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更新日:2024.12.26

相続後に土地を放棄できる「相続土地国庫帰属制度」とは?承諾率や対象となる土地・費用を解説

相続後に土地を放棄できる「相続土地国庫帰属制度」とは?承諾率や対象となる土地・費用を解説

2023年4月27日より始まった土地国家帰属制度ですが、具体的にどのような制度なのでしょうか。2024年12月時点の承諾数のデータを参照しながら、同制度の利用方法や要件、具体的な手続きの流れと制度が施行された背景、制度を利用すべきかどうかなどを解説していきます。

  • 土地国家帰属制度は、土地を相続後に手放すことができるようになった新制度
  • 施行の背景は、相続登記されずに放置された所有者不明の土地が増えているため
  • 2024年12月時点の承諾率は高いといえるが、承諾まで時間がかかるなど、現状では評価しづらい部分もある

もくじ

  1. 相続土地国庫帰属制度とは

    1. 相続後に土地を手放して国庫に帰属させることができる制度

    2. 相続土地国庫帰属制度の利用要件

    3. 相続土地国庫帰属制度の費用

    4. 相続土地国庫帰属制度を申請する流れ

  2. 相続土地国庫帰属制度が施行された背景

    1. 土地は持っているだけで手間や費用がかかる

    2. 相続登記されず放棄された所有者不明土地が増えている

    3. 2024年4月より相続登記が義務化された

  3. 相続土地国庫帰属制度はどのくらい利用されているの?

    1. 相続土地国庫帰属制度の承諾率

  4. まとめ



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相続土地国庫帰属制度とは

ここでは、相続土地国庫帰属制度がどのような制度なのか見ていきましょう。

相続後に土地を手放して国庫に帰属させることができる制度

相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日より始まった“相続した土地を国が引き取る制度”です。 ただし、どのような土地でも引き取ってもらえるわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。 また、土地国家帰属制度を利用するには一定の費用がかかります。
以下で、相続土地国庫帰属制度の利用要件と費用について見ていきましょう。

相続土地国庫帰属制度の利用要件

相続土地国庫帰属制度を申請できるのは、相続によって土地を取得した人です。
本制度は2023年4月27日より開始していますが、制度開始前に相続した方も制度を利用できます。

なお、引き取ることができない土地として、以下のような要件が挙げられています。

  • 【申請できない土地(却下事由)】

  • 建物が建っている土地
  • 担保権や使用収益件が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地(争いがある土地)
  • 【承認できない土地(不承認事由)】

  • 一定の勾配・高さの崖がある土地
  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  • 土地の管理・処分のために除去しなければならない有体物がある土地
  • 隣接する土地の所有者等との訴訟によらなければ管理・処分できない土地
  • その他、通常の管理・処分において過分な費用や労力がかかる土地

詳しい要件は、法務省のHPをご参照ください。

相続土地国庫帰属制度の費用

相続土地国庫帰属制度を利用するには、以下の費用がかかります。

  • 審査手数料:14,000円(土地一筆につき)

上記手数料は審査に要する費用のため、審査の結果、却下や不承諾になった場合でも手数料は返還されません。 また、土地の国庫帰属が決まった段階で、負担金として、管理に要する10年分の標準的な費用を考慮して算定した額を納付することになっています。
地目別(土地の用途による区分別)の負担金の算定方法は、以下の通りです。

①宅地の負担金

宅地の負担金は通常、面積に関わらず20万円です。

負担金換算の具体例_PC_①宅地
負担金換算の具体例_SP_①宅地


出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金」の情報を基に、クラモア編集部が作成
※1:市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域又はおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいいます(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第2項)。
※2:用途地域とは、都市計画法における地域地区の一つであり、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用が定められている地域をいいます(都市計画法第8条第1項第1号)。

ただし、市街化区域内や用途地域が指定されている地域については、面積に応じて負担金が算出されます。

面積区分 負担金額
50㎡以下 国庫帰属地の面積に
4,070(円/㎡)を乗じ、
208,000円を加えた額
50㎡越100㎡以下 国庫帰属地の面積に
2,720(円/㎡)を乗じ、
276,000円を加えた額
100㎡越200㎡以下 国庫帰属地の面積に
2,450(円/㎡)を乗じ、
303,000円を加えた額
200㎡越400㎡以下 国庫帰属地の面積に
2,250(円/㎡)を乗じ、
343,000円を加えた額
400㎡越800㎡以下 国庫帰属地の面積に
2,110(円/㎡)を乗じ、
399,000円を加えた額
800㎡越 国庫帰属地の面積に
2,010(円/㎡)を乗じ、
479,000円を加えた額

出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金

②田、畑

田、畑も原則として、面積に関わらず20万円です。

負担金換算の具体例_PC_②田、畑
負担金換算の具体例_SP_②田、畑


出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金」の情報を基に、クラモア編集部が作成
※3:農用地区域とは、自然的経済的社会的諸条件を考慮して総合的に農業の振興を図ることが必要であると認められる地域として指定された区域をいいます(農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号)。

ただし、以下の場合は面積に応じて算出します。

  • 市街化区域内や用途地域が指定されている地域内の農地
  • 農用地区域
  • 土地改良事業の施行区域内の農地
面積区分 負担金額
250㎡以下 国庫帰属地の面積に
1,210(円/㎡)を乗じ、
208,000円を加えた額
250㎡越500㎡以下 国庫帰属地の面積に
850(円/㎡)を乗じ、
298,000円を加えた額
500㎡越1,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
810(円/㎡)を乗じ、
318,000円を加えた額
1,000㎡越2,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
740(円/㎡)を乗じ、
388,000円を加えた額
2,000㎡越4,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
650(円/㎡)を乗じ、
568,000円を加えた額
4,000㎡越 国庫帰属地の面積に
640(円/㎡)を乗じ、
608,000円を加えた額

出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金

③森林

森林は、面積に応じて算出します。

負担金換算の具体例_PC_③森林
負担金換算の具体例_SP_③森林


出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金」の情報を基に、クラモア編集部が作成

面積区分 負担金額
750㎡以下 国庫帰属地の面積に
59(円/㎡)を乗じ、
210,000円を加えた額
750㎡越1,500㎡以下 国庫帰属地の面積に
24(円/㎡)を乗じ、
237,000円を加えた額
1,500㎡越3,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
17(円/㎡)を乗じ、
248,000円を加えた額
3,000㎡越6,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
12(円/㎡)を乗じ、
263,000円を加えた額
6,000㎡越12,000㎡以下 国庫帰属地の面積に
8(円/㎡)を乗じ、
287,000円を加えた額
12,000㎡越 国庫帰属地の面積に
6(円/㎡)を乗じ、
311,000円を加えた額

出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金

④その他

その他、雑種地や原野などは、面積にかかわらず20万円です。

負担金換算の具体例_PC_④その他
負担金換算の具体例_SP_④その他


出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の負担金」の情報を基に、クラモア編集部が作成

相続土地国庫帰属制度を申請する流れ

相続土地国庫帰属制度は、法務局の窓口で申請できます。
申請の大まかな流れは、以下の通りです。

  • 事前相談
  • 申請書の作成・提出
  • 要件審査
  • 承認・負担金の納付
  • 国庫帰属

より詳細な手続きについては、以下に詳しく掲載されているので、ご参照ください。

参考:法務省 「相続土地国庫帰属制度のご案内(第2版)

相続土地国庫帰属制度が施行された背景

ここでは、相続土地国庫帰属制度が施行された背景を見ていきましょう。

土地は持っているだけで手間や費用がかかる

土地は持っているだけで、管理の手間や固定資産税などの費用がかかります。 立地がよい土地であれば、不要になった際に売却してまとまった資金を得ることができ、費用負担から解放されますが、売却が難しい土地もあります。 そうした土地は従来であれば、相続時に相続放棄する以外に、土地を手放す方法がありませんでした。

しかし、相続土地国庫帰属制度の施行により、承諾を得ることができれば相続後でも土地を放棄することが可能となりました。

相続登記されず放棄された所有者不明土地が増えている

2つ目は、相続登記されず放棄された所有者不明の土地が増えていることが挙げられます。

土地を相続すると、被相続人(亡くなった人)から新しく土地を相続した人に、所有権を移転する登記手続きが必要です。この手続きを「相続登記」と呼びます。 しかし、相続登記は相続人自身が手続きを行わなければならず、相続時には葬儀や銀行口座、生命保険の手続きなど、他にも多くの作業があるため、相続登記を忘れたり、放置されていたりする土地が多いのが現状です。

例えば、父から相続した土地を共有持ち分で、兄弟3人で3分の1ずつ相続したといった場合、相続登記せずに時が経過し、兄弟のうちの誰かが亡くなってしまったというケースもあります。 土地を売却するときには売主が所有権を持っている必要があるため、こうしたケースでは、さらにその亡くなった方の相続人にまで関係が及びます。 こうして、相続放棄されずに数十年放置されてしまうと、関係者が100名を超えるといった土地もあるのです。
相続土地国庫帰属制度は、このような所有者不明の土地を減らし、解決に向けて役立つ制度となります。

2024年4月より相続登記が義務化された

従来、相続登記は義務ではなく、相続登記をしなくてもペナルティがありませんでした。 しかし、このような状況が、相続登記が放置されて所有者不明土地が増えた原因となっていました。
そのため、相続土地国庫帰属制度と合わせて、2024年4月から相続登記が義務化されることになりました。 相続登記の義務化により、3年以内に登記しない場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。

詳しくは、「2024年4月から相続登記の義務化が施行!空き家対策特別措置法の改正とは?」の記事で解説していますので、ぜひご参照ください。

相続土地国庫帰属制度はどのくらい利用されているの?

最後に、相続土地国庫帰属制度の承諾率を見ていきましょう。

相続土地国庫帰属制度の承諾率

法務省のホームページで公表されているデータによると、2024年11月30日時点での相続土地国庫帰属制度の申請件数は3,008件となっています。
以下は、申請のあった土地の地目の比率を表したグラフです。

相続土地国庫帰属制度の承諾率
相続土地国庫帰属制度の承諾率


画像出典:法務省 「相続土地国庫帰属制度の統計

帰属件数は1,089件、却下件数は51件、不承認件数は43件となっており、取り下げ件数は452件です。 現在、約1,400件の申請に対する結果がまだ出ていない状態です。
相続土地国庫帰属制度は、申請してから結果が出るまで半年以上かかるケースもあり、現時点では不透明な部分もありますが、現在結果が出ている件数のうち、却下件数の割合は4.5%程度と算出できます。

却下件数の割合:
却下件数51件÷(帰属件数1,089件+却下件数51件+不承認件数43件)=約4.5%

現状の承諾率は、かなり高いと見ることができます。 ただし、実際には窓口で相談してから申請に至る段階で、かなり数が絞られている可能性がある点には注意が必要です。

もし相続した土地の売却が難しいと考えて、国庫への帰属を検討している場合でも、不動産会社に相談すれば売却できる可能性もあります。 土地を手放したいと考えている方は、相続土地国庫帰属制度だけでなく、売却の選択肢も視野に入れ、不動産会社に問い合わせてみることをおすすめします。
現在ご覧いただいているサイト「クラモア」では、土地の無料査定から始めることができるので、ぜひ利用を検討してみてください。

まとめ

2023年4月27日より始まった土地国家帰属制度について、申請の要件や申請方法、施行された背景や最新の承諾状況についてご紹介しました。 土地国家帰属制度は、申請から半年程度かかるケースもあり、制度が始まったばかりで、現状はまだ分からない部分も多いです。

相続した土地を手放したいと考えている方は、売却の可能性も含めて、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
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逆瀬川 勇造

大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら

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