- 家を建てるパートナーにはさまざまな選択肢がある
- スタートから引き渡しまでは約1年から1年半くらいかかるケースが一般的
- 土地の費用や建築費、ローンなど、お金についても知っておくと安心
長い人生のなかで、マイホームを建てる機会はそう何度もあるわけではありません。そのため、一戸建て(一軒家)を新築するにあたって、「何からはじめればいいのか……」と悩まれる方も多いようです。
住まいを建てる際には、住宅についてのさまざまな決まりごとや費用など、注意しておきたいポイントがたくさんあります。それらをあらかじめ押さえておけば、いざというときも安心です。この記事では、パートナーの選択肢、費用、流れ、期間、注意点など、家を建てる前に知っておきたいことを解説します。
家を建てるパートナーの選び方
家を建てる第1段階として、「パートナー選び」があります。パートナーとは、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などのこと。「こんな家にしたい」「こんな暮らしを実現したい」といった希望を伝え、専門知識や技術をもってその希望を形にしてくれる存在です。満足できる家を建てるためには、「どのタイプのパートナーに依頼するか」が大きな鍵となります。
タイプ別に見るパートナー候補の特徴
ハウスメーカー
ハウスメーカーは全国展開をしていて知名度が高く、住宅展示場やモデルハウスを公開しているので、実際にどんな住宅を施工しているのかをイメージしやすいのがメリット。社内に住宅に関するたくさんの部署があり、土地探しから設計、施工、その後のメンテナンスまで、トータルで任せることができます。
建築資材を工場生産しており、仕上がりが一定。また、品質や技術を高めるための研究に力を入れている企業も多くあるなど、クオリティに関しては満足度が高いと言えます。しかしその一方、提供している住宅は画一的で、設計の自由度に欠ける傾向も。また、宣伝費や人件費などをかけているため、建設費全体の費用が高くなりがちです。
工務店
地域密着型の工務店も、パートナーの選択肢に入ります。1店舗のみの小さな工務店から、数店舗展開しているところまでさまざま。工務店の職人・スタッフによって、得意なデザインや工法は異なります。
自由度が高く、狭い土地など難易度の高い条件でも柔軟に対応してもらえるのがメリット。工務店で働いている職人が直接施工するため、融通が利き、費用が安くなるのもうれしいポイントです。ただし、工務店によって品質にはバラツキがあり、少数精鋭で事業を行っている場合は工期が長くなる可能性があります。
設計事務所
建築家がお客さまの要望を取入れながら設計を行い、オリジナリティが高い住宅を手がけてくれるのが設計事務所の一番の魅力。一般的には設計や住宅の監修を設計事務所で請け負い、施工は工務店に依頼するというケースが多くあります。
どんなサイズ・形の土地にも合う、自由度が高い住宅を設計してくれるので、オンリーワンのマイホームも実現可能。ただし、プランニングや図面作りなどの設計費に、施工費が加算されるので、費用が高めになることは理解しておきましょう。
「建て売り住宅を買う」という選択肢
自分の希望を取り入れた注文住宅の一戸建ては、建築費用が高額になります。オーダーメイドの家づくりにこだわらない方、可能な範囲で費用を抑えたい方にとっては、建て売り住宅を購入するという選択肢もあるでしょう。
建て売り住宅は、工務店やハウスメーカーが規格化された建築資材を使って施工するため、コストを抑えられるのが最大のメリットです。ただし、間取りなどの変更に融通がききにくいというデメリットがあります。
家を建てる流れと想定期間
次に、一戸建てを建てる際の流れを、順序を追って解説します。理想の家を建てる準備に、ぜひ役立ててみてください。
理想のアイデアと予算を確認する
「理想のマイホームがほしい」と考えたら、まずは家族で話し合いをしましょう。「明るくて広いリビングがいい」「アイランドキッチンにしたい」といったアイデアを出し合い、実現したい住まいの間取りやデザイン、イメージを固めていきます。
そしてもうひとつ、忘れてはならないのが予算の検討です。住宅ローンを申請するのであれば、どれぐらいの金額を、どの金融機関で申請するのかを計画しなければなりません。
パートナーや土地を選ぶ
マイホームのイメージがある程度固まったら、それを実現してくれるパートナーと実際に家を建てる土地を選びます。マイホームづくりをサポートしてくれるパートナーは、慎重に選びましょう。もしインターネットや住宅情報雑誌などを見てイメージに合った建築会社がいくつか見つかったら、資料請求をします。モデルハウスがある会社なら実際に見学をして、担当のスタッフに相談してみてください。資料請求後やモデルハウス見学時に、その会社の対応力をチェックすることもできるでしょう。
マイホームを建てる土地が決まっていない場合は、土地探しをする必要があります。土地探しからサポートしてくれる企業もあるので、まとめて相談できる会社を探すのも手です。土地探しにおいては、まずインターネットを使って不動産情報サイトで住みたい地域の相場を調べます。その後、いくつかの不動産会社に依頼をし、土地を探してもらう流れになります。
設計プラン作成と見積もりを依頼する
パートナー候補を数社に絞ったら、設計プランの作成と見積もりを依頼しましょう。このとき、条件面などの希望をできるだけ具体的に伝えておくと、話がスムーズに進みやすくなります。提示された設計プランやデザイン、見積もりの内容を見て、比較しながらパートナーとなる会社を選びましょう。
見積書は、概算ではなく詳細(内訳)を確認するものです。「諸経費には何が含まれているのか」など、見積書をチェックしてわからないことがあれば、打ち合わせの際にどんどん質問してください。そうすることで納得して依頼できるようになり、事後のトラブルリスクも減ります。
スタートからここまで、一般的に2ヶ月から4ヶ月ほどかかります。
仮契約・工事請負契約を結ぶ
施工を依頼する会社を選んだら、仮契約を締結します。このとき、申込金として5万円から10万円程度の費用が必要な場合もあるので用意しておくとスムーズです。仮契約後に間取りや設備面の修正があれば見積もりに反映し、ブラッシュアップしていきます。工事のスケジュール作成や、住宅ローンの事前審査の申し込みも同時に行います。
見積もりとスケジュールに問題がなければ工事請負契約を結び、自治体の建築主事もしくは指定確認検査機関に確認申請書を提出します。法の基準に適合した計画かどうかをチェックする建築確認をクリアしたら、住宅ローンの本申込みを行い、審査を通過した段階で着工へと進みます。
仮契約・工事請負契約にかかる期間は、平均で2ヶ月から4ヶ月程度です。
着工・竣工・引き渡し
工事が完成したら、市町村に提出した申請通りに建築されたかの検査(完了検査)を受けます。問題がないようであれば検査済証が発行されます。さらに引き渡しの前に設備の不備や施工の瑕疵などがないかを確認をし、問題がなければ引き渡しとなります。
着工から引き渡しまでは、平均で4ヶ月から6ヶ月程度。マイホームを建てることをイメージしてから引き渡しまで、約1年から1年半くらいかかるケースが一般的です。
家を建てるときにかかる費用
マイホームを建てるにあたって、やはり気になるのは「どれぐらいの費用がかかるのか」。ここでは、一戸建てを新築した場合に総額でどれぐらいの費用がかかるのかを見ていきます。
土地と建築費
家を建てるには、土地と建物が必要です。
土地代
一戸建てを新築する場合、相続などですでに土地を所有している方以外は、まずは土地を購入しなければなりません。土地の値段は地域によってさまざまで、東京や大阪、名古屋など、大都市の都心部ほど土地の値段は高くなります。
大都市と地方都市では大きな差があり、東京や大阪の中でもエリアによって地価は変わってきます。
建築費
住宅金融支援機構が公開している、2019年度の「フラット35」利用者調査による建築費用の総額を見てみましょう。
・首都圏:総額3,772万円
・近畿圏:総額3,555万円
・東海圏:総額3,522万円
・その他の地域:総額3,276万円
・全国:総額3,454万円
※床面積 125㎡から128㎡
こうして見てみると、首都圏の建築費は若干高い傾向がありますが、全国的に大きな差はないようです。
諸経費
一戸建てを購入すると、土地や建築費以外にも税金や印紙税・手数料など、いくつかの費用が発生します。
土地購入手数料
土地を購入した場合は、不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は、400万円以上であれば「(売買価格の3%+6万円)×消費税」と定められています。
住宅ローン関連費用
・事務手数料
・保証料
・印紙代
登記関連費用
・土地と建物の所有登記
・抵当権設置
・司法書士費用
入居時に発生する費用
・引越し費用
・不動産取得税
入居後に毎年かかってくる費用
・固定資産税
・都市計画税
35年ローンを組んだ場合のシミュレーション
ここでは、大手都市銀行で3,500万円の住宅ローンを35年で組んだ場合(ボーナス払いあり)の支払い総額を見ていきましょう。
【Web申し込み専用住宅ローン変動Ⅰ】
金利:年0.475%(2021年4月1日現在)
毎月の支払い額:6万7,852円
ボーナスの支払い額:20万3,678円
支払い総額:3,903万5,497円
内訳:元本 350万円/利子 300万5,498円/諸経費 103万円
これを見ると、35年ローンで3,500万円を大手都市銀行で借りた場合は、利子や諸経費などで約400万円を支払う計算になります。目安として覚えておきましょう。
家を建てるうえで失敗を避けるポイント
夢のマイホームづくりを成功させるには、いくつかの注意点があります。ここでは、マイホームを建てるときの注意点を4つ、ご紹介します。
間取りの注意点
「図面で間取りを見て理解したつもりになっていたが、住んでみるとイメージしたものと違った」という失敗はよくあります。部屋別に失敗例を交えながらご説明します。
LDK
家族が集まるLDK(リビングダイニングキッチン)は、家族にとってとくに重要な場所です。モデルハウスでよくあるような「吹き抜けと階段があるLDK」は、冬場は熱が上がっていくため暖房効率が悪く、電気代がかかってしまいがち。また、人気のアイランドキッチンも生活感が出やすいため、「つねに整理しておくのが大変」「失敗した」などと感じる方も多いようです。
子ども部屋
最近では、「子どもが小さいうちは広めに使い、大きくなってから仕切って個室にする」という家庭が多いようです。しかし兄弟姉妹の性別が違う場合や年が離れている場合は、早い時期から仕切る必要に迫られるため、「はじめから仕切っておけばよかった」という方もいます。
寝室
「寝室は寝るだけだから」と小さめの広さにしたものの、「ベッドを入れたら狭くて着替えができなくなってしまった……」というケースもあります。ベッドの大きさは着替えができる程度のスペースを残すことを想定し、それをふまえて間取りも考えるようにしましょう。
水回り
洗面所と脱衣所が同じスペースにあると、「誰かが入浴していると洗面所が使えないので不便」という声も多くあります。また、玄関近くにトイレを設置した場合は、「トイレのドアを開けた瞬間に玄関が開いて気まずい思いをした」といったケースも。また、「玄関を開けるとトイレの音が聞こえるのは恥ずかしい」という声もあるようです。水回りに関する間取りは配慮が必要かもしれません。
設備の注意点
作り付けの造作家具は、部屋に統一感が出てスッキリ見えるため人気がありますが、「模様替えができない」「他の家具が置けない」などのデメリットもあります。また、「室内が明るくなるから」と大きな窓を希望する方も多くいますが、「道路や隣の家が気になって窓を開けることができない」「直射日光がまぶしすぎて、昼間はカーテンを閉めっぱなし」というケースもあります。
窓の位置や大きさを検討する際は、周囲の環境を確認するようにしましょう。
耐震性や災害リスクに関する注意点
日本は世界有数の地震大国です。日本中どこに住んでいても地震が来る可能性があるため、地震に対する備えを万全にしておく必要があります。打ち合わせのときに、大きな地震があった場合のリスクもしっかり確認しておきましょう。
また、最近では大型の台風や集中豪雨による被害がひんぱんに起こっています。住んでいる地域が災害に遭った場合、メンテナンスでどれぐらい費用がかかるのかも念のため聞いておくとよいでしょう。
仕上げ材に関する注意点
家の天井や壁、床などの最後の仕上げに使用する「仕上げ材」は、仕上がり具合を左右し、見た目にも影響を与えます。どんな材料を使うのか、工事前にイメージだけでなく実物(サンプル)を見せてもらうことをおすすめします。
計画を立て、しっかりとマイホームづくりの準備をしましょう
マイホームづくりには時間と準備が必要です。インターネットで資料を請求したり、モデルハウスなどを見学したり、施工会社の担当者と打ち合わせをしたりした際に、疑問に感じることがあればためらわずに何でも質問しましょう。それが、マイホームづくりを成功させるポイントです。
家を建てるうえで重要なのは、安心して何でも相談できるパートナーです。そういったパートナーが見つかったら、二人三脚で理想のマイホームを実現させましょう。
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