- 電気代は「使用量に応じて支払う電気料金」と「アンペア数に応じて支払う基本料金」の合計
- アンペア数によって、一度にいくつの家電を使用できるかが決まる
- 契約変更を検討するときには、まず自分の電気の使い方を見直そう
一人暮らしを始める際には、たくさんの手続きが必要になります。電気やガス、水道会社との契約もその一つです。そして、それらの生活費はなるべく安く抑えたいというのが本音でしょう。とくに毎月支払う電気代はなおさらです。
電気代節約には契約アンペアの見直しがポイントとなります。なぜなら契約アンペアを踏まえた電気代の仕組みを理解すれば、自身が普段使用する電気量を見直せるからです。必要に応じて契約を変更して、電気代を節約しましょう。
一人暮らし開始前に知りたいアンペア数の基本
地域によって異なることもありますが、月々支払う電気代の内訳には「電気料金」と「基本料金」があります。電気代は実際の電気使用量に応じて支払う従量料金で、基本料金は部屋で契約しているアンペアに対して支払う基本料金です。節約を目指すのであれば、まず基本料金は契約アンペア数によって金額が変わるという基本を押さえましょう。
アンペア数で同時に使用できる家電の数が決まる
家電の説明書などで「10A」「20A」という表記があります。これがその家電を動かすのに必要なアンペア数です。電気ケトルの裏に11Aと書かれていたら、お湯を沸かすのに必要なアンペア数は11Aということです。
そもそもアンペアとは、電気が流れる大きさを表す単位です。契約アンペア数が大きいほど、一度に使用できる家電の数が増えます。20A契約の部屋の場合、使用アンペアの合計が20Aまでなら家電を同時使用できるということです。
また、季節によって電気使用量は変動します。夏や冬はエアコンなどを使うため、電気使用量が増える傾向にあるでしょう。見直しの時期が電気をあまり使わない場合、アンペア数を少なく見積もってしまい後悔したというケースもあるので、契約アンペアを見直すタイミングにも注意が必要です。
ブレーカーが落ちる理由
普段使っている家電のアンペア数を、一度チェックしてください。たとえば、テレビは2A、ドライヤーは10Aというように表記されています。部屋の契約が10Aだった場合、2Aのテレビと10Aのドライヤーを同時に使うと合計12A使用なので、契約アンペアをオーバーします。その結果どうなるかというと、分電盤と呼ばれる各部屋のブレーカーが落ちてしまうのです。
基本的に、ブレーカーには下記の3つの種類があります。
アンペアブレーカー | アンペアブレーカーは、分電盤のなかでもっとも大きなブレーカーであり、契約アンペア数が表示されているつまみです。アンペアブレーカーが落ちるのは、電気会社と契約している契約アンペア数よりも大きな電力を使用した場合となります。ブレーカーを上げる前に、使用している家電数を見直してコンセントを抜き、契約アンペア範囲内に電気使用量を抑える必要があるでしょう。 |
---|---|
安全ブレーカー | 安全ブレーカーは、回線ごとにその部屋の電気使用量を管理しています。安全ブレーカーが落ちるのは、ブレーカーが落ちた部屋の電気使用量オーバーが原因です。アンペアブレーカーと同じように、ブレーカーが落ちた部屋で使用中の家電のコンセントのいずれかを抜いてからブレーカーをあげます。 |
漏電ブレーカー | 漏電ブレーカーは、火災や感電を防ぐ目的で設置されています。漏電の恐れがある場合に落ちるブレーカーなので、このブレーカーが落ちた場合はすぐに電気工事業者に連絡しましょう。 |
アンペアに応じた基本料金の目安
アンペアの基本料金は、契約している電気会社で値段が異なります。とはいえ、料金の目安は知っておきたいところでしょう。関東エリアに電力を供給する東京電力を例にアンペアに応じた基本料金の目安をご紹介します。
アンペア数 | 基本料金 |
---|---|
10A | 286円 |
15A | 429円 |
20A | 572円 |
30A | 858円 |
40A | 1,144円 |
50A | 1,430円 |
電気使用量に応じた電気料金に、この基本料金が契約アンペアによって毎月プラスされます。一人暮らしの場合は、20Aまたは30Aを選ぶ人が大半ですが、基本料金を比べると月々280円ほどの差があります。つまり1ヶ月で276円でも、1年で考えると基本料金だけで3,312円も変わってくるということです。毎月支払うものなので、電気代を安く抑えたい人はアンペアを見直して、必要に応じて契約変更するのも一つの方法と言えるでしょう。
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アンペアを見直すときに注目しておきたいポイント
それではアンペア数の契約変更をする前に、自分が普段、どのような家電の使い方をしているか考えてみましょう。1日の過ごし方を考えたとき、在宅する時間は短くても、アンペア数の大きい家電を同時にたくさん使う場面がある人は、契約アンペアは大きくしておかないとブレーカーがすぐに落ちてしまいます。
家電の消費アンペア数の目安
まずは自身がよく使用する家電がどの程度アンペアを消費するかを把握しておきましょう。冬の夜にお風呂上りにエアコンをつけながらドライヤーで髪を乾かして、夕食のために電子レンジを使うなど、具体的に使用する場面を想像しながら、アンペア数を検討してみてください。
【家電ごとの消費アンペア目安一覧】
家電 | 消費アンペアの目安 |
---|---|
エアコン | 6.6A |
照明 | 1A |
冷蔵庫 | 2.5A |
IHクッキングヒーター | 14A |
電子レンジ | 15A |
電気ケトル | 10A |
炊飯器 | 13A |
ドラム式洗濯乾燥機 | 2A |
洗濯機 | 3A |
テレビ | 2A |
ドライヤー | 12A |
ノートパソコン | 1A |
アンペア数を大きめに契約する
アンペア数を大きめに契約すると、基本料金をその分、多く支払う必要があります。しかし、多くの家電を並行して使用できるなどのメリットもあります。
メリット
アンペア数を大きめに契約すると、たくさんの家電を同時に使用できます。ブレーカーが突然落ちる心配もいらないので、アンペア数の大きい家電を複数使用している人にとっては何かと安心です。
デメリット
同時にいくつもの家電を使えるため、電気使用量が増え、その結果、電気代全体が高くなる傾向があります。
アンペア数を小さめに契約する
一方でアンペア数を小さめに契約すると、電気代の基本料金を安く抑えられます。その反面、ブレーカーが落ちやすいなどの懸念点もあります。
メリット
基本料金が安くなるだけでなく、同時に気軽に家電を使わないという節約の意識が生まれるため、電気料金自体を抑えられる傾向があります。
デメリット
家電を同時に使用すると、ブレーカーが落ちることがあります。ブレーカーは高いところに設置されていることが多く、夜間などにブレーカーが落ちると暗闇のなかでブレーカーを上げる必要がある点には注意しましょう。
エコ家電活用で、地球にもお財布にも優しく
「エコ家電」「省エネ家電」という言葉を、テレビCMなどで聞いたことはありませんか? 省エネ家電はエネルギー効率がよく、消費電力を抑える省エネルギー機能を備えています。エコ家電は、省エネ機能にプラスして二酸化炭素排出量の減少も実現させた、環境に配慮した家電です。
つまり「省エネ家電」「エコ家電」ともに電力を抑えながら稼働できるので、消費アンペア数を抑えられます。古い家電を長く使い続けていると、省エネや節約という観点で考えるとマイナスに作用してしまうこともあるでしょう。
アンペアの契約変更を考えるときに、今使っている家電の消費アンペアをチェックしてみてください。古いものを使っている場合は、消費アンペアが大きい可能性もあります。新しい家電に買い替えることが、結果的に節約につながるケースもあるでしょう。
在宅時の電気の使い方に合わせて、契約を見直そう
「電気代を安く抑えたい」と考えた際に、アンペア数の変更は一つの手段です。契約変更を検討する際には、まず在宅時に使用している家電とその消費アンペアについて把握しましょう。
部屋にいるときに使用している家電
部屋の照明、冷蔵庫、テレビなどは、いつもつけているという人が多いでしょう。ノートパソコンや、季節によってはエアコンも常時つけていることが多い家電とすると、どの程度アンペアを消費しているのでしょうか。
先述した家電ごとの消費アンペア目安一覧から考えると、照明が1A、冷蔵庫が2.5A、テレビが2Aで合計5.5A、ノートパソコンが1Aでエアコンが6Aですから、追加すると12 .5Aとなります。
この状態から料理を始めると、IHクッキングヒーターだけで14Aなので、合計で26.5Aです。料理中には消費アンペア数が11Aの電気ケトルや、15Aの電子レンジなどを使うことも考えられ、すぐにブレーカーが落ちてしまうかもしれません。いつも何気なく使っている家電ですが、実は多くのアンペア数を消費しているのです。
ただ、これは同時に家電を使った場合の計算。それぞれの家電のタイミングをずらして使用すれば、契約アンペアまで達しないため、ブレーカーが落ちることはないと考えられるでしょう。たとえば、炊飯や洗濯は予約して留守中に済ませたり、エアコンの立ち上げ時はほかの家電の使用を控えたりすればいいのです。この試算から考えると、一人暮らしをするには30Aあれば、問題なく快適に生活できることがわかります。
家にいる時間が短いからと契約アンペアを低く設定すると、帰宅して一気に家電を動かしはじめた途端にブレーカーが落ちてしまう恐れもあります。電気をあまり使わないからといって、安易にアンペア数を小さく設定すべきではないのです。
一人暮らしをしている人も契約アンペアをチェックしよう
すでに一人暮らしをしている人も、一度契約アンペアを見直してみることをおすすめします。新生活が始まるときは忙しくて、言われるがまま契約していたかもしれませんが、見直してみるとムダが見つかることもあるでしょう。
契約アンペア数の確認方法
契約アンペア数は、ブレーカーを見るだけで簡単に確認できます。ブレーカーに「30A」などと数値が表記されているので、それをチェックしましょう。また、電気料金の請求書にも、契約アンペアは記載されています。
もちろん、見直してみて適正なアンペア数だった場合は、そのままで問題ありません。節約になるなら契約変更も検討しましょう。もし節約できたら嬉しいくらいの気持ちで、気軽にチェックしてみてください。
アンペア数を契約変更するといくら節約になるの?
実際に契約変更すると、どのくらい電気代を安くできるのか気になる方もいるでしょう。では一人暮らしの多くの方が選択している15A、20A、30Aで比較してみましょう。
10Aを20Aにしてみると?
例として、10Aを20Aに契約変更した場合を考えます。先述の契約アンペアごとの基本料金を基準に考えると、10Aは月々の基本料金が286円、20Aは562円です。単純に計算したとしても1ヶ月でその差は276円、1年で3,312円の基本料金の節約になると考えられるでしょう。
15Aを30Aにしてみると?
15Aを30Aに契約変更した場合は、同様に契約アンペアの基本料金を基準にすると、15Aは月々429円、30Aは月々858円。なので、1ヶ月で429円、1年で5,148円の節約になる計算です。
計算方法がわかったら、自分の想定する家電の使い方をベースに、契約アンペアについて検討してみてください。月単位で考えると数百円ですが、1年単位で考えると小さくはない金額です。生活に不便さやストレスを感じるほど契約アンペアを小さくする必要はありませんが、余分な契約をしていては、もったいないことがわかります。
契約アンペアの変更方法を知っておこう
一人暮らしをスタートさせた後、実際に生活をしてみて契約アンペア数を変更したいと思うシーンが出てくることもあるかもしれません。そのようなときには、どういった手続きが必要なのかを確認しておきましょう。
管理会社や大家にまずは確認を
アンペアの契約変更をする際、管理会社や大家にあらかじめ了承を得る必要があります。場合によっては、電力メーターの工事が必要になることもあるので、無断で手続きを進めないようにしましょう。
物件が古い場合は、電力メーター交換工事費用を自己負担する場合も
電力メーターは、現在多くの建物ではスマートメーターと呼ばれる新しいタイプのものが採用されています。ただ、なかには建物の築年数が古く、スマートメーターではない古いタイプのままのケースもあります。そうした場合は別途費用が発生し、その費用を自己負担する必要が出てくる可能性があるということを知っておいてください。工事費用が節約分をオーバーしてしまっては、トータルで見るとマイナスになってしまうことも考えられます。
賃貸物件の場合は、その部屋にいつまで住むかによってもプラスになるか、マイナスになるかが変わってきます。物件の電力メーターがスマートメーターでない場合は、契約変更が本当に節約になるのか、よく検討しましょう。
電力会社に連絡する
管理会社や大家の了承を得られたら、電力会社に契約アンペア変更の依頼をします。契約アンペア数変更には、ブレーカーを付け替える工事が必要です。工事は居室内で行われるため、立ち会いが必要となるので、そのあたりも考慮して工事日を予約しましょう。ブレーカーを付け替えた日から、契約内容は変更されます。
アンペアの契約変更に伴う工事費用は、スマートメーターの場合は基本的に無料です。多少の時間と手間は掛かりますが、毎月の電気代節約のために有効な場合は、検討してみてください。
快適な生活に必要なアンペア数を知って、賢くスマートに暮らそう
電気代の仕組みを知っていれば、節約したいときにチェックすべきポイントとして意識できます。それに電気代は、ライフスタイルによっても変化するものです。今すぐに契約変更をしない場合でも、自宅の契約アンペアがいくつなのか、いつも使用する家電のアンペア数を合計するといくつくらいになるのか、なんとなくイメージできるようにしておきましょう。暮らしに合わせたアンペア数を選んで、快適なおうち時間を過ごしてください。
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