- 現代の二世帯住宅は3種類のタイプから選択
- 二世帯住宅の費用相場は平均3,000万円から4,000万円
- 二世帯住宅を作るなら将来を見越したバリアフリー設計
親世帯と子世帯が一緒の住居に住む「二世帯住宅」は、少し前までは当たり前のような暮らしでした。しかし今では、二世帯住宅の事情も変わりつつあります。
多くは両親が高齢になったことや子育てを手伝ってほしいなどの理由で二世帯住宅を検討する方が多いでしょう。ただ二世帯住宅を建てるなら、具体的なメリットとデメリットについて把握しておくことが大切です。
二世帯住宅の費用相場や建てるうえで気を付けたいポイントについても紹介していくので、参考にしてみてください。
今の二世帯住宅事情とは?同居のきっかけについて
最近の二世帯住宅はどのような事情で建てられるのでしょうか。親世帯と子世帯が同居するきっかけについて、詳しい内容を紹介します。
二世帯住宅で同居することになった理由の1位は?
実際に二世帯住宅で親世代と同居することになった家族で、同居の理由として最も多かったのが「親世帯が土地を持っていた」という内容で、全体の36.9%でした。すでに土地を持っている状態であれば、比較的費用を安く抑えられるので子世帯にとっても利点は高いと言えるでしょう。
次に多かった意見として「親世帯からの提案があった」というのが19.1%です。子育て環境などを考えて両親が提案してくれたために、二世帯住宅で同居することを決断するケースも多いでしょう。
二世帯住宅には主に3種類のタイプがある
二世帯住宅を建てるうえで知っておきたいのが、主に3種類のタイプがあるということです。それぞれ特徴が異なり、自分たちのライフスタイルに合わせて適切なタイプを選択する必要があります。
3種類のタイプとは「完全同居型」・「部分共有型」・「完全分離型」です。「完全同居型」は、玄関やトイレなどの名部設備をすべて共同で利用する二世帯住宅のタイプのことを指します。
建築費用が比較的安いのですが、親世帯と子世帯のプライバシーを確保するのが難しいのがデメリットです。「部分共有型」は、玄関が同じですが1階には親世帯が住み、2階には子世帯が住むという具合に居住スペースが分かれています。
距離の近い暮らしができるので両親の介護などでは役立ちますが、世帯別に電気代やガス代を分けて考えるのが難しいです。「完全分離型」は、内部設備などを2つの世帯分用意するタイプの二世帯住宅になります。
世帯別に電気代やガス代を分けて考えやすいですが、建築費用が比較的高くつきます。
完全同居型・部分共有型を選んだのは「建築費用が抑えられるから」
二世帯住宅で「完全同居型」を選んだ方の意見として多かったのが、「建築費用が抑えられるから」という理由でした。完全同居型は玄関や内部設備まで、親世帯と子世帯が一緒に利用するのでほかのタイプと比較しても建築費用が安いのが利点です。
また同じように「部分共有型」を選んだ理由に、「建築費用が抑えられるから」という意見も多く見られました。部分共有型は完全同居型に比べて費用はかかるものの、トイレなどの内部設備を世帯別に分けられるのが利点と言えるでしょう。
完全分離型を選んだ理由は「プライバシーを確保するため」
二世帯住宅で「完全分離型」を選んだ理由として多かったのが、「プライバシーを確保するため」といった意見です。玄関やトイレ、バスルームなどの内部設備が世帯ごとに分けられているので、同居のストレスが少なく、お互いのプライバシーを保ったライフスタイルをキープできるのが完全分離型の利点です。
ただし、ほかの二世帯住宅のタイプと比較すると、費用設定が高いのが難点です。
二世帯住宅を建てるなら工務店?ハウスメーカー?
二世帯住宅を建てる場合、主に「工務店」か「ハウスメーカー」に依頼を行います。どちらの方が依頼しやすいのか、基本的には依頼者の好みによって変わるでしょう。
多かった意見としてはハウスメーカーの方が、価格設定がわかりやすいということでした。それぞれ特徴が異なるので、依頼する工務店とハウスメーカーの特徴を理解したうえで依頼する必要があります。
二世帯住宅が選ばれる理由は?メリットとデメリットについて
親世帯と子世帯が一緒に暮らすことで、さまざまなメリットが感じられます。とくに子育て世代にとっては、子どもの面倒を両親に見てもらえるので安心して仕事に出かけられるでしょう。
しかし、当然メリットばかりではなくデメリットに感じられる部分もあるので、しっかり理解したうえで二世帯住宅での暮らしを検討しましょう。ここでは、二世帯住宅で暮らすメリットとデメリットを紹介します。
メリット①両親に子どもの面倒を見てもらえる
共働き夫婦の場合、子どもの送り迎えなどが難しいケースがあります。そんなときに、二世帯住宅なら両親に迎えに行ってもらえるので安心して子どもの面倒を見てもらえるでしょう。
家に両親がいることで仕事に集中できるため、子どもの体調不良で会社を早退する必要もなくなります。二世帯住宅では、ゆとりを持った子育てが実現できるでしょう。
メリット②二世帯が暮らすことで生活費が安く済ませられる
二世帯住宅は親世帯と子世帯が別々に暮らしているケースと比較して、光熱費や食費を安く済ませられる傾向にあります。
また生活費を二世帯で折半すれば、生活にも余裕が生まれるでしょう。とはいえ、生活費の計算は親世帯と子世帯でどのような考え方をするのか、事前に照らし合わせていないとトラブルの原因になるので注意が必要です。
メリット③「小規模宅地の特例」で相続税が節約できる
不動産を相続する場合、相続税がかかります。しかし330平方メートル以下の住宅であれば、同居している親族に相続するとき「小規模宅地の特定」が適用されます。
「小規模宅地の特例」が適用されれば、土地の評価を80%近く下げられるので相続性の節約に繋がります。お互いの居住スペースに移動できない「完全分離型」の二世帯住宅で、区分所有登記の登記内容によっては制度が受けられない可能性もあるので注意しましょう。
メリット④折半すれば建築費用を安く抑えられる
二世帯住宅にするとき、親世帯と子世帯がそれぞれ折半すれば建築費用を抑えられるでしょう。とくに親世帯がすでに土地を持っている場合には、土地代がかからないので費用を安く済ませられます。
また、住宅を維持するためにはある程度のメンテナンス費用が必要になりますが、親世帯と子世帯が住んでいれば、費用は1軒分で抑えられるでしょう。
二世帯住宅のデメリットはお互いのプライバシーを守るのが難しいこと
二世帯住宅は親世帯の協力を得やすいメリットがありますが、一緒に住むことで世帯間のプライバシーが守りにくいデメリットもあります。とくに完全同居型や部分共用型は、玄関や内部設備を親世帯と子世帯で共有するため、ストレスを感じてしまう可能性があるでしょう。
完全分離型であればプライバシーは守られますが、建築費用がほかのタイプより高額といった点があります。二世帯住宅を選ぶときには、お互いのプライバシーを守るために気配りが重要になってくるでしょう。
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二世帯住宅にするならどれくらいの費用が必要?
二世帯住宅にする場合、気になるのはどれくらいの費用がかかるのかという点です。事前に費用相場を理解しておくことで、親世帯・子世帯で折半するときもイメージしやすいでしょう。
二世帯住宅の費用相場について解説します。
二世帯住宅を建てるときの費用相場
平均的な二世帯住宅の費用相場は、3,000万円から4,000万円ほどかかるでしょう。ただ二世帯住宅を3種類のタイプからどれを選ぶのかによって、価格は異なります。
ほかにも導入する設備によっても金額が変わってくるので、具体的な費用を知るためには見積もりを出してもらう必要があるでしょう。
完全同居型の費用相場
玄関や内部設備を親世帯・子世帯で共有する「完全同居型」は、一般的に通常の注文住宅と費用相場は変わりません。金額にすると3,000万円程度が、完全同居型の費用相場となります。
ただ内部設備を増やす場合には費用相場よりも金額が高くなるので、まずは見積もりを取得してから検討しましょう。
部分共有型の費用相場
二世帯住宅の一部だけを親世帯・子世帯で共有する「部分共有型」は、共有する設備が多いほどかかる費用は抑えられます。金額にすると3,500万円から3,700万円程度が、部分共有型の費用相場です。
部分共有型は共有設備に応じて、光熱費を抑えることができるのでランニングコストの節約にも繋がるでしょう。
完全分離型の費用相場
トイレなどの設備を2つの世帯でそれぞれ用意する「完全分離型」は、ほかの二世帯住宅のタイプと比較すると費用は高めに設定されています。金額にすると4,000万円程度が、完全分離型の費用相場です。
建築費用が高い分、それぞれのプライバシーが守られるのがメリットとなっています。
二世帯住宅の費用をできるだけ抑えたいときは?
二世帯住宅で暮らすなら、できるだけ費用は抑えたいと考えている方は多いでしょう。基本的には親世帯と子世帯で折半すれば、お互いの負担を軽減できます。どれくらいの割合で建築費用を出すのか、しっかり話し合いをしておきましょう。
また二世帯住宅のタイプにこだわりがないのであれば、「完全同居型」を選ぶことをおすすめします。二世帯住宅のタイプのなかでも完全同居型は共有部分が多いので、内部設備を増やす費用を抑えることができるからです。
二世帯住宅のデザインはシンプルな方がお得
二世帯住宅を建てるときに、いろいろと注文を加えてしまうと費用がかかってしまう傾向にあります。そのため、できるだけ外観や構造設計はシンプルな物を選択した方が費用を抑えられるでしょう。
どうしても外観や構造設計にこだわりたい部分があるなら、複雑な注文にならないように気を付けてください。
制度や補助金の条件を確認する
二世帯住宅をお得に建てるなら、自治体が用意している制度や補助金を活用する手段があります。「地域型住宅グリーン化事業の補助金」や「小規模宅地等の特例」などを有効活用することで、費用や税金を安く済ませられるでしょう。とくに小規模宅地等の特例は、一緒に住んでいる親族への相続税が減免されて土地の評価額を8割も減らしてくれることもあります。
自治体によっては補助金や制度を受ける条件が違うケースもあるので、事前に確認したうえで利用を検討してください。
二世帯住宅で失敗しないために注意すべきポイント
二世帯住宅で住むなら、事前に注意しておきたい点がいくつかあります。お互いのライフスタイルや間取りといった問題があるので、よく注意点を理解したうえで二世帯住宅を購入するか判断しましょう。
折半するときには贈与税に注意!
二世帯住宅を購入する際に、費用を親世帯・子世帯で折半する家庭もあるでしょう。そのときに注意したいのが、費用負担の割合です。購入費用を折半したときに子世帯名義で「登記」を行うと、子世帯にお金を贈与したと判断されて贈与税が課せられます。
後からトラブルに発展しないためにも、どれくらいの費用を親世帯・子世帯が負担するのかよく検討しておきましょう。
将来を見越した間取りにする
二世帯住宅を建てるときに、両親が高齢であることを考慮してバリアフリー設計を施すことも大切です。今は元気に動けていたとしても、将来的に足腰が弱くなり介護が必要になるケースもあるでしょう。
子どもがまだ小さい場合は、今すぐ子ども部屋を用意しなくても問題はないですが、中高生になったとき勉強するための部屋を用意してあげることも、二世帯住宅を建てるうえで重要な要素となってきます。
お互いのプライバシーを尊重した設計・間取り
親世帯と子世帯が一緒に住むうえで、お互いのプライバシーはしっかり守られた設計・間取りにする必要があります。子世帯が夜遅くに帰ってきた場合、親世帯は寝静まっている可能性があるでしょう。
そんなときにお風呂に入っている音が親世帯の方まで届いていると、ストレスに繋がってしまう可能性があります。できるだけ生活音が聞こえないよう防音対策をしっかり施すことで、お互いの住みやすい家が実現されるでしょう。
生活費の負担についての考え方はまとめておく
二世帯住宅で2つの世帯が暮らす場合、生活費について問題になることがあります。たとえば生活費を折半すると決めても、世帯の人数やガス、電気の使用頻度も違ってくるので、どちらかが不満を抱いてしまう可能性もあるでしょう。
生活費をしっかり分ける方法として、内部設備が別々に設置されているなら、それぞれにメーターを設置するやり方があります。これならお互いがどれくらいの光熱費を支払うのか、ハッキリと判断ができるでしょう。
テレビや冷蔵庫などの生活用品は世帯ごとに用意
生活するうえで必要な家電や家具は、世帯ごとに用意しておかないと不満の原因に繋がります。つねに生活用品を共有することは難しいので、テレビや冷蔵庫などはそれぞれのライフスタイルに合わせられるように、世帯ごとに用意しておきましょう。
また、収納スペースについても、世帯ごとに用意しておくことをおすすめします。物が一緒に片づけられていると、所有者が曖昧になってしまい、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。
二世帯住宅の費用相場を参考に、好みの住宅を建てよう
二世帯住宅を建てるうえで多くの方が、価格重視で検討していることがほとんどです。親世帯と子世帯が折半するといっても、希望通りの住宅を作るためには費用がかかります。
また登記を子世帯にしたら贈与税が課せられることがあったり、プライバシーが守れる設計や間取りを意識したりするなど、検討ポイントはいろいろあります。二世帯住宅を建てるときには、事前に確認しておく注意点があるので、しっかり話し合ったうえで購入を検討しましょう。
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