- マンションとアパートに明確な線引きはないが、一般的な認識は「両者別物」
- 予算や場所、優先事項によって、マンションがいいかアパートがいいかは変わる
- 内見時は自分がこれから生活するイメージを具体的に持つことが大切
引越し先の部屋を探すにあたって、「マンション」と「アパート」で悩む方も多いと思いでしょう。不動産会社のチラシや物件情報にはどちらの記載もあり、同じ集合住宅でも「違いがよくわからない」というのが実情かもしれません。
なんとなく理解しているかもしれない「マンション」と「アパート」にも、違いがあります。この記事ではマンションとアパートの違い、物件探しや内見時の注意点について解説していきます。物件探しの参考にしてみてください。
線引きはどこ?マンションとアパートの違い
結論から言うと、マンションとアパートの明確な定義はありません。ただし、使用されている建築材料や階層などによって名称が分かれており、一般的な認識としては「両者別物」と言うことができるでしょう。
マンションの特徴
マンションは、一般的に鉄骨や重量鉄骨、鉄筋コンクリート構造で、3階建て以上の集合住宅を指します。階層が高いもの、戸数が多いもの、エレベーターやオートロックといった設備が導入されているものも多くあります。構造がしっかりしているため遮音性・防火性・耐震性に優れており、災害のリスクや近隣の騒音に悩まされるケースも少ないでしょう。
デメリットは、アパートよりも家賃が高いケースが多いこと。地域によっては物件数が少ないため、「希望の条件だと空きがない」ということもあります。
アパートの特徴
一方のアパートは、木造もしくは軽量鉄骨構造で3階建て以下の集合住宅を指すケースが多くあります。木造・軽量鉄骨構造なので重厚なつくりのマンションに比べて建築費用を抑えられているので、家賃はマンションより安価な傾向にあります。
また、あらゆる土地に建築されており、物件数(選択肢)が多いのもアパートの魅力と言えるでしょう。デメリットとしては、遮音性・防火性に乏しい物件もあり、騒音や災害時の安心感がマンションより劣る点が挙げられます。
「ハイツ」や「コーポ」って何?
賃貸物件を探していると、「ハイツ」「コーポ」といった名称の建物を目にすることがあります。ハイツやコーポは集合住宅のオーナーが自由につけられる建物の名称で、規模や構造などによる分類ではありません。よって定義や条件なども存在せず、極端に言えば、30階建ての重量鉄骨タワーマンションに「○○コーポ」と名づけても問題はないと言えます。
コーポの語源は共同住宅を意味する英語「コーポラティブハウス(cooperative house)」で、ハイツは英語で丘や高台を意味するハイツ(heights)が語源です。昭和時代には、宿泊所や屋敷を意味する「荘」をアパート名に入れることが多くありました。それと同じように、ハイツやコーポという単語を冠したアパートが多くなり、物件情報として目にする機会も増えたということでしょう。
その他の集合住宅で使用されることが多い名称
アパートで多い名称
ドイツ語で家を意味する「ハイム」、英語で別荘を意味する「ヴィラ」、フランス語で家や建物を意味する「メゾン」、イタリア語で家や建物を意味する「カーサ」などがあります。
マンションで多い名称
英語で大きな邸宅や官邸を意味する「レジデンス」、英語で宮殿や公邸を意味する「パレス」、英語で庭のある大豪邸を意味する「コート」などが代表例です。
名称についての注意点
先述したように、アパートもマンションも不動産会社や所有者が自由に名称をつけることができます。不動産情報・物件情報にアパートかマンション、どちらの名称で掲載するかは不動産会社が決めることなので、建物の名前だけで判断してはいけません。
名称に対する明確な基準はなく、一般的には「木造か鉄筋コンクリート造か」といった構造の違いで判断されます。
物件選びの際には建物の名称ではなく、セキュリティ面や遮音性、家賃など、自分が重視する条件からしっかり物件を選びましょう。気になった物件があった場合は実際に何件か内見に行き、比較しながら検討するとイメージもつきやすくなります。
マンションとアパート、どんな人に向いている?
マンションとアパート、それぞれどんな人に向いているのかを詳しく見ていきましょう。
アパートが向いている人
家賃を抑えたい
アパートは一般的にマンションよりも家賃が低い点がメリットです。単身赴任先や期間限定の仮住まいなどであれば、マンションではなくアパートのほうが都合はいいかもしれません。
都市部以外で物件を探している
マンションは高層のものが多く、アパートより部屋数が多くなるので、一棟で多くの住人を受け入れることができます。そのためマンションは都市部に多く、都市部以外の地域では少ないという傾向があります。
アパートは都市部以外の地域にも多く存在するので、希望する地域が都市部以外だった場合は、アパートのほうが多くの選択肢から部屋を決めることができます。
マンションが向いている人
災害のリスクに備えたい
災害時など万が一の事態に備えたい方には、マンションがおすすめです。一般的なマンションは鉄骨・重量鉄骨・鉄筋コンクリート構造で耐震性・耐火性も高く、万が一の災害でも建物の崩壊や全焼の危険性がアパートより少ないと言えます。
セキュリティが気になる
近年建築されたマンションには、オートロック設備が付帯している物件も多くあります。女性や子どもがいる世帯は、防犯対策としてセキュリティが厳重なマンションを選ぶと安心でしょう。
遮音性が気になる
木造アパートは、マンションと比較して隣の部屋の音や近隣の騒音が聞こえやすいというデメリットがあります。マンションの場合は鉄骨・重量鉄骨・鉄筋コンクリート構造のため遮音性も高く、騒音などで悩まされることも少ないでしょう。
また、自宅に友人を招く機会が多い方、常時会話が発生する二人暮らしやファミリーの場合も、マンションを選ぶのがおすすめです。防音性の高い物件は家賃が高くなることも多いですが、騒音による“ご近所トラブル”を避けたいなら検討の余地はあります。
ペットを飼っている
室内犬や猫を飼っている場合は、ペット入居可の物件を選ぶでしょう。ペットの足音や鳴き声がトラブルの原因になることもあるので、アパートよりも防音性が高いマンションのほうが、精神的な負担は減ると考えられます。ただし、物件によっては飼育できないところも多くあるので、不動産会社に必ず確認しましょう。
家を不在にすることが多い
近年、宅配ボックスが設置されているマンションが増えています。家を不在にすることが多く、「荷物をなかなか受け取れない」といった一人暮らしの方には、こうした宅配ボックスのあるマンションが便利です(すべてのマンションに宅配ボックスがついているわけではありません)。
足が不自由で移動負担が大きい
アパートは3階建て以下の物件が多いため、エレベーターが設置されていないことも珍しくありません。足の不自由な方や足腰が弱い方は、エレベーターのあるマンションか、1階の部屋を選ぶのがおすすめです。
マンションを選ぶ際の注意点
立地
防音性の高い部屋でも、建物の立地が悪ければ騒音を防ぐことはできません。大通りや線路沿いに面しているマンションだと、車・電車の走行音や大通りからの喧騒が否応なく耳に入ります。
間取り
部屋を選ぶ際は、「隣の部屋の間取り」に注意しましょう。リビングや寝室の壁のすぐ向こう側がバスルームやトイレだと、隣の住民の生活音が聞こえて不快に感じることがあるかもしれません。
マンションかアパートを選ぶには?
それぞれ自分のライフスタイルや地域、部屋探しの方法などから、どちらが向いているのかを判断しましょう。物件に求める条件と優先順位を書き出してみれば、「自分が何を物件に求めているのか」を把握しやすくなります。
物件探しや内見時の注意点
実際に物件を探し、内見に行く際には、何に気をつけておけばいいのでしょうか。以下では、注意点をいくつかご紹介します。
周辺環境
駅やバス停、コンビニ・スーパー・ドラッグストアなど生活に必要な店舗の場所をチェックし、物件からの距離を確認しておきましょう。「部屋は条件に合っていたが、近隣にスーパーがなく自炊をしなくなった」など、住みはじめてからわかることもあります。仕事の時間などで帰りが遅い方や、日中部屋を空けていることが多い方は、店舗の営業時間も確認しておきましょう。
近隣住民
家族で住む物件をお探しの方は、不動産会社の担当者に聞くなどして、同じ建物に子育て世帯がいるかを確認しておきましょう(個人情報を教えてもらうことはできません)。家族で住む予定の場合に、若者や生活リズムが異なる夜勤帯の人が多く住んでいる物件を選んでしまうと、聞こえてくる生活音などをストレスに感じてしまうかもしれません。
騒音
交通量が多い大通りに面していたり、サイレンを鳴らした救急車・消防車が頻繁に出入りする病院・消防署が近くにあったりする場合は、夜中に騒音で起こされることもあるでしょう。周囲の音や夜の生活音を事前に確認しておくと、住み始めてからもギャップは生まれないでしょう。
なお、窓の位置によってはマンションでも音が響くことがあります。実際に内見に行って確認しましょう。アパートでも遮音性は部屋によって異なります。
電波
マンションの場合は構造上電波の入りが悪かったり、設備としてFREE Wi-Fiが設置されていたりすることがあります。スマートフォンが使えない場所があると不便なので、内見時に電波状況もチェックしておきましょう。
サイズ感
部屋のコンセントの位置やキッチンスペースの広さなど、住み始めてから実際に配置する家具や収納のサイズを正確に計っておきましょう。内見時のメジャー持参は必須です。
日当たり
窓の位置と晴れた日の日当たりを確認しておくと、洗濯や部屋にいるときの日照感覚をイメージできます。また、梅雨時の対策として浴室乾燥機がついているか、洗濯機を室内に置けるかについても確認しておくと、洗濯に関して困ることはないでしょう。
キッチンスペース
自炊をメインに考えている場合は、コンロの数は2口以上をおすすめします。また、ワンルームや1Kなどでキッチンの作業スペースが狭く、調理をすることが難しい場合は、内見後に増設用の調理スペースとして居室に置くテーブルなどの購入を検討してみるのも手です。
また、物件によっては、調味料を入れたりキッチン用具を収納したりするスペースが「あるにはあるが小さい(使いにくい)」といったケースもあります。実際に料理するときのイメージを持ってチェックしましょう。
履いていく靴
内見では一度に複数の物件を見学に行くことも多いので、脱ぎ履きしやすい靴を選びましょう。不動産会社のスタッフが室内用のスリッパを用意してくれるケースは多いですが、気になる場合は持参してももちろん問題はありません。
契約はすぐにしなくてもよい
内見後にすぐ入居審査申し込みをすることもできますが、内見をしたからといって「申し込みをしなければならない」というわけではありません。内見はあくまで、実際に住むことを想定した「物件の見学会」です。自分が納得のいく物件でなければ、無理に契約をする必要はありません。たとえ断ったとしても、費用が発生することはないので安心してください。
複数の不動産会社で見積もりを
基本的にはひとつの不動産会社だけでなく、複数の不動産会社から物件を紹介してもらいましょう。それによって、不動産会社ごとの特徴や対応力なども見えてきます。相性などもあるので、自分のことを真摯に考えてくれる不動産会社を探しましょう。
まずは内見に行き、イメージをすることが大切
何気なく見聞きしている方も多い、「マンション」や「アパート」といった言葉。明確な定義や基準はありませんが、物件の構造や階層などによってマンションとアパートは使い分けられており、一般的な認識としてはそれぞれ違うものと言うことができます。「ハイツ」や「コーポ」などを含め、ややこしいので名称だけで判断しないようにしましょう。
気になる物件が見つかったら、実際に内見に行ってみましょう。そして、自分が生活するイメージを持ちながら、物件を細かくチェックしてみてください。これから快適な暮らしを実現できるよう、複数の物件を内見しつつ比較検討することが後悔しないポイントです。
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