
マンションは土地と建物を一体として販売されるため、「土地と建物の割合=土地建物比率」を把握していない方も少なくありません。 しかし、この比率は譲渡所得税などの税金計算に必要となる重要な知識です。 この記事では、マンションの土地建物比率の基本や確認が必要となるケース、その調べ方について分かりやすく解説します。
- マンションの土地建物比率とは、総額に占める土地と建物の割合のこと
- 土地建物比率は、譲渡所得税の計算や特例適用で必要になる
- 売買契約書やローン契約書で確認する他、消費税などから算出することが可能
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マンションの土地建物比率とは
マンションの土地建物比率とは、マンション価格のうち「土地」と「建物」がそれぞれどの程度の割合を占めているかを示すものです。 たとえば、8,000万円のマンションで土地の価格が2,000万円、建物価格が6,000万円の場合、土地建物比率は「土地25%:建物75%」となります。
戸建ては土地と建物の両方を所有するイメージが一般的ですが、マンションは「建物だけを所有している」と考える人もいるかもしれません。 しかし実際には、マンションを購入すると専有部分のほかに、敷地の持分も所有することになります。 つまり、マンション購入者も土地と建物の両方を所有しているのです。
一般的にマンションは「土地建物込の総額」で取引されるため、総額のうち土地代がいくらかを把握しにくいケースも珍しくありません。 とはいえ、税金計算においては土地と建物の割合を区分することが重要になるため、土地建物比率を理解しておくことが重要です。
マンションの土地建物比率の確認が必要となるケース
マンションの土地建物比率が必要になるのは、主に以下2つのケースです。
それぞれ見ていきましょう。
マンション売却時の確定申告で取得費を計算するケース
マンション売却で得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税・住民税の対象となります。
譲渡所得は以下の計算式で算出します。
譲渡所得
= 売却価格 -(取得費+譲渡費用)
取得費とは、売却したマンションの購入時にかかった費用です。 マンション代金だけでなく、不動産会社への仲介手数料や印紙税なども含まれます。
ただし、取得費は単純に支払った金額ではなく、建物部分については経年劣化を考慮した「減価償却費」を差し引く必要があります。 減価償却費は以下の計算式で求めます。
減価償却費
= 購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
土地は劣化による価値の減少がないため、減価償却の対象外です。 そのため、減価償却費はマンションの建物部分のみで計算する必要があります。 最終的な取得費は、以下のとおりです。
取得費
=(建物価格-建物の減価償却費)+ 土地価格 + 購入時の諸経費
たとえば、購入時の価格が5,000万円(土地1,500万円・建物3,500万円)で所有期間10年、諸経費500万円、償却率0.022とした場合、減価償却費は以下のとおりです。
減価償却費
= 3,500万円 × 0.9 × 0.022 × 10年 = 693万円
よって、取得費は以下のようになります。
取得費
=(3,500万円-693万円)+ 1,500万円 + 500万円 = 4,807万円
このように、減価償却費・取得費を求める際に建物価格が必要になってくるため、土地建物比率を確認しておく必要があるのです。
マンション売却時の確定申告で土地に関する特例を適用するケース
マンション売却時にかかる譲渡所得税には、いくつかの節税特例があります。
その1つが「土地の1,000万円特別控除」です。
この特例は、平成21年または平成22年に取得した土地を、平成27年以降に売却した場合に適用され、土地の譲渡所得から1,000万円を控除できます。 この特例を適用するには、マンション価格のうち土地部分を明確に区分して、土地の譲渡所得を算出する必要があります。
一方で、マイホームとしてのマンション売却には「3,000万円特別控除」を使える場合があります。 これは譲渡所得から3,000万円を控除できる特例で、譲渡所得が3,000万円以下であれば課税額がゼロになり、大きな節税が見込めます。
ただし、1,000万円特別控除と3,000万円特別控除は併用できないので、両方の条件を満たす場合はどちらか選ぶ必要があります。 基本的には3,000万円特別控除の方が節税効果は高くなりますが、状況によって有利不利は異なるため、どちらを適用した方がお得になるかは慎重にシミュレーションして検討することが大切です。
マンションの土地建物比率の違いが及ぼす影響
マンションの土地建物比率の違いは、税金計算に大きな影響を与えます。 特に建物は経年劣化により評価額が下がっていくため、土地と建物の割合がどれくらいかが大きなポイントになります。
ここでは、マンションの土地建物比率の違いがどのような影響を及ぼすのかを見ていきましょう。
売却時の譲渡所得税が変わる
先述のとおり、マンション売却時の譲渡所得税は「土地と建物の割合」によって取得費が変わり、その結果、税額も異なります。 例として、マンション価格5,000万円、償却率0.022,所有期間10年、諸経費500万円の場合を見てみましょう。
▼土地1,000万円・建物4,000万円の場合
- 減価償却費:4,000万円 × 0.9 × 0.022 × 10 = 792万円
- 取得費:(4,000万円-792万円)+ 1,000万円 + 500万円 = 4,708万円
▼土地2,500万円・建物2,500万円の場合
- 減価償却費:2,500万円 × 0.9 × 0.022 × 10 = 495万円
- 取得費:(2,500万円-495万円)+ 2,500万円 + 500万円 = 5,005万円
このように、取得費を多く計上できるほど利益は小さくなり、結果としてかかる譲渡所得税も小さくなります。 上記例では、土地の割合が多いケースの方が節税につながるケースとなります。
なお、譲渡所得税は「特別控除を差し引いた課税譲渡所得」に、以下の税率を乗じて計算します。
所有期間 | 所得税・ 復興特別 所得税※ |
住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (5年以下) |
30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (5年超) |
15.315% | 5% | 20.315% |
※復興特別所得税は、2037年12月31日までかかる税金です。
上記のケースでは、取得費に約300万円の差があるため、300万円×20.315%=約60万円の税額差が生じる可能性があります。
相続時の相続税が変わる
マンションを相続する場合、相続財産の内容によっては相続税が課税されます。
その際、相続税を計算する基準となる「相続税評価額」は、土地と建物を分けて以下のように計算します。
- 建物の相続税評価額=固定資産税評価額
- 土地の相続税評価額=マンション全体の土地の評価額×持分割合
建物部分の評価額は固定資産税評価額と同じであり、納税通知書などで確認できます。 建物の固定資産税評価額は、経年劣化による価値の下落が反映されるので、築年数が経過すると相続税評価額も下がります。
一方、土地の相続税評価額はマンション全体の土地の評価額に持分割合を乗じて計算します。 土地の評価は「相続税路線価」に基づいて算出され、建物と違って経年劣化の影響は受けません。 そのため、周辺開発などで地価が上昇すれば、相続税評価額が取得時よりも高くなることもあります。
したがって、仮に土地の価格が購入時と変わらない場合は、建物の割合が大きい方が経年劣化による評価減が大きくなり、結果として相続税の節税につながる可能性があります。
固定資産税の納付額が変わる
不動産の所有者に毎年課税される固定資産税も、土地と建物に分けて課税されるため、土地建物比率によって税額が変わってきます。 先述のとおり、建物は経年劣化による資産価値の減少が固定資産税評価額に反映されますが、土地には経年による評価額の減少はありません。
また、固定資産税には軽減措置があり、居住用の建物が建っている土地については、200平方メートル以下の部分に限り、評価額が6分の1に軽減されます。
このように、土地と建物では評価方法や特例の適用が異なるため、土地建物比率によって固定資産税額も変動する点を理解しておきましょう。
マンションの土地建物比率を確認する方法

土地建物比率に明確なルールはありませんが、極端な比率にすると税務署から指摘を受ける可能性があります。
まずは、以下を確認して、すでに土地建物比率が決まっていないかをチェックしましょう。
売買契約書で確認する
マンション購入時の売買契約書に、総額とは別に「土地」と「建物」の内訳が記載されている場合は、その内訳を土地建物比率として用いることができます。 特に新築マンションや売主が不動産会社である場合は、内訳まで記載されていることが一般的なので、まずは契約書を確認するとよいでしょう。
住宅ローン契約書で確認する
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、契約書に土地と建物の内訳が記載されていることがあります。 また、住宅ローン控除を受けた場合、初年度の確定申告書には家屋や土地の額を記入する欄があるため、その控えを確認することで土地建物の割合を把握できます。
マンションの土地建物比率を確認できないときの計算方法
売買契約書が手元にない、または内訳が記載されていない場合でも、以下の方法で土地建物比率を算出できます。
消費税の額から計算する
土地は消費税の対象外であり、消費税がかかるのは建物部分のみです。 そのため、売買契約書に土地建物の内訳が記載されていなくても、消費税額が分かれば建物価格を算出することが可能です。
例えば、総額が6,400万円で、そのうち消費税が400万円だった場合を考えてみましょう。
- 建物価格:400万円 ÷ 10% = 4,000万円
- 土地価格:6,400万円 - 4,000万円 -
400万円 = 2,000万円
※消費税率が10%の場合
ただし、消費税率は購入時期によって異なるため、必ず当時の税率を確認したうえで計算してください。
固定資産税評価額から計算する
固定資産税評価額は、自治体が土地と建物ごとに算出しているため、購入時点の評価額が分かれば土地建物の比率が算出できます。
例えば、購入価格が5,000万円で、固定資産税評価額が3,500万円(建物2,625万円・土地875万円)の場合を見てみましょう。
- 土地建物比率:土地25%、建物75%
- 内訳:土地1,250万円、建物3,750万円
購入時の固定資産税評価額は自治体の窓口で確認できます。 ただし、築年数が古い物件では自治体の記録が残っていないこともあるため注意が必要です。
標準的な建築価額表から計算する
「標準的な建築価額表」とは、国税庁が定める建物取得費の基準額です。 建物と土地を一括購入し、内訳が不明な場合に利用されます。
標準的な建築価額表では、築年数や構造別に1㎡あたりの単価が定められているので、延床面積を乗じれば建物の価格の算出が可能です。 ただし、建築価額表で算出できるのは新築当時の建築価格であるため、中古物件の場合は購入時までの減価償却費を差し引く必要があります。
平均的なマンションの土地建物比率の相場
ここでは、平均的なマンションの土地建物比率の相場を見ていきましょう。
中古マンションの一般的な土地建物比率
中古マンションは、築年数の経過により建物価値が下がるため、土地価格が高くなる傾向があります。
一般的には、土地30%:建物70%程が目安ですが、都心部など地価が高いエリアの築古物件の場合は、土地の割合が建物より高くなるケースも珍しくありません。
ただし、マンションは管理状態やリフォーム履歴によっても建物価値が変動するため、立地や状態によって割合は大きく異なります。
新築マンションの一般的な土地建物比率
新築マンションの目安も、土地30%:建物70%ですが、都市部や人気エリアでは土地割合が大きくなりやすい傾向があります。
一方で、土地を割安で購入できた場合や建物にコストをかけた場合は、建物割合が高くなることもあります。 また、タワーマンションのように1棟あたりの戸数が多いマンションでは、1戸あたりの土地持分が小さく、土地割合が10%以下になるケースもあります。
以上のように、マンションの土地建物比率は、新築・中古だけでなく個々の状況によって大きく異なるので、ケースに合わせて確認することが大切です。
土地と建物の価格に乖離があるマンションの特徴
土地と建物の価格に大きな差があるマンションは、どちらの割合が高いかによってメリット・デメリットが異なります。
ここでは、土地代が高い場合・建物代が高い場合の特徴と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
土地代が高いマンションの特徴とメリット・デメリット
都心部や駅近など、立地の価値が高いマンションは、土地の割合が建物を上回る傾向があります。
土地代が高いマンションは、将来的に土地の価値が下がりにくく、立地によっては価格上昇も期待できるため、長期的な資産価値の維持・向上が見込める点がメリットです。
一方で、土地の割合が大きいと固定資産税などの評価額が下がりにくく、税負担が重くなりやすい点には注意が必要です。
建物代が高いマンションの特徴とメリット・デメリット
郊外など地価が比較的安いエリアにある物件や、建物仕様にこだわっているケース、総戸数が多い大規模マンションなどでは、建物代の割合が土地代より高くなることがあります。 建物の占める割合が増えると、経年による資産価値の減少幅が大きいため、長期的には節税効果を得やすい点がメリットと言えるでしょう。
しかし、建物の価値は時間とともに下がりやすく、特に立地条件が良くない場合には売却時に不利になる可能性があります。 また、不動産会社などの課税事業者から購入する際は、建物代にかかる消費税が高くなるため、初期負担が大きくなる点にも注意しましょう。
まとめ
ここまで、マンションの土地建物比率の基本や確認方法、それぞれの特徴について解説しました。
マンション総額に占める土地と建物の割合は、税金の計算や特例の適用に直結する重要な要素です。 特に売却時の譲渡所得税を計算する際に大きく関わるため、売却を検討する際には売買契約書などで事前に確認しておくことをおすすめします。
もし土地建物比率や売却時の税負担が分かりにくい場合は、不動産会社に相談するのも有効な方法です。 まずは信頼できる不動産会社を見つけ、査定や相談から始めてみるとよいでしょう。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
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