一般的に人口減少社会では土地活用は厳しくなると考えられがちですが、必ずしも全国一様に土地活用が難しくなっているわけではありません。 賃貸需要は元々立地の良い場所に偏って存在しており、近年の傾向としては立地の良い場所はますます土地活用がしやすくなっています。 特に利便性の高いエリアでは、人口減少が進む中でも、むしろ土地活用がしやすくなっているケースも見られます。 また、人口減少社会においても人が集まる地域は存在し、単身世帯や高齢者世帯など、増加している世帯もあります。 これから土地活用をするのであれば、人口や世帯の動向を長期的に見極めたうえで、適切な建物企画を行うことが重要です。 この記事では、「人口減少と土地活用」の関係について解説します。
- 人口だけが家賃を決める要因ではない
- 人口が流入しているエリアでは賃貸需要が残りやすい
- その土地に適した活用方法を個別に考えることが成功のコツ
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人口が減ると土地活用は厳しくなるか?
最初に、人口が減ると土地活用は本当に難しくなるのかについて解説します。
人口減少社会でも家賃は上昇している
人口が減少しているからといって、必ずしも土地活用がしにくくなるわけではありません。
実際、近年は人口減少が進んでいるにもかかわらず、家賃は上昇傾向にあります。
以下に、過去30年における日本全国の人口と家賃指数の推移を示します。

出典:国立社会保障・人口問題研究所 「 人口統計資料集(2026年版) と総務省 消費者物価指数 の情報を基に、クラモア編集部が作成
日本は2008年頃から人口減少社会に突入しましたが、家賃は2020年頃から上昇し始めています。 家賃が上昇する前に、土地価格は2013年頃から全体的に上昇傾向が続いており、近年は土地価格の上昇に伴って家賃も高くなっている状況です。
この点からも、不動産価格や家賃は人口の増減だけで決まるものではないことが分かります。
家賃が上がるということは賃貸需要が強まっているということであり、以前よりも土地活用をしやすい環境に変わってきたといえます。
賃貸需要は元々立地の良い場所に偏在している
人口減少が始まる以前から、賃貸需要は元々立地の良い場所に偏って存在していました。
そのため、不便な地域では従来から賃貸需要が弱く、人口減少に入る前から土地活用は難しい状況にありました。
近年は、不便な場所から便利な場所へ人が移動する動きが顕著になっており、人口減少社会の中でも便利な地域はますます土地活用がしやすくなっています。
土地活用の難易度は便利な場所と不便な場所で二極化しており、必ずしも全ての地域で土地活用が難しくなっているわけではないのです。
人口が減少していても増えている世帯はある
人口減少社会においても、増加している世帯は存在します。
たとえば、ファミリー世帯は減少傾向にありますが、その一方で単身世帯は増加しています。

画像出典:総務省 「世帯数の推移」
単身世帯の中でも、とくに高齢者世帯は今後も増加していく見込みが高いです。
また、外国人世帯についても増加していくことが期待されています。
そのため、増加している世帯にターゲットを合わせて土地活用を行えば、人口減少社会の中でも安定した収益を得ることができます。
人口減少でも賃貸需要が残りやすいエリア
この章では、人口減少社会において今後も賃貸需要が残りやすいエリアを紹介します。
主要都市や人口の多い自治体
近年は、各都道府県の中心部に人口が集中する「ストロー現象」が進んでいます。
これは、周辺の自治体から中心都市へ人口が流入する動きのことを指します。
そのため、県庁所在地や政令指定都市、中核市などの人口の多い自治体では、今後も賃貸需要が残る可能性が高いです。
外国人の流入が多い地域
外国人は賃貸物件に住むケースが多いため、外国人の流入してくる地域は今後も賃貸需要が見込まれます。 また、外国人の賃貸需要は都市圏に限られるわけではありません。
たとえば、外国人は農業法人やホテル、介護施設、工場などで雇われることが多いため、地方でも賃貸需要を生むケースがあります。
このように、外国人の雇用の受け皿がある地域では、人口減少社会でも安定した賃貸需要が期待できます。
利便性の高い地域
利便性の高いエリアは、人口減少社会においても安定した賃貸需要が見込めます。
具体的に、通勤や通学に便利な路線の駅や、乗り換え可能駅、商業施設が充実している地域などは、総じて賃貸需要も強いです。
人口減少によって土地活用が厳しくなるエリア
この章では、人口減少によって土地活用が厳しくなるエリアを紹介します。
少子高齢化が加速している地域
少子高齢化が加速している地域は賃貸需要が弱く、土地活用もしにくい傾向があります。
特に過疎化が進む地域は、少子高齢化の進行も早く、賃貸住宅に住む若い世代が継続的に流出している傾向があります。
土地価格が下落している地域
近年は全国的に土地価格の上昇が続いていますが、それでも土地価格の下落が継続している地域もあります。
毎年発表される「地価公示(国が行っている土地価格の調査のこと)」を見ると、自分の所有地周辺における土地価格の推移を把握できます。
土地価格が下落している地域は、不動産の購入需要や賃貸需要のいずれも弱い地域が多いため、土地活用には不向きです。
そのため、事前にエリアの市場動向を確認することが重要です。
人口減少社会で土地活用を成立させるコツ
この章では、人口減少社会で土地活用を成立させるコツについて解説します。
自分の土地の立地条件を冷静に見極める
人口減少社会で土地活用を行うには、まずは自分の土地の立地条件を冷静に見極めることが重要です。土地活用の難易度は二極化が進んでおり、利便性の高いエリアは土地活用しやすく、不便なエリアでは難しくなる傾向があります。
特に注目すべき指標の一つが「社会増減数」です。
社会増減数が転入超過(転入者が転出者を上回る状態)となっている自治体は、人口が流入していることを意味し、土地活用のチャンスが広がっているといえます。

画像出典:総務省 「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」
なお、社会増減数に関しては、できるだけ狭い範囲で把握することが重要です。
都道府県単位ではなく、できれば市区町村レベル、さらに政令指定都市であれば行政区レベルで確認することで、より実態に近い市場動向を把握できます。
対象地に適した活用方法を個別に考える
土地活用は、アパートや賃貸マンションなどの住居系だけでなく、店舗やホテル、医療モール、老人ホームといった事業系の選択肢もあります。
どの活用方法が最も適しているかは、その土地の立地や面積、形状、公法上の規制、賃貸需要などによって決まるため、土地の活用方法はオーダーメイドで考えることが適切です。
たとえば、郊外でも幹線道路沿いの広い土地であれば、コンビニエンスストアやドラッグストアなどの店舗の一棟貸しの活用方法も考えられます。
また、駅から離れた場所であっても、高齢者施設などであれば成立するケースも少なくありません。
最適な活用方法を見極めるためには、専門家に相談しながら進めていくことが適切です。
無理に建物を大きくし過ぎない
人口減少時代の土地活用は、無理に建物を大きくし過ぎないことも失敗しないコツです。
たとえば、5階建てが建てられるような土地であっても、賃貸需要が弱ければ2階建て程度に抑えるといった判断も有効です。
必ずしも床面積を最大化することが正解ではないため、建物規模は地域の賃貸需要を考慮したうえで決定することが適切です。
まとめ
以上、人口減少と土地活用の関係について解説してきました。
人口や世帯数のデータは、エリアや世帯属性ごとに細かく分析することで将来の動向を予測でき、土地活用を検討するうえで有用な判断材料となります。
また、人口が減るからといって、必ずしも全国一様に土地活用が難しくなるわけではありません。
土地活用を成功させるには、自分の土地の立地条件を冷静に見極め、建てる前に一度建物の企画の方向性を整理することが重要です。
人口減少社会に対応した土地活用の企画に関してお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。
資産3億円以上の経営者様へ
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容には執筆者の解釈や見解が含まれる場合があり、正確性や完全性を保証するものではありません。
具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。
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