
マンション売却を進める上で、おおまかな流れとどのくらいの期間がかかるのかを理解しておくことは重要です。この記事では、マンション売却の流れとともに、どのステップにどの程度の時間がかかるのか、具体的に解説します。万が一、マンション売却のスケジュールが長期化してしまったとしても、有効な対策を打てるよう対処法もお伝えします。知識をつけてスムーズなマンション売却を実現しましょう。
- マンション売却の期間は6ヶ月以上見積もっておく
- 売却期間は売主さんの工夫次第で短縮できる
- 長期化してしまったら早めに手を打つことが大切
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マンション売却の流れと大まかなスケジュール
マンションの売却を考え始めてから実際に売却するまで、どんなスケジュール感になるのか、見てみましょう。
以下はマンション売却の流れと、それぞれのステップの所要期間を表にしたものです。

売却の検討を開始してから決済・引き渡しまでの期間は「最短で3ヶ月、通常は6ヶ月はかかる」と考えておきましょう。住み替えや買い替えなど、売却するタイミングを見極めたい場合には、余裕を持って計画を立てることが大切です。
売却前の準備(1週間~1カ月)
複数の不動産会社へ査定を依頼する
不動産会社に依頼して実際の査定をしてもらいましょう。査定を受けることで、より具体的な売却価格の目安を知ることができます。
査定とは、不動産会社に依頼して売却見込み価格を算出してもらうことで、査定を依頼する際は、3~5社の不動産会社に依頼し、複数の会社を比較検討することもできます。 査定を依頼することで、売却見込み価格だけでなく、対応の良い会社や相性の良い営業担当者を見極めやすくなります。
査定には、主に以下の2種類があります。
- 簡易査定:
現地調査をせず、簡易的に価格を算出する査定方法で、机上査定とも呼ばれます。 - 訪問査定:
担当者が現地を訪れ、詳細な調査を行ったうえで価格を算出する本格的な査定です。
流れとしては、まず簡易査定を3~5社の不動産会社に依頼します。 インターネットの「一括査定サービス」を利用すると、手軽に複数社に依頼できます。 簡易査定を受けた後、対応が良かった2〜3社に訪問査定を依頼します。
訪問査定は、不動産会社の担当者と直接対面できる貴重な機会です。 質問や気になる点をまとめておき、積極的に会話をしましょう。 担当者の対応や知識レベルを確認することで、どの不動産会社に売却を依頼するかの判断材料にできます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
マンション売却を不動産会社に依頼する際、売主と不動産会社の間で結ぶのが「媒介契約」です。
媒介とは、双方の間に立って取り持つことを意味し、簡単に言えば「仲介」のことです。 つまり、不動産会社にマンションの買主を見つけてもらい、買主との間で売買契約を結ぶ仲介を正式に依頼することが、媒介契約となります。
媒介契約には、専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は、法律で「契約期間は3ヶ月以内」と定められています。
一方、一般媒介契約には法律で契約期間の定めはありませんが、多くの不動産会社では慣例的に3ヶ月ごとに更新する形を取っています。 媒介契約を締結する際は、契約書の有効期間についてよく確認しておきましょう。
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売却活動の開始(1カ月~3カ月)
マンションを売り出す
不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよマンションの売り出しが始まります。
専属専任媒介契約や専任媒介契約を結んでいる場合、担当者から定期的に進捗報告が届きます。 報告内容を確認し、順調に販売活動が進んでいるのか、チェックしましょう。
もし販売活動に改善が必要な場合は、担当者と相談し、戦略を見直して調整を行います。 柔軟に対応しながら、スムーズな売却を目指していきましょう。
マンションの売買契約を締結する
購入希望者との条件が合意に至ったら、売買契約を締結します。
マンション売却は高額な取引であるため「売買契約書」を作成し、書面に残して契約を正式に成立させます。 一度契約を交わせば、簡単には解除できません。
売買契約書は、売主が自分で準備する必要はありません。 購入希望者との間で合意した条件が記載された売買契約書を、不動産会社が作成してくれます。
売却後の手続き (1カ月~2カ月)
決済・引き渡しをする
売買契約を締結した後、「決済・引き渡し」を行います。
「決済」とは、売買代金の受け渡しを行い、売買取引を完了させることを意味します。マンションの売却においては、「決済=売主が買主から売買代金を受け取ること」を指します。
決済後、売主は売買代金を受け取り、マンションの所有権を買主に移転します。 この所有権の移転を「引き渡し」と呼びます。


売主は、抵当権抹消や所有権移転登記を行いますが、実際の手続きは通常、司法書士に依頼して、司法書士が代行して行います。
必要書類を用意する
決済・引き渡しは、当日までの準備が重要になります。売主さんが事前に準備する主要なものは、以下のとおりです。
- ●登記関係書類等
- 所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合)
登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日時点で発行後3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など - 抵当権抹消登記に必要な関係書類等
※登記関係書類等は司法書士等の専門家に確認しましょう。また、登記をオンライン申請する場合は準備するものが異なります。 - 実印(登記関係書類に押印する)
- 登記費用
- 実測図や境界確認書(必要な場合のみ)
- 残代金や各種精算金等の領収書(口座振込の場合は振込控えで代替する場合もある)
- 建築関係書類、物件の鍵等の買主へ引き継ぐべきもの一式
- 仲介手数料(媒介契約書の支払条件に基づいて準備する。不動産会社からは領収書を受け取る)
引き渡し当日、登記申請や抵当権抹消に必要な書類に不備があると、売買契約書で定めた期日に引き渡しができない可能性があります。 これを防ぐためには、事前に不動産会社の担当者や司法書士と連携し、必要な書類に抜け漏れがないよう確認しておくことが重要です。
確定申告をする
不動産会社や買主さんとのやり取りが完了したあと、売主さんには最後のステップである「納税」が残っています。マンションを売却して利益が出たときには、その利益(譲渡所得金額)に対して、所得税と住民税が課税されます。
注意点したいのが、不動産売買に関する特例や控除によって納税の必要がない場合です。控除などを利用する申請のために確定申告が必要なので、気を付けましょう。
基本的には、「マンションを売却したら確定申告をする」と考えておくとよいです。
確定申告を行うタイミングは、マンションを売却した年の翌年の2月16日〜3月15日です。

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マンション売却にかかる平均的な期間は2〜3ヶ月
複数の会社が調査レポートを出していますが、マンション売却期間のおおよその平均は【2〜3ヶ月】と言われています。 たとえば、東日本不動産流通機構によれば、首都圏の中古マンションの売却期間(※)は以下のとおりとなっています。
※売却期間とは、売り出しを開始してから成約に至るまでの期間を指します。
▼登録から成約に至る日数
年 | 中古マンション(日) |
---|---|
2017 | 74.7 |
2018 | 78.8 |
2019 | 81.7 |
2020 | 88.3 |
2021 | 74.7 |
2022 | 71.4 |
2023 | 80.1 |
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構 REINS TOWER
2023年のデータを見ると、前年の2022年と比べて売却にかかる日数が「80.1日」とやや増加しています。しかし、この状況がずっと続くとは限りません。
売主さんが目安とする数字としては、ここ5年程度の数字を広く見て「売却期間は2〜3ヶ月かかる」ととらえておいたほうがよいでしょう。
マンション売却の期間短縮のカギを握る3つのこと
では、マンション売却の期間を短くするために、何ができるでしょうか。
期間短縮の3つのカギをご紹介します。
①売り出し前の準備期間を十分に確保する
1つめは「売り出し前の準備期間を十分に確保する」ことです。

準備期間が長ければ、その分、以下の時間を増やせます。
- 自分たちの希望を明確に整理して、方向性を固める時間
- たくさんの不動産会社に相談をして、最適な不動産会社を選定する時間
- 不動産会社の営業担当者と念入りに作戦会議をして、戦略や計画を練る時間
もし現在、少しでもマンションを売却する可能性があるなら、今から準備に着手しておきましょう。
「マンションを売却する」と決断してから動くのでは、十分な期間を確保するのは難しいからです。
具体的にどこから着手するかについては「マンション売却の流れ10ステップとは?初心者さんにわかりやすく解説」を参考にしてみてください。
②営業力のある不動産会社に依頼する
2つめは「営業力のある不動産会社に依頼する」ことです。 マンションが早く売却できるかは「物件の魅力度 × 不動産会社が買い手を見つける営業力」の掛け合わせで決まるといえます。
担当者の営業力を見極めるポイントとしては、以下が挙げられます。
不動産会社を選定する際の指標として、参考にしてみてください。
- レスポンスの早さ、スピード感
メールや電話の返事がすぐに返ってくる、フットワークが軽くすぐに来てくれる - ヒアリング力・傾聴力
相手の立場になって親身に話を聞き、状況をよく理解してくれる - コミュニケーション能力・交渉力
人当たりがよく話していて感じがよい、双方にメリットのある落としどころを交渉できる - 誠実さ
話にうそや誇張がない、正直である、約束を守る
みんなが不動産売却時に重視したことは?
クラモアが独自に調査した、不動産売却経験者へのアンケート結果によると、不動産売却時に重視したこととして多かったのは、「売却価格の最大化」(36.9%)、「信頼できる不動産会社を探す」(26.8%)、「迅速な売却手続き」(24.9%)でした。
参考:【不動産売却経験者にアンケート調査!】売却時に重要視したことは?


最も多かった回答は「売却価格の最大化」で、回答者全体の約4割を占めています。
大切な不動産を高く売却し利益を最大化するには、不動産の内装を見直すだけでなく、市場の需要を調査したり、節税対策を駆使したりするなど、様々な視点から熟考した上で慎重に売却を進める必要があります。
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③内覧の準備をしっかり行う
3つめは「内覧の準備をしっかり行う」ことです。
先ほど「物件の魅力度 × 不動産会社が買い手を見つける営業力」でマンションの売却期間が決まるとお伝えしましたが、内覧の準備次第で、物件の魅力度は高くも低くもなります。
できる限り魅力的に見えるように、マンションを整えることが大切です。
- ▼ マンション売却の内覧で好印象をつくる10のコツ
- 玄関をすてきに演出する
(スリッパは必須) - 換気と消臭で嫌なニオイをなくす
- 照明をすべて点灯しカーテンを開けて明るくする
- できるだけ物を減らす
- しっかり掃除する
(ハウスクリーニングも検討) - 快適な室温と湿度を保つ
- 不具合や故障を修理する
- 資料を準備しておく
- 共有スペースを点検する
- キレイめの服装で丁寧に対応する
上記の詳細は「マンション売却の内覧で好印象をつくる10のコツと気を付けたいNG行動」にてご紹介しています。
マンション売却が長期化したときの打開策
もし、売り出しを開始してから売却期間が長期化してしまったら、どうすればよいのでしょうか。打開策として、次の4つが効果的です。
それぞれ見ていきましょう。
不動産会社との媒介契約を見直す

1つめの打開策は「不動産会社との媒介契約を見直す」です。
不動産会社へマンション売却を依頼する際には「媒介契約」を締結します。 媒介契約には下記表の3つの種類があり、種類によって不動産会社の注力度が変わってきます。
右にスクロールできます→
媒介契約の種類 | 同時契約できる 不動産会社の数 |
レインズ*1の 登録義務 |
報告義務*2 | 自己発見取引*3 |
---|---|---|---|---|
(1)専属専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 1週間に1回以上 | 不可 |
(2)専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 2週間に1回以上 | 可 |
(3)一般媒介契約 | 2社以上 | なし | 義務なし | 可 |
媒介契約の種類 | 同時契約できる 不動産会社の数 |
レインズ*1の 登録義務 |
報告義務*2 | 自己発見取引*3 |
---|---|---|---|---|
(1)専属専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 1週間に1回以上 | 不可 |
(2)専任媒介契約 | 1社のみ | あり | 2週間に1回以上 | 可 |
(3)一般媒介契約 | 2社以上 | なし | 義務なし | 可 |
参考: 全日本不動産協会
*1:「レインズ」は、不動産情報が掲載されているネットワークシステムの通称です。レインズに登録すると、全国の会員不動産会社に情報が提供されるため、買主を早く見つけやすくなります。
*2:「報告義務」は、不動産会社が、販売状況を売主さんへ報告する義務のことです。
*3:「自己発見取引」は、自分で買主を見つけた場合に、不動産会社を通さずに直接取引してよいか、を表しています(不可の場合は、自分で見つけた買主の場合でも、依頼した不動産会社を介して売買契約をする必要があります)
(3)一般媒介契約 を締結していた場合には、(1)専属専任媒介契約に変更することで、より積極的な販売活動の展開を期待できます。不動産会社の対応に不満があれば、ほかの不動産会社と媒介契約を締結し直すことも視野にいれましょう。
(1)専属専任媒介契約 と(2)専任媒介契約は、1社のみとしか契約できませんが、有効期間は最長で3ヶ月と定められています。媒介契約の締結から3ヶ月が経過したときに契約更新をせず、ほかの不動産会社へ依頼し直すことも考えておきます。
内覧者のフィードバックをもとに改善する
2つめの打開策は「内覧者のフィードバックをもとに改善する」です。
「③内覧の準備をしっかり行う」にてお伝えした内覧準備をしっかり行っていても、内覧の結果がよくない場合は、どこに問題があるのか探って解消することが大切です。 不動産会社の担当者に、内覧へ訪れた方の感想をヒアリングしてもらい、購入決定に至らなかった理由をリサーチしましょう。
たとえば、「○○が汚いのがマイナス評価だった」「○○の不具合が気になった」などのフィードバックがあれば、ハウスクリーニングを入れる、不具合を修理するなどして改善します。
広告・チラシなどの販促活動を追加する
3つめの打開策は「広告・チラシなどの販促活動を追加する」です。「もっと幅広い人に販売していることを知ってもらえれば、売れるはずなのに」と思う場合には、広告やチラシなどの販促活動の追加を、不動産会社へお願いする方法があります。
ただし注意点として、不動産会社が通常行う広告などとは別に、特別に依頼して行う販促活動の費用は、(仲介手数料とは別に)依頼者に請求されることがあります。追加の販促活動をお願いするときには、仲介手数料の範囲内でやってもらえるか否かを、明確に確認するようにします。
売り出し価格を見直す
4つめの打開策は「売り出し価格を見直す」です。マンション売却では、できるだけ高値で売れるように目指すのが大前提ではあります。しかし、どうしても売れない場合には最終的な手段として、値下げしていくことになります。
値下げ金額と売却期間は、トレードオフの関係になることが多いので、どのラインまで許容できるか慎重に考えましょう。できるだけ早く売却することを優先する場合には、ローンの残債や資金計画などを踏まえてギリギリ許容できる、最安の売却価格に下げることで対応します。
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まとめ
今回は、マンション売却の大まかな流れとスケジュール、期間の目安について解説しました。
また、できるだけ早くマンションを売却するコツとして「期間短縮の3つのカギ」「売却期間が長期化したときの打開策」もご紹介しました。
マンション売却は、平均2~3か月の売却活動期間を含めて、売却を始める前の準備段階から引き渡しが完了するまでの期間はおおよそ6カ月以上かかると見積もっておくとよいでしょう。
できるだけ早期にマンション売却を完了させるために売主さんができることは、早めの行動で準備万端にすることです。
「まだ早いかな」と思わずに、相場のリサーチや査定依頼から着手していきましょう。

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