- 騒音と感じる基準は人それぞれなので自分自身の基準だけでは判断できない
- 苦情を入れる前にまずはしかるべき場所に相談することがトラブル回避のコツ
- あらかじめ防音対策を講じてトラブルに巻き込まれないように工夫しよう
マンションで暮らしていて、隣の部屋の音や上の階から聞こえてくる足音が気になったことはありませんか? 1度気になってしまうと、小さな音でも許せなくなったり生活に支障をきたしてしまったりすることもあります。実はマンションにおけるトラブルで、騒音はかなり深刻な問題として扱われているのです。
そこで、騒音に関する基礎知識や相談窓口、騒音防止対策についてご紹介します。賃貸物件でもできる対策なので、「隣の音が気になる」「自分の生活音が聞こえていないか気になる」という方は参考にしてみてください。
騒音の基準
日常のなかで騒音と感じる音は、どのような大きさで、どのような音でしょうか。自分ではそこまでうるさいと思っていなかったのに、注意されたり嫌な顔をされたりした経験はありませんか?どのような音を不快に感じるのかは人によって異なるため、一概に「この音を出してはいけない」ということが言えません。
ただ、環境省が定めている環境基準によって、一般的な騒音レベルが設定されています。居住のために使われている地域では、昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下が基準値として設けられています。この大きさの物音は、家庭用エアコンの室外機の音をイメージしてみてください。普通の声で、3m以内で会話できるくらいの音の大きさなので、家庭内でも問題なく生活できるでしょう。
環境省が定める環境基準と地域
それでは、環境省が定めている環境基準について詳しく見ていきましょう。地域ごとに騒音の基準地が異なっており、療養施設や社会福祉施設がある地域では基準が低く設定されています。また、商業・工業用に使われている地域では基準値が高めになっており、この2つの地域では10デシベルほど差があります。車線の数によっても基準値が異なるので、地域によって基準値が異なっていることを把握しておきましょう。
文教エリアは治安がよい
近くに小学校や中学校、高校や幼稚園などがあると、日中の騒音が気になるかもしれません。子どもの声や定期的になるチャイム、行事があるときには音楽なども聞こえてくるでしょう。日中家にいることが多く、騒音が気になってしまう方は避けたほうがいいエリアと言えます。
しかし、文教エリアは治安がいいという特徴を持っています。周辺にはファミリー層が多く暮らしていることもあり、住民全体の防犯意識が高いのです。夜間に在宅していることが多く、治安が気になるのであれば文教エリアを視野に入れてみるのもいいかもしれません。
苦情の対処法
騒音に耐えられず相談したい場合や、苦情を受けたときに「どのように対処したらいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。ここからは、苦情への対処法について解説していきます。騒音による苦情で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
苦情を入れたくなったら
生活するうえで我慢できないくらいの騒音に困った場合は、いきなり苦情を入れるのではなくしかるべき窓口に相談しましょう。直接苦情を言いに行ってしまうと、トラブルに巻き込まれる場合もあるので、慎重に行動することを意識しましょう。
どこから騒音が発生しているのかによって相談する先が異なるので、それぞれの相談先を紹介していきます。もし、相談しても解決されない場合には、弁護士などに依頼して訴訟を起こす方法もありますが、騒音がどのレベルなのかを測定しなくてはなりません。また、費用や時間もかかってしまうので、できれば相談して改善してもらえるようにしたいところです。
隣人や同じマンションの住民についての騒音
同じマンションで暮らしている住民の騒音が気になるケースは、分譲マンションの場合は理事会に相談してみましょう。賃貸マンションの場合には、管理会社に相談してみてください。マンションで暮らしていると、騒音の原因となるのがどの部屋の人なのかを判断するのが難しいでしょう。出所がわからなくても相談できるので、突き止めようとせずにまずは相談してみるのがおすすめです。
マンション内の工事などの騒音
マンション内で工事をしている場合の騒音については、分譲マンションなら理事会、賃貸マンションなら管理会社に連絡してみましょう。マンション内での問題はそのマンションを管理している人に相談するのがよいです。
マンション外の工事などの騒音
マンションの周辺環境の騒音で困っている場合は、暮らしている市区町村の役所への相談となります。マンション外の工事の音で悩んでいる場合には、自治体ごとに決められた工事に関する条例があるので、分譲や賃貸の区別はなく、役所へ相談してみましょう。マンション内のルールで外部への相談をする際の決まりがあるのであれば、それに従うようにしてください。
苦情を受けてしまったら
もし苦情を受けてしまったら、相手の話を聞き入れて謝罪することが大事です。直接家に来て苦情を言われたら驚くかもしれませんが、相手が感情的になっていることも多いため、落ち着いてもらうことを最優先にしましょう。そして、原因や対策について考えていきます。
自分では騒音に感じていなくても、相手からするとかなりのストレスになっていることもあります。非がないと思っても不快感を与えてしまったことに関しては謝罪し、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。
騒音対策について
騒音に関するトラブルに巻き込まれてしまうと、被害を受けた側も加害者になってしまった側もいい気持ちになりません。快適な暮らしをするためにも、日ごろから騒音対策を講じておくことをおすすめします。ここからは、賃貸物件でもできる騒音対策について解説していきます。取り入れられそうなものから取り入れてみて、快適な暮らしを実現しましょう。
マンション階下への対策
子どもやペットの足音が原因で、マンション階下の人から注意を受けたり、棒のようなもので床を叩かれたりするケースも多くあるようです。床の防音対策としては、防音マットやカーペットを敷くのがおすすめです。それにより音の振動が伝わるのを防いでくれるので、階下に音が響きにくくなります。切って調整できるタイプやタイル状であれば、床のサイズに合わせて簡単に設置できます。フローリングは音が響きやすいので、より防音対策を講じたい場合には、マットとカーペットを併用するとよいでしょう。
外の騒音への対策
駅や学校のそばに家がある場合には、窓やサッシに防音対策を講じるのがおすすめです。窓を完全にふさぐことは難しいため、防音カーテンを活用してみましょう。まずは、カーテンに防音ライナーという遮音布が二重構造になったものを取り付けます。さらに防音効果を高めたい場合には、防音カーテンと防音レースカーテンを取り付けて、三重にして防音効果を高めましょう。
防音カーテンは中身が五重構造になっており、平均12~18デシベルの音を吸収してくれます。カーテンだけでは音が防ぎきれない場合には、窓用の防音ボードを窓にはめ込むという方法もあります。ガラスウールと遮音シートを合わせたものにゴムパッキンがついたもので、どうしても外の音が気になる場合には検討してみてもいいでしょう。ただ、窓のサイズに合わせたオーダーメイド商品になるため、費用がかさんだり作成に時間がかかったりするかもしれません。
隣の部屋の騒音への対策
マンションなどで暮らしていると、隣の部屋からの話し声や生活音が気になる騒音被害もあるでしょう。反対に、「自分の家の音が隣に聞こえていないか心配」という方もいるのではないでしょうか。そのような場合に手軽にできる対策としては、音が気になる壁側に家具を配置する方法があります。
家具によって音が遮断されるので、少しは軽減されるでしょう。隣接している側の壁にはベッドを置かないようにすると、眠るときも快適な空間をつくることができます。
それでも隣の部屋の音が気になる場合には、防音壁を壁に設置する方法があります。ガラスウールで遮音シートを挟み込んだ壁で、両面テープや突っ張り棒で設置ができるタイプもあるので、賃貸物件でも取り付けられます。
ほかにも防音シートを壁に取り付ける対策方法があります。発生した音を吸収したり、壁を通さないようにしたりする効果があり、壁に穴をあけて取り付けるものから貼り付けるタイプまでさまざまな種類があります。デザイン性を追求しているタイプもあるので、インテリアを崩したくない方にもおすすめの方法と言えます。
家電の音が気になる時の対策
エアコンや冷蔵庫などの家電の音が気になる場合には、機械の下にゴムを敷いて対策しましょう。シート形状のものであれば、形を自由にカットできるので設置箇所に合わせたサイズで使うことができます。騒音の原因になる振動をゴムの弾性に吸収してもらうことで、音を伝わりにくくさせます。
また、防音対策だけでなく滑り止め効果もあるので、家電や家具を固定するのにも活用できます。ゴム製品は時間とともに劣化するので、定期的に取り換える必要があることは覚えておきましょう。
建物の構造に着目して騒音対策をする
建築構造に着目すると、音が響きにくい物件を選ぶことができるのです。これから新居を探すという方は、建築構造に着目してみてください。高い防音性を求めたい場合は、「壁式構造」と呼ばれる壁で支えている建物を選ぶのがおすすめです。
分譲マンションであれば事前に構造や騒音対策について確認することができますが、賃貸の場合は確認できないこともあります。その場合は最上階や角部屋を選ぶようにすれば、他の部屋と隣接している部分が少なく騒音対策につながります。
防音対策を講じて気持ちよく暮らせる環境をつくろう
騒音トラブルに巻き込まれてしまうと、快適な暮らしが難しくなります。しかし騒音だと感じる基準は人それぞれなので、完全に防ぐことはできません。そこで、なるべくトラブルに巻き込まれないように、自宅の防音対策をすることが重要になります。手軽に防音対策できるグッズが販売されているので、気持ちよく暮らしていけるように工夫してみてください。
また、これから住まいを探す方は、建築構造に着目したり周辺環境を見てみたりすることが重要です。快適な暮らしをするために、慎重に物件を選んでいきましょう。
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