- 賃貸と購入には、それぞれメリット・デメリットがある
- 中古マンション購入に適したタイミングは、ライフスタイルが変化する時期
- 中古マンションを購入するなら、できるだけ早い方が金銭的にメリットが多い
賃貸と中古マンション購入どっちがいい?
賃貸と中古マンション購入のどちらがいいかは、一概に決められません。
「どちらを選択すべきか」は、それぞれのメリット・デメリットを把握し自分の状況に応じて選択する必要があり、一人ひとりベストな方法が異なるものです。
毎月家賃を支払って住み続ける「賃貸」の場合、「購入」と比較して初期費用を大きく抑えられることに加え、気軽に引っ越ししやすいなどの魅力があります。 しかし、家賃をいつまで支払っても自分の財産にならないため、居住費として支払い続けることを慎重に検討する必要があります。
一方、中古マンションを購入すれば、自分の資産となるため将来的な安心感にもつながるでしょう。 ただし、初期費用が高額になり維持費も必要になるなど、負担が大きい点は覚えておくことが大切です。
このように、賃貸・中古マンション購入ともにメリット・デメリットがあるので、それらを理解したうえで選択する必要があります。 以下では、賃貸と中古マンション購入のメリット・デメリットについて、詳しく解説していくので参考にしてください。
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賃貸マンションのメリット・デメリット
まずは、賃貸マンションのメリット・デメリットについてみていきましょう。
賃貸に住むメリット
賃貸に住むメリットとしては、下記の3つが挙げられます。
引っ越ししやすい
賃貸であれば、比較的簡単に引越しすることが可能です。 新しい環境で生活をスタートしてみると、思いもよらない問題にぶつかることは珍しくありません。 マンションの使い勝手だけでなく、隣人とトラブルになるといった可能性もゼロではありません。 とくに、マンションは左右上下が囲まれているので、生活音を巡ってトラブルに発展するケースは珍しくないです。
トラブルがなくても、急な転勤で引っ越しが必要なケースも出てくるでしょう。 そのような場合でも、賃貸であれば気軽に引っ越すことが可能です。 また、収入が下がって家賃の負担が大きいという場合も、収入に見合った家賃のマンションに引っ越すという選択もできます。
大家さんが修繕・修理してくれる
賃貸の場合、マンションの不具合は基本的に大家さんが対応してくれます。 老朽化による設備の故障・災害時の損壊などは、大家さんに連絡すれば手配などを行ってくれるので入居者は修繕・修理の手間がかかりません。 修繕・修理の費用についても、大家さんが負担してくれるので急な出費が発生するということもありません。 ただし、入居者の故意・過失などの不具合・損傷は自分で費用の負担が必要になるので、注意が必要です。
家賃や共益費以外のランニングコストは不要
中古マンションを購入した場合、毎月の修繕積立金や固定資産税が発生し、築年数が古いほど負担も大きくなりますが、賃貸の場合、毎月の家賃・共益費以外に居住にかかる費用はほとんど発生しません。 修繕費用や固定資産税もマンションの所有者である大家さんが負担するため、家の維持のための負担を大きく軽減できます。
また、近年ではインターネットなどが無料で利用できる賃貸マンションも増えているので、通信費などの費用を軽減することもできるでしょう。
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賃貸に住むデメリット
賃貸に住むデメリットとしては、下記の3つが挙げられます。
家賃を払い続ける必要がある
賃貸は住んでいる限り、家賃をずっと払い続ける必要があります。
中古マンションを住宅ローンで購入した場合も、毎月ローンの返済という居住にかかる費用は発生しますが、家賃と住宅ローンの支払いでは大きく意味が異なります。 住宅ローンを払い終えると、マンションは自分の財産になるからです。
一方、家賃はいくら払い続けてもマンションが自分のものになることはありません。 住宅ローンは自分のための支出、家賃は大家さんという他人への支出という点が異なるのです。
また、住宅ローンの場合、現役世代で完済することによって老後の居住費を大きく削減できますが、家賃は支払い終わることがなく、老後になっても家賃払いが続く点にも注意が必要です。 収入が減少する老後に家賃を支払い続けることは、生活費の大きな負担となりかねません。 仮に、65歳から80歳までの15年間、毎月10万円の家賃を支払うとなると、総額で1,800万円となり、この額を老後に備えて準備しておく必要があります。
日本は長寿化しており人生100年と言われるように、80歳以上長生きする可能性も高く、その場合はさらに居住費が必要です。 今は家賃の負担が問題なくても、老後にどうかという視点も持っておくようにしましょう。
原則として自由にリフォームできない
賃貸は、軽微な修繕はできても大規模なリフォームなどは大家さんの許可なく実施できません。 以下のような場合でも、自分で自由にリフォームや設備の交換ができない点は覚えておきましょう。
- 間取りを変更したい
- 自分好みに壁紙を変えたい
- バリアフリーにしたい
- 設備のグレードを上げたい
そもそも、賃貸マンションと分譲マンションでは、マンションのグレードが異なる点も頭に入れておく必要があります。 賃貸として建設されているマンションは、コストカットなどのために設備などのグレードが低いケースが少なくありません。
一方、長く住み続けることを目的としている分譲マンションは、設備などのグレードが高く共有部分も充実している傾向にあります。
高齢になると賃貸物件を借りることが難しくなる
収入が安定している世代では賃貸物件も入居しやすいですが、老後になると入居が難しくなる点は覚えておきましょう。 定年退職後の収入が減少した経済状況では、家賃の支払いが厳しくなる恐れがあります。 また、高齢者の入居には身寄りがない・孤独死の恐れがあるなどの理由で積極的ではない大家さんも少なくありません。
近年は高齢者向け賃貸も増えていますが、まだ数は多くなく家賃も高額になります。 今は賃貸で問題なくても、高齢になってから住み替えたくても住み替えられない状況になる恐れがある点には注意しましょう。
中古マンション購入のメリット・デメリット
賃貸にメリット・デメリットがあるように、中古マンションの購入にもメリット・デメリットがあります。 ここでは、中古マンション購入のメリット・デメリットをみていきましょう。
中古マンションを購入するメリット
中古マンションを購入するメリットには、下記の3つが挙げられます。
資産になる
住宅ローンを完済できれば、マンションは自分の資産になります。 先述したように住宅ローンの毎月の返済自体も、将来自分の資産になるものに対する支出となります。 完済後は、老後の居住地を確保できているため、安心感にもつながるでしょう。 自分の資産であることから、将来的には売却や子や孫に相続させるという選択肢を持つこともできます。
自由にリフォームできる
購入したマンションは、自由にリフォームが可能です。 とくに、中古であれば、購入額を抑えてその分リフォームに費用を充てるという方法もあるでしょう。 自分の趣味に合わせてコーディネートしたり、住みやすいようにリフォームしたりすることで快適に生活することができます。 ただし、リフォームの内容によっては事前に管理組合などへ届出が必要な場合があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
住宅ローンの団信に加入できる
団信(団体信用生命保険)とは、加入者の死亡時などに保険金で住宅ローンが完済される仕組みのことです。 団信に加入しておくことで、万が一、自分が死んだ場合でも、残された家族は住宅ローンの負担なくマンションに住み続けられます。
近年は保障内容も充実しており、死亡以外にもがん保障・八大疾病保障などが付帯しているものも増えています。 団信の内容によっては、民間の医療保険の内容を見直しして保険料の節約につなげることもできるでしょう。
なお、団信は、住宅ローンを組む際に金融機関から必須とされていることがほとんどです。 健康状態に不安があるなどで団信に加入できない場合は、住宅ローンが組めない可能性もあるので注意しましょう。 その場合は、団信不要の住宅ローンを検討する必要があります。
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中古マンションを購入するデメリット
中古マンションを購入するデメリットには、下記の3つが挙げられます。
まとまった資金が要る
中古マンションを購入する際には、まとまった資金が必要です。 また、マンション購入時には、マンションの代金以外にも下記のような支出が発生します。
- 不動産会社への仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
(抵当権設定登記・所有権移転登記) - 不動産取得税
- 住宅ローンを組むための費用
なかでも、大きな費用負担になるのが仲介手数料・不動産取得税・住宅ローンを組むための費用です。 仲介手数料は、下記のように上限が定められています。
仲介手数料上限
(物件価格400万円以上の場合)
=物件価格×3%+6万円+消費税
仮に、3,000万円でマンションを購入すれば、96万円(税抜)の仲介手数料が発生します。
不動産取得税・住宅ローンを組むための費用も、下記が目安になります。
不動産取得税:固定資産税評価額×4%
住宅ローンの事務手数料:借入額×1~2%
マンションを購入する際のこれらの諸費用は、購入額の10%程が目安となります。
例えば、3,000万円のマンションを購入した場合、諸費用で300万円がかかることになります。 諸費用の中には住宅ローンに組み込めないものもあるので、注意が必要です。
このように、マンションを購入する場合、マンション代金以外にもお金がかかる点は忘れずに資金計画を立てるようにしましょう。
固定資産税や修繕積立金・火災保険を負担する必要がある
マンションを購入すると、毎月の住宅ローン返済以外にも次のような費用が発生します。
- 管理費・修繕積立金
- 火災保険(※任意で地震保険など)
- 固定資産税・都市計画税
※必要であれば駐車場・駐輪場の費用が別途発生します。
毎月発生する修繕積立金は、マンションの築年数が古くなるほど高額になります。 一般的には管理費と併せて2~3万円が目安となり、住宅ローン返済と合わせて資金計画を立てておく必要があります。 また、保険料や税金も毎月ではありませんが、年間でまとまった費用が必要になるので資金計画を立てておく必要があります。
このように、マンションを購入すると毎月・毎年のランニングコストが発生するため、ローン返済だけでなくランニングコストまで考慮して、資金計画を立てておくことが重要です。
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気軽に引越ししづらくなる
マンションを購入した場合、下記のような事態で住み続けることが困難になっても、気軽に引っ越すことができません。
- 生活してみるとイメージと違った
- 隣人とトラブルになった
- 急に転勤になった
- 家族が増えて手狭になる
- 離婚する
- 住宅ローンの返済が厳しい
- 転職や進学で通勤・通学が大変になる
引っ越すためには、マンションを売却したり第三者に貸し出したりするなど、手間や時間がかかります。 また、住宅ローンの支払い状況によっては、売却ができないケースや賃貸に出せないケースもあるので注意が必要です。
購入するなら資金計画だけでなく、将来のライフプランやマンション・周辺環境の調査なども徹底的に行うことが大切です。
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賃貸から中古マンション購入にシフトするベストタイミングとは
今は賃貸に住んでいるけどいつかは中古マンション購入を検討している、という方は少なくありません。 中古マンション購入には、自分の資産になる・自由にリフォームできるなどの魅力がありますが、高額な資金が動くイベントでもあるので、なかなかタイミングを決めきれないという方も多いでしょう。
中古マンション購入のベストタイミングは、その人の資産状況やライフプランなどによっても異なります。ここでは、どのようなタイミングがあるのか紹介していくので、自分のシフトチェンジのタイミングの参考にしてください。
結婚や出産するタイミング
ライフスタイルが変化するタイミングで、中古マンションを購入する方は多いです。 とくに結婚や出産という、家族構成が大きく変わるタイミングはマンション購入に適しています。 結婚して夫婦二人の生活がスタートすると、シングル向けの部屋では手狭になったり、出産して子供が増えると、子ども部屋が必要になったりすることから、より広い部屋を求めてマンションを購入する人も多いです。
結婚や出産の次には、子どもの進学もタイミングの目安となります。 子どもが進学する頃には、ある程度子どもの人数の目安も立てやすく、必要な子ども部屋の数も確定しやすくなります。 さらに、子どもの通学距離や希望の学区などを考慮して引っ越すというケースも少なくありません。
ライフスタイルが大きく変化するタイミングで中古マンション購入を検討すると、より家族に合った生活しやすい環境にできます。
転職するタイミング
自身の転職や転勤など、拠点が大きく変わるタイミングも、中古マンション購入に適しています。 通勤利便性向上のために中古マンションを購入することで、生活しやすくなるでしょう。 ただし、転職直後は住宅ローンを組みにくい可能性があるので注意が必要です。
金融機関によっては、「勤続年数3年以上」など、勤務期間に条件を設けているケースも少なくありません。 転職して、収入が大きく下がる場合も住宅ローンの審査に不利になるので気を付けましょう。 転職に伴い中古マンションを購入するなら、転職前に住宅ローンを組んでおくとスムーズに購入しやすくなります。
金銭的にはできるだけ早いタイミングが良い
いつか中古マンションを購入しようと検討しているなら、できるだけ早いタイミングをおすすめします。 「資金を貯めてから」などの理由で購入を先延ばしにしている間にも、家賃の支払いは発生します。
毎月家賃を支払い続けた場合の合計金額は、下記の通りです。
3年間 | 5年間 | 8年間 | 10年間 | |
---|---|---|---|---|
毎月 8万円 |
288万円 | 480万円 | 768万円 | 960万円 |
毎月 10万円 |
360万円 | 600万円 | 960万円 | 1,200万円 |
毎月 12万円 |
432万円 | 720万円 | 1,152万円 | 1,440万円 |
今の家賃が10万円で、5年後にマンションを買うとなると、その5年間で600万円の家賃を支払っていることになります。 また、マンション購入を資金が貯まるまで先延ばしにすると、次のようなデメリットも考えられます。
- 気に入った物件を購入できない
- 住宅ローンの金利上昇リスクがある
頭金500万円を毎月5万円貯金して貯えようとすると、約8.3年かかります。 その期間、気に入った物件があっても資金がないことを理由に諦める必要があるでしょう。 今は低金利と言われる住宅ローンもこの先上昇しないとは言い切れません。 8年後に住宅ローン金利が上昇していると、蓄えた500万円以上に返済の総額が大きくなる可能性もあるのです。
いつかマンションを購入しようと考えているなら、まずはどのような物件があるのかチェックして、家賃とローン返済額を比較することから始めてみるとよいでしょう。
まとめ
賃貸と中古マンション購入のメリット・デメリット、賃貸から中古を購入するタイミングの目安について解説しました。
賃貸には、気軽に引越しできる・修繕費用が要らないなどのメリットがありますが、老後も家賃をずっと支払い続ける必要があるため、将来の負担の大きさには注意が必要です。 中古マンションは、自分の資産になり自由にリフォームできるという魅力がある反面、住宅ローンの返済以外にも毎月の支出が必要になるので、資金計画をしっかり立てたうえで検討することが大切です。
いつか中古マンションを購入しようと考えている方は、購入するまでの期間に支払う賃料や購入が遅れるリスクなども考慮して、早い段階で購入の第一歩を踏み出すことをおすすめします。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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