- 若いときからバリアフリー住宅を意識することでセカンドライフも安心して住めるように
- 手すりなどだけでなく足元灯やヒートショック防止などの対策をしておくのもおすすめ
- バリアフリー住宅の補助金をうまく活用して長く快適に住める住まいへ
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高齢者や障がいのある方だけでなく、バリアフリーを取り入れることで誰でも暮らしやすい住宅をつくることができます。しかし、バリアフリーについて詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、バリアフリー住宅にするメリットや住宅のリフォーム時、新築を建てるときに注目しておきたいポイントなどをご紹介します。
バリアフリー住宅の定義
ひと口に「バリアフリー住宅」と言っても、どのような住宅を指すのかわからない方も多いかもしれません。ここでは、バリアフリー住宅の定義やバリアフリーの考えが広まった背景について見ていきましょう。
バリアフリー住宅とは
バリアフリー住宅の「バリアフリー」とは、高齢者や障がい者などが生活するうえで障壁(バリア)となるものを取り除く(フリー)ことを指しています。
バリアフリー住宅とは、バリアフリーの考えを住宅にも取り入れて「高齢者や障がい者が家庭生活で感じる支障が取り除かれている住宅」を意味します。
20~30代の世代で、とくに不便を感じていない方は、そこまでバリアフリー住宅を意識していないかもしれません。しかし将来的に必要となってくる介護や、高齢者になっても安心して快適に過ごすことを考慮するのはもちろん、段差をなくすことは小さな子どもがいる家庭でもメリットとなり得る場面が多くあります。
日本でバリアフリーという考えが広まったのはいつ?
日本でバリアフリーという考え方が広まったきっかけは、1994年に「ハートビル法」が施行されたことです。これは高齢者、障がい者などが円滑に利用できるよう定められた、特定建築物の建築促進に関する法律です。
また、住宅におけるバリアフリーが浸透したのは1996年に住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が、バリアフリー住宅に基準金利を適用したことがきっかけと言われています。その後、2006年にバリアフリー新法が施行され、社会にバリアフリーという考え方が浸透していきました。
住宅で不便だと思うところは人それぞれ
バリアフリー住宅と言っても、人によって必要な箇所・物は異なります。一般的に、対策しておいたほうがよいポイントを年代別にご紹介します。
バリアフリーは若い世代でも必要?
若い世代の方は「バリアフリー」と聞いても遠い将来のことと捉えがち。しかし、これから家を買ったり建てたりする予定の方は、ぜひバリアフリー住宅を視野に入れてみましょう。
とくに、床に段差ができないようフラットにすることや、ドアを引き戸にしておくだけでも、将来の備えになります。また段差を減らすことで、角が減り掃除がしやすくなるなどのメリットもあります。さらに子育て中の家庭では、小さな子どもが家のなかで怪我をするリスクを下げることにもつながります。
今は必要ないと感じても、将来手すりを付ける可能性がある箇所には、補強下地を入れて手すりを取り付けられるようにしておくのもおすすめです。
もうすぐ高齢者の仲間入りをしていく世代の対策は?
将来へのイメージが持ちやすく、今住んでいる住宅で不便に感じる箇所も出てくる時期でしょう。住宅も年月を重ねるごとに水まわりを中心に老朽化が進み、リフォームの必要性のある箇所が出てきます。その機会に住まいを見直し、段差などを解消するバリアフリーを取り入れてみてはいかがでしょうか。
浴室であれば、入り口を引き戸もしくは折戸にしたり、浴室や寝室の寒さを解消してヒートショックを防ぐために暖房機を設置したりするとよいでしょう。
また、加齢とともに視力の衰えやまぶしさが気になる方も増えてきます。段差があるところには、照明を配置したり夜間でも安全に歩けるよう、フットライトを設置したりするのもおすすめです。
家族が支援や介護が必要な場合
家族のなかに支援や介護が必要になった方がいる場合は、早めのバリアフリー化が求められます。身体の状態によって必要なバリアフリーのプランが異なってくるので、地域のケアマネージャーなどの専門家に相談してみましょう。
車いす生活を想定する場合は、導線の幅の拡張やフローリングを車いすに対応している床材に張り替えることをおすすめします。
将来のためにできるバリアフリー例をご紹介
バリアフリー住宅を考えるにあたり、実際にどういったところに気をつけたらいいか、家のなかのエリアごとに分けて詳しくご紹介します。
浴室
洗い場や浴槽が滑りやすく、事故につながるケースも多いため注意が必要です。なるべく滑りにくい床材や腰掛けが備わっている浴槽を選ぶとよいでしょう。
古いタイプの浴槽は、深さ50cmを超えるタイプもあるので、中古住宅の場合などは注意が必要です。また膝の高さより高いと、高齢者や障がい者、子どもでもまたぐのが大変です。またぐ際の高さについてもチェックしておきましょう。
他にも、とくに冬場は室内と浴室、浴槽の温度差によるヒートショックを起こすリスクが高まるため、浴室や洗面室に暖房機を設置して対処しましょう。乾燥機が一体になっているものもあるので、洗濯物が多いときにも活用できて便利です。
トイレ
トイレ内では立位と座位の動作をする必要があるので、立ち上がりしやすいように、利き手側の壁に手すりを取り付けておくのがおすすめです。手すりは高齢者や障がい者にかかわらず、一時的に足などを怪我してしまった場合などにも役に立ちます。
玄関
玄関のドアは、車いすでも出入りがしやすいよう幅は80cm以上確保するようにしましょう。もしくは、最初から引き戸にしておくのもよいでしょう。上がり框の段差を低めに設定したり、ベンチを置いたりして座りながら靴の着脱ができるようにするのもおすすめです。
将来的に車いすでの出入りを考えると、玄関にスロープを取り付けることが必要になる場合もあります。そのためには、玄関前に広いスペースを確保できるような設計を建築段階から考えておく必要があります。
廊下
廊下に手すりを付けておき、つかみながら歩行できるようにしておくと便利です。しかし、今すぐ必要がない場合は、「ジャマに感じるかも……」と心配に思う方もいるかもしれません。
新築を建てるときなどは、あらかじめ手すりを付ける可能性のある高さに、取り付けるために必要な下地をほどこしておくとよいでしょう。いざ必要になった際に、リフォーム範囲が少なくスムーズに工事ができます。
リビング
リビングは家のなかでも長い時間を過ごす場所ですが、転倒や事故が発生するリスクが高い場所でもあります。リビングの床はなるべくフラットにしたり、ドア枠の段差にも気を配ったりしましょう。
バリアフリー住宅の賃貸物件も増えている
近年ではバリアフリー住宅のマンションや賃貸住宅も増えてきました。廊下や階段などの室内に、手すりが最初から取り付けられていたり、段差がないよう設計されたりしています。バリアフリーの賃貸は、小さい子どものいる家庭でも怪我予防の効果も期待でき、安心して住むことができます。
バリアフリー住宅に関する助成金
バリアフリー住宅にする場合、条件を満たしていれば減税措置を受けることができます。当てはまるものがあれば、ぜひ活用してお得にバリアフリー住宅にしましょう。
介護保険制度を利用してバリアフリー住宅に
介護保険制度は、40歳以上の方は加入して保険料を収める義務があります。特定疾病にかかった場合や、要介護認定を受けた際に、介護給付を受け取ることができます。
その介護給付の一つに、介護のための「住宅改修の支給」があるのをご存知でしょうか。支給の条件を満たしていれば、対象のリフォームで補助金が支給されます。
39歳以下の方は介護保険に加入していないため、補助金を受給できません。条件としては、以下の3つがあります。
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介護保険の被保険者、要介護認定「要支援1~2」または「要介護1~5」のいずれかに認定されている
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補助金対象の住宅が「介護保険被保険者証」に記載のある住所かつ実際に住宅を利用している
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被保険者が福祉施設に入所していたり、入院したりしている場合は対象外
補助金の対象となるリフォーム費用は、最大で20万円。そのうち所得に応じて7~9割の補助金を受けることができます。そのため支給額は最大で18万円です。対象となる場所は以下の6項目です。
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手すりの取り付け
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段差解消
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床材、通路面の材料変更
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引き戸などへのドアの取替
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洋式便器などへの便器取替
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上記5つに付随する改修工事
補助金を受給するときの注意点として、「工事を始める前に申請」をしなければいけないので気をつけましょう。また、市区町村によって申請方法などが変わる場合もあるので、お住まいの市役所または区役所に問い合わせをしてみることをおすすめします。
バリアフリー特定改修工事をした場合の特別控除制度
住宅ローンの利用時に適用できるものを「ローン型減税」、住宅ローンの利用有無にかかわらず適用できるものを「投資型減税」と呼びます。
ローン型減税の場合は上限250万円、投資型減税の場合は上限200万円、住宅のバリアフリー化の工事費用の一定割合が控除されます。ローン型減税が控除期間5年、投資型減税はリフォーム後に居住を開始した1年間のみが控除期間の対象です。
条件
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50歳以上
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要介護または要支援の認定を受けている方
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障がい者
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要介護、障がい者の認定を受けている親族または65歳以上の親族いずれかの同居人
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工事完了から6ヶ月以内に居住している
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床面積が50㎡以上
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店舗併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用
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税額控除を受ける年分の合計所得が3,000万円以下
対象
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通路などの拡幅
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階段の勾配の緩和
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浴室の改良
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トイレの改良
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手すりの取り付け
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段差の解消
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出入り口の戸の改良
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滑りにくい床材料への取替
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補助金などを除いたバリアフリーリフォームの工事費用(投資型の場合は、標準的な工事費用相当額)が50万円を超えている
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居住用部分の工事費用額(投資型の場合は、標準的な工事費用相当額)がリフォーム工事費用の総額の1/2以上
バリアフリー改修減税は、2021年12月31日までに入居した方が対象になります。事前にどのくらい工事の期間がかかるのかなども把握して計画的に活用しましょう。
省エネリフォームとあわせてバリアフリーのリフォームを行う場合
住宅の省エネを実現するには、断熱や気密性を高めて外気の影響を受けにくくするのがポイントです。各自治体ではこうした工事にも補助金を支給しているところが多くあります。
居住の家に一定の省エネ改修工事を行った場合にも、工事費用相当額の10%をその年分の所得税額から控除する制度があります。
対象工事1または2のいずれかに該当する工事で、標準的な工事費用相当額から補助金などの額を引いた額が50万円(2014年3月31日までに居住の用に供した場合は30万円)を超えるものを言います。基本的に新築は対象外です。
条件
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対象1:すべての居室のすべての窓の断熱改修工事(必須)
それに伴う、床、壁、天井の断熱工事、太陽光発電装置の設置工事、高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事 -
対象2:2017年4月以降に居住の用に供した場合に限る
バリアフリーのリフォーム工事と併用することもできる制度ですが、各自治体によって制度内容が異なる場合があります。お住まいの自治体や、バリアフリー住宅の実績が豊富なハウスメーカーなどに相談してみるのもいいでしょう。なかには新築住宅も対象として助成を行っている自治体もあるので、一度確認してみることをおすすめします。
将来を見据えたバリアフリー化を目指そう
高齢者や障がい者だけが必要と思われがちなバリアフリー住宅ですが、新築を建てるときや家を購入する段階で取り入れるのもおすすめです。準備をしておけば安心して長く住むことができ、リフォームする際も慌てずに対処することができます。手すりや段差の対策だけでなく、ヒートショック対策や照明の明るさの対策などを行うことでより快適に過ごせるでしょう。国や自治体からの補助金も上手に活用し、家族が快適に過ごせる住宅を計画的に進めていきましょう。
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