- 家賃補助と住宅手当の違いは、会社が「家賃」を負担するか「住宅ローン」を負担するか
- 会社によって家賃補助の条件や金額が異なる
- 「赴任費用」や「転宅費用」など、転勤時には家賃補助以外に手当が出る可能性も
月々支払う家賃が負担に感じている場合、会社から「家賃補助」を受けるという選択肢もあります。家賃補助はいくつか種類があり、それぞれ支給される条件などが異なります。また、類似する制度として「住宅手当」がありますが、家賃補助との違いはどこにあるのでしょうか?今回は家賃補助の種類や支給されるための条件についてなど、詳しく解説していきます。
まずは「家賃補助」と「住宅手当」の違いを解説
家賃などを一部負担してくれる制度として「家賃補助」がありますが、類似する制度に「住宅手当」があります。混同してしまいがちなこれらの制度は、実は細かい部分でいくつかの違いがあります。家賃補助の概要と共に、まずはこれらの相違点について見ていきましょう。
家賃補助と住宅手当は支給の形が異なる
家賃補助
会社が福利厚生の一環として、従業員の家賃の一部を負担する制度です。いくら補助してもらえるのかは勤め先の会社によって異なり、支給の方法としては現金で支給されるため給与と同様に課税対象になります。ただし、賃貸の契約を会社名義で行っているなど、一定条件では「福利厚生費」として計上が可能です。また、自治体が支給する家賃補助もあります。
住宅手当
住宅手当は一般的に、住宅ローンの一部費用を負担してくれる制度のことです。細かい金額設定は会社によって異なりますが、扶養している家族が何人いるのかによっても変わってきます。家賃補助と同様に現金で支給されるため、給与と同じように課税対象となります。
会社によっては「家賃補助」を「住宅手当」と呼ぶこともありますが、とくに法律上の決まりはないため会社の判断で呼称が取り決められることがほとんどです。
家賃補助は大別すると3種類ある
家賃補助は主に次の3つに分けられます。
- 会社から支給される家賃補助
- 自治体から支給される家賃補助
- 特定優良賃貸住宅
会社や自治体によって支給対象となる条件がそれぞれ決められているため、必ずしも全員が補助を受けられるわけではありません。会社から支給される家賃補助について、どんな人が支給対象になるのか、以降の項目で詳しく解説していきます。
会社から支給される家賃補助について解説
会社が独自に実施している家賃補助を受けるためには、一定の条件をクリアしている必要があります。設定されている条件は各会社によって違いがあり、支給される金額もそれぞれで異なります。また、そもそも家賃補助の制度が設けられていないケースもあるため、就職や転職の際には応募先の会社の福利厚生に家賃補助が含まれているか確認してみましょう。
家賃補助(住宅手当)の相場はどれくらい?
各会社で設定されている家賃補助の金額は異なりますが、相場としてはどのくらいになるのでしょうか。厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」の「諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額」を参照すると、「住宅手当など」の平均支給額は1万7,800円となっています。企業規模によって平均支給額も変わってきますが、規模が大きいほど金額が高い傾向にあるようです。
【家賃補助(住宅手当など)の相場】
企業規模が1,000人以上:2万1,300円
企業規模が300人から999人:1万7,000円
企業規模が100人から299人:1万6,400円
企業規模が30人から99人:1万4,200円
離職後に条件を満たせば「住居確保給付金」が支払われることも
会社を離職した際、次の仕事に就くまでの間に家賃を継続して支払うことが難しくなることも考えられます。そこで、住居を失う可能性がある人のために、「住居確保給付金」という制度が設けられています(※2021年6月現在)。この制度の対象要件としては次の通りです。
住居確保給付金の対象要件(※一部抜粋)
- 離職(廃業)後2年以内。または、個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
- 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12と、家賃(上限あり)の合計額を超えていないこと
- 現在の世帯の預貯金合計額が各市町村で定める額を超えていないこと
- 誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
転勤時にもらえるのは家賃補助だけじゃない?
会社から転勤などで異動を命じられた場合、持ち家から賃貸に引っ越すことになれば家賃補助を含むさまざまな補助が受けられる可能性があります。どんな補助があるのか、それぞれの内容を解説していきます。
転勤するために必要な旅費交通費を支給する「赴任旅費」
転勤が決まった場合、現在住んでいるところから転勤先まで移動する際の費用を、「赴任旅費」として会社が負担してくれることがあります。家族と一緒に転勤する際には、家族の赴任旅費についても支給してもらえることが多いです。
引っ越しするときの費用を支給する「転宅費用」
転勤にあたって引越しの必要性が出てきた場合に、会社から引越しの費用として「転宅費用」が支給されることがあります。会社によっては「引越し手当」や「荷造り運送費」と呼ばれるケースもあります。
生活するうえで必要な物の購入費が支給される「赴任手当・支度料」
転勤先で新しい生活を送るために、家具や家電などを改めてそろえる必要も出てきます。「赴任手当・支度料」とは、そのときの購入費や退去するときの敷金などを補填してくれる制度です。
転勤先ですぐに生活が送れるように支給する「着後手当」
転勤先で新生活をすぐに始めるための「着後手当」が会社側から支給されることがあります。新しい住居に住むまでの宿泊費や、あいさつ回りに必要な各種雑費に充てられます。
転勤するときの持ち家の扱いについて
会社側から転勤を命じられても、持ち家がある場合はその扱いに困ってしまう人も多いでしょう。1年未満の短期であれば、持ち家をそのままの状態で保持していても問題ないかもしれません。ただし、2年以上の転勤になる場合、定期借家契約で持ち家を賃貸物件として貸し出すことや、思い切って売却することも手段のひとつです。
転勤する際に持ち家を売却するメリット・デメリット
持ち家を売却することで、住宅維持のための費用や手間が省けます。ほかにも売却金額次第では、住宅ローン残債を超える可能性があるので、手持ちの資金が十分に潤います。ただし、住宅ローン残債を超えなかった場合は、残りのローンを返済しなければなりません。
転勤する際に持ち家を賃貸にするメリット・デメリット
持ち家を賃貸として貸し出せば、家賃収入を得ることができ、それを住宅ローンの支払いに充てることもできます。また持ち家に誰もいない状態を長期的に続けると、劣化が早まる可能性があるため、賃貸にすることには大きなメリットがあります。
ただし、転勤先から元の家に戻る場合は、賃貸の契約期間が満了するまでは、持ち家に戻ることはできない点には注意が必要です。
特定優良賃貸住宅とはどんな建物?
国や自治体が家賃補助をしてくれる「特定優良賃貸住宅」とは、どのような建物なのでしょうか。どういった特徴があるのか、入居にはどういった条件があるのか、解説していきます。
通常の賃貸物件よりも広くゆとりのある物件
特定優良賃貸住宅とは専有面積は50㎡以上、天井高は2.3m以上、間取りは2LDKや3LDKと住みやすい環境が整えられていることが多いです。導入されている設備もバリアフリー設計になっていたり、オートロックが採用されていたりするので、安全性も十分です。ただ特定優良賃貸住宅を管理している自治体によっては、設備などの条件が異なるので、事前に確認しておきましょう。
家賃補助を受けられる期間が長い
特定優良賃貸住宅に住めば、国や自治体から受けられる家賃補助の期間が長い傾向にあります。最大で20年間の家賃補助が受けられるため、お得に住み続けられるでしょう。ただし、家賃補助は年々減少していく傾向にあるので注意が必要です。
単身世帯は基本的に入居条件が満たせない
住みやすい環境が整えられている特定優良賃貸住宅ですが、基本的にファミリー世帯に向けた物件であるため、単身世帯の方は入居条件が満たせません。世帯年収が増えるほど家賃補助も減額されていくので、事前に条件を確認してきましょう。
入居者が抽選で決められるケースも
複数の入居希望者から申し込みがある人気住宅の場合、抽選で入居者が決められるケースもあります。いつ抽選で選ばれるのかわからないため、入居する住宅を早く決めたいという方にはあまりおすすめできません。
家賃補助の種類や条件を理解して申請してみよう
会社によって家賃補助の内容や条件は異なりますが、もし福利厚生として用意されている場合はぜひ利用したいところです。家賃や住宅ローンの負担を少しでも減らせれば、心配や不安も軽減され、より仕事にも集中できます。また家賃補助が、より条件の良い物件への引越しや住宅購入のきっかけにもなるかもしれません。今回の内容を参考に、就職や転職を考えている方は、応募先企業の家賃補助についても注目してみましょう。
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