- 冷房より暖房のほうが費用は高くなり、冬の光熱費は夏の約1.4倍になる
- 使い勝手のよい暖房器具は、ライフスタイルによって異なる
- 光熱費は防寒グッズの併用やエアコンの使い方の工夫などで節約できる
もくじ
冬は暖房器具の稼働によって光熱費が高くなるため、なるべく節約しながら快適にすごしたいもの。では、一人暮らしではどんな暖房器具を使えば効率よく暖まれるのでしょうか?
この記事では、冬にかかる光熱費の平均や、一人暮らしの暖房器具選びで注意したいポイントをご紹介します。ポイントを押さえたうえでライフスタイルに合った暖房器具を選べば、節約しながら「暖かい暮らし」を実現することが可能です。
冬場の光熱費、どれくらいかかる?
冬場は暖房を稼働させるため、光熱費が高くなります。総務省統計局が公表しているデータを見れば、単身世帯の四半期ごとの光熱・水道費、および電気代とガス代は、冬にあたる1~3月がもっとも高いことがわかるでしょう。
【光熱・水道費】
・2020年1~3月:1万3,605円
・2020年4~6月:1万1,889円
・2020年7~9月:9,844円
・2020年10~12月:10,705円
【電気代】
・2020年1~3月:6,535円
・2020年4~6月:5,916円
・2020年7~9月:5,330円
・2020年10~12月:5,135円
【ガス代】
・2020年1~3月:3,333円
・2020年4~6月:3,155円
・2020年7~9月:2,380円
・2020年10~12月:2,533円
光熱・水道費には水道費も含まれていますが、電気代・ガス代ともに1~3月の数字がもっとも大きくなっていることから、暖房の稼働が費用に影響を及ぼしていると考えられます。1~3月の光熱・水道費は、もっとも安い7~9月(夏)と比べて約1.4倍です。
電気代がもっとも安いのは10~12月で、1~3月の電気代は10~12月の約1.3倍。ガス代は光熱・水道費と同じく、7~9月に安くなります。安い時期との差は電気代と同程度で、1~3月は7~9月の約1.4倍です。使う暖房器具によって、電気代とガス代のどちらが高くなるかは一概に言えませんが、暖房器具の稼働が光熱費を高くしているのは間違いないでしょう。
冬の電気代が高くなる原因は、主にエアコンの使用です。エアコンは夏にも使いますが、冷房よりも暖房のほうが電気代はかさみます。これは設定温度と室温の差が大きいため。夏は室温が30℃を少し超えるくらいなので、設定温度を28℃にした場合の差は2~5℃くらい。一方、冬は室温が15℃前後なのでその差は10℃以上となります。室温と設定温度の差が大きいほどエネルギーが必要になるため、電気代がかかるわけです。
ガス代が冬に高くなるのは、給湯のための使用量が増えることと、ガスファンヒーターの使用が主な要因です。冬は水温が下がるので、水をお湯にするためにガスをたくさん使う必要があります。ガスファンヒーターは使うほどガス使用量が増えるため、ガス代が高くなっていきます。
ただし、一人暮らしの場合は暖める部屋が小さい(少ない)ため、暖房器具の使い方次第では節約の余地があります。生活スタイルの違う家族がいると難しい電気料金プランの見直しも、一人暮らしなら自身の生活だけを考慮すればよいので、見直しやすいでしょう。
一人暮らしの暖房器具選びで注意したい4つのポイント
一人暮らしの部屋で使う暖房器具を選ぶ際は、注意したいポイントがいくつかあります。自身のライフスタイルに合う暖房器具を選べるよう、ポイントを把握しておきましょう。
部屋全体を暖めるか、一部を暖めるか
自宅にいる時間が短い場合、エアコンなど部屋全体を暖める器具を使うのはもったいないですよね?エアコンは部屋が暖まるまでに時間がかかるので、十分に恩恵を受けられないデメリットもあります。また、すぐに外出するようなケースでは、「暖かい空気」がムダになってしまうことも。自宅にいる時間が短いなら、こたつなど一部を暖める暖房器具を使いましょう。
逆に、自宅にいる時間が長い場合には、一部を暖める器具を使うのはおすすめできません。部屋が寒いと暖房器具の前から動けなくなり、行動範囲が狭まることも考えられます。「朝起きてすぐ暖まりたい」といった場合はこたつが便利ですが、部屋で長時間すごすなら全体を暖められる器具のほうが快適に生活できるでしょう。
ただし、長時間すごすときでも、風呂場やトイレなどはエアコンで暖めることができません。部屋ごとに大きな温度差が生じると体調不良などの原因にもなるため、風呂場やトイレには一部を暖める器具を使うなどの工夫が求められます。
光熱費がどれくらいかかるか
出力が強いほど光熱費が高くなることを踏まえて、部屋に置く暖房器具を選ぶ必要があります。光熱費がどれくらいかかるか把握しておけば、ライフスタイルに合わない暖房器具の使用を減らせるでしょう。
部屋全体を暖める器具よりは、一部を暖める器具のほうが光熱費は安く済む場合が多いです。たとえば自宅にいる時間が短い方は、一部を暖める器具をメインにしたほうが光熱費を節約できます。部屋ですごす時間が長い場合は、光熱費が安い暖房器具を中心に使うと光熱費の高騰を抑えられるでしょう。
賃貸借契約(住まい)上の問題はないか
賃貸物件のなかには、火災防止の目的から石油ストーブやガスファンヒーターの使用が禁止されているケースがあります。ただし、寒い地域では石油やガスを使わないと寒さをしのげないため、使用が許可されていることも珍しくありません。
暖房器具を選ぶときは、賃貸借契約上の問題がないか不動産会社に確認を取りましょう。エアコンとこたつなど、暖房器具をうまく組み合わせれば効率よく部屋を暖めやすくなります。
現在の契約アンペア数で足りるか
暖房器具の消費電力が大きいと、アンペア数が足りずにブレーカーが落ちるおそれがあります。暖房器具を購入するときは、契約アンペア数を確認しましょう。
アンペアは電流を表す単位で「A」と表記し、アンペア数が大きいほど使える電気量も大きくなります。アンペア数は10~60Aまであり、一人暮らしの場合は20~30Aに設定されていることが多いでしょう。一般的な消費電力は、エアコンが440~1,040Wでこたつが600~800W。エアコンとこたつを同時に使うと、最大で1,840W消費することになります。アンペアは「W(ワット)÷100V(ボルト)」で求められるので、この場合は「1,840W÷100V=18.4A」となります。
アンペア数は、電力会社に連絡すれば変更可能です。しかし、アンペア数を上げるほど基本料金は高くなってしまいます。できるだけ最初の契約アンペア数に使用を抑えることが、光熱費の節約につながるでしょう。
一人暮らしで使い勝手のよい暖房器具と特徴
一人暮らしで使い勝手のよい暖房器具には、どんな種類があるのでしょうか。それぞれの暖房器具の特徴を見ていきましょう。
エアコン
物件に設置されていることも多く、賃貸物件ではもっともメジャーな暖房器具です。冷房効果があるので冬だけでなく夏にも役立ち、部屋全体を暖めたり冷やしたりできます。温度調節が可能で快適な状態を維持しやすい反面、消費電力が大きいため、頻繁に使っていると光熱費がかなり高くなります。旧モデルほど光熱費が高くなりやすいので、「築古」の物件に付いているエアコンは注意が必要です。
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは灯油を使う暖房器具で、電気代以外に灯油代がかかります。出力が大きく部屋全体を暖められる点がメリットで、寒い地域で使われることが多いです。北海道や東北地方を除く地域の賃貸物件では使用を禁止されている場合があり、物件によって確認が必要です。灯油を買いに行かなければならない点と、一酸化炭素中毒を防ぐため定期的な換気が必要な点はデメリットです。
ガスファンヒーター
ガスファンヒーターは、スイッチを入れるとすぐに点火して部屋全体が暖まるのがメリット。ただしガスを燃焼させるため、ガス管がある物件でないと使えない暖房器具です。石油ファンヒーターと同じく、賃貸物件では一部地域を除いて一般的に使用が禁止されています。暖かいですがガス代がかかるので、寒い地域以外ではあまり使われません。
セラミックファンヒーター
電気を使って温風を出す暖房器具で、電気のみで使用できます。スイッチを入れればすぐに温風が出ますが、部屋全体を暖めるのは難しいでしょう。すぐ暖まる代わりに消費電力が大きいので、長時間の使用は避けたほうが賢明です。
オイルヒーター
オイルヒーターは、電気で温めたオイルを器具内で循環させて放熱します。風を出さず、本体が熱くなることもないので、安全に使えます。石油ファンヒーターやガスファンヒーターと違い、稼働音は大きくありません。デメリットは、部屋が暖まるまでに時間がかかることと、ずっと電源を入れておくことで光熱費がかさむこと。ワンルームや1Kなど小さめの部屋であれば、暖かい状態を維持しやすくて便利です。
ハロゲンヒーター
ハロゲンヒーターは電気で発熱する暖房器具で、電気ストーブとも呼ばれます。電源を入れるとすぐ暖かくなり、器具本体が軽いため移動にも便利です。しかし、部屋全体を暖めるのは向いていません。風呂場やキッチンなどで足元を暖めたいときなどに役立つでしょう。
こたつ
こたつは電気で発熱する暖房器具です。こたつに入っている部分は暖かく、他の暖房器具よりも光熱費が安く済み、こたつ布団をどかせば夏は机として使用できます。デメリットは、こたつに入っている間しか暖まれないこと。そして、長時間入っていると脱水症状を起こすおそれもあるので注意が必要です。
電気カーペット
カーペット内の電線に電気を通して暖める器具で、エアコンや電気ストーブよりは電気代が安く済みます。カーペットの表面が暖まるので、カーペットの上にいる間は寒くありません。ただし部屋全体を暖めることはできず、ほかの暖房器具との併用が必要です。
電気毛布
電気毛布は電気で暖める毛布を指し、主に寝具として使われます。掛けるタイプと敷くタイプに分かれていて、掛けるタイプは小さめでひざや肩に掛けて使います。敷くタイプは布団に重ねて、寝るときに使う場合が多いでしょう。両用タイプもあり、ひざ掛けとしても寝具としても使いたい方に向いています。光熱費が安く、使わない時期は畳んでしまっておける点がメリット。デメリットは部屋全体を暖められない点で、他の暖房器具との併用が求められます。
冬場の光熱費を節約するコツ
一人暮らしの場合、冬場の光熱費は夏の1.4倍ほどになります。しかし、コツを押さえれば節約は可能です。冬場の光熱費を節約するコツをチェックし、可能な範囲で実践してみてください。
防寒グッズを併用する
ひざ掛けや遮熱カーテン、断熱シートなどの防寒グッズを併用すれば、暖房器具の出力を弱めても快適な状態を維持しやすくなります。遮熱カーテンには部屋の熱を閉じ込める効果があり、窓から入る冷気も遮断できます。夏は窓から入る熱の影響を和らげるので、1年中使えるでしょう。
断熱シートは窓に貼って利用するもので、暖房効率を高めます。紫外線カットの効果が付帯した断熱シートなら夏も役立つため、こちらも年間を通して使うことが可能です。
設定温度を高くしすぎない
設定温度を高くするほど出力が大きくなり、光熱費がかさみます。一つの暖房器具に頼ると設定温度を高くしなければならなくなるので、なるべく暖房器具を使い分けましょう。
たとえば、使う暖房器具がエアコンだけだと、十分暖かいと感じるまで温度を上げる必要があります。しかし足元に電気ストーブが1台あれば、エアコンの設定温度をそれほど高くしなくても体は温まるはずです。
電力会社との契約を見直す
電力会社との契約を見直すと、節約につながる可能性があります。普段生活していて、使っているアンペア数が契約アンペア数より10A以上小さければ、アンペア数の変更を検討しましょう。契約アンペア数が30Aで、使用しているアンペア数が毎月20A以下の場合は、契約アンペア数を20Aに下げれば基本料金が安くなります。ただし、節約のためとはいえ、契約アンペア数を下げすぎるとブレーカーが落ちやすくなるので考えものです。
電気代の支払い方法を変更するのも、節約術の一つ。支払い方法を現金からクレジットカードに変更すれば、電気代を支払うだけで自動的にポイントが貯まります。一度契約内容や支払い方法を見直せばすぐ結果が出るので、この機会に見直してみましょう。
エアコンの使い方を工夫する
エアコンは、使い方を工夫すれば光熱費を節約できます。「長時間稼働させていると電気代がもったいない」と思う方もいるでしょう。しかし、エアコンは継続稼働時よりも起動時にエネルギーを多く使うため、頻繁につけたり消したりするほうが電気代は高くなるのです。
大手空調メーカーの「ダイキン」が行った調査では、以下のような結果となっています。
【つけっぱなし】
・深夜~早朝(23:00~6:00):消費電力量5.0kW/h、電気代換算135円
・日中(6:00~18:00):消費電力量7.8kW/h、電気代換算211円
・夜間(18:00~翌23:00):消費電力量3.3kW/h、電気代換算89円
【30分間隔でこまめにオンオフ】
・深夜~早朝(23:00~6:00):消費電力量8.5kW/h、電気代換算230円
・日中(6:00~18:00):消費電力量11.2kW/h、電気代換算302円
・夜間(18:00~翌23:00):消費電力量4.2kW/h、電気代換算113円
「つけっぱなし」では日中に211円かかりますが、30分間隔でこまめにオンオフをすると日中に302円かかります。つけたり消したりして電気代が約1.4倍になるなら、つけっぱなしにしたほうが結果的に省エネで、節約も可能というわけです。
エアコンを使うなら、サーキュレーターの併用も節約につながります。サーキュレーターによってエアコンから出た暖かい風が循環し、部屋全体が早く暖まるからです。
暖房器具を買い替える
技術が進歩したおかげで、新しいモデルの暖房器具は少ない消費電力で快適な温度に暖めることができます。買い替えにはお金がかかりますが、長い目で見れば新しいモデルにしたほうが省エネで、節約につながるかもしれません。暖房器具の買い替えを検討するなら、手持ちの暖房器具と新しいモデルの消費電力を比較してみましょう。
生活スタイルに合う暖房器具選びが大切
一人暮らしの場合、冬場の光熱費は夏場のそれに比べて約1.4倍になることがわかっています。しかし自分の生活スタイルに合う暖房器具を選べば、効率よく暖まることができ、ムダを減らして節約につなげることも可能です。暖房器具ごとの特徴を理解し、自身の生活に適した暖房器具を選びましょう。防寒グッズとの併用や使い方の工夫次第で、冬でも光熱費は節約できます。
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