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更新日:2024.10.17

マンション経営の確定申告!不動産所得で経費になる範囲や必要書類を解説

マンション経営の確定申告!不動産所得で経費になる範囲や必要書類を解説

マンション経営を行うと、確定申告が必要となります。 節税するには必要経費を多く計上することが望ましいですが、必要経費には認められるものと認められないものが存在するため、適切な確定申告を行うには、どのような費用が必要経費になるかを把握しておくことが望ましいです。 マンション経営の確定申告で計上できる必要経費には、どのようなものがあるのでしょうか。 この記事では、「マンション経営の確定申告」について解説します。

  • マンションの確定申告では、必要経費とできるものがある程度決まっている
  • 事業的規模のマンション経営では、親族への給与を必要経費とすることができる
  • 個人支出と混同しやすい費用は、記録を残しておくなどの税務調査対策が必要である

もくじ

  1. マンション経営で得られる不動産所得とは

  2. 不動産所得で必要経費になるもの

  3. 不動産所得で必要経費にならないもの

  4. 修繕費になるものとならないもの

  5. 事業的規模の確定申告

  6. 確定申告の必要書類

  7. まとめ



マンション経営で得られる不動産所得とは

個人の所得は、給与所得と不動産所得、譲渡所得、事業所得、雑所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得の10種類に分かれます。
このうち、マンション経営で得られる所得は「不動産所得」です。

不動産所得は、家賃収入などの収入金額から必要経費を差し引いた利益を指します。

不動産所得=収入金額-必要経費

不動産所得で必要経費になるもの

不動産所得で必要経費になるものは、具体的に限定されているわけではありません。

具体的に費目が明示されていないのは、マンション経営の必要経費は時代やサービスの変化に応じて様々なものが登場すると予想され、限定しにくいためです。
そこで、国税庁は必要経費を具体的に限定せず、考え方だけを示しています。
国税庁の必要経費の考え方は、以下の通りです。

  • 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

出典:国税庁 「No.2210 やさしい必要経費の知識

基本的には、「その総収入金額を得るために直接要した費用」であれば必要経費になります。
ただし、マンション経営においては、基本的にどの物件でも発生する費用に大差はないことから、必要経費として認められる費目はある程度決まっています。

一般的にマンション経営の必要経費として認められるものは、以下のような費目です。

  • 【マンション経営の必要経費として認められるもの】

  • 公租公課
  • 損害保険料
  • 修繕費
  • ローン保証料
  • 入居者募集費用
  • 管理委託料
  • 共用部の水道光熱費
  • 通信費
  • 旅費交通費
  • 接待交際費
  • 新聞図書費
  • 消耗品費
  • 立ち退き料
  • 借入金利子
  • 減価償却費

公租公課(こうそこうか)とは、税金のことを指します。
土地と建物の固定資産税や都市計画税、償却資産税、事業税、不動産取得税、登録免許税、印紙税が必要経費です。 ただし、所得税や住民税、相続税、贈与税は経費にはなりません。

損害保険料とは、建物に付保している火災保険や地震保険の掛け金を指します。
複数年一括契約している場合には、当年分のみが必要経費です。

管理委託料とは、管理委託方式で管理を管理会社に委託している場合に生じる手数料を指します。 サブリース(転貸による管理方式のこと)を採用している場合には、管理委託料相当額が差し引かれた家賃がサブリース会社から振り込まれますので、管理委託料は生じません。

減価償却費とは、建物の取得原価を各会計期間に渡って配分することで生じる会計上の費用のことです。 減価償却費は、原則として耐用年数(木造や鉄筋コンクリート造などの建物の材料によって決まる年数)の間、計上されます。
減価償却費は実際に支出を伴う費用ではありませんが、会計上の必要経費と計上されるため、節税効果があります。

なお、通信費や旅費交通費、接待交際費、新聞図書費、消耗品費は、「家事消費(生活費などの個人的な支出)」に混同されやすい費用です。
しかし、家事消費と混同されやすい費用でも、賃貸経営に必要な費用として合理的な説明ができるものであれば、必要経費です。

たとえば、物件を見に行ったときのガソリン代や電車賃は、旅費交通費として費用計上できます。 管理会社との打ち合わせで会食した場合は、接待交際費となります。
家事消費と混同しやすい費用は、税務調査に備えて領収書や記録を残しておくことが適切です。

不動産所得で必要経費にならないもの

不動産所得で必要経費にならないものとして、借入金の元本返済額があります。
借入金の利子は必要経費になりますが、元本は必要経費にはならないということです。

借入金は借りたときに収入としては計上されず、課税されることはありません。
同様の理屈で、借入金は返したときに必要経費にはならず、節税できないことになります。

修繕費になるものとならないもの

修繕費になるものとならないもの

修繕費に関しては、必要経費になるものとならないものが存在します。
必要経費にならない修繕費とは、資産の価値を増加させるものや、耐用年数を延長させるようなものが対象です。

たとえば、増築して新たに部屋を作るような修繕は、必要経費にならない修繕費に該当します。 このような必要経費にならない修繕費は、資本的支出と呼ばれます。
資本的支出は、一旦資産として計上され、その後、減価償却の手続きを経て費用化されていく点が特徴です。

増築のようなわかりやすい修繕は、資本的支出となることは理解しやすいですが、修繕費の中には必要経費なのか資本的支出なのか判別しにくいものも存在します。
そこで、以下のような修繕費は、必要経費と判断されることが多いです。

  • 【必要経費となる修繕費】

  • 金額が20万円未満の建物や設備の改良
    もしくは交換
  • おおむね3年以内の周期で行う修理
  • 区分がしにくい場合には、金額が60万円未満かその資産の前期末の取得価額のおおよそ10%以下のもの
  • 支出した金額の30%か資産の前期末の取得価額の10%のうち小さい額 (継続適用が条件)
  • 建物の毀損部分の取り換え
  • 畳の張り替え
  • 沈下による地盤改良
  • 外壁塗装

基本的には金額が20万円未満の修繕費は必要経費ですが、一部には外壁塗装などの一般的に20万円以上になる修繕費も存在します。外壁塗装の場合は、20万円以上でも原則として全額が必要経費です。

ただし、外壁塗装でも、耐久性や断熱性が高い塗料を使用し、資産の価値の増加や耐用年数の延長を伴うような修繕費は、例外的に資本的支出に該当します。

事業的規模の確定申告

マンション経営では、部屋が10戸以上ある物件の場合は事業的規模に該当します。
事業的規模に該当するマンションでは、青色申告を行うことで最高65万円の特別控除(青色申告特別控除)が適用されます。

青色申告とは、正規の簿記の原則により記帳を行い、税務署長の承認を受ける記帳方法のことです。 控除が適用された場合、不動産所得は下記の計算式で求めることができます。

不動産所得
=収入金額-必要経費
-青色申告特別控除(65万円)

また、事業的規模の物件では、青色事業専従者給与も経費計上できます。
青色事業専従者給与とは、青色申告者と生計を一にする配偶者や、その他の親族への給与・賞与のことです。

確定申告の必要書類

確定申告で必要な書類は、下表の通りです。
確定申告までに、余裕をもって準備しておきましょう。

税務署に提出する書類 作成に必要な書類
(提出は不要)
・確定申告書
・青色申告決算書
(青色申告の場合)
・収支内訳書
(白色申告の場合)
・収入金額のわかるもの
(通帳や契約書など)
・必要経費のわかるもの
(領収書や記録など)

まとめ

以上、マンション経営の確定申告について解説してきました。

マンション経営で必要経費になるものは、その総収入金額を得るために直接要した費用です。 固定資産税や損害保険料などは必要経費になりますが、借入金の元本返済額は費用にはなりません。 事業的規模のマンションでは、青色事業専従者給与を必要経費として計上することができます。

マンション経営で確定申告を行う際は、本記事を参考にしていただければと思います。



不動産鑑定士

竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
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