇った表情になりました。
というのも、過去にAさんと同じ10代の入居者が、「あまりに近隣トラブルが多い」との指摘で退居になったことがあったためです。このことから、大家さんは若者の入居に慎重になっていた様子でした。親を含めて大家さんと話し合いをした結果、Aさんはなんとか入居できたものの、条件付きの入居となりました。
一人暮らしでホームシック~Bさんの場合~
Bさんは親をなんとか説得し、夢にまで見た一人暮らしを実現させました。はじめの数日は新生活に心踊っていましたが、2週間ほどたった頃にはアパートに帰るのをだんだん苦痛に感じるようになります。
アルバイトからアパートに帰っても、「おかえり」の声はなく部屋は真っ暗です。今日あった出来事を話す相手もおらず、寂しく思うことが多くなっていき、ベッドのうえで涙することも増えました。これは、新しい生活でたまったストレスにより、ホームシックを発症した事例です。
金銭面での苦労~Cさんの場合~
念願の一人暮らしの生活を手に入れたCさん。親からの協力もあって仕送りを受けていましたが、いつも経済的に苦しい状況でした。
Cさんは日々の生活費を稼ぐためアルバイトに精を出していましたが、疲れもあって自炊を面倒に感じることが増え、気が付けば「食事はいつもコンビニ」というスタイルに。この結果、食費がかさんで生活費を圧迫してしまいました。
学校生活とアルバイトの両立~Dさんの場合~
Dさんは親の心配もありましたが、同意を得て一人暮らしの新生活をスタートさせました。初めの頃は学業にもアルバイトにも余裕を感じていましたが、時間が経つにつれて「しんどさ」を感じるようになっていきます。
周囲の友人が学校帰りの寄り道を楽しんだり部活にいそしんだりするなか、生活のためとはいえ自分はアルバイトばかり。遊ぶ時間もほとんどなく、なんのために一人暮らしをしているのかわからなくなってしまったというのが理由でした。
高校生の一人暮らしには自立の難しさがある
社会人の一人暮らしであれば、お金を稼ぐことに全力投球でき、あいた時間には自由な時間を満喫できるでしょう。しかし、高校生は大前提に学業(授業は朝から夕方まで)があるため、学校とアルバイト、どちらも妥協せずに取り組むのは相当難しくなります。
また、実際に一人暮らしをしてみるとわかるのですが、家事はすべて自分でしなければなりません。食事一つを取っても、買い物、下ごしらえ、調理、洗い物と多くの工程があり、しかもこれを毎日こなす必要があります。掃除、洗濯と他にも家事はあるので、これらを効率よくこなす段取りのよさも求められます。新聞などの勧誘を断るコミュニケーションや、出費の要不要を判断する力も一人暮らしには欠かせません。
高校生の一人暮らしは重要なポイントをよく考えて検討しよう
高校生が一人暮らしをしたいと考えたとき、まず親もしくは親権者の許可をもらうところから始まります。そしてそれがクリアできたら、ひと月に必要な予算の見積もりや住まい選びのステップです。この際、「高校生ならでは」の制約や注意点があることを忘れてはいけません。
実際に高校生で一人暮らしをした方のエピソードには、「よかった」という声より「つらかった」「大変だった」という声が多くあります。本末転倒な結果にならないよう、何が重要なのかをよく考えて慎重に検討しましょう。
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