- 2025年9月、大手銀行5行のうち4行が固定金利を引き上げ
- 変動金利は大半の銀行で据え置きが多い
- 今後は金利上昇の可能性が高い為、買主の負担が増える前に売却を検討するのがおすすめ
【2025年9月】大手4行が住宅ローン固定金利を引き上げ!
2025年9月には、大手銀行の多くが住宅ローンの固定金利を引き上げました。
ここでは、各銀行の金利動向と直近の変化について確認していきましょう。
大手銀行のほとんどが住宅ローン固定金利を引き上げ
2025年9月には、大手銀行のうち4行が住宅ローン固定金利引き上げを実施しました。
銀行 | 10年固定金利 (2025年9月) |
前月比 |
---|---|---|
三井住友銀行 | 2.10% | +0.05% |
みずほ銀行 | 1.95% | +0.05% |
三井住友信託銀行 | 2.195% | +0.1% |
りそな銀行 | 2.355% | +0.01% |
一方、三菱UFJ銀行は0.03%引き下げて1.92%となりました。 ただし、同行は2025年8月に0.07%引き上げているため、今回の下げ幅はその調整と見ることもできます。
なお、三菱UFJ銀行以外の銀行も2025年8月に10年固定金利の引き上げが実施されています。
銀行 | 10年固定金利 (2025年8月) |
前月比 |
---|---|---|
三井住友銀行 | 2.05% | +0.2% |
みずほ銀行 | 1.9% | +0.2% |
三井住友信託銀行 | 2.095% | +0.21% |
りそな銀行 | 2.345% | +0.21% |
変動金利は据え置き
固定金利が上昇傾向にある一方で、変動金利については大手銀行を含め多くの金融機関で据え置きとなっています。
固定と変動で金利の動きが異なる点は、住宅ローンを検討するうえで重要なポイントといえるでしょう。
住宅ローン固定金利が引き上げられる背景
近年、住宅ローンの固定金利は上昇傾向にあります。
では、その背景にはどのような要因があるのでしょうか。
ここでは、金利上昇の背景を見ていきましょう。
10年国債利回りの上昇
住宅ローンの10年固定金利などの長期金利は、10年国債利回りに連動しています。
10年国債利回りとは「10年満期の国債から得られる利息の割合」のことで、長期金利の指標とされています。
2025年7月には、10年国債利回りが約17年ぶりに一時1.6%まで上昇し、その後も高止まりが続いています。 この上昇基調が、住宅ローン固定金利の引き上げにつながっているのです。
日銀の金融政策の転換
10年国債利回りは、2020年頃まではおおむね0%前後で推移していました。 2010年代においては、日銀は金融緩和政策を進めており、2019年頃には10年国債利回りがマイナスになることもありました。
しかし、2020年以降のコロナ禍では各国が、補助金の交付など、大規模な財政支出を行った結果、世界的にインフレが進行。 その対応として欧米を中心に利上げが進みました。
日本では欧米諸国と比べてインフレが緩やかだったため利上げには慎重でしたが、2021年3月に長期金利の変動許容幅を0%程度から0.25%程度に引き上げています。 その後も段階的な変更が行われ、2022年12月には0.50%、2023年7月には実質的に1%を上限とする制度変更が実施されました。
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住宅ローン固定金利の今後と注意点
ここでは、住宅ローン固定金利の今後の動向と、押さえておくべき注意点について解説します。
固定金利は今後も上昇する可能性がある
住宅ローンの固定金利は現在上昇傾向にあり、今後も引き続き上昇する可能性があります。
これは、10年国債利回りが物価の動きに連動していることが理由です。 物価が上昇すると、実質的な国債利回りを維持するために長期金利が引き上げられ、それに伴い固定金利も上昇します。
近年の物価高の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原油や原材料価格の高騰、日本国内においては円安や物流費、人件費の上昇などがあります。 これらの要因はすぐに解消されるものではなく、固定金利の上昇傾向が続く可能性が高いと考えられます。
変動金利は据え置き~やや上昇傾向が続く可能性がある
一方、住宅ローンの変動金利は、当面は据え置き傾向が続くと予想されます。 変動金利は政策金利に連動しますが、多くの金融機関では顧客獲得のために適用金利を低めに設定する傾向があるからです。
ただし、今後日本国内で利上げが進めば、変動金利も徐々に上昇する可能性があります。 すぐに大きく上がることは考えにくいものの、長期的には少しずつ金利が上昇していくことを念頭に置いておく必要があるでしょう。
借り換え戦略が難化する可能性がある
固定金利と変動金利の動きの違いから、借り換えのタイミングが難しくなる点にも注意が必要です。
たとえば、当初は低い変動金利で借り入れたとしても、後に金利が上昇して固定金利へ借り換えようとした際には、すでに固定金利が高止まりしている恐れがあります。
変動金利は金利上昇がそのまま返済額に反映されるのに対し、固定金利は契約時の金利が一定期間維持されます。
短期的には変動金利がお得に見えても、数年先を見据えると負担が増えるリスクがあるのです。
住宅ローンを選ぶ際は、現時点の金利水準だけでなく、長期的な視点を持つことが重要です。
さらに、不動産売却を検討している方にとっても金利動向は無視できません。 金利が上昇すれば、買主は同じ価格の物件でも返済負担が増し、購入意欲が低下します。 その結果、売却価格を下げざるを得ない可能性もあります。
将来的に不動産の売却を考えている方は、金利上昇前の早めのタイミングで売却を行うことをおすすめします。
まとめ
本記事では、直近の住宅ローン固定金利の引き上げ動向とその背景について解説しました。
現時点で大きな情勢の変化がなければ、住宅ローン金利は今後も上昇傾向が続くと考えられます。
金利上昇は、家の購入者にとって返済負担の増加につながり、最終的には売却価格を調整せざるを得ない可能性があります。 そのため、不動産の売却を検討している方は、今後の金利動向を踏まえたうえで売却タイミングを判断することが大切です。
将来的な売却も視野に入れている方は、まずはお気軽にご相談ください。

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
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