建設費は上昇傾向が継続しており、下がる気配がありません。 実際に、建築費は長期間にわたって上昇を続けており、「今が一番安い」といえる状況が続いています。 そのため、建築費の高さを感じながらも建て替えや新築を決断した人が、数年後に振り返ると結果的に有利だったというケースも少なくありません。 今後も建築費の上昇が続く可能性があることから、建て替えを検討している人は、先送りするのではなく、市場動向を見極めながら早めに判断することが望ましいです。 この記事では、建築費の最新動向について解説します。
- 建築費はしばらく上昇が続く見込みが高い
- 老朽化物件を放置すると家賃の下落などのリスクが強まる
- 建築費は、今が最も安い可能性が高く、建て替えは早めの判断が重要
資産3億円以上の経営者様へ
【2026年】建築工事費の動向(建設工事費デフレーター)
建築工事費は、ここ数年にわたり上昇傾向が続いています。
直近20年間の建築費の動向を示すと、下図の通りです。

出典:国土交通省 「建設工事費デフレーター」の情報を基に筆者にて調査
直近20年間の推移を見ると、日本の建築費は2010年頃より15年以上にわたって上昇傾向が続いています。 中でも2021年以降は上昇傾向が強まっており、建築費は収まるどころか、さらに高くなっている状況です。
一般的に建築費が高くなれば需要は減少するため、「建築需要が落ち込めば建築費もいずれ下がるのではないか」と考えられます。
しかし、建築費の動向はそれほど単純ではありません。
確かに近年は建築費の高騰を理由に着工件数が減っていますが、一方で建設会社の倒産も増えています。
東京商工リサーチによると、2025年の建設業の倒産は2,014件(前年比4.6%増)で、4年連続で前年を上回り、2013年以来、12年ぶりに2,000件を超えました。
建設業の倒産は、わずか4年で約2倍に増加している状況です。
つまり、需要も減少していますが供給側も早いペースで減っているため、需給バランスが崩れにくい状態となっています。
本来、価格が下落するためには供給過剰の状態が必要ですが、建設業の倒産件数の増加状況も踏まえると、今後も建築費はなかなか下がらないものと見込まれます。
人口減少社会でも家賃は上昇している
この章では、老朽化物件を建て替えせずに放置すると生じるリスクについて解説します。
空室の増加
老朽化物件は、放置すると空室が増加するリスクがあります。
理由としては、築年数の古い物件の仕様は現代のニーズにマッチしなくなっていくからです。
たとえば、古い物件の中には、バス・トイレ・洗面が1つになった3点ユニットや、バスと洗面が1つになった2点ユニットのように独立洗面台がない物件もよくあります。
しかし一方で、独立洗面台は、近年の入居者には強いニーズのある設備です。
独立洗面台が備わっていないと物件の競争力が落ちるため、空室が埋まりにくくなります。
また、3点ユニットや2点ユニットの物件は、水回りのスペースが限られているため、後からリフォームで独立洗面台を付けることは難しいことが多いです。
このように、築年数の古い物件にはリフォームだけでは改善しきれない問題を抱えていることがあり、リフォームよりも建て替えの方が望ましいことがあります。
家賃の下落
空室が増えることで、次に生じるのが家賃の下落です。
なかなか入居者が決まらない部屋は、募集家賃を下げざるを得ません。
しかし募集家賃はインターネット上で公開されるため、募集条件の引き下げに気付いた既存入居者から家賃の値下げを求められることもあります。
このように、家賃の下落がほかの部屋まで波及するという悪循環が生じるケースも少なくありません。
一度下がった家賃を再び引き上げることは容易ではないため、収益性の低下が長期化する可能性があります。 家賃の下落を防ぐには、そのきっかけとなる空室を極力発生させないことが対策となります。
修繕費の増加
老朽化した物件は、修繕費も増加していきます。
専有部内の設備は一般的に10~15年で寿命となるため、交換が必要です。
また、建物全体の大規模修繕費も15~20年の周期で必要となり、多額の支出が発生します。
さらに、空室対策としてリフォームを行えば、その費用も生じます。
このように老朽化した物件は、家賃の下落によって収入が減るだけでなく、修繕が頻発することで支出も増えるため、収益性が低下しやすい点が特徴です。
築古物件を今建て替えすべき理由
建築費の上昇が続いているからこそ、築古物件の建て替えは早めに検討することが重要です。 この章では、築古物件を今建て替えるべき理由について解説します。
建築費は今が一番安いといえるから
建築費は長期的な上昇傾向が続いており、結果として「今が一番安い」といえる状況が15年以上続いています。
建築費の高騰を受けて建て替えをためらうオーナーも少なくありませんが、近年は高いと感じつつも、今着工した方が2~3年後には「あのとき決断して正解だった」と感じることも珍しくありません。
また、資産のインフレ傾向は日本だけではなく、世界各国で生じており、ヨーロッパやアメリカでは日本よりも前にインフレが始まり、現在もその影響が続いています。
日本もグローバル経済に飲み込まれていると考えれば、世界的なインフレ傾向に今後も追随していく可能性は高いです。
新型コロナウイルスが流行したときに生じたウッドショック(木材価格が上昇する現象)も、国内要因だけではなく世界的な需給バランスの変化によって引き起こされた現象でした。
そのため、建築費の高騰は国内事情だけで判断するのではなく、他国のインフレ状況も見ながら判断していく必要があります。
家賃が上昇し始めているから
今が建て替えのチャンスである理由の一つに、家賃が上昇傾向にあることが挙げられます。
直近10年間の家賃指数の推移を示すと、下図の通りです。

出典:総務省 「消費者物価指数」の情報を基に筆者にて調査
これまでは建築費や土地価格が上昇しても、家賃はなかなか上昇しない状況が続いていました。しかし、2020年頃から家賃もようやく上昇傾向が見られ始めました。
一方で、築古物件の既存入居者に対しては家賃を引き上げにくいため、家賃上昇の恩恵を十分に受けられないケースが少なくありません。
その点、新築物件は現在の賃料相場を反映した家賃設定がしやすく、家賃上昇の恩恵を受けやすいという特徴があります。
家賃が上昇すれば、建て替えによって発生した建築費の投資回収もしやすくなります。
そのため、家賃が伸び悩んでいた時期と比べると、建て替えを判断しやすい環境になったといえます。
インフレ対策になるから
インフレとは、物価の上昇によって現金の価値が実質的に下がる現象です。 そのため、資産を現金のまま保有していると、時間の経過とともに資産価値が目減りしやすくなります。
このようなインフレ下では、現金を土地や建物などの不動産に変えて保有することが有効な対策となります。
インフレ対策としては、現金を株式や金に換えることも考えられますが、運用益が少ないです。
アパート経営であれば毎月のように相応の家賃収入も得られるため、株式や金に換えるよりも旨味があるといえます。
建て替えには相続対策などのメリットがあるから
アパートを保有することは相続税対策にもなります。
2026年度の税制改正により、2027年1月1日以後は「相続の5年以内に取得または新築した賃貸用不動産」は、相続税評価額が原則時価となるというルールが創設されました。
簡単にいうと、本人が死亡する5年以内に建てられたアパート等は、相続税評価額が高くなり、相続税の節税効果が薄まるというのが新しいルールの特徴です。
そのため、相続税対策を目的としてアパートを建築する場合は、相続開始直前ではなく、できるだけ早い段階で建築しておくことが重要になります。
本人が極力若いうちに建てた方が相続税の節税効果が高まることから、建て替えは早めに行った方が良いのです。
まとめ
以上、建築費の最新動向について解説してきました。
建築費は長期的な上昇傾向が続いており、「今が一番安い」といえる状況がすでに15年以上続いています。そのため、建築費が下がるのを待つよりも、早めに建設会社へ相談し、概算見積もりを取得するなど、建て替えの可能性を検討していくことが重要です。
特に、老朽化した物件を放置すれば、空室の増加や家賃の下落、修繕費の増加といったリスクが高まり、収益性の低下につながる恐れがあります。
一方で、建て替えを行うことで、競争力の高い物件への再生や家賃収入の向上が期待できるほか、インフレ対策や相続対策といったメリットも得られます。
建て替えに少しでも興味をお持ちの方は、下記よりお気軽にご相談ください。
資産3億円以上の経営者様へ
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
あわせて読みたい
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容には執筆者の解釈や見解が含まれる場合があり、正確性や完全性を保証するものではありません。
具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。
この記事をシェアする
不動産を買いたい
特集から記事を探す
記事カテゴリ
おすすめ記事
物件をご所有されている方、
お住まいをお探しの方


