- 重要事項説明書に基づく重要事項の説明は宅地建物取引業法で定められている
- 説明と重要事項説明書への署名・捺印は、契約前に行う
- 借主が不利になるような記述がないかチェックする
賃貸で部屋を借りる際、必ず「重要事項説明」を受け「重要事項説明書」を交付してもらうことになります。重要事項説明書とその説明は、入居や退去のときのトラブルを防ぐためにも必要になるものです。
事前に「重要事項説明書」について理解を深めておけば、重要事項の説明を受ける際に意識すべきポイントも把握できるでしょう。とくに設備や退去のときの説明などは、後々トラブルに発展しやすい事項なので、しっかり確認しておく必要があります。今回はその詳しい内容を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
「重要事項説明書」に基づいた重要事項説明を受けよう
賃貸借契約が成立する前、不動産会社は借主に対し「重要事項説明書」に基づいて物件や契約条件について説明しなくてはなりません。これを「重要事項説明」といいます。宅地建物取引業法で定められているルールなので、契約の際にはしっかりと説明を受けるようにしましょう。反対に、説明がない場合には注意が必要といえます。
重要事項説明書に記載されている項目(建物貸借の場合の一例)
・建物に直接関係する事項(所有権に関する事項など)
・施設の整備状況(飲用水、電気、ガス、排水)
・設備の整備状況(台所、浴室、冷暖房設備など)
・耐震診断の内容
・契約の解除に関する事項
・契約期間、更新に関する事項
・敷金等の精算に関する事項
など
出典:国土交通省 「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方 別添3・重要事項説明の様式例」
以下、重要事項説明の役割、そして重要事項説明書と賃貸借契約書にはどのような違いがあるのか解説していきます。
重要事項説明は後々トラブルに発展しないよう防止する役割がある
重要事項説明は、入居者が契約する前に宅地建物取引士の資格を持った方が契約について詳しい内容を説明するものです。
重要事項説明書は貸主が契約してから契約内容を知らなかったと、トラブルに発展しないよう防止する役割を持っています。重要事項説明を受けて納得できる内容であった場合に、署名や捺印を行ってから賃貸借契約を行うのが契約の流れです。
重要事項説明書と賃貸借契約書はどこが違う?
賃貸で部屋を借りる際に交付される書類として、主に「重要事項説明書」と「賃貸借契約書」の二種類の書類があります。これらの書類は似ていますが、記述の内容や目的が異なります。
「重要事項説明書」は、借主と不動産会社が賃貸借契約を交わす前に部屋を借りるかどうかの判断にあたって必要な書類です。建物の権利や設備の状況など、細かい部分の説明が入るので、借主は説明を聞いたうえで部屋を借りるか判断する必要があります。
「賃貸借契約書」は、部屋を借りたい借主とオーナー側との契約に必要な書類です。物件を借りると決断したときにサインする契約書になるので、タイミング的には重要事項説明書の後に必要となってきます。
重要事項説明を行わないのは違反!
賃貸で部屋を借りるとき、重要事項説明を行わないケースはあるのでしょうか?
基本的に重要事項説明を借主側に行うことは法律上義務付けられているため、説明をしないと不動産会社側は違反行為とみなされます。業務停止といった厳しい罰が課せられるリスクもあるので、不動産会社側は慎重に対応しないといけません。
ただし、借主とオーナー側が直接契約を行って賃貸で部屋を借りる場合などは、法律が適用されないこともあります。
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いつ重要事項説明をしてくれるの?
不動産会社が実施する重要事項説明は、トラブルを回避するために必要な説明になります。実際に重要事項説明は、どのようなタイミングで実施されることが多いのでしょうか。
ここからは、重要事項説明の流れについて、詳しい内容を解説していきます。
重要事項説明は契約する前のタイミングで実施される
重要事項説明は借主側が、部屋を借りるかどうか契約の判断を行うために実施する説明です。そのため、賃貸借契約を行う前のタイミングで実施されます。借主側は重要事項説明を聞き、納得すれば賃貸借契約を行うことが可能です。
オンラインでも重要事項説明が受けられる
従来、重要事項説明は対面でないと受けられませんでした。しかし、平成29年10月から、オンラインのビデオ通話でも重要事項説明を受けられるようになりました。不動産会社に赴いて説明を受ける手間が省かれるため、さまざまなメリットがあります。
オンラインで重要事項説明を受けるメリット
・事前に書類が送られてくるので、じっくり内容を確認したうえで話が聞ける
・事前に内容を把握しておけると、気になる点について質問しやすい
・不動産会社に行くための手間を省ける。交通費の削減につながる
・自宅以外でも説明を受けられる
重要事項説明を受ける際のポイント
不動産会社から重要事項説明を受ける場合、どのような部分を意識して聞くとよいのでしょうか。事前にポイントを押さえておけば、後からトラブルに発展するリスクを軽減させられます。重要事項説明を受ける際に把握しておきたいポイントは次のとおりです。
重要事項説明を行う相手が宅地建物取引士の資格を持っているのか確認
契約を結ぶ前に話を聞く重要事項説明は、宅地建物取引士の資格を持っている方から説明してもらうのが法律で義務付けられています。そのため、重要事項説明を受ける前に、宅地建物取引士証を持っているのか確認してください。
資格を持っていない方であれば違反となるので、信用して契約を進めるのか判断するきっかけになるでしょう。
気になる記述があれば理解できるまでたずねてみる
重要事項説明のなかには専門的な用語が続いて、聞き流してしまう方も多いかもしれません。しかし、気になる部分があるときには、内容が理解できるまで担当者にしっかり確認しましょう。重要事項説明の内容を十分に把握できないまま契約してしまうと、後からトラブルに発展する恐れがあります。
安易に署名や捺印を行うのではなく、話を聞いてわからないことがあれば遠慮なく質問することが重要です。
借主に不利になる内容がないかしっかり聞いておく
重要事項説明書には、敷金やその他金額など費用に関する記述があります。借主が不利になる記述がないか、しっかりチェックしておきましょう。納得のいかない内容があった場合、契約を一度考え直すという選択も重要になります。また、事故物件であった場合など、特約に関する記述を聞いておくこともポイントです。
重要事項説明の内容に納得いかないときは契約しない
物件を細かく内見したり重要事項説明を受けたりしても、内容に納得いかないときは契約しないという決断も念頭に置いておきましょう。契約まで話が進んでしまうと、断りづらいという方も多いかもしれません。しかし、一度賃貸借契約を結んでしまうと契約を破棄することが難しくなるため、納得のいく物件でなかったときは断ることも大切です。
重要事項の内容で確認しておきたい、外せないポイント
ここまで重要事項説明を受けるにあたってのポイントについて触れてきました。それ以外にも設備や耐震診断、退去費についてなど、住むうえで確認しておきたい重要なポイントがあります。
部屋の設備の「有・無」
重要事項説明の書類には内部設備の「有・無」が書かれており、どちらの記述かで故障したときの対応が異なります。
たとえば内部設備が「有」と記述されている場合は、故障したときの費用負担はオーナー側が責任を負うケースがほとんどです。しかし、内部設備があるにもかかわらず「無」と記述されている場合は、以前に部屋を借りていた方の「残置物」という扱いになります。残置物が故障したときに修理する場合、費用は自己負担となるので注意しましょう。
部屋のインフラ状況について確認しておく
生活するうえで、インフラ状況がどのように整備されているのか把握しておくことも大切です。とくにガスは「都市ガス」と「プロパンガス」でガス代が異なるため、何が適用されているのか事前に知っておきたい項目です。賃貸のインフラ状況についても確認しておきましょう。
耐震診断など住むうえでの安全性
自然災害のリスクを避けるため、賃貸の耐震診断の有無や危険区域に入っているかどうか事前に確認しておきましょう。自分でハザードマップを確認することでもある程度の安全性は理解できるので、事前にチェックしておくことも方法です。
契約解除や敷金に関する事項
重要事項説明の際に、賃貸の契約はいつまでに解除すべきなのかなど、契約解除に関する内容についても説明してくれます。基本は「1ヶ月前に報告」といった内容が多いのですが、物件によって退去予告の決まりなどが異なるので事前に確認しておきましょう。
ほかにもトラブルになりやすいのが退去費についてです。退去する際どこまで借主側が原状回復費用を負担するのか重要事項説明で教えてもらえるので、その点も契約にあたっての判断材料になります。
退去費に「通常損耗」が含まれているなら注意!
煙草による汚れやキッチンの油汚れについては、基本的に借主が原状回復費用を負担します。そして、畳の日焼けや家具の設置による床の凹みなど、暮らすうえで仕方なく生じる汚れやキズである「通常損耗」や「経年劣化」は、オーナー側に原状回復費用負担の責任があります。しかし、通常損耗についても、借主側の費用負担になるような契約になっているケースもあります。
これらの記述に見落としがないように、各ポイントを押さえてから重要事項説明にのぞみましょう。
安心して新生活をスタートできるように、重要事項説明書について知っておこう
初めての部屋探しの場合、「重要事項説明書」の存在を知らなかったという方もいるかもしれません。重要事項説明は「契約を行う前に受けるもの」であり、説明がない場合は不動産会社側の違反行為となります。契約前にしっかりと説明を受けましょう。
何年もお世話になるかもしれない部屋ですので、納得のうえで契約したいですよね。そのためには「重要事項説明書」にきちんと目を通し、不明点があれば遠慮なく質問していくことが肝心です。トラブルを未然に防いで気持ちよく新生活をスタートさせましょう。
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