- 住宅ローン控除は5年間延長される見込み
- 新築住宅の固定資産税の軽減は2年間延長される見込み
- 賃貸マンションの相続税評価額の算定方法は、見直しが盛り込まれる可能性がある
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2026年(令和8年)税制改正の概要
税制改正とは、毎年の社会情勢や経済政策に合わせて、国が税金の仕組みやルールを見直すプロセスのことです。
全体のスケジュール
翌年に向けて改正される税制の内容は、毎年12月下旬に「税制改正大綱」として公表されます。 本記事執筆時点(12月初旬)では、正式な税制改正大綱は発表されていません。
税制改正の流れは、毎年春から夏にかけて内容が議論され、各省庁が8月に要望を出すことが通常です。 各省庁からの要望が出されると、与党が秋以降に議論を行い、12月下旬に正式な税制改正大綱が公表されます。
ただし、税制改正大綱はあくまでも与党が出す素案であるため、国会で承認される前の内容です。 公表された税制改正大綱はその後、閣議決定・国会可決を経て、ようやく正式に施行されます。
高市政権は維新の会など、野党との連立により衆議院で過半数を超えているため、微修正が入る可能性はあるものの、基本的には税制改正大綱がそのまま採決される見込みが高いです。
要望の種類
税制改正の内容は、原則として事前に各省庁が要望を公表します。
要望の種類は、「新設」「拡充」「延長」の3つです。
「新設」とは新しい制度を作る要望、「拡充」とは既存の制度をより広範囲に適用させるための要望、「延長」とは時限立法の期限を延ばす要望のことを指します。
とくに不動産関連税制に関しては時限立法が多いことから、延長の要望が出されることが多いです。 たとえば、現行の住宅ローン控除は2025年12月末までの時限立法であるため、2026年以降は、延長要望が通れば継続します。
一方、延長に関しては、期限の到来していない時限立法は、税制改正の要望に含まれないことが特徴です。 たとえば、不動産関連税制の中に「住宅等資金贈与の非課税特例」という措置があります。 現行の「住宅等資金贈与の非課税特例」は2026年12月末までの時限立法のため、2025年時点で延長の要望を出す必要がなく、延長されるのであれば2026年8月に要望が出されることになります。
なお、税制改正は例外として夏場に出された要望以外の内容が盛り込まれる可能性があります。 2026年の税制改正では、「投資用マンションの相続税評価額の算定方法見直し」が盛り込まれる見込みですが、これは2025年8月末時点で要望されていなかった項目です。 与党内で秋以降に議論され、12月に公表される可能性があります。
政策と連動していると要望が通りやすい
税制改正は、政府が推し進めている政策と連動している要望が採用されやすい傾向があります。
現在、政府が推し進めている代表的な政策としては、カーボンニュートラルと子育て支援の2つが挙げられます。
カーボンニュートラルは、2050年までにCO2排出量を実質ゼロとする政策のことです。
たとえば、現行の住宅ローン控除はCO2削減効果の大きい省エネ住宅の方が節税できる制度となっており、カーボンニュートラル政策と連動しています。
不動産関連税制の主な改正内容

この章では、2026年税制改正における不動産関連税制の主な改正内容について解説します。
住宅ローン控除の延長
住宅ローン控除とは、返済期間が10年以上の住宅ローンを利用し、一定の要件を満たした自己居住用のマイホームを購入した場合に、所得税などから所定額が控除される制度です。
住宅ローン控除は長く続いていますが、実は時限立法であり、現行制度は2022年(令和4年)に始まり、2025年12月末で期限を迎えます。 国道交通省は、この期限を5年間延長する要望を出しており、2030年(令和12年)まで延長される見込みです。
住宅ローン控除は、期限が延長されるたびにその内容が少しずつ変化してきました。
2026年の税制改正では、対象となる住宅の最低面積が従来の50㎡から40㎡に緩和される見込みです。 これにより、これまで控除対象外だった40㎡台の2LDKの物件も対象となり、無理に50㎡以上の物件を選ぶ必要がなくなるため、購入の選択肢が広がります。
さらに、現行制度では新築住宅のみ、子育て世代などに対して借入限度額が上乗せされる措置があります。 2026年以降は中古住宅に対しても、借入限度額が上乗せされる見込みです。
こうした改正は、政府が推進する子育て支援策と連動しており、住宅購入を検討する子育て世帯にとって大きなメリットとなります。
新築住宅の固定資産税軽減措置の延長
新築住宅には、一定期間、固定資産税が半額になる軽減措置があります。
現行の制度では、この減額措置は2026年3月31日までとされていますが、今回の税制改正で2年間延長される見込みです。
老朽化マンション再生措置の拡充
現在、国は老朽化したマンションの建て替えを円滑化させるための政策を推進しています。
税制改正では、マンションを建て替える際、売却時に発生する所得税や権利変換時の登録免許税について、税金の軽減や免税の措置が設けられています。
これらの改正により、老朽化マンションの再生がより進めやすくなることが期待されます。
相続税に関する投資用マンションの評価の見直し
2026年の税制改正では、投資用マンションなど賃貸物件の相続税評価額の算定方法が見直されることが報道されています。 この改正は特定の省庁からの要望ではなく、政府内で議論されて決定された内容であるため、詳細な資料は公表されていません。
現時点(12月初旬)では報道をもとに推測するしかありませんが、相続直前に購入した収益物件については、購入価格を基準に評価額が算定される見込みです。
一般的に購入価格(市場価格)は従来の相続税評価額より高いため、相続税の節税効果が薄まる可能性があります。
この改正では「何年前までの購入が相続直前とみなされるのか」という点が、極めて重要なポイントです。 恐らく2025年12月末までに詳細が公表されると予想されますが、富裕層や不動産投資家にとっては関心の高い内容であるため、注視すべき改正点となりそうです。
まとめ
以上、2026年(令和8年)の税制改正の見込みについて解説しました。
2026年の税制改正大綱は、2025年12月末時点に公表される予定です。 現時点で予想される主な不動産関連税制の改正内容としては、「住宅ローン控除の延長」や「新築住宅の固定資産税軽減措置の延長」などが挙げられます。 また、相続税に関しては「相続税に関する投資用マンションの評価の見直し」大きな影響を与える改正となりそうです。
相続税対策や固定資産税対策についてお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。
資産3億円以上の経営者様へ
不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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