- ごはんやトイレの用意は必須で、月々5,000円から1万円程度の費用を確保したい
- 猫が上下運動をできるしつらえと、屋外や家の中を見渡せるコーナーを作ってあげる
- 「おとなしい」「鳴き声が小さい」「あまり鳴かない」「独立心がある」種類の猫を選ぶ
フワフワで柔らかい体を持ち、自由気ままに生きる姿やツンデレな仕草がかわいらしい猫。一人暮らしをしている方、これから一人暮らしを予定している方のなかにも、「猫を飼いたい!」という方はいるのではないでしょうか。「猫は比較的一人暮らしでも飼いやすいペット」と言われていますが、飼う際にはさまざまな準備や環境整備が必要です。
では、一人暮らしで猫を飼う際にはどんなことに注意し、どんな部屋を探せばよいのでしょうか。準備しておきたいものやひと月にかかる大まかな費用、一人暮らしに好相性なおすすめの猫種についてご説明します。
一人暮らしで猫を飼うときの注意点
猫はトイレのしつけが簡単で、連れ出しての散歩も不要です。自分で体をキレイにする習性もあるので、比較的手のかからないペットと言えるでしょう。とはいえ、生き物を飼うということは、命を預かるということ。飼い主として、配慮したり我慢したりしなければならないこともあります。
猫と暮らす場合に困ること
長期の外出が難しくなる
猫はもともと単独行動をする動物なので、一人ですごすことにさほど苦痛を感じません。ごはんやトイレを準備しておけば2~3日の外出は可能ですが、猫を自宅に置いて長期間にわたり外出することは難しくなると覚悟しましょう。
爪とぎなどで壁や家具に傷が付く
猫は「爪とぎ」をする習性があるので、上手にしつけても多少の壁・家具の傷みは避けられません。猫は基本的に決められた場所でしか爪をとぎませんが、飼い主が留守で退屈になったりストレスが溜まったりすると、ソファや壁、畳などで爪とぎをすることも。また、走り回る際にも床に爪を立てるので、コルクの床や畳などには爪の跡がついてしまうおそれがあります。
マーキングや尿便で部屋を汚す
初めて猫を部屋に迎え入れた際、とくに雄の猫はあらゆるところに自分のニオイをつける「マーキング」という行為をします。飼い主までマーキングされてしまうことも少なくありません。トイレが不衛生なときやストレス・病気などを抱えている際は、トイレ以外で粗相をしてしまうこともあります。速やかに原因を取り除いてあげましょう。
猫の安全のために注意したいこと
部屋から脱走するおそれがある
マンションや集合住宅で猫を飼う際は、脱走に注意しなければなりません。猫が嫌いな方や猫アレルギーを持つ方の迷惑にならないよう、「脱出防止の柵を設置する」「窓を開け放たない」などの管理が必要です。屋外に出てしまった場合には、交通事故にあったり病気になってしまったりするおそれもあります。
どこにでも登る、なんでも落とす
猫は高いところが好きなので、棚の上や机の上だけでなく、キッチンのコンロの上などにあがってしまうこともあります。キャットタワーなどを設置し、上に登りたい欲求を満たしてあげることが必要です。キッチンでは包丁など危ないものは出しっぱなしにせず、コンロを使っている際には猫が来ないか注意しましょう。棚の上や机の上のものを落として遊ぶこともあるので、壊れて困るものはあらかじめ片付けておくようにしてください。
ニオイのするものや危険なものは片付けておく
猫は嗅覚が敏感なため、生ゴミが入っている場所を確かめようとする習性があります。生ゴミは袋を結んだり蓋を閉じたりしてしっかり片付けておくようにしましょう。ニオイの強いオイル類のなかには、猫に害のあるものもあります。猫が入れない場所に収納しておくと安心です。また、猫はレジ袋や紙袋に入るのが大好きですが、持ち手が首や手に絡まると大変です。猫が入らないように畳んでしまっておきましょう。
猫を飼うのに費用はどれくらいかかる?
猫を飼う際には、「迎える前に用意しておくべきものを買う費用」と「日々かかる費用」があります。猫と一緒に暮らすために必要なものと、その費用の相場について解説します。
猫を迎える前に準備したいものと費用
キャリーバッグ:3,000円~
猫は初めての人や場所に対して不安を感じやすい動物です。猫を迎え入れるために引き取りにいく際は、キャリーバッグを持って行くと猫が逃げ出したり暴れたりする心配がありません。猫と一緒に暮らし始めてからも、病院に連れて行く際などにはキャリーバッグが重宝します。
フードと水を入れる容器:300円~
キャットフードや水の容器は縁にひげが当たらない「2~3cmほどの深さがあるもの」が望ましいとされており、猫用として販売されているものでなくても問題ありません。ただし、飲食の際に水やフードが周囲に飛び散ることもあるので、シートやトレーなどに乗せておくと床が汚れないでしょう。最近では外出先からスマートフォンを使ってフードを与えられたり、付属のカメラで食べている様子を見られたりする自動給餌機もあります。
トイレ:1,000円~
猫のトイレには箱型のものやフード付きのもの、家具に収納できるタイプなどがあります。最近では自動で糞尿を片付けてくれるトイレもあり、好評です。
ケージ:3,000円~
一緒に住み始めて猫が落ち着かない際や来客時、大掃除をする際などは、猫をケージに入れてあげると安心させることができます。猫と一緒に住む住居の大きさや、部屋数によって適切なものを選ぶとよいでしょう。
爪とぎ:300円~
猫が爪をとぎそうなところに数カ所、爪とぎを置いておくとよいでしょう。形は壁などに立てかけるタイプと床に置くタイプがあり、素材は段ボール、縄、板などでできているものがあります。
寝床
特別な物を買わなくても、「段ボールなどにやわらかい毛布を入れる」「普段使いのクッションを使う」といった形で代用も可能です。飼い主のベッドで寝る猫もいます。」
猫と一緒に暮らすために日々かかる費用
キャットフード:月5,000円程度
キャットフードにはさまざまな種類がありますが、最初はそれまでいた場所で食べていたものと同じ商品を用意しておくと間違いありません。1歳までの子猫用や成猫用、シニア用など年齢に応じたフードがある他、毛玉対策や肥満対策、下部尿路対策などさまざまな種類があります。年齢や健康状態に合わせたものを選んであげましょう。
トイレの砂:月1,000円程度
猫のトイレ用の砂には、鉱物からできている小粒でしっかり固まるタイプと、紙や木クズ、おからなどでできている大粒のタイプがあります。家に来る前に使っていたトイレの砂を少しもらってきて、新しいトイレに入れてあげるとスムーズに用を足してくれるはずです。
その他にはどんな費用がかかる?
おもちゃ・キャットタワー
室内飼いの場合は、運動不足解消のためにキャットタワーやおもちゃを用意してあげるとよいでしょう。猫専用のものでなくてもよいですが、「おもちゃを誤って飲み込んでしまう」「タワーの足場が不安定で落下してしまう」といったことがないように気を付ける必要があります。
去勢避妊手術・予防接種・医療費
1歳前後になったら去勢手術(1万円~)や避妊手術(1万5,000円~)を行わなければなりません。予防接種や病気の治療で獣医にかかる際は、医療保険に入っていなければ1回に5,000円以上はかかります。
猫を飼う前に考えておきたい物件探しのポイント
一口に「ペットOKの物件」と言っても、部屋の環境はそれぞれに異なります。猫は、どんな住居だと快適に暮らすことができるのでしょうか。部屋の間取りや広さ、すごせるスペース、トイレの位置など、愛猫のために配慮してあげたいことをご紹介します。
部屋の間取りや広さ
逃げたり隠れたりできるスペースがある
猫と一緒に暮らすにあたっては、猫がストレスを感じた際に逃げたり隠れたりできる「2部屋以上の環境」があると最適です。間取りが1Kやワンルームの場合は、キャットタワーやロフトなど高い位置に上がれるようにしてあげましょう。猫は掃除機をかける際に「逃げたい」と感じたり、構われすぎたときに「人間から離れたい」と感じたりします。こうしたストレスを緩和できる環境が理想的です。
危ない場所を扉などで仕切れる
キッチンのコンロや包丁、お風呂のソープ類など、猫にとって危険なものが多い場所を扉などで仕切れると、飼い主が不在の状況でも安心です。もし仕切るのが難しい場合には、危ないものはしっかり収納に片付けて出かけましょう。
屋外や部屋全体を見渡せるスペースがある
猫が周囲の様子を観察するのは、「なわばりを守る」という本能にもとづく習性です。とくに上から見下ろすことができると満足するので、キャットタワーを設置してあげましょう。また、猫が飛び乗れるよう棚の上のスペースなどを空けておくと喜んで部屋の中を監視します。屋外には人や鳥が動く様子が見えたりするので、窓から外を眺めるスペースを作ってあげるとストレス軽減につながるでしょう。
猫のためにできる環境整備の工夫
上下運動できる環境をつくる
室内飼いの猫は運動不足になりやすいので、壁を利用してキャットウォークを設けたり、天井と床で突っ張り式のキャットタワーを設置したりして上下運動ができるようにしてください。専用でなくとも手持ちの家具を組み合わせるだけで足場になるので、猫の成長や遊び方を観察しながら楽しく上下運動できる環境を整えてあげましょう。
太陽の光を感じられるスペースを用意する
猫は室内でも日光が当たっている位置にわざわざ移動し、くつろいでいることがよくあります。猫が日向ぼっこをするのは「体を温めてエネルギーを節約するため」とも「日光で皮膚を殺菌させて清潔な状態を保つため」とも言われますが、いずれにしても猫にとっては太陽の光が重要です。
ただし、ワンルームなどで部屋全体に光が差し込み、逆に“逃げ場”がなくなるような部屋であれば、日陰を作ってあげることも必要です。夏などに日差しが入りすぎると、部屋の温度が極端に上昇してしまうので注意しましょう。
トイレとごはんを食べる場所を分ける
猫には、トイレをする場所とごはんを食べる場所を分ける習性があります。なるべく集中できるスペースを選び、トイレとごはんは別に置くのがおすすめです。
猫はトイレが汚いとストレスを感じてしまい、別の場所で用を足すことがあります。また、ペットのなかでは比較的ニオイが少ない猫でも、暖かい季節のトイレはにおうものです。トイレはニオイが気にならず、飼い主が片付けをしやすい場所に設置するとよいでしょう。
一人暮らしで比較的飼いやすい、おすすめの猫種とは
一人暮らしの住まいは、アパートやマンションといった集合住宅などが一般的です。集合住宅は隣近所との物理的距離が近いため、猫を飼っていることでトラブルになってしまうおそれもないとは言えません。
通常、猫の活動する時間帯は「明け方」と「夕方から夜にかけて」。人間が眠っているこの時間帯に猫が騒ぐと迷惑がかかることが考えられるので、そういった迷惑になるリスクが比較的小さい猫を選ぶのも手です。ここからは、一人暮らしでも飼いやすいおすすめの猫の特徴と種類をご紹介します。
一人暮らしでも飼いやすい猫の特徴
おとなしく、おっとりしている性格
やんちゃで元気な猫は走り回り、飛び移り、物を落として音を立ててしまうので、マンションなどの集合住宅ではなるべくおとなしい猫が向いています。
あまり鳴かない、鳴き声が小さい
猫の鳴き声は、隣の部屋などに響きます。その点で、あまり鳴き声を立てない猫、もしくは鳴き声が小さい猫がおすすめです。普段あまり鳴かない猫でも、繁殖期になると「さかり」がついて大きな声で鳴きます。繁殖期の興奮やストレスは、去勢手術や避妊手術で防ぐことができるでしょう。
学習能力が高い
猫は、住環境の変化に対する適応があまり得意ではありません。いずれ引越しする予定がある場合などには、学習能力が高く環境に適応しやすい種類の猫がおすすめです。
留守番が得意
日中は外出し、帰りが遅くなる日も多い方の場合は、独立心が強く、飼い主にあまり依存しない種類の猫がおすすめです。
一人暮らしに向いている猫の種類
スコティッシュフォールド
折れた耳が印象的なスコティッシュフォールド(上記写真)は、おとなしくて人懐っこい猫です。あまり鳴くこともなく、おっとりしていて運動量が少ない、留守番を嫌がらない、いたずらが少ない、といった特徴があるので、ハラハラせずに外出できるでしょう。スコティッシュフォールドには短毛種と長毛種がいますが、ブラッシングなどの手入れが簡単な短毛種がおすすめです。
エキゾチックショートヘア
クシャっとつぶれたような顔がキュートなのエキゾチックショートヘアは、のんびり屋でおとなしい性格の猫です。動きも少なく、あまり鳴かないので、マンションなどの集合住宅でも隣近所をさほど気にすることなく飼うことができます。
マンチカン
ダックスフンドのような短い手足がユニークなマンチカンは、甘えん坊ながら鳴き声が小さく、自立心があるので留守番させても安心です。一人暮らしの世帯で飼いやすい猫と言えるでしょう。
バーミーズ
なめらかな光沢のある被毛と丸顔が愛らしいバーミーズは、顔だけでなく性格も丸くて穏やかです。学習能力があり、人間に従順なため、「犬のような猫」と表現されることもあります。環境の変化に順応しやすいので、今後引越しの可能性がある一人暮らしの方が一緒に暮らすにはピッタリです。
ラグドール
青い目をしたふかふかの被毛が特徴的な長毛種のラグドールも、一人暮らし世帯に人気の猫です。ラグドールは一般的な猫よりも体格が大きいですが、体格に反して鳴き声は小さく、狩りに執着しないので室内を傷付けることも少ないでしょう。
ブリティッシュショートヘア
体が大きくずんぐりとしているものの筋肉質なブリティッシュショートヘアは、のんびりしていて物静かな性格です。鳴き声も小さく、あまり飼い主に依存しない独立心のある猫なので、一人暮らしであまり手がかけられないという方に向いているでしょう。
生活スタイルや迷惑のリスクを考えて選びましょう
好みのタイプなどはあるかもしれませんが、アパートやマンションで猫を買う場合は「飼い主のライフスタイル」や「隣近所に迷惑をかけるリスク」を考慮して選ぶようにしましょう。それが、飼い主にも愛猫にもストレスのない生活につながります。
飼い猫の寿命は平均15歳程度と言われています。一人暮らしで猫を飼うことを検討している方は、最後まで責任を持って面倒を見られるかよく考えてから決めましょう。
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